ディスカウントストア店員を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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北野筆太

北野筆太

ブラック企業の取材などを主なテーマにしているライター。実際の転職経験者にインタビューをすることで、労働者が煮え湯を飲まされるその業界ならではの特殊事情やゆがみを探り当て、「就業する前に(転職する前に)知ってほしい体験談記事」を日々執筆中。

ディスカウントストア店員を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法




記事の目次

「安物店で働いているから店員まで安く見られるの?」ディスカウントストアでの「働きがい」が見付からない私。

フリーターのカオリンこと安田かおりさん(仮名、22歳)は「やっぱり正社員に向いていないんですよね、私」と言いました。

カオリンは10カ月前に、ディスカウントストアでアルバイトとして働き始めました。入社から3カ月ほど経過して、「これは1年以上続けられるかも」と思ったそうです。カオリンのこれまでの勤務の最長記録は8カ月でした。

しかしその後に「ある出来事」のために退職を余儀なくされ、それですっかり自信を失ったのです。

遊び場が仕事場に、最も長く勤めたバイトになった

まずは、カオリンが自信を持って働いてたころの話を聞きました。

「最初の店長さんは、私みたいなバカにも『やればできるじゃん!』っておだててくれたんです。だから気合いを入れて仕事ができました。私が明るく振る舞うと、パートのおばちゃんたちも私のことを好きになってくれて、『カオリンがいると助かるわあ』って言ってくれたんです。ショクバのレンケー(職場の連携)ってこういうことなんだって分かりました」

同じ小売店でも、スーパーマーケットはカオリンには向いていませんでした。数件のスーパーで、レジ打ちのバイトをしたことがありますが、どれも2カ月もちませんでした。なぜなら、目の前に並んでいる商品に興味がなかったからです。

しかしディスカウントストアは、働く前からカオリンの遊び場でした。友人との待ち合わせ場所も「○○店の3階ね」とディスカウントストアを指定していたほどです。

カオリンは「ディスカウントストアは優しい」と言います。

カオリンはスーパーマーケットに行くと「買ったらすぐに帰れ」と言われているように感じるそうです。ショッピングモールには「家族連れしか来るな」と言われているように感じ、デパートには「お前は場違いだろ」と言われているように感じるのだそうです。

しかしディスカウントストアは、カオリンに「好きなだけ居ていいからね」と言ってくれるそうなのです。

これはディスカウントストア側の戦略でもあります。派手なポップや、ごっそり置く陳列方法、実生活にはなんの役に立たない面白グッズ、もちろん実用品もたくさん――ディスカウントストアは、小売業とエンターテイメント産業の融合を目指し、そしてカオリンたち若者の支持を得ているのです。

店長が変わって店の雰囲気が一変

水を得た魚のようにディスカウントストアの仕事に喜びを見出すことができたカオリンでしたが、自身の1社勤務日数の最長記録である8カ月を超えたとき、職場に異変が起きました。

店長が交代したのです。

それまでの店長は、若いバイトたちの「ノリ」を理解して、褒めて伸ばす指導をしていましたが、新店長は完全な売上至上主義者でした。

新店長は着任後最初の全体ミーティングで「1人当りの売上金額を2割増やしてもらう」と言ったそうです。

それを聞いたカオリンは直感的に「ディスカウントストアの良さがなくなる!」と思いました。

カオリンにとって「優秀なディスカウントストアの店員」とは、客を泳がせることができる技能を持っていました。店内を3時間うろついて216円のスナック菓子1個を買う客にも、笑顔で「ありがとうございます」と言えるかどうかが、ディスカウントストアの力の見せ所です。

しかし新店長は「客にどんどん商品を売れ」と号令をかけたのです。

ディスカウントストアで働いた経験があるあなたなら、「新店長の方が普通」と感じるのではないでしょうか。カオリンは結局、新店長に嫌気をさしてそのディスカウントストアを辞めてしまうのですが、あなたはそれを「考えが甘い」と一蹴してしまうでしょうか。

しかしそんなあなたも、ディスカウントストアに「楽しさ」を詰め込んでいる店員たちが、全然楽しく仕事をしていないことは、事実として認めざるを得ないのではないでしょうか。

カオリンの話にもう少し耳を傾けてみましょう。

ディスカウント店業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

ディスカウント業界は勝ち組のはずなのに…誰が勝者なのか。顧客満足は従業員の労苦量で吸収されて作られる…これは消耗戦。

辞めたい理由と悩み1:1人5役をこなせば、人件費も浮くわけだ。なのに時給には全く反映されないのはなぜか。

アメリカ生まれのディスカウントストアは、日本人の「とにかく安く買いたい」という意識にマッチしたことから、国内でもまたたく間に普及しました。

ディスカウントストアのコンセプトは激安販売です。

しかし「安さ」だけなら、スーパーマーケットもドラッグストアも家電量販店も取り組んでいます。また、衣類や玩具の分野でも、アウトレットという形で低価格を実現しています。

A級品とC級品は要らない、だけど「普通のB級品」でもダメ

それでも小売・流通業でディスカウントストアが存在感を示し続けていられるのは、商品ラインナップが独特だからです。

ディスカウントストアは、「最低ランクのB級品」をC級品より安く売ることで、消費者の心をつかんでいるのです。

「普通のB級品」ではなく、「最低ランクだが、かろうじてB級品と呼べる商品」であることが重要なのです。

多くの消費者は「A級品はたまに買えばいい、C級品には手を出したくない」と考えています。しかし自身の収入を考えると、どうしてもC級品に手が伸びてしまいます。

それでいつも買い物の満足感を得られず、フラストレーションをためているのです。

そこでディスカウントストアは、B級品の中から、メーカーや卸会社が「早く売っちゃいたいと考えている商品」、つまり「確かな品質なのに売れ残ってしまった商品」、つまり「最低ランクのB級品」を安く仕入れ、店に並べるのです。

現代の消費者は安物に対して敏感ですので、当然「ん? 普通のB級品とは違うな」と気付きます。しかし「でもB級品には違いない」ことも分かります。

そこで買い物客が値札を見ると、「B級品にしてはびっくりするくらい安い」のです。それで思わず買い物かごに大量に入れてしまう、という寸法です。

「安価な化粧品なら任せておいて!」のカオリンも車用品は苦手

もうひとつのディスカウントストアの特徴は、雑食性です。ディスカウントストアには、スーパーマーケットやドラッグストアや家電量販店や衣類店や玩具店が扱う商品が並びます。

つまりディスカウントストアの価値は、「商品クオリティと価格の絶妙なバランス」と「多彩な商品群」にあります。

なのでここで働く人たちは、商品を見極める目が求められます。

カオリンはほとんど本能的に、低価格帯の化粧品の商品知識を吸収していきました。客から質問されても、次々答えることができました。

商品の質が問題なければ、売上度外視であえて安い商品をすすめることもありました。それで客の中には、わざわざカオリンを呼び出して、カオリンがすすめする商品を買う人もいました。

化粧品コーナーのカオリンは、なんのストレスも感じずに仕事ができたのです。ところが新店長が「得意分野以外の商品も売っていこう」という方針を打ち出したため、カオリンは車用品のコーナーも担当させられたのです。

職場のリーダーから「明日からカー用品コーナーを手伝って」と言われたとき、カオリンは「へ? 車のことなんて知らんし」と言いました。

リーダーは「俺が言ってるんじゃなくて、チーフの命令だから」と露骨に嫌な顔をしてその場を立ち去りました。

「職場の雰囲気が一気に悪くなりました」とカオリンはそう振り返りました。「いい感じのパートのおばちゃんたちも次々辞めちゃうし。退職理由は、『知らない商品を売りたくない』でした。ディスカウントストアって、商品がありすぎるんですよ。ある日突然、店長が『焼イモを売るぞ』と言って、2日後には焼イモマシンが入ってるし。いいにおいすぎて、仕事に集中できなかったっす――っていうのは冗談で、じゃあ誰がその焼イモマシンを見るのかって話ですよ。みんなで仕事の押し付け合いが始まりました。醜い争いでしたね。カオリも当然無視してましたけど」

覚えることは膨大で店員の頭は常にいっぱいいっぱい

カオリンは勤務9カ月目にして、ディスカウントストア勤めの厳しさに直面したわけです。

「どんな商品もある」ことは、買い物客には喜ばれますが、商品知識を身に付けなければならない店員には苦痛の種でしかありません。しかしこれこそがディスカウントストアの強みなのです。2つのまったく性質が異なる商品を陳列し、しっかりした接客を行うためには、2人のスタッフが必要ですが、それを1人でこなせれば、人件費は半額になります。

ディスカウントストアの店員は1人で4分野、5分野の商品を任されるので、人件費をさらに減らすことができます。

5分野の商品を扱うということは、5冊の販売マニュアルを暗記しなければならないということです。

ディスカウントストアの低価格は、店員であるあなたが「その時給」で頑張っているから実現しているのです。

そうです。ディスカウントストアの店員の給料が、他の小売店よりずば抜けて高いというデータはありません。安月給で働かされているのは、全国どのディスカウントストア店員も同じですし、もちろんカオリンもそうでした。

ドンキが他を圧倒~2015年ディスカウントストア売上高ランキング
1位 ドンキホーテホールディングス 6839億円
2位 トライアルカンパニー 3302億円
3位 オーケー 2822億円
4位 ダイレックス 1440億円
5位 大黒天物産 1331億円

参考資料

http://motokadenchan.seesaa.net/article/439257502.html

辞めたい理由と悩み2:バイトはつらいが、正社員も苦しい立場にある。誰に助けを求めたらいいのか。

ディスカウントストアの店員の仕事は大変です。あなたの頑張りも、その安賃金では、そろそろ限界に近付いているのではないでしょうか。

ディスカウントストアは慢性的な人手不足状態で、担当させられる売り場面積も売上高も日に日に拡大してきます。それで退職者が相次ぎ、人手不足が加速します。

ディスカウントストア業界は、驚くほど統制が取れたシステムで動いています。

大手企業は本部制を敷き、大規模店の店長ですら歯車の1つにすぎません。ましてやアルバイトたちは、カオリンの言葉を借りれば「完全な捨てゴマ」です。

店長は本部から、人件費を売り上げ目標の一定割合に抑えるよう指示されています。店長は季節や曜日や時間帯によって変化する「客の波」を綿密に予測し、パートやアルバイトの勤務シフトを厳格に管理しています。

その読みが的中すれば、カオリンたちアルバイトも比較的楽に働けますが、客たちは気まぐれです。「押し寄せる!」と思ってバイトを多く配置した時間に客が来ずに、「暇だろう」と予測した日に混雑したりします。

スタッフが少ないときに客の大群が押し寄せると、バイトたちは地獄を見ます。時間の経過を忘れて店内を走り回らなければなりません。店員たちのイライラはすぐに客に伝染します。怒りをあらわにする客の対応に店員が1人取られると、売り場のスタッフはますます手薄になるのです。

カオリンは「私たちも大変だったけど、リーダーやチーフや店長も大変だなあって、ずっと思っていました」と言います。

人件費の上限が決まっている以上、バイトたちに残業させて割増賃金を支払うことはできません。そこで店長たち正社員が、サービス残業を強いられるのです。

ある大学の研究によると、衣料品が強いあるディスカウントショップの正社員の離職率は、2007年入社者の38%から、2010年には47%にまで9ポイントも上昇しました。半数以上がすぐに辞めてしまう状況なのです。

「社員さんたちはいつも『うちの会社はケチだ』って愚痴っていましたよ。カオリが『ホント、バイトの時給も安いしね』って言うと、『俺たちの給料を時給になおしたら、カオリンより安いぞ』って言われました」

給料と勤務時間については、カオリンは正社員たちに同情するのでした。

2015年ディスカウントストア平均年収ランキング
1位 ドンキホーテホールディングス 646万円 平均年齢37.2歳
2位 マキヤ 525万円 平均年齢42.2歳
3位 PLANT 501万円 平均年齢41.0歳
4位 Olympicグループ 484万円 平均年齢47.8歳
5位 MrMax 460万円 平均年齢38.3歳

参考資料

http://motokadenchan.seesaa.net/article/439257502.html

http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/682-04.pdf

辞めたい理由と悩み3:異常なまでの体力勝負で疲弊する毎日

カオリンが「もう絶対に辞める」と決めたのは、バイトにも万引き犯の確保をさせることになったからです。

通常の小売店は、警備会社と契約し、いわゆる「万引きGメン」を店内に潜伏させます。カオリンが勤めていた店舗でも、外注の万引きGメンがいましたが、新店長は「スタッフの限界に挑戦する!」と号令をかけ、その業務を自前でやることにしたのです。

売り場に注意を払っていれば万引き犯の不審な行動も目に付くはず、というのが新店長の理屈でした。

警察庁などの調査によると、小売業1社あたり、毎月約250件の万引き事件が発生し、毎月約120人の犯人を捕まえています。

万引き犯確保は、85%が万引きGメンたち警備員で、従業員による確保は1割程度しかありません。

つまり、万引き犯確保は、プロが手掛けても半分くらいしか成功しない難しい仕事なのです。新店長の決断が無謀だったことは明白です。

カオリンが目撃した万引き犯は、明らかに70歳は超えている男性でした。

「ズボンの左右のポケットに甘酒の缶を入れた瞬間を見たんです。精算せずに店の外に出たので声をかけたんですが、カオリに突然飛びかかってきて、カオリがよろけた隙に走って逃げていきました。もう恐くて恐くて、膝がガクガク震えて追いかけることなんてできませんでした」

カオリンが店長に事件の報告をすると、ケガの心配するどころか「なぜ犯人を取り逃がしたんだ!」と叱られました。

カオリンは「ああ、この店長は、私が殺されてもなんとも思わない人だ」と思い、退職を決意したのです。

ディスカウントストアには、実に様々な客がやってきます。万引き犯の「職業」で圧倒的に多いのは「無職」で、その割合は34.4%に及びます。収入がなく社会的地位が不安定な人が万引きに走るのですが、そのような生活困窮者たちは、安い商品が並ぶディスカウントストアの常連客でもあります。

あなたも「客が恐い」と感じたことはありませんか。

ディスカウントストアの店員であるあなたが「やっかいだな」と感じる客層は、一般社会では相当やっかいな存在です。

命の危険を感じたというカオリンの言葉を、あなたは聞き流せないはずです。

ディスカウントストア王者ドンキも小売全体では13位
順位 社名 売上高
1位 イオン 5兆2061億円
2位 セブン&アイ・ホールディングス 4兆7863億円
3位 ヤマダ電機 1兆8355億円
4位 三越伊勢丹ホールディングス 1兆2400億円
5位 ユニー 1兆792億円
6位 J.フロントリテイリング 9414億円
7位 ファーストリテイリング 9287億円
8位 ダイエー 8695億円
9位 高島屋 8581億円
10位 エディオン 7590億円
11位 ケーズホールディングス 7260億円
12位 ヨドバシカメラ 6715億円
13位 ドン・キホーテ 5402億円

参考資料

http://www.donki-hd.co.jp/ir/library/img/annual/pdf/ar_2012_12.pdf」

では、ディスカウントストアに勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「ディスカウントストア店員の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.まずは正社員の中でトップを目指す

もしあなたがディスカウントストアのアルバイト店員だったら、この業界を去ってしまう前に、正社員の中でトップになることに挑戦してみてはいかがでしょうか。

「作業」を「本物の仕事」に向上させる

「バイトでもこんなに苦労させられているのに、正社員なんて冗談じゃない」と言わずに、ちょっと聞いてください。

世の中には星の数ほど仕事がありますが、そのほとんどは「作業」にすぎません。作業とは、人に言われた通りに行う労働のことです。

一方で「本当の仕事」と呼ばれる労働には、創意工夫や融通、機転といった要素が加わります。作業が本当の仕事になることを、「労働の質が高まる」といいます。

ディスカウントストアの魅力は、その豊富な品ぞろえです。しかし1人のアルバイトに任されるのはそのうちの一部です。

ところが正社員たちは、「派手な化粧品を買う人はパーティーグッズを探すかも」とか「冷凍食品を買う男性は、ゲームソフトを買うかもしれない」と想像し、商品のレイアウトやPR方法を工夫します。

ディスカウントストア名物であるポップづくりも、工夫のしがいがある仕事です。

ポップの文字数を減らして読みやすくしただけで売上が上がったり、自分が描いたポップを見た客が笑ってくれたりしたら、小売の仕事の楽しさに目覚めることでしょう。

日本では、「一人前の社会人になる」ことと「正社員として勤める」ことが、同等にみなされます。

世の中は偏見に満ちているので、正社員ではない立派な社会人がいても、「あの人は正社員になれない人なんだ」と見られてしまうのです。

日頃「フリーターを卒業したい」と考えているあなたなら、なおさら正社員に挑戦してみてはいかがでしょうか。

2.更にもう一つ上、店長昇格を目指す

小売業界は実力社会です。売れば売っただけ出世できます。

世界最大の小売業企業であるアメリカのウォルマートのCEOダグ・マクミロンは、ウォルマートのアルバイト店員から頂点に上り詰めました。

セブン&アイ・ホールディングスの前CEOにして、コンビニ界のカリスマ鈴木敏文氏は、元はイトーヨーカ堂の社員でした。当時は総合スーパー全盛時代で、コンビニは「得体の知れない店」にすぎませんでした。それがいまや、セブン&アイ・ホールディングス内を見渡しても、稼ぎ頭は年間4兆3千億円を売上げるコンビニのセブンイレブンであり、総合スーパーのイトーヨーカ堂は1兆2500億円にすぎません(2015年度)。

学歴や性別、年齢は、一切関係ありません。

勝ち負けを決めるのは売上高だけ、という極めてフェアな世界に、あなたはいるのです。負けてもいないのに、勝負に打って出ないのはもったいなくないですか。

その第一歩として、店長を目指してみてください。

参考資料

鈴木敏文氏が語る、GMSの衰退に歯止めがかからない理由
イトーヨーカ堂に入社後、セブン-イレブンを立ち上げ、日本一の流通グループを育て上げた「流通最後のカリスマ」が経営の一線を退いて4カ月。データを細かく分析し、仮説を立てて検証していくことで、変化著しい日本人の購買動向に対応し続け、常に抜きん出た結果を出してきた鈴木敏文氏に、自身の経営論を語ってもらった。

https://www.7andi.com/dbps_data/_template_/_user_/_SITE_/localhost/_res/ir/library/co/pdf/2016_all.pdf

3.ディスカウントストア店員を辞めて他業界に転職する

売上がすべてを決める世界ほど、厳しい環境はありません。競争社会は人の心をむしばみ、うつ病を引き起こします。

ディスカウントストア業界では、実績を伴わない努力はほとんど無視されてしまいます。結果こそすべてで、経過は見向きもされません。

ですので、がむしゃらな働き方ができる人や、勝ち負けがはっきりした仕事が好きな人以外は、あまり長居しない方がいい業界ともいえます。

そこで、ディスカウントストアの仕事に疲れ果てたあなたには、他業界への転職をすすめします。これだけ厳しい世界を生き抜いてきたあなたなら、どの業界でも勤まるでしょう。

しかもあなたがディスカウントストア業界で身に付けたのは根性や精神力だけではないはずです。接客技術や商品知識、客のニーズや消費行動といった知識も頭の中に入っています。

「あなたの知識と経験を、我が社で活かしてほしい」と願う社長や人事担当者がたくさんいます。ぜひ転職の扉を開いてみてください。

他業種への転職…不安はよくわかります。

しかし、まくディスカウントストア勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、ディスカウントストア店員以外への道を選択した人々なのですこの件について、以下でより詳しく説明いたします。

ディスカウントストア店員の辞め方とタイミング

1:店長は必死にあなたを引き止めるはず。わずかばかりの時給アップで気持ちがブレてはだめ。

ディスカウントストアはとにかく人手不足に悩んでいます。「それなら従業員の給料を上げて働く環境を整えればいいのに」と誰もが感じると思いますが、人件費を上げることは、格安販売のディスカウントストアとしては「自己否定」も同然なので不可能なのです。

カオリンのディスカウントストア勤務が9カ月目に突入したとき、店長が交代し、それまで快適だった職場が一変しました。カオリンは働きにくさを感じならがもさらに4カ月間働きましたが、「1年という節目」を迎えたときに、緊張の糸がぷっつり切れました。

カオリンが現場のリーダーに「私、今月で辞めたいんですけど」と言うと、リーダーは「退職は店長に直接言うんだよ」と教えてくれました。

それでカオリンは、狭くて暗い店長室に初めて足を踏み入れました。

カオリンから退職すると聞かされた店長は、「いやいやいや、困る困る困る」と本当に困った表情で言いました。

カオリンが後に先輩たちから聞いたところによると、この店長が就任して以来、バイトやパートの退職が相次ぎ、本部から店長に対し「これ以上スタッフが辞めたら減給か降格」という内容の厳重注意が下っていたのでした。

カオリンが「困るのはこっちです。辞めさせてください」と言うと、店長は「分かった分かった、じゃあ時給を30円上げるから残ってよ」と言いました。

カオリンは「この人、面白い」と感じました。それで「毎月『辞める』って言ったら、時給はいくらまで上がるんだろうか」というイタズラ心が芽生えてきて、とりあえず時給30円アップで来月も働くことにしました。

カオリンがそのイタズラを結構すると、それから4カ月後に店長の方が「分かった、もういい。もう限界だ。辞めてくれ」とギブアップしました。

最後の時給は990円でした。

カオリンのこのイタズラは、少々度が過ぎたと言わざるをえないでしょう。

あなたはこんなことをしないでください。あなたがもし転職を決意したら、「時給アップという甘いささやき」に耳を貸さないでください。

あなたの働きなら、上司や店長は必死にあなたを引き留めようとするでしょう。しかし、彼らは「仕方なく」あなたの時給を上げるのです。

つまり、あなたの後継者が採用できれば、その人はあなたより安い時給で雇えるわけですから、あなたはすぐにお払い箱になってしまうのです。

以前は確かに存在していた好条件の転職先が、お払い箱になったときにも残っている保証はありません。

転職はタイミングが命です。「少々の時給アップ」や「おだて」にのっかってチャンスを逸すことがないようにしてください。

2:労働法規と無関係な「独自の社内退職ルール」に従う必要なし。「おかしい」と感じたらすぐ相談を。

「退職します」と宣言するたびに時給を30円ずつ上げてもらったカオリンでしたが、手痛いしっぺ返しを食らってしまいました。

退職日が決まり、他のアルバイトに引き継ぎ業務をしていたとき、本部の社員からカオリンの携帯に電話が入りました。社員は「備品使用代を現金で支払うか、最終給料から天引きするか、どちらがいいですか」と尋ねました。

カオリンが「はあ? 備品なんて使っていませんけど」と返すと、本部社員は「店長から、損害報告が来ていますよ」と言いました。

カオリンが請求された「備品使用代」の「備品」とは、全バイトスタッフに支給されたポロシャツとエプロンのことでした。請求金額は2500円です。

カオリンは店長に「ポロシャツもエプロンも、退職時に返します。だから備品使用代なんて支払いませんから」と詰め寄りました。

すると店長は「そんなボロボロのものを受け取れるか」と逆切れし、そして1枚の紙を取り出しました。その紙の一番上には「同意書」と書かれてありました。

その同意書の一番下には、カオリンのサインが記されていました。同意書の内容は次の通りです。

「ポロシャツとエプロンは備品として支給する」

「退職時に返却すること」

「重大な過失により再使用が不可能になったら弁償すること」

「ポロシャツ1000円(税込)」

「エプロン1500円(税込)」

カオリンは「仕事をたくさんやったからこれだけ汚れたんです」と食い下がりました。

しかし、カオリンに「からかわれた」と思っている店長は「ほかの店員は短期間でそこまで汚さない。君の仕事の仕方が悪かったから汚れたんだ。同意書にサインしているんだから、逃げられないからな。カネを支払わなかったら訴えてやる!」と負けていません。

退職時に備品を弁償しなければならないかどうかは、備品を使っていた人、すなわち退職しようとしている人の過失の大きさによります。

つまり、労働者の過失が大きい場合に備品の賠償金を求めることは違法ではありません。

ではカオリンに大きな過失があったかどうかですが、その判断はとても難しいと言わざるを得ません。

店長は「普通の使い方をしていればそこまで汚れない、だからカオリンの過失は大きい」と主張しますし、カオリンは「汚れが多いのは仕事を一生懸命した証拠だから、過失なんてない」と訴えます。

この判定は、法律の専門家でも意見が分かれるところでしょう。

カオリンは結局、「備品使用代」の支払いを承諾しませんでした。しかし最後の給料から、きっちり2500円が差し引かれているのを確認しても、会社に抗議することはしませんでした。

この一件からあなたが学べることは、「辞めるときは穏便に」ということではないでしょうか。不要ないさかいを起こさせないのは、サラリーパーソンとしてのマナーです。結局、不利益は自分にふりかかってくるのです。

また、カオリンは泣き寝入りを選択しましたが、それは金額が小さかったので許容できたからです。もし数万円、数十万円という規模で備品使用代が請求されたら、違法になる可能性が高いでしょう。その場合、労働基準監督署や労働局、場合によっては労働組合や弁護士に相談してください。

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ディスカウントストアの勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.24時間オープンではないスーパーマーケット店員に転職

ディスカウントストアでの勤務経験があるあなたにスーパーマーケットへの転身をおすすめするのは、この業界こそ、あなたのスキルを求めているからです。

また、24時間オープンの営業体制を取っていないスーパーマーケットならば、勤務時の生活リズムも安定しますし、深夜まで働くことで体調不良に陥る弊害もありません。

これまで日本人の「台所」といえば、スーパーマーケットでした。コンビニもディスカウントストアも、「2次的なもの」「趣味的なもの」という位置づけでした。

しかしいまのスーパーは、その他の業態の小売にどんどん客を奪われています。

そこで現代のスーパーは、店舗にエンターテイメント性やイベント性を取り込もうと躍起になっています。

例えば、商品倉庫をそのままスーパーにしてしまったコストコは、商品ラインナップでも客を感動させ続けています。そしてなんと、地方のスーパーマーケットが、コストコの取り扱い商品を並べるにまでなったのです。

つまり、スーパーにスーパーの商品を並べるという珍事が起きているのですが、これ自体がイベントになっているのです。

店を楽しく活気づけるのは、あなたにとって「お手の物」ではないでしょうか。

スーパーの求人票例
どんな店? 業種 年収 その他
スーパー最大手の新業態店 エリアマネージャー、店舗運営、38歳以下 入社4年目460万円、10年目720万円 高卒以上、人と接する仕事が好きな方
スーパーの総菜販売 店舗運営、スタッフ管理 30歳570万円、35歳650万円 学歴不問、マネジメントを身に付けたいから歓迎
スーパーでの生鮮食品、加工食品販売 店長候補 26歳店長368万円、29歳スーパーバイザー482万円 接客経験なし歓迎、弊社にはサクセスストリーがあります!
東京、神奈川、千葉に38店を展開 売り場づくり、接客、仕入れ、値付け 店長クラスで600万~800万円 接客業の経験者優遇

参考資料

百貨店/量販店/スーパー/コンビニ業界の販売・サービス職<DODAセールス> - 転職・求人情報 - doda
百貨店/量販店/スーパー/コンビニ業界の販売・サービス職<DODAセールス>。転職・求人情報の検索ならdoda(デューダ)。

コストコセール | 東武サウスヒルズ中標津店(北海道・中標津町)
コストコ商品が他店でも販売されてる!? - ナニガアッテモ ケロッ!ケロッ! season2
コストコ歴4年目といいつつ、 地元にコストコが出来たから初めて知った(≧≦) な〜んと地元のスーパーで、コストコの商品が販売されているのです。 そのスーパーの折り込みチラシにも掲載されてました。 他の地域でも、こういうことあるのかな〜? ...

2.什器を専門に取り扱う業界に転職

あなたがもし、ディスカウントストアでの仕事で「商品陳列」に悩んだ経験があるなら、什器業界への転身はいかがでしょうか。

「什器(じゅうき)」は、金属や木、プラスチックや段ボールでできた、商品陳列用の器具です。あなたが「商品をどうやって飾ったらいいか」と悩んでしまったのは、適切な什器がその店舗になかったからではないでしょうか。

ならばその経験は什器会社の営業に役立ちます。提案型の営業を展開することで、店側は「困った」が解決するわけですから、必ずあなたに注文するはずです。

小売店があるところに什器のニーズがあります。つまり、什器会社はディスカウントストアやコンビニやスーパーやホームセンターや百貨店などが存在する限り必要とされ続けるのです。

また、オフィスも什器を必要とします。オフィスを必要としない会社は存在しませんから、日本に会社がある限り、什器は売れ続けます。

なので、隠れた優良企業が多く存在します。

3.専門商品に関わる小売業に転職

ディスカウントストアの店員の仕事が複雑なのは、商品の種類や数が多いからだけでなく、仕事の種類も多岐にわたるからです。仕入れ、在庫管理、品出し、陳列、接客、販売、ときにレジ打ち…と、ほとんど何でも屋です。

あなたが「ディスカウントストはもういいや」と感じるのは、「自分は何の仕事をしているんだ?」という迷いがあるからではないでしょうか。

もしそうなら、販売に特化した店頭販売員への転身をおすすめします。

この仕事の利点は、給料の良さです。自分の声掛けひとつで売上がアップして、その実績に見合った給料が期待できます。

世の中は「販売してほしいもの」であふれています。中でも携帯電話やスマホは、いま最も強く「販売してほしい」と考えられている商品です。

しかも携帯やスマホは、機器の品質やサービス内容が、各社ほぼ横並びです。料金体系ですら値下げ競争の挙句、各社似たり寄ったりになっています。

つまり、店頭販売員の「しゃべり」が客を動かすのです。携帯・スマホ業界と似た性質を持つのが、意外に思われるかもしれませんが中古車市場です。

中古車価格は査定担当者が決めているように思われていますが、実は業界がつくっている分厚い価格表でおおよその値段が決まってしまうのです。

チラシなどで「特選車」が出ることはありますが、それは「見せクルマ」でしかなく、1台か多くても数台です。

それ以外の中古車は、価格表に記載された金額の「上下○万円の幅」の中で値動きしているだけです。

なので中古車販売でも、あなたの「しゃべり」が生かせます。

優秀な販売員は、中古車を「便利な鉄の箱」としては売り込みません。客に「人生を豊かにする魔法の道具」をイメージさせることができたとき、客は契約書に実印を押すのです。

専門商品の店頭販売員は、創造的で想像的な仕事です。あなたに向いてる可能性がとても大きいといえるでしょう。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

ディスカウントストア勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「ディスカウントストア業界以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないディスカウントストア業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。

また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。

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