理容師を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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北野筆太

北野筆太

ブラック企業の取材などを主なテーマにしているライター。実際の転職経験者にインタビューをすることで、労働者が煮え湯を飲まされるその業界ならではの特殊事情やゆがみを探り当て、「就業する前に(転職する前に)知ってほしい体験談記事」を日々執筆中。

理容師を辞める、辞めたい人へ




記事の目次

お客さんを男前にするのが俺の仕事。やりがいはある。でも月320時間も働かされると、流石に気がおかしくなる…。

「こんなことなら、東京で就職していればよかったと思っています」

鈴木亮真さん(仮名、23歳)は、地元の高校を卒業後、両親に「3年で戻ってくる」と約束して東京の理容専門学校に進学しました。そして約束通り理容師資格を取得してから自宅に戻り、自転車で30分の距離にある理容室に就職しました。

「田舎の床屋だから、やることは毎日同じ。オーナーさんは、モードとかソーイクフーには全然興味がなくて、ゴルフと麻雀ばっかり。店は、にいさんと俺に任せっきりでした」

鈴木さんが勤めていた理容店の理容師は、オーナーと先輩と鈴木さんの3人です。オーナーがそういった状態なので、先輩が実質店長です。

鈴木さんはオーナーのことは信用していませんが、先輩とは気が合ったので、若いお笑い芸人が先輩芸人をそう呼ぶように「にいさん」と呼ぶようになりました。

「にいさんの家に遊びに行って、テレビを見てたんです。そうしたら『刑務所24時』が流れていて、受刑者の生活を紹介してたんですよね。そしたらにいさんがポツリと『刑務所の方が、休憩時間があるだけましかもな』って言ったんです。俺も、にいさんの奥さんも大爆笑しました」

その理容店にはタイムカードがなく、オーナーは、先輩と鈴木さんの労働時間をまったく記録していません。それで鈴木さんが自分の勤務時間を計ったところ、ある月は320時間も働いていました。その月の出勤日数は26日でしたので、1日12.3時間も働いていたことになります。

「それで俺の給料の支給額は――手取りじゃなくてですよ、14万円だから、時給に換算すると450円にもならないんです」

それでも鈴木さんは「しばらくは辞めないと思いますよ」と言い、次のように続けました。

「髪を切る仕事は好きだし、俺のカットでデートに行ったお客さんから『告白したら付き合えることになった』と言われたりしたら嬉しいしね。

にいさんのことは本当の尊敬しているし、オーナーさんも、まあちゃらんぽらんだけど、憎めないですしね」

ところがその2カ月後、鈴木さんから電話がありました。

「やっぱり辞めちゃいました。こないだ『辞めない』って断言しちゃったから、ちゃんとお知らせしなきゃって思って。でもあのときは本当に『この店は辞めない』って思っていたんですよ。嘘ついたわけじゃないですから」

この2カ月間に何があったのか知りたくて、再び面会を求めると、鈴木さんは快諾してくれました。

鈴木さんがその理容室にいた期間は2年です。その間、何度も「辞めたい」「辞める」「でも続ける」を繰り返し、最後に「辞める」という結論を出したのです。

理容師のあなたは、2年で退職してしまった鈴木さんのことを「根性なし」と思いますか。それとも「専門学校を卒業して最初の勤め先としては長い方」と励ましてあげますか。

鈴木さんのことを責めるにせよ、擁護するにせよ、「いくら自ら望んだ道とはいえ、理容業界の働く環境は過酷すぎる」という意見では一致するのではないでしょうか。

多くの理容師は、いつもくたくたに疲れ切っています。

理容室業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

資格を取ってすぐに一人前になる仕事じゃない。本当のスキルを身に付けるには、徒弟制度でしごかれるのを耐え抜くしか方法はない。

辞めたい理由と悩み1:フルタイムで仕事をこなした後は23時まで技術練習。不本意にも指導者を「恨めしく」思ってしまう日々。

鈴木亮真さんは理容専門学校を卒業してわずか半年で、カット、シャンプー、カラー、パーマ、育毛ケアのすべてをひと通りやらせてもらえるようになりました。

専門学校時代の友人にその状況をLINEで知らせると、「カットまじ? こちらはまだ機材そろえと掃除の毎日。客の髪を触ったことがない」と返ってきました。

その友人は東京の大型理容室に就職し、同期は18人もいるそうです。アシスタントのアシスタントのアシスタントをやらされている状態だったので、鈴木さんの活躍ぶりに驚いたのです。

しかし鈴木さんにも不安がありました。それは「やらされすぎている」からです。専門学校の講師は「田舎の理容室の跡継ぎ以外は、カットをさせてもらうまでに1年はかかる」と言っていました。

鈴木さんはもちろん、自分のカットの出来に満足できるはずもありません。シェービングも、時間をかけすぎて客から文句が出るか、早くやりすぎて剃り残しが目立つかのどちらかです。つまり鈴木さん自身に「いい加減な仕事をしている」という自覚があったのです。

それでも客から3,000円をもらわなければならず、鈴木さんは申し訳ない気持ちになるのでした。

客が帰ると、先輩から「いまのはひどいぞ。今日も居残れ」と言われます。この理容室に就職した日から、居残り指導は毎日ありました。なので鈴木さんは心の中で「はいはい、明日も明後日も居残りでしょ」と思っていました。

その店の閉店時間は19時でしたが、予約電話を取るオーナーは19時ちょうどの入店も受け付けてしまうので、先輩と鈴木さんの業務終了は必ず20時を超えました。

「居残り」はそこから始まります。先輩が鈴木さんに技術指導を行うのです。

大型店での新人指導はシャンプーから始めますが、先輩はオーナーから「鈴木にはまずカットから教えろ」と言われていました。オーナーは、鈴木さんが「とりあえず」レベルでもいいのでカットができるようになれば、店を留守にできると考えていたのです。

終るのはいつも23時ごろです。

それを不満に思っているのは先輩です。

「俺たちの時代は、そうやすやすとお客さんの髪なんて触らせてもらえなかった」とブツブツ言いながら、鈴木さんに教えるのでした。

鈴木さんは、「うるせえ人だな」と思いましたが、いまはこの先輩しか頼れる人がいないので、素直に従っていました。

鈴木さんが先輩から徹底的に仕込まれたのは「先を読んで行動しろ」ということでした。

オーナーが真面目に出勤する日は、オーナーと先輩がカットやシェービングをします。このとき鈴木さんはアシスタントに回り、シャンプーや接客、会計、器具準備、消毒、清掃などを任されました。

3人体制のときは、先輩は必ず客が途切れたタイミングで鈴木さんを叱りました。

「遅いよ。全然仕事しやすくない。さっき、オーナーがクロスを畳んでたろ。そのときお前、何もしてなかったよな。どうして『自分がやります』って言わないんだよ」といった具合です。

鈴木さんは、先輩の説教について、こう振り返りました。

「先を読めって何度言われても、『いやいや、先読んで仕事しているし』って、ずっと心の中で反抗していたんです。それでもにいさんから、先を読め先を読めって言われ続けました。

そしたらある日、オーナーさんから『ありがとうな』って言われたんです。そもそもオーナーさんとそんなに喋ったことがないから、驚きました。『俺、何かしましたか?』って聞いたら、俺がオーナーのお客さんに、『パークゴルフ、頑張ってくださいね』って声をかけたのが、えらかったって言うんです。そのお客さん、うちで髪を切った後、必ずパークゴルフに行くんです。

そのとき、『ああ、接客ってこういうことなんだな』って思いました。先輩から『先を読め』って言われていなかったら、その一言は出ていなかったと思います」

あなたも、「大嫌い、死んでしまえ」と思っていた先輩が、ある日を境に尊敬の対象になった、という経験をしたことがあるのではないでしょうか。

理容業界では、厳しく仕込まれることが当たり前で、あなたの先輩たちは、かつて自分がされた方法であなたを指導します。しかし、後輩の苦労が一定量に達すると、先輩はその後輩のことを仲間とみなします。

その日から「鬼軍曹のしごき」は「愛のムチ」に変わるのです。後輩の方も「愛のムチ」に変わった瞬間をしっかり感知できるので、そのとき師弟の関係になるのです。

鈴木さんが先輩と理想的な師弟関係になるまでの時間は短い方でした。小さな理容室で働くことのメリットといえます。

しかし、大型店に勤務して3年が経過しているのに、いまだに先輩たちから罵詈雑言を浴びせられるあなたは、「先輩と理解し合える日なんて絶対に来ない」と思っているかもしれません。

しかし「その日」は必ず来ます。

理容店も理容師数も減少の一途をたどる

国内の理容師数は減少傾向にある。2009年は1998年と比べると3%も減った。ただ、理容店の減少率は、同期間で6%にも達する。背景には人口減に加え、後継者がいない小規模理容店の廃業が増えていることなどがある。

理容師数 理容店
実数(人) 指数 実数(店) 指数
1998年 251,859 100 142,786 100
1999年 250,987 100 141,321 99
2000年 250,716 100 140,911 99
2001年 250,764 100 140,599 99
2002年 252,124 100 140,374 98
2003年 251,981 100 140,130 98
2004年 250,767 100 139,548 98
2005年 250,407 99 138,855 97
2006年 248,494 99 137,292 96
2007年 246,861 98 136,768 96
2008年 244,667 97 135,615 95
2009年 243,644 97 134,552 94

参考資料「理容業の実態と経営改善の方策」(厚生労働省、2012年3月)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei22/dl/h22/riyou_housaku.pdf

辞めたい理由と悩み2:感性の世代間格差なのか…最新モード提案しても「押し付けるな」と拒否られる。

鈴木亮真さんは、「専門学校時代の同級生たちと比べると、オーナーや先輩には恵まれた」と感じていました。それでもその理容室を2年で退職したのは、「このまま田舎に埋もれていていいのか」という不安があったからでした。

鈴木さんは、美容師と理容師の違いについて、次のようにとらえています。

  • 美容師:高度なファッションセンスが要求される
  • 理容師:高度なファッションセンスが必要なときと邪魔になるときがある

鈴木さんが勤めていた理容室は、地方の住宅街の中にあり、客層は「その地域の男性全員」と「まれに女性」というノー・ジャンル状態でした。

専門学校時代に東京で3年間過ごした鈴木さんは、「都会のセンスをお客さんに教えてあげたい」と思っていました。客が少ないときは、客と雑談する時間が取れるので、鈴木さんは果敢に流行のカットをすすめました。

ところが客の反応はかんばしくありません。「いつものでいいよ」と言われるのがほとんどで、中にはオーナーや先輩が他の客をカットしていたら、「また来る」と言って帰って行ってしまう有り様です。

「にいさんは『うちの客にファッションだ流行だって言ってもしょうがないよ』と笑っていましたが、俺は『それでいいのか』って思っていました。

田舎の理容師がファッションリーダーになれば、オシャレが広がると思うんです。実際、分かってくれるお客さんもいて、そういう人は俺を指名してくれました」

そのように言う鈴木さんに、「鈴木さんのファッション感覚を信頼して、指名してくれたお客さんは何人いましたか」と、少し意地悪な質問をしました。

鈴木さんに「…1人位ですかね」と答えました。

理容専門学校では、雑誌に登場するようなカリスマ理容師が特別講義をすることがあるので、実務経験が3年以内の若い理容師だと、そこで受けた感化が抜け切れていません。

また3年ぐらい経験を積むと、こだわりも生まれてきますので、先輩や店長から「お客様に押し付けるな」と言われても、どうしても客に「こうした方がいいですよ」と提案してしまいます。

また、「客の言いなりにカットするだけなら、ロボットじゃないか」という反発もあるでしょう。

しかしいまや、医者ですら、「これが最適な治療法だ」と確信していても、患者に十分説明しても承諾が得られなければ、その治療法は採用しません。ましてや一般のビジネスシーンではクレーマーが暴れ放題です。

こうした、過剰なお客様主義は、理容業界でも幅を利かせています。なので理容師には、あえて髪切りロボットに徹することも求められるのです。

ヘアカットにかけるおカネは年々減っている

人々がカットにかける支出は減っている。不景気になり賃金が減ると、理容室に行く回数を減らしたり、少しでも安い店を選んだりして、家計を守る。しかし一度、その回数や格安店で満足してしまうと、景気が上向いたり収入アップしたりしても、元の回数や元の店に戻ろうとはしない。理容室側からすると「いつまで経っても客足が戻らない」となる。

1世帯当たり年間理髪料支出額

年間金額(円) 利用回数(回) 1回当たり(円)
1995年 9,370 3.2 2,960
1996年 9,091 3.0 3,017
1997年 9,114 3.0 3,087
1998年 8,428 2.7 3,116
1999年 8,400 2.7 3,135
2000年 8,023 2.6 3,131
2001年 7,584 2.5 3,055
2002年 7,395 2.4 3,015
2003年 7,145 2.4 2,996
2004年 6,589 2.2 2,938
2005年 6,450 2.2 2,927
2006年 6,148 2.1 2,907
2007年 6,070 2.1 2,855
2008年 5,806 2.1 2,785
2009年 5,855 2.1 2,778
2010年 5,546 2.0 2,737

参考資料「理容業の実態と経営改善の方策」(厚生労働省、2012年3月)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei22/dl/h22/riyou_housaku.pdf

辞めたい理由と悩み3:激安カット店に屈した日、尊敬していた先輩に裏切られた気持ちになった。「辞めよう」

そしてとうとう、鈴木さんが「もう限界」と感じる決定打が出ました。

鈴木さんが勤務していた理容店の近くに、格安理容チェーンが進出することが分かったのです。これには普段ひょうひょうとしているオーナーも危機感を募らせ、閉店後に先輩と鈴木さんを残し「どうしよう」と相談しました。

先輩が「うちと向こうとじゃ、客層が違うから大丈夫じゃないんですか」と言いました。鈴木さんは「さすがにいさん、心強い」と思いました。

しかしオーナーは「じゃあお前の客で、格安店に行かなそうな人の名前を言ってごらん」と尋ねました。先輩はこう答えました。

「AさんとBさんとCさんとDさんとEさんは、社長だったりいい会社に勤めていたりするので、あんな店に行かないでしょう」

オーナーはため息をついてから「やっぱりそう思うよな。でもな、こないだAさんとゴルフコンペで同じ組だったんだけど、そのとき冗談で『格安店に行かないでくださいよ』って言ったら、真顔で『分からない』って言われた」

「マジですか」と先輩。

「マジマジ。顔すりも、マッサージも要らないときがあるんだとさ」

店長がそういうと、3人とも黙ってしまいました。

このようなミーティングが何回か開かれて、とうとうこの店でも、「カットのみ1500円」というメニューをつくりました。

鈴木さんは、心の底から「嫌だな」と思いました。格安理容室の真似をすることは、自分の仕事ではないと感じたからです。

そして先輩に対しても落胆しました。オーナーが1500円カットを提案したときに、「それしかないでしょう」と躊躇なく賛成したからです。

オーナーがいなくなってから、鈴木さんは先輩に「にいさんはなんでカットだけのコースに賛成したんですか」と尋ねました。

先輩の答えは明確でした。

「バカだなお前。格安カットの流れはいまに始まったことじゃない。この地域に来るのが遅かっただけだ。俺は前から、うちもカットのみをやるべきだって思ってたよ」

「それじゃあ、田舎の床屋になっちゃうじゃないですか」

「俺は田舎の床屋がやりたいんだよ」

鈴木さんはその晩、1人で飲みに行きました。

格安理容チェーンに反発しているのは、客を奪われる小規模理髪店のオーナーだけではありません。若い理容師の中にも、「カットのテクニックも接客技術も身に付かない格安店では働きたくない」と思う人は少なくありません。

一方で、素早く確実なカットと、低料金でも笑顔で客を迎える格安理容室にこそ、「本当の床屋魂がある」と考える理容師もいます。

鈴木さんの退職理由は、結局は「敬愛するにいさんとの考え方の違い」に尽きるようでした。

先輩は鈴木さんの最後の出勤日に「最新モードを追うだけじゃなく、お客さんの気持ちを追うことも、理容師の仕事だ。いまの時代のお客さんは、カットにおカネをかけたくないんだよ」と言いました。

鈴木さんは「理容師が最新モードの勉強をしないから、お客さんがカットにおカネをかけたがらないんですよ」と思いましたが、口にはしませんでした。

あなたは、先輩の言うことも鈴木さんの気持ちも、どちらも理解できるのではないでしょうか。理容業界はこの15年ほど、ファッション性と価格破壊の間で揺れ動いてきました。

ですので、理容の将来に不安を感じているのは、実はあなただけではないのです。

2大格安理容室チェーン
プラージュ QBハウス
店舗数 650店 515店
スタッフ数 5,500人 1,698人
創業 1960年 1995年
カット料金 1200~1500円(顔そり付) 1080円
その他

ヘアカラー+カット2800円(顔そり付)、シャンプー300円 売りは10分カット。介護施設や病院に訪問理美容も実施。シンガポール、香港、台湾にも展開。
社名 阪南理美容株式会社 キュービーネットホールディングス株式会社
年商 年商316億円(2016年度)

年間来客数15,958人(2016年)

参考資料

会社概要 | 理美容業界年商日本一のプラージュ
親切・丁寧・待たずにできる店、理美容業界年商日本一「プラージュ」のオフィシャルサイトです。
キュービーネットホールディングス株式会社
キュービーネットホールディングス株式会社の実績・沿革。全国展開のヘアカット専門店QBハウスをはじめFaSS、IKKAの紹介、本社の新卒、中途採用情報等をご紹介しています。
では、理容師として勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、理容師の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.一旦カット技術の追求を休み、接客技術を極めてみる

理容師が辞めたいと思うのは、「いつまでもこの店にいてもなあ」と感じるときです。つまり、「髪を切る仕事にうんざりした」といって辞める人は少ない、ということです。

では、なぜ勤め先の店が嫌になるのでしょうか。それは残業時間が長かったり、指導が厳しかったり、給料が安かったり、通勤時間が長かったりと、人それぞれでしょう。

いま紹介した「嫌なこと」はその店を辞めることでしか解決できませんが、もしあなたが「技術が思うように上がらない」「以前ほどやる気が出ない」と悩んでいるのでしたら、退職以外に状況を改善できる方法があります。

それは、接客を極めることです。

理容師の2大業務は、カットと接客です。しかし若い理容師は、とにかくカット技術を身につけようとします。ところが技術というものは、ある時期にさしかかると、パタリと向上しなくなります。いわゆるスランプです。このとき、もがくことも大切ですが、もがきすぎてストレスを溜めてはかえって逆効果です。

そんなときは、接客に力を入れてみるのです。例えば、客の名前をフルネームで覚えてみるとか、雑談能力を高めてみるとか、尊敬語と謙譲語をマスターするとか、やることはたくさんあります。

ポイントは、接客スキルを磨いているときは、技術のことは忘れておくということです。まったく練習しないというのも先輩の目が気になるでしょうから、トレーニングはするけどあえてルーティーンだけにとどめたり、ヘア雑誌を見ない期間を設けたりするのです。

そして空いた時間に、ユーチューブで「接客」を検索してみてください。おカネをかけずに簡単に勉強できます。

プロスポーツの世界には「休みも練習のうち」という考え方があります。筋肉や関節を休めて次の練習に備えるという意味ももちろんありますが、体を動かさずに競技をイメージすることで「本能で動くのではなく、考えて動く」ことができるようになります。

それと同じように、接客についてとことん突き詰めて考えることで、客が求めるファッションが「見える」ようになるのです。

2.高級理容室への転換に挑戦してみる

カット、シェービング、ヘッドスパ、フェイシャル、ネイルケア、マッサージ…これだけのメニューを盛り込んで、3万円+税を請求している理容室があります。

カットルームはもちろん個室です。完全予約制で、芸能人もやってきます。

もしあなたが「いまの店」に不満をお持ちなら、このような高級理容室に挑戦してみてはいかがでしょうか。

「いまの自分には無理」と思ったあなたに質問です。では、いつなら大丈夫なのでしょうか。理容の道を究めるなら、最高峰に触れておくことは今後の仕事に良い影響を及ぼすでしょう。

高級理容室は、高いおカネをもらうから高級なのではありません。高級なサービスを提供できるから、高いおカネをもらえるのです。

ポルシェに乗って自分の店に出勤したいという夢がある人ならなおさらです。高級理容室に転職して、自分が通用するかどうかを見極めてみてください。

3.理容業界を辞めて他業界に転職する

「接客術の追求」も「高級理容室への挑戦」も、スランプにおちいっていても理容の仕事が大好きでたまらない人向けのアドバイスです。

そうではなく、この業界の体質になじめないと考えている理容師には、ほかの業界への転身をおすすめします。

これからあなたにおすすめする仕事は、理容師資格がない人も働いています。ただそのことだけで「せっかく3年間かけて取った資格がもったいない」と思う必要はありません。

理容師として働いた経験が、100%活用できる職場です。きっと「こんな道があったか!」と感じていただけるでしょう。

他業種への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく理容師勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、利用業界以外への道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

理容師の辞め方とタイミング

1:「なんで辞めるんだ。一緒にここまで頑張ってきたじゃないか」この引き止めの言葉を振り切れますか。

鈴木さんと先輩は、最終的にはあとくされなく別れることができましたが、鈴木さんが退職を決意した直後は、ひと悶着ありました。

鈴木さんが勤めていた理容室がカットのみの1500円コースを導入したところ、客数が3割以上増えました。オーナーもゴルフ返上で店に来てハサミをかちかち鳴らせていました。

これまでも忙しい店でしたので、鈴木さんの勤務状況は過酷を極めました。営業中は、昼食も取れないしトイレに行けないほどです。

しかし、このときすでに退職を決心していた鈴木さんは、仕事に集中できず、ミスを繰り返していました。作業も雑になり、「先を読む」こともしなくなりました。

そのとき事件が起きました。先輩はこれまで、客がいないときを見計らって鈴木さんを叱っていましたが、そのときは店内に客が8人もいました。

「鈴木、なんだよその態度」

自分でも不貞腐れているという自覚があった鈴木さんは、無視しました。すると、先輩はさらに声を荒げました。

「無視すんじゃねえよ」

「なんすか、こっちも忙しいんですけど」

「忙しいのはお前だけじゃねえよ」

「だからなんすか。用件を言ってくださいよ」

というところまでヒートアップしたところで、オーナーが「おいっ!」と一喝し、その場は治まりました。

その日、最後の客が店を出てオーナーも帰ったとき、鈴木さんは先輩に「にいさん、俺、この店辞めますわ」と言いました。

先輩は「バカか」と言いました。

「いや、マジです」

「仕事が忙しくなるとみんなイライラするからな。でも、今日のは大した忙しさじゃないぞ」

「いや、今日のことだけじゃないんです。店の方針っていうか、そういうのがちょっとなって思ってたんです」

「『カットのみ』か? でもこうやって客が増えただろ。『カットのみ』をやってなかったら、この客がすべてあっちに取られてたんだぞ。オーナーはさすがだよ」

「俺たちが忙しくなっただけじゃないですか。給料が増える感じはないし」

「おい、調子に乗るなよ。俺だって給料は増えてないよ」

「だから言ってるんですよ。にいさんがその給料で我慢しているから、下の俺の給料が上がらないんじゃないですか」

「おい、本当に調子に乗るなよ」

鈴木さんはこのタイミングで、前の晩に書いた「辞表」を、先輩に渡しました。この日、ずっとポケットに忍ばせておいたものです。

「お前、こういうのを簡単に渡すなよ」

「本気で辞めますから」

先輩は初めて激怒しました。

「ふざけるなよ、てめー。誰にここまで育ててもらったと思ってんだよ。いま辞めれるわけねえだろ。この予約表を見ろ」

「知らないですよ、そんなの。それに俺だって『明日から来ない』なんて言いませんから。予約客が、オーナーさんとにいさんでさばけるくらいまで減ってから辞めますよ」

「調子に乗んなよ、お前なんかいなくたって、なんとかなるんだよ。明日から来なくていいわ、マジで」

翌日、鈴木さんは通常の時間に出勤しました。先輩は何も言いません。前の夜に先輩から電話で事情を聞いていたオーナーも何も言いません。前日同様、3人で黙々と客の髪を切り続けました。

鈴木さんは宣言通り、「カットのみ」ブームがひと段落したところで退職しました。オーナーもさすがに、予約受付を抑制してくれていたのです。

あなたも、退職を決意したら十分注意してください。先輩は鈴木さんに「明日から来なくていい!」と言いましたが、普通はこんなことを言ってくれません。

理容師の退職には、それなりの準備が必要なのです。

2:「辞める」と言った途端に先輩が攻撃的に。穏便に退職することに集中しよう。

一般的に中規模以上の理容室で、若い理容師が退職の意向を漏らすと、すさまじい「慰留攻撃」にさらされるでしょう。

「慰留」と聞くと、経営者から「不満があるなら改善する、給料も上げてあげる、だから辞めないで」と言われることを想像するかもしれませんが、この業界の慰留はとても攻撃的です。

まず、直属の先輩が「そんなこと言うなよ」「3年目になるとみんな一度は辞めたいと思うんだ」「ここを踏ん張った奴だけがこの世界でのしあがっていけるんだぞ」と、優しくなだめます。

言葉をかけるだけでなく、飲みに連れて行ったり、自宅に招いたりして、退職の撤回をもくろみます。

それでも退職の決意が揺るがないと、その先輩は豹変します。ある日を境に、脅し口調に変わります。その「慰留」はしつこい上に強烈です。

なぜここまで先輩が食い下がるのかというと、後輩を辞めさせると店長やオーナーからペナルティを課せられるからです。

さらに「後輩を育てられない」というレッテルを張られ、独り立ちの道の障壁になります。なぜ、理容業界では、若手の退職を嫌うのでしょうか。

それは、理容が「人手仕事」だからです。世の中の多くの業界は、人手を減らして人件費を減らして利益を上げようと考えますが、理容は激安の給料で働く理容師のヒヨコたちをこき使って、生産性を上げようと考えているのです。

ではどうやって退職の準備をしたらいいのでしょうか。

まずは、希望退職日をなるべく遠くに設定してください。

法律では、労働者は2週間で会社を退職できることになっています。しかし、客がつくようになったあなたが、退職を表明してからわずか2週間で辞めてしまうことは、法律が許しても理容室側が許さないでしょう。

退職日は少なくとも、店側に「退職しようと思っています」と伝えた日から、1カ月後に設定しましょう。できれば2カ月後、なんとか調整がつくなら3カ月後でもいいくらいです。

なので、退職の意向を周囲に伝えるのは、早ければ早い方がいいのです。

「辞める店なのに、なぜ最大3カ月も猶予を与えなければならないのか」と思われるかもしれません。しかしこれは「職人」としてのエチケットと考えてください。

自分の力だけで成長できる理容師はいません。「教え方に難あり」という先輩であっても、「教えている」ことには違いありません。

職人技だけは、「教える教わる」でしか技術を伝承できません。

過酷な上に低賃金の職場を去るときであっても、教えてくれたことに感謝して、理容店の迷惑が最小限になるように配慮すれば、あれほど慰留攻撃をしかけてきた先輩も、あなたの最終出勤日には笑顔で見送ってくれるでしょう。

また、ライバル店への転職を検討している人は、よりいっそう慎重かつ穏便な退職手続きを取ってください。

とにかく理容師業界は狭い世界ですので、相手を怒らせることは得策ではありません。

理容師の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.成長著しいリラクゼーション業界に転職

そもそも理容師の仕事の中にマッサージやヘッドスパの施術が含まれているので、あなたがリラクゼーション分野に転身しても、ほとんど違和感を持たないでしょう。

整体は、骨と筋肉にアプローチをしてコリをほぐしていく方法です。ほとんどの人は、全身をくまなく使うことはできません。自分が使いやすい骨や筋肉を使って仕事や作業をします。

なので人の体は、激しく使われる部位と、ほとんど休みっぱなしの部位に分かれます。これが「体のゆがみ」を引き起こします。

整体はゆがみを元に戻すことで、体を楽にしてあげるのです。

マッサージも骨や筋肉にアプローチしますが、より重視しているのは「体内の液体」です。例えば血液は心臓がポンプ役となって循環していますが、いくら心臓が頑張っても血液が流れにくい場所があります。それをマッサージという外部からの力で滞りなく流していくのです。

またリンパ液には心臓のような押してくれる臓器がありませんので、簡単に流れが悪くなります。リンパは体内の老廃物を除去する働きがあるので、リンパを活性化させるリンパマッサージには若返り効果があるとされています。

あん摩マッサージ師以外は、資格が要らないのがこの分野の魅力です。

1時間ほどの施術によって、客に「楽になった」「気持ちが晴れやかになった」と言わせればいいのです。

シンプルかつチャレンジングな仕事といえるでしょう。しかもこの仕事は、独立しやすいという魅力があります。

独立する自信がない人でも、「やった分だけおカネがもらえる」という明確な報酬体系ですので、やる気次第で高額収入が得られます。

整体という仕事のやりがいについては、転職支援サイト大手「DODA」がとても良い記事を公開しています。整体師として働く魅力が分かります。ぜひご覧ください。

整体師として働くたくろうさんの『仲間で、ライバル!同期の見習いたいところは?』
No.1439 氏名たくろう(25歳) 居住地 / 出身地東京都世田谷区在住 / 愛知県出身 出身校専門学校 家族構成未婚(母、姉、猫) 業界 / 職種 / 転職経験サービス / 整体師 / 1回 略歴専門学校では柔道整復について学ぶ。将来

2.メンズビューティー(男性美容)業界に転職

理容師の中でも男性理容師は特に「世の中の男性はもっとキレイになるべきだ」と考えているのではないでしょうか。ならば、あなたの次の仕事は、男性美容業界にあります。

具体的な勤務先としては、美容器具用品メーカーの販売や、化粧品メーカーの営業、海外製品の輸入業者などがあります。

例えばヘアケア商品を扱う卸会社に就職すれば、ドラッグストアやディスカウント店、ネット通販会社に商品を紹介する仕事になります。

男性美容業界の魅力はその桁違いの将来性です。

女性美容業界の伸びが頭打ち状態の中で、美容関連企業は男性にターゲットを絞っています。

男性用フェイスケア用品の販売額は、2006年には142億円にすぎませんでしたが、8年後の2014年には1.5倍の212億円に達しました。

あなたも「そういえばドラッグストアで男性用化粧品コーナーを見かけるようになったな」と感じているのではないでしょうか。

また、体臭が周囲の迷惑になる「スメハラ」が話題になっていますが、「加害者」とみなされてしまう中高年男性は、どうしようもありません。しかし、体臭を抑える製品も数多く販売され、この分野も活況を呈しています。

この業界は「まだまだ儲かる」ので、チャレンジしがいがあるでしょう。

引用:http://diamond.jp/articles/-/67604

参考資料

市場規模200億円超!拡大続ける男性肌ケア市場
化粧ポーチを鞄にしのばせ、お手入れを欠かさない男性が密かに増殖中だ。男性用フェイスケア市場は順調に成長しており、今や市場規模は200億円以上にも上る。

3.バーテンダーなど「対面勝負」ができる職種に転職

バーバー(床屋)から、バー(BAR)への転身はいかがでしょうか。

偶然ダジャレができあがってしまいましたが、バーテンダーへの転身は、あなたに真剣におすすめしています。

なぜなら、格好良さを追求する仕事ということでは、理容師に通じるものがあるからです。

理容師の仕事に真剣に取り組んできたあなたなら、「こういう感じの人は、こういう髪型を好むな」ということが見えているのではないでしょうか。

だとしたら、あなたには次の能力が備わっています。

  • 客の好みを知りたいと思う気持ち
  • なぜそれを好むかを分析する癖
  • 好み分析が的中したときに喜べる感受性

この3つの力を持っている人は、客商売全般に向いています。客という赤の他人に興味を持つことは、いくら仕事といっても難しいものです。

しかしあなたは、街中を歩いていても、行き交う人を見て「もっと格好良くなれるのに」「もっと快適に生活できるのに」という関心を持つのです。

それまで飲食店に勤めた経験がなかった20代前半の女性が、東京の一流バーで働き始めた直後にオリジナルカクテルを考案し、それがコンテストで最優秀賞に選ばれた――という話を聞いたら、俄然バーに興味がわくのではないでしょうか。

この女性は「カクテルを提供したお客さまに、味の感想をヒアリングするようにしていて、その内容をもとに調整を繰り返し、自分のクリエイティビティを磨いていくことを心がけています」と話しています。

彼女の仕事への取り組み姿勢は、あなたと似ていませんか。

参考資料

女性バーテンダー花田美咲がたった1年で一流になった理由
バーテンダー歴1年でオリジナルカクテルが最優秀作品に選ばれた、今注目の若手女性バーテンダー花田美咲さんがなぜ最速でキャリアアップできたのか。その理由を探ります。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

理容師勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「理容師以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない理容業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。

また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。

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