
北野筆太

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記事の目次
2兆円市場の飲料自販機業界だが、補充員の仕事は単調且つ激務。腰痛と「友達」になる前に撤退もアリ。
「自分、基本、フリーターなんで、仕事はなんでもやる覚悟でいます。でも『あの仕事』だけは、自分の方から投げ捨てましたね」
笠井健太郎さん(仮名、24歳)は、男性アイドルグループのメンバーのような顔立ちをしています。得意技はバク転とサッカーボールのリフティングで、「小学2年から始まったモテ期がいまだに続いている」(本人談)そうです。
笠井さんは一見するとチャラ男なのですが、職業観はしっかりしていると見受けられました。
地方の高校を卒業して東京に出てきて、バイトで食いつなぎながら「30歳から死ぬほど打ち込める仕事」を探しています。
そのバイト漬けの生活の中でふと「やっぱり正社員にならないとダメかな」と考えたことがあり、ある企業に正社員として入社したのですが、わずか3カ月で辞めてしまいました。
笠井さんが3カ月で見切りをつけた「あの仕事」とは、自動販売機に缶飲料やペットボトル飲料を補充する仕事です。勤務したのは、缶コーヒーが主力の中堅飲料メーカーでした。
飲料自販機補充員は、ワゴン車を運転したり、缶やペットボトルを詰めた段ボールを運んだりと、かなりきつめな肉体労働ですが、それでも笠井さんくらいの「覚悟」があれば、3カ月でギブアップするような仕事ではありません。
飲料自販機補充員のあなたでも、「3カ月で音を上げるのは根性がない」と感じるのではないでしょうか。しかし笠井さんの話を聞くと「なるほど」と納得していただけると思います。
そして、あなた自身も「このままこの仕事を続けていいのだろうか」と感じているのではないでしょうか。
飲料自販機業界は巨大なマーケットを築き上げていますが、「補充」は肉体を酷使する仕事なので、40代に突入すると厳しいと感じるかもしれません。ましてや50代、60代となると…。
笠井さんの話に耳を傾けてほしい理由はそれだけではありません。
あなたは「もっとチャレンジングな仕事がしたい」と感じているのではないでしょうか。
あなたがもし、少しでも「転職したい」と迷っていたとしたら、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。
これは飲料自販機補充員のあなたに宛てた手紙です。この業界の明るい部分と暗い部分を紹介します。
ツアーコンダクター(旅行添乗員、旅行手配)、旅行代理店業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み
辞めたい理由と悩み1:単純作業だがコツが要る缶のラック入れ。効率的に回らないと帰社してから厳しい叱責が待っている。
飲料自販機補充員になった笠井健太郎さん(仮名、24歳)が最初に苦労したのは、「缶のラック入れ」でした。
缶のラック入れは、補充員の基本中の基本です。自販機の「表面」を開け、缶飲料を「横」にして詰め込むあの作業です。飲み物の種類ごとに分かれた「列」のことをラックといいます。
素人目には、缶を投げ入れているだけに見えて簡単そうですが、さにあらず。缶から手を離すときのタイミングと強さを間違えると、缶がラックを流れる途中で「縦」になり詰まってしまいます。
ラックの奥には手が入らないので、縦になった缶だけを修正して「横」にすることはできません。引っかかった缶の前に入れた缶をすべて自販機のコントローラーで排出して詰まりを解消し、もう一度入れ直さなければならないのです。
入社後4日目で独り立ちさせられた笠井さんは、何度も何度もラックを詰まらせました。先輩たちの半分も回れない状況で会社に上がると、当然上司に叱られます。
笠井さんは「できねえんだからしょうがねえべや」と思いましたが、「これが正社員の厳しさか」と思い直しました。
しかし、笠井さんより後から入ってきた社員が、難なく「缶のラック入れ」をマスターする姿を見て、「自分は不器用なのか」と悩むようになりました。
先輩に教えを請うと、次のようにアドバイスしてくれました。
「缶とペットボトルを同じやり方で投入しちゃだめだよ。缶は上下の重量がほぼ同じだけど、ペットボトルは頭が軽くて底が重いんだから、こうやってクイッとやればいいんだよ(と言いながら右手でジェスチャーをしてくれました)。
それと、リズムよく投入すること。1本の缶しかラックに流れていないと詰まりやすいんだよね。複数の缶が『連結列車』みたいになるように、数本を次々入れていく必要がある」
しかしアドバイスと同時に、こう説教されました。
「でもな笠井、お前の今のペースの遅さは致命的だぞ。短時間でラック入れを終わらせないと、次のステップに上がれないよ」とも言われました。
笠井さんは落ち込みました。
笠井さんは最終的に1日100機まで回ることができるようになりましたが、先輩からは「最低150機は扱ってもらわないと」と言われました。
「働き始めてからわずか3カ月で1日100機をこなせるようになったんですよ。褒めてくれてもいいのにって思いました。100機だって、午後8時までかかるんですから」
朝9時に会社を出発して、午後8時まで自販機を扱い、帰社してから書類整理をします。帰宅はいつも9時すぎでした。
筆者が「もしかして…」と尋ねると、笠井さんはすぐに質問の意味を理解し、「もちろん、残業代は出ません。サービス残業です。自販機補充員の仕事は、基本、ブラックですよ」と答えてくれました。
なかなか外部からはわからない自販機業界
なんでも売っている | 自販機といえばすぐに「飲料」をイメージするかもしれないが、飲料用自販機は、自販機全体の51%にすぎない。
自販機で売られている商品は「たばこ」「乗車券」「新聞」「冷凍食品」「両替」「コインロッカー」などさまざま。 1人の客が1回に投入する金額が数万円に及ぶ「金貨の自販機」も。 |
500万台もある | すべての商品を合せると、国内には500万1700台の自販機がある。
国内のコンビニ店舗数が約5万店なので、「自販機の多さ」が際立つ。 |
自販機の王者「飲料」の市場は2兆円超 | 自販機が売るすべての商品の年間売上高4兆8811億円のうち、飲料自販機の年間売上高は2兆1333億円と43.7%を占める。
自販機で売られている飲料の種類別1位は「清涼飲料」で、85%を占める。酒・ビールは意外に低く2%。健闘しているのはカップ式のコーヒー・ココアで7%。 |
パナソニックには及ばないが神奈川県の予算に近い | パナソニックの年間売り上げは約7兆円、神奈川県の年間予算は3兆円なので、飲料自販機のみの年間売上高2兆円強の「すごさ」が分かる。 |
http://www.jvma.or.jp/information/fukyu2015.pdf
http://www.jfa-fc.or.jp/folder/1/img/20170120104404.pdf
辞めたい理由と悩み2:自販機は野ざらし状態で快適な温度を保つ。当然、虫たちにとっては快適な天国なわけで…
笠井さんは「虫」が大嫌いです。山登りやキャンプはもちろんのこと、河原のバーベキューも苦手です。「アウトドアは嫌い」と言い切ります。
しかし、国内の多くの自販機は、アウトドア状態です。つまり野ざらしです。
「自販機って、密閉状態じゃないんですよ。虫が入り込む隙間はたくさんあります。最初は蛾の死骸を見ただけでも、吐き気を催しました」
笠井さんはそう振り返ります。
もちろん、自販機に多少虫が侵入しても、中の飲み物は衛生が保たれる仕組みになっています。しかし、自販機内に虫の死骸をみつけたら、補充員は清掃しなければなりません。片づけをサボれば、次にその自販機を見回る別の補充員によって発覚してしまいます。
そして入社2カ月目のその日、「決定打」が出たのでした。
その日の笠井さんの担当は、カップタイプの自販機でした。
缶用の自販機は缶を投入するだけで済みますが、カップタイプの自販機は、ジュースの原液やガスを注入しなければなりません。さらに温度調整が難しく、とても時間がかかります。その作業をしているときに、「あれ」が飛び出してきたのでした。
「『あれ』が出てきたときは、『うわっ!』って声をあげてしまいました」
笠井さんがなかなか「あれ」の名称を言わないので、こちらから、「『あれ』ってゴキブリのことですか」と尋ねると、「やめてください! その名前を聞くだけでも鳥肌が立つんです!」と本気で叱られました。
「自販機補充員は絶対に『あれ』と向き合わなければならない仕事です。自分には無理でした。すぐに上司に、カップタイプの自販機は担当させないでくださいって頼みましたが、笑われて終わりでした。それで退職を決意したんです」
もちろん、すぐに退職することもできず、それから1カ月弱働いたわけですが、さらなる悲劇が笠井さんを襲いました。
「なんと、子猫の死骸が自販機内にあったんです。動物が腐った臭いを嗅いだのはこのときが初めてだったんですが、すぐに『死骸がある』って分かりました」
それは笠井さんの退職日の10日前の出来事でした。
「本当に自分って、運がないんですよね。これでもう、もう正社員はいいやって思うようになりました。それでいまもフリーターをやっています」
笠井さんは肩を落としてそう言いました。
笠井さんと同じ仕事をしているあなたも、こんなエピソードのひとつやふたつ持っているはずです。
だからあなたは、どんなに喉が渇いても、そこにある自販機は使わずにコンビニを探してしまうのです。「自販機は汚い」ことを知っているからです。
各飲料メーカーが力を入れる自販機市場
コーラとサントリーの2強時代 | サントリーが2015年に日本たばこ産業(JT)の飲料自販機事業を1500億円で買収。これでサントリー系の自販機は66万台となり、83万台の王者日本コカ・コーラと2強時代に突入した。
他社はキリン21万台、伊藤園15万台、大塚10万台。 |
災害時のインフラに | 自販機に付いているPR用のディスプレイが、災害時に情報発信端末に変わる。自治体からの情報を地域の隅々に行き渡らせる狙い。
また、大地震があったときに、自販機の中の飲み物を自動で無料で提供できる仕組みを搭載した自販機も登場。 社会インフラとしての存在感が増している。 |
ここまで進んだ省エネ機能 | 従来の飲料自販機は、中の飲み物すべてを冷やしたり温めたりしていた。しかし新型の自販機は、販売直前の2~3本しか温度コントロールをしない。大半の商品は常温のままにしておくので、光熱費がかからない。 |
あのLINEと仮想通貨を展開 | ダイドードリンコは、自販機で飲み物を買うとポイントがたまるシステムを、LINEと共同開発した。
将来的には、そのポイントを仮想通貨として使えるようにする。 |


辞めたい理由と悩み3:大金を搬送することは日常業務なので強盗が怖い。噂では誘惑に負けた同業者もいるらしい。
ゴキブリの出現により、飲料自販機補充員を辞めることを決心した笠井健太郎さん(仮名、24歳)でしたが、もうひとつ「この仕事の欠点」を感じていました、それは「セキュリティ問題」です。
当然といえば当然ですが、自販機は典型的な現金商売です。補充員は釣銭管理をしながら、毎週1回は売り上げを回収しなければなりません。笠井さんはいつも「強盗に襲われないか」不安でした。
実際、見慣れない車に後をつけられたこともあります。業務マニュアルではこういうときに、相手に見えるように不審車のナンバーを控えて、通常ルートを外れて人通りが多い道路に切り替えるように、となっています。笠井さんはそれを忠実に実行し、難を逃れました。
笠井さんはさらに、これにちなんだ話もしてくれました。
「自販機から回収した現金をネコババする補充員もいるんです。もちろん、自販機には、どの飲料が何本売れたかというカウンターがつているので、その数字と回収金額が合わなければ、すぐにばれてしまいます。でもいろいろと手口があって、毎月数万円抜いていた人が解雇されたこともあるそうです」
もちろんこれは犯罪です。盗んだ者に言い訳の余地はありません。
しかし笠井さんは、あえてこう擁護しました。
「大金管理の教育を一切受けずに、入社してすぐに1人で何十万円も扱うんですよ、誘惑に負けることもあると思います。会社にも責任がある、というのが自分の考えです」
あなたも笠井さんの言ったことにうなずくのではないでしょうか。
未来の自販機はこうなる!?
IoTが自販機を変える…IoTは「モノのネット化」といった意味です。インターネットといえば、スマホやパソコン、タブレットが主流ですが、家電や自動車や自宅などあらゆるモノをネットでつないでしまおうというのがIoTです。飲料自販機にもIoTの波は押し寄せていているのです。
マーケティングをする自販機は売り切れ知らず…コカ・コーラは、すべての自販機をネットでつなぎ、売上と在庫を管理しようと考えています。自販機にマーケティングや市場調査をさせてしまおうというのです。ここまで進化すると、売り切れる前に商品の補充ができるだけでなく、効率的な配送が可能になります。また「この自販機の周辺にいる人たちの好み」が分かるので、より売れる商品を自販機に入れることができます。
「私は故障しそうです」と教えてくれる自販機…自販機に人工知能(AI)を搭載すれば、自販機自身が「故障しそうだ」と判断しSOSを発信します。故障する前に修理することができ、機会損失を最小限に、または、ゼロにすることができます。

辞めたい理由と悩み4:日に何度も「1.5トン」を運ぶ重労働。なのに手取りは月13万円の低賃金。
笠井さん以外の人からも、「自販機補充員の悲哀」は届いています。
ある補充員は「数ある肉体労働の中でも、相当きつい」と言っていました。缶飲料を入れている段ボールは、1箱30本入っています。1本300g程度ありますので、1箱10kg近くになります。1機で15種類の飲料を販売している自販機なら、搬送車から自販機まで1.5トンを運ばなければならないのです。この方は「自販機補充員の『友達』は、腰痛、肩痛、膝痛です」と結びました。
ビルの中や、ときにはオフィスの中にも飲料自販機はあります。別の補充員は「都心のビルは廊下が狭いので、大きな台車を入れることができません。小さな台車を使うと、それだけ自販機と搬送車の間の往復回数が増えるわけです」と嘆きます。
朝目覚めると、筋肉痛で起き上がることができないこともあるといいます。
「信じられないほど給料が安い」と嘆く補充員もいました。この方も、笠井さん同様、入社間もない正社員でしたが、手取りで13万円ほどだったそうです。「1日3時間のサービス残業込み」の給料です。
また、この道8年のベテラン補充員Aさんは「私はもう48歳なので、いまさら別の仕事をしたくないから続けていますが、誰に対しても『この仕事はやめておきな』って言いますよ」と言います。
理由はやはり、大変な割に給料が安いためです。
Aさんは自販機補充員の労働環境が悪い理由を教えてくれました。
「飲料メーカーがこぞって自販機に力を入れるのは儲かるからです。そりゃあ儲かるでしょうね、補充のコストを最小限にしているんですから。ショッピングモールで大量に売っているジュースって、同じ銘柄でも自販機のジュースより安いですよね。搬送コストが安いからです。でも、ショッピングモールのジュースが安いといっても、自販機の半値ってことはないですよね。ジュース1本当たりの搬送コストは、どう見たって10分の1なのに、です。自販機の飲料の価格は本当はもっと高くないとダメなんです。自販機の飲み物の金額は、補充員をいじめ抜いているからこそ出せている『激安価格』なんですよ」
笠井さんやAさんの話を聞いて、それでもまだ、あなたはこの仕事を続けますか。飲料自販機の世界は、かなり大きなマーケットですが、補充員へのしわ寄せは、不当に大きいといえます。
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「自販機補充員の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.この業界で上に上がるため、季節ニーズとエリアニーズを読み、補充業務にマーケティング思考を取り入れてみる。
飲料自販機補充員の多くは、この仕事を否定的にとらえていますが、「この仕事が好き」という方もいました。もしあなたが、「大変なことは大変なんだが、もっと自販機補充員を続けたい」「どうせなら上を目指したい」と感じていたら、Bさんの話が参考になるかもしれません。
Bさんは自販機補充員の仕事を続けるのは、「人と話すのが苦手なので、缶とペットボトルを黙々と入れ続ける仕事は気楽」だからです。
しかしBさんの話を詳しく聞くと、この仕事の魅力は気楽さだけではないことが分かりました。
Bさんの手取りは、毎月23万円を下ることはなく、25万円を突破することもあるそうです。Bさんの会社は、完全歩合制をしいているからです。
Bさんが担当する自販機は500機近くあり、そのうち1日200機にアクセスして、補充したり現金を回収したり清掃したりしています。
ベテランのBさんでも、夜10時になることも珍しくありませんが、Bさんの賃金が高いのは、担当台数が多いだけではありません。
Bさんと同じ台数を担当している同僚でも、手取りで15万円を切る人もいます。
Bさんの給料が特別高いのは、Bさんが担当する自販機が、他の補充員が受け持っている自販機より多く販売するからです。もちろん、会社がBさんにだけ、好立地の自販機を担当させているわけではありません。
Bさんは、たくさん売れる仕掛けを自販機に施しているのです、要は、自分自身でマーケティングを行い業務に工夫を加えているといえるでしょう。
「ほとんどの補充員って、まったく工夫しないんです。ひどい人になると、上司から『いつまでホットコーヒーを入れているんだよ』って叱られています。横で聞いている私は『この人は補充員に向いていないな』って思いますよ。
飲み物って季節的な商品じゃないですか。なのにその人は、季節や気候をまったく頭に入れないんですから」
Bさんは季節を読んでいるだけではありません。
まだ残暑が厳しい9月のある日に、ある自販機の1本のラックにだけ、ホット缶コーヒーを入れたのです。もちろん、同僚でそんなことをする人はいませんでした。また、上司にも無断でそれを敢行しました。
狙いは見事ヒットして、その月の缶コーヒー売上で最高金額を叩きだしました。
なぜ残暑が続いた月にホット缶コーヒーが売れたのでしょうか。
「答えは簡単ですよ。その自販機近くで道路工事が始まったからです。残暑といっても9月なので、夜になると気温は下がるじゃないですか。そうなると、ずっと外にいる作業員さんたちは、温かいものが飲みたくなるんです。その時期だと、コンビニでもホットコーヒーはやっていないから、飛ぶように売れましたよ」
あなたがいま「飲料自販機補充員を辞めたいけど、なぜか踏ん切りがつかない」のは、Bさんのようなスーパー補充員の仕事っぷりを見て、「まだやれるかも」と感じているからではないでしょうか。
その予測は正しいかもしれません。
Bさんを見習って、ひと工夫もふた工夫も加えてみてはいかがでしょうか。
2.飲料自販機補充員を辞めて他業界に転職する
先述のBさんが如く個人でマーケティングを駆使し、スーパー補充員を目指すのも正しい選択肢ですが、一方で、この業界から手を引くことも「意味ある撤退」といえるでしょう。
そんなあなたにはスッパリ転職することおすすめします。
「日当1万円」と聞くと「それほど悪くない」と感じるかもしれませんが、飲料自販機補充員にはノルマがあり、割り当てられたすべての自販機を回らないとノルマ達成とはなりません。
稼働時間が「定時」を過ぎても、それは「要領が悪い」とみなされ、残業代はつきません。非常に残念ではありますが、これが飲料自販機補充員の「現状での常識的待遇」です。
しかしこの条件と比較すると、例えば工場勤務の方がはるかに「割が良い」でしょう。工場は勤務時間が決まっているので、「定時」と「残業」の区別がはっきりしています。
工場以外にも、いまより疲れなくて、いまより良い給料をもらえる仕事はたくさんあります。転職した方がいい飲料自販機補充は、次の項目に当てはまる人です。
- いまの仕事は「割に合わない」と感じている
- 「どうしても補充員じゃなきゃダメだ」という気持ちがあるわけではない
あなたはいかがでしょうか。
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまく自販機補充員を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、ベンダー魚介以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
飲料自販機補充員の辞め方とタイミング
1:疲労困憊の中での転職活動は大変。求人サイトに登録して日常の合間合間でこまめに求人閲覧を。
飲料自販機補充員の退職は、辞める決意が固ければ、それほど「こじれる」ことはないでしょう。ただ問題は、この仕事はとてもきついので、補充員を続けながら転職活動をすることが難しいことです。
もしあなたのいまの職場が「完全土日休み」ではなく「4週6休」だったら、たまの休みは体を休めたいはずです。しかも、飲料自販機補充員は「月給」といっても、決められた休み以外の日に休むと給料から「日当相当分」が差し引かれることが多いので、転職活動のために休むこともできません。
働きながら転職活動ができないということは、辞めた後に就活するしかなく、そうなると転職活動中の収入が途絶える可能性があります。
そこで転職を決意した人は、スマホを使って勤務中にこまめに求人サイトを閲覧しましょう。もちろん「勤務中」といっても「仕事中」にスマホをいじることは、職業人として失格です。スマホの操作は、会社から与えられた「休憩時間」を使ってください。
最近の求人サイトは、スマホ対応型が多く、「スマホだから情報が少ない」ということはありません。
また求人サイトは、毎日、何度も見ることが重要です。朝見て、昼に見て、中休みに見て、夜にも見てください。
求人票の更新を的確にキャッチするだけでなく、「自分が進む道」の賃金の相場を知る上でも、1件でも多くの求人票を閲覧してください。
2:ブラック企業に正攻法は通じない。いざとなれば上司を飛ばして社長に「辞めます」と直訴してもOK。
先ほど、飲料自販機補充員の退職がこじれることは少ないと申し上げましたが、ただ、この業界はブラック企業が多いのも事実です。ブラック企業は、人権を無視した労働環境で働かせるだけでなく、巧みに退職を阻止します。
ブラック企業がよく使う手口は、退職願をたらい回しにすることです。あなたから退職願いを受け取った上司が、入退職の手続きをする総務担当者に渡さないのです。
普通、一般の社員は、退職願を出してから1週間や10日くらいでは、会社に対して「いつ辞めさせてくれるんですか!」とせっついたりしませんので、それだけ退職日が遠のくことになります。ブラック企業はそれを見越しているのです。
堪忍袋の緒が切れて、退職の手続を早く行うよう催促しても、それすら無視します。飲料自販機の補充を行っている会社は中小企業が多いので、社長と会うことはそれほど難しくありません。
なので最後は、社長に直接「辞めさせてもらいます!」と言ってください。法律では、労働者は2週間で辞めることができることになっています。

「後任が見付からない」
「引き継ぎをしっかりやってほしい」
「1年間は辞めることはできないよ」
こうした発言は、すべて会社の勝手な都合です。あなたが、辞める会社に義理立てする必要はありません。
飲料自販機補充員の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.自販機メーカーの営業に転職
自販機が売る商品の総額は、年間5兆円にも達します。その内、飲料だけでも2兆円になります。年間2兆円は、ちょっとした自治体の年間予算に匹敵します。
ですので、飲料自販機補充員の仕事に嫌気を差しても、自販機業界から抜け出してしまうのはもったいないかもしれません。
そこで、現役の補充員であるあなたにおすすめしたい転職先は、自販機メーカーです。
毎日10時間近く自販機に接してきたあなたなら、「自販機の癖」をご存知のはずです。つまり「使いやすい自販機」と「使いにくい自販機」を知っているのは、商品の購入者ではなく、あなたたちなのです。
あなたのその知識と経験は、自販機メーカーが最も求めるものなのです。なぜ自販機メーカーなのか――その答えは単純です。将来性がとても高いからです。
自販機の国内最大手は、富士電機といいます。同社は自販機だけでなく、発電所や工場なども手掛けていて、年間売上は8135億円に達します(2015年度)。そのうち、自販機の売上は610億円で、全体の7%を占めます。
現在は「7%ぽっち」なのですが、同社は自販機の売上は10年後に10倍になるとみているのです。自販機の年間売上610億円が6100億円になるわけですから、同社の売上は5490億円アップすることになります。
単純に「全体売上の8135億円」と「自販機売上の610億円」に5490億円を足すと、「全体売上1兆3625億円」「自販機売上6100億円」になります。
こうなると、自販機の売上は全体の「44%にも」なります。
なぜ富士電機が「自販機の売上を10倍にする」と豪語しているかというと、中国で自販機が飛ぶように売れるとみているからです。
もちろん、中国の自販機ブームに目を付けているのは、富士電機だけではありません。というより、中国の人たちがひとたび日本の自販機の快適さを味わってしまえば、一気に広まるでしょう。そうなると、同社だけでは対応しきれず、その他の国内自販機メーカーも潤うはずです。
いま自販機メーカーに飛び込むことは、あなたの「次の選択肢」の中でもかなり有力な候補になるはずです。
中国の自販機市場の未来予想図
中国での富士電機の2015年度の売上高は100億円 | 将来は→ | 2015年度の売上目標は1000億円以上 |
2003年の富士電機の中国工場の生産能力は2.5万台だったが、2016年3月には5万台に | 2016年7月には10万台に | |
現在の中国の自販機の数は20万台にすぎず、日本国内の500万台の25分の1。 | 現在の中国の飲料自販機のメインは「温かい飲み物」。今後「冷たい飲み物」にも人気が高まれば、台数は一気に増える。
「中国の自販機は今後20年は成長が見込める」という見方もある。 |

2.給与水準の高い自動車メーカーの期間工に転職して、更にその次のステップアップのための資金源を確保する
飲料自販機補充員の仕事をこなせるほどの体力の持ち主であれば、自動車メーカーの期間工への転身がおすすめです。
「日照りや寒さにさらされる外での作業が嫌だ」と感じている方なら、なおさらです。工場は完全なるインドア業務になります。
自動車メーカーの期間工の魅力は、給料の良さです。
例えばトヨタでは、1年目の期間工でも日給が9800~11,600円になります。月給では28万~30万円に達します。稼働日数21日、残業20時間、深夜勤務35時間の働き方で、この金額です。
自販機補充の仕事には深夜勤務はないと思いますが、それを加えたとしても「いまのあなたの仕事っぷり」と、そう変わらないのではないでしょうか。
給料が良いならそれだけ大変なはず――それでは次に、トヨタでの仕事内容を見てみましょう。自動車メーカーでの仕事は、生産ラインに張り付いて行います。車づくりは、大きく「エンジン・シャーシ系」「ボディー系」「部品系」の3つに分かれ、作業としては、プレス、組み立て、溶接、成形、塗装となります。
いまはロボット化が進み、過酷な仕事を人がすることはかなり減っています。作業員の補助器具も充実しているので、つらさも減少しています。
また、「おカネが貯まる仕組み」も自動車工場の魅力です。独身寮があり、無料の送迎バスで通勤できるのです。
いかがでしょうか。もちろん楽な仕事ではありませんが、飲料自販機補充の仕事よりつらい仕事でしょうか。
しかも、自動車メーカーなら社員登用のチャンスもあります。ちなみにトヨタでは2016年度に、377人の期間工が正社員になりました。
「夢」はこれにとどまりません。
なんとトヨタの副社長、河合満氏は「実質中卒」です。「実質」というのは、河合氏は中学を卒業した後に、トヨタの「企業内訓練校」に「進学」して工場に配属されたからです。
工場で生産ラインについていた一介の作業員が、トヨタのナンバー2になっているのです。
自動車メーカーにとって工場は「命」なので、工場を知り尽くした人は出世できるのです。
缶やペットボトルの補充の仕事も、自動車の生産ラインの仕事も、同じ肉体労働です。同じなら、おカネが稼げて夢のある道に進んでみてはいかがでしょうか。

3.圧倒的な人手不足と業界を挙げた待遇改善のタイミングにある、宅配ドライバーに転職
飲料自販機を求めて地域を飛び回ってきたあなたには、宅配ドライバーもおすすめできます。
「宅配企業はブラックなんじゃないの?」と感じるのはごもっともです。連日ニュースで報道され、「いまの」企業イメージは良くないかもしれませんね。
しかし、宅配業界は丁度いま変わり始めています。未払い残業はなくなり、辛い再配達制度には見直しが入り、従業員が働きやすい環境を整備しようと、業界を挙げての取り組みが始まった今は、新規人材として飛び込むにはとてもチャンスと高待遇が期待できる業界です。
そして、インターネットでの買い物が今後ますます増えるので、宅配業界が成長し続けることは間違いないでしょう。
宅配大手のY社は2017年4月、ある「懺悔(ざんげ)」をしました。ドライバーを中心に、従業員約4万7千人に「サービス残業があった」と認め、190億円を支払うと発表したのです。
もちろん、サービス残業をさせたY社の行為は許されませんし、190億円の支払いは、なんら賞賛される行為ではありません。
しかしこれが宅配業界を変えるきっかけになる可能性があります。同社は利益の追求を緩め、荷物の総量を減らすことも決めています。
また宅配大手3社は、首都圏の高層ビルにおいて、いずれか1社に荷物を集約して配達する連携をマンションにも拡充するなどして、これまで以上に協力関係を密にするとしました。
これはドライバーの負担が減るだけではなく、ビル周辺の駐車するトラックも減ることから、ビジネスの効率化と環境への配慮が同時に達成できます。
また、宅配便を使っている側も「急がない便」を選択することで、再配達を減らそうとする動きが出ています。
宅配便は、既に「これがなければ生活が成り立たない」社会インフラになっています。こうしたビジネスは安定性と将来性の両方が期待できるので、だからあなたに紹介するのです。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
飲料自販機補充員として勤務するあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「ベンダー業界以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないベンダー業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。
また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。