
北野筆太

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記事の目次
華やかな広告代理店業界で働くことこそ成功だと思っていた。しかし「過労死するまで働く」のが当たり前の世界に夢など存在しなかった
テレビの料金体系は、非常にユニークです。一般的に料金というものは、遊技場でも食堂でも医療でも、公共的なものは安いか無料で、民間のものは高く設定されています。
しかしテレビ業界では、公共放送のNHKを視聴するには受信料というおカネを支払わなければならないのに、民間企業が運営する民放のテレビ放送は無料で見ることができます。
なぜ民放は無料なのでしょうか。それは別のところで儲けているからです。
そうです、広告です。
しかも民放テレビ局の場合、大手広告代理店が広告枠を「ごっそり」買い取ってくれるので、安定経営ができます。グーグルのYouTubeも、広告によってあんなに楽しい動画を無料で見ることができます。
つまり広告代理店は、単なる広告の売り買いをしているだけでなく、間接的に国民の知る権利を守り、国民に娯楽を提供しているのです。
このような「大きな仕事」ができる広告業界に憧れる人は少なくありません。
山内リコさん(仮名、26歳)もその1人で、高校時代から、「広告業界に入りたい」と思っていました。当時の彼女にとって広告の世界は、華やかでリッチで成功者の象徴でした。
地元の高校を卒業した後、東京のグラフィックの専門学校に進みましたが、就活では広告代理店から内定をもらうことができず、地元の農協の事務職に就職しました。
しかし入社2年目に再び就活を始め、とうとう中堅の広告代理店に入社できたのでした。ところが、わずか2年で退職してしまいました。
「すっごく憧れていたんです。だから入社できたときは、死ぬほど嬉しかったんです。でも、いざ働き始めたら、死ぬほどコキ使われて…。それで、『このままだと本当に死んじゃうな』って思ったので、2年で辞めてしまいました。そしたらあの事件が起きたじゃないですか。親は『よく退職の決断をしてくれた』って喜んでいました。親より先に死ぬことほど、親不孝なことはないですからね」
リコさんは、広告代理店の営業の仕事を説明するのに、何度も「死」という言葉を使いました。
リコさんが言う「あの事件」とは、2016年に発覚した、広告代理店最大手の過労死事件のことです。月100時間を超える残業と、猛烈なパワハラを受けた24歳の女性社員が自殺をした、と報じられました。会社のネームバリューと、被害女性が超一流大学卒だったこともあり、マスコミ各社が連日この問題を取り上げました。
リコさんは、一連の報道を食い入るように見続けました。
「過労自殺した方と私では、学歴も勤めていた企業の大きさも段違いですのでまったく比較になりませんが、でも同じ広告業界にいたので雰囲気は分かりました。心無い人は『そんな良い大学を出ているんだから、退職して違う道に進めばよかったじゃないか』と言っていましたが、広告の世界はそんなに甘いもんじゃないんです。私の職場も、生理が止まっちゃうくらいの激務でした。やってもやっても仕事は片付かないし、それどころかどんどん増えていくんです。なのに上司から毎日罵声をあびせられて。私も、あと半年退職が遅れていたら、自殺していたかも…です」
広告代理店に勤めているあなたも、この事件は他人事とは思えなかったのではなかったのではないでしょうか。
それでもこの業界に居続けるのは、広告の魅力にとりつかれているからでしょうか。確かに広告業には、チャレンジングな仕事がたくさんあります。やりがいも、輝かしい将来もあります。報酬もそれなりです。
なので、この世界を極めようとする意欲は、素晴らしいものです。
しかしそうではなく、向上心が一切湧いてこず、溜息ばかりの毎日を送っているようでしたら、心や体を壊してしまう前に、脱出することをおすすめします。
退職届を書く体力が残っているいましか、抜け出すチャンスはありません。うつ病を発症すると、「会社を辞めること」より「人生を終わらせること」の方が楽だと感じるようになってしまうからです。
自殺した女性の母親は、マスコミの取材に対し「命よりも大切な仕事はない」と言いました。この母親は、あなたやリコさんのような人に向かって言っているのです。
参考資料「電通、2つの事件をつなぐ線 」(日経新聞2017/2/20)

参考資料「1年前の電通過労自殺 長時間労働からあなたを守る方法」
広告代理店業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

営業ツールの陳腐化、根拠がないノルマ。「今の広告」を知らない管理職が業界を腐らせている。
辞めたい理由と悩み1:体育会色強い広告代理店業界には、未だしぶとくパワハラ、セクハラの文化が根付いたまま
リコさんが勤めていた広告代理店は県庁所在地に本社を置き、地方テレビ局や地方新聞社と直接取引する、地元では知られた企業でした。
リコさんが担当したのは、飲食店、リラクゼーション、美容院の3業界でした。それぞれの業界の企業に営業をかけて、広告を取る毎日です。
「一度でも広告のお蔭で売上が増えたことがある企業への営業は、そんなに苦にならないんです。最初の提案が没っても、ダメな理由をきちんと説明してくれるから、第2案、第3案をつくろうっていう気持ちになれるんです。でも『なんとなく心配だから』という感覚でだらだらと広告を出し続けているクライアントさんは、とてもやっかいでした」
だらだらと広告を出してくれる顧客こそ、リコさんたち代理店営業パーソンにとってありがたい存在のように感じますが、実際はそうではないそうです。こういうクライアントは広告を軽視しているので、広告を売り込む営業パーソンを軽くあしらうのだそうです。
「そういう客は大体、セクハラかパワハラをします。質問は決まって1.彼氏はいるの?、2.最近やってる?、3.休日は何してるの?、4.LINE教えて、の4つです。意味も根拠もなく値下げを要求してくるのも、このタイプですね。『別の広告代理店が来て、半額にするって言ってたぞ』って嘘をつくこともあります。嘘なんですよ。地方の広告業界なんて狭いから、他社の売り値くらい簡単に調べがつきますから。かといって、こういう人たちは『忙しいから会わない』とは言わないんです。なぜなら、広告をやめちゃうことも不安なんです」
リコさんがさらに腹を立てたのは、新たな広告企画が決まりそうになったときや、広告の本数を増やす契約のときに、「じゃあ次回は上司を連れてきてね」と言われることでした。そこまで話を煮詰めていったのはリコさんなのに、ハラスメント型クライアントは、最終的には肩書を重んじるのです。
しかしリコさんの立場では、クライアントにそのように言われたら、上司に「次回の面談で上司を連れてくるようにと要請されました」と相談しないわけにはいきません。
「そういう相談をしたときの上司の得意げな表情が腹立つんですよね。自分の力では大した契約が取れないから、部下の実績を横取りできることが嬉しくて仕方ないんです。あー、思い出しただけでムカムカする」
あなたも女性の広告代理店の営業でしたら、この業界の古い体質に嫌というほど苦しめられているのではないでしょうか。広告は、世の中の動きを絶えずキャッチして、時代の先端を走り続けなければならないビジネスなのに、そのプレイヤーたちは、いまだに体罰で子供たちを動かそうとする高校の部活顧問並みの思考しか持ち合わせていない――そんな風に感じているのではないでしょうか。
だからといって、ノルマは男性社員と同じだけ課されています。
広告業界では、女性が「できる広告パーソン」と認知されるためには、「できる」と言われている男性の3倍以上できなければなりません。
しかも、女性広告パーソンは、セクハラとパワハラにも耐えなければなりません。なのに給料にそれほど差が付くわけではないのです。
若い広告営業パーソンンから恐れられるAE
大手広告代理店には、アカウント・エグゼクティブ(AE)という役職の人がいる。簡単に言えば、ベテラン営業パーソンなのだが、この人は絶大なる権力を握っている。
AEは、クリエイティブやマーケティング、プロモーション、営業のすべてを取り仕切る。AEの一声で、準備に半年を要した企画が没になることなど日常茶飯事。
また広告を出す側の企業、つまり広告代理店にとっての「お客様」ですら、AEのご機嫌をうかがうことがある。なぜならAEのさじ加減で、同じ広告料でも「おいしい場所」をゲットできることがあるから。
また、AEクラスになるとあらゆる業界に顔がきくので、クライアントがその業界の新参者である場合、AEに助けられることが多々あるので、立場の逆転現象が起きる。
辞めたい理由と悩み2:何故オールドメディア枠の販売に拘り続ける…?ネット広告という武器を持たずに外回りをさせられる営業担当者に勝ち目はない。
厳しいノルマも、リコさんの大きな悩みでした。
リコさんが働いていた地域にも、じわりとネット広告の波が押し寄せていました。地元企業でも、従来の広告をやめてネット広告に切り替える動きが現れていました。
しかしリコさんが勤めていた中堅広告代理店はネット広告への進出が十分でなく、クライアントがネット広告に流れていった場合、それは顧客の喪失を意味していました。
リコさんが会社から与えられていた「営業ツール」は、完全に陳腐化していました。リコさんがどんなに熱いプレゼンをかけても、クライアントから「古いね」と言われて終わりです。
こうなってくると「中堅」代理店のアドバンテージはなくなり、「小規模」代理店と競合することになります。アポ取りだけでも苦労する始末です。
ネット広告に着手できないのは、リコさんの会社の体質が古いからで、企業体質が古いのは経営者や管理職の考えが古いからです。
リコさんたちの営業ノルマは、売上の落ち込みと反比例する形で強化されていきました。上司はリコさんに「あんたの武器は若さなんだからさ」と、あたかも枕営業をすすめるかのような発言を繰り返しました。
リコさんは「上司が上司の仕事をしないから、営業スタッフが苦労する」と訴えます。リコさんが言う上司の仕事とは、「売り方の見本」を示すことです。陳腐化した従来広告しか売るものがなければ、売り方を工夫するしかなく、まずは上司が見本を示すべきだろう、ということです。
「上司が『俺はこう売り込んでこれだけ売上げたぞ、お前も同じようにやれ』と言ってくれれば、こっちのモチベーションも上がって、外回りも苦じゃなくなります。でも、私の上司が言ってたことは『昔はこうやってたぞ』ばかりでした。こっちは『お前の指示通りにやっているからこうなってんだろ』って気持ちでしたよ」
「今日のノルマ未達」は「明日の地獄」を約束するようなものなので、リコさんは遅くまで残業した上に早朝出勤をしてなんとかカバーしていました。というのも、ノルマは、昇給やボーナスに響くだけでなく、職場の雰囲気も大きく左右したからです。
営業が上手く回り営業成績が良い人は、上司の「当たり」が良く、それに釣られる形で他の同僚からも優しい言葉がかかります。
しかしノルマ未達の月が続く人には、上司は「会社に居ても広告取れないでしょ。とにかく外に出ろ」などと言うので、周囲もその人に近づきにくくなります。
リコさんも、上司や先輩、後輩から敬遠されたり、陰口を叩かれた時期がありました。それは精神的につらい日々でした。
ノルマのつらさは、あなたも経験したことでしょう。それとも現在進行形でしょうか。
「稼げぬ者は去れ」これが広告業界の掟です。あなたはそれを十分理解した上で広告パーソンになったはずです。
しかし「これほどとは」と感じているのではないでしょうか。あなたの「感じ」は間違っていませんので、その「感じ」を信じてください。というのもその「感じ」がさらに強くなったものが、大手広告代理店社員の過労自殺事件だからです。
参考資料「電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間」
◆ネット広告は薄利多売テレビCMの場合、広告代理店の取り分は、超大手だと取引額の20%程度、中堅だと15%程度。テレビ局に強いコネクションがあったり、バイイングパワーがある代理店なら、営業はそれほど難しくはない。しかし、それはテレビCMの話であって、新興勢力であるネット広告は、ビジネスモデルが複雑だ。ネット広告には「運用型」というやっかいな仕組みがあり、これが代理店営業を悩ませている。運用型広告の特徴を一言で言うと薄利多売。広告業界に限らず「多売」はいつも営業パーソンを苦しめる。◆ネットの運用型広告は価格破壊を起こす
運用型のネット広告は、例えば「閲覧者がクリックした」という実績を元にクライアントから広告料を徴収する。よって広告代理店の営業担当者は、常に条件変更や調査、報告をしなければならない。しかもテレビCMなどの従来広告には「枠の上限」があるため広告料を維持することは容易だが、ネット広告の枠は「無限」に設定できるため価格破壊が起きやすい。
◆ネットの運用型広告はますます広がる
運用型広告は、人工知能(AI)を導入しやすい分野といえる。つまり今後、ますます拡大し、ますます高度化する。こうした技術は「アドテクノロジー」と呼ばれている。
運用型広告には「リスティング広告(検索連動型広告)」や「サイト内コンテンツ連動型広告」「レコメンド広告」など、多くの種類が開発、運用されていて、これが「複雑なビジネスモデル」と言われるゆえんである。
電通が公表している「日本の広告費」によると、2016年のネット広告費は前年日13%増の1兆3100億円で、そのうち運用型広告は約6割を占め、運用型はネット広告をけん引している。


辞めたい理由と悩み3:代理店の企業規模でまったく差が出る「媒体に尻尾を振る代理店」と「媒体にこき使われる代理店」
リコさんは「広告の世界に飛び込んだのは間違いではなかった」と確信しています。しかし「あの広告代理店を2年で辞めたのも間違っていない」と信じています。
どういうことでしょうか。
リコさんはいま、「広告がらみのこと」をするフリーランスに転身し、快適な生活を送っています。収入は若干落ちたものの、ワーク・ライフ・バランスが絶妙で、また現在の自分の立ち位置にも満足しています。
「広告の人だけじゃなく、テレビの人からもイベントの人からも『困ったらリコちゃんのところへ』と言ってもらえています。その代わり、安いギャラで、いつでもなんでもやらないとならないですけどね」
リコさんは、このように頼りにされる存在になれたのは、代理店時代の「苦労のお蔭」と言い切ります。
広告代理店の営業担当のリコさんが、クライアントから苦労させられるのは当たり前です。許されないセクハラやパワハラはありましたが、ただ「それも給料のうちだよ」と、女性の先輩に言われたら納得するしかありませんでした。
しかし、リコさんだけでなくほとんどの代理店の営業パーソンは、自分がクライアントになっているときですら、苦労させられるのです。
テレビ局や新聞社や雑誌社といった媒体企業は、広告代理店に広告枠を売る側です。代理店が広告枠を売ってくれるから、媒体企業は収益をあげられるのです。
なのに媒体企業の社員たちの多くは、代理店の営業パーソンに横柄です。少なくともリコさんが付き合ってきたテレビ局や新聞社の広告担当者は「売ってやるよ」という態度でした。
リコさんは彼らの振る舞いについて、次のように分析しています。
「テレビ局の人は、いまだに『俺たちはなんでもできる』って思っていますね。視聴率がこんなに落ちて、番組の質が低下して、一般の人はどんどんネットに吸い寄せられているのに、危機感がまるでない。なのに、学歴だけはご立派だから、偉そうにしたくてたまらない。新聞社はもっとやっかいで、元記者さんが広告部の管理職になっていたりするんです。偉そうにするだけじゃなくて、自分たちは絶対正義だと勘違いしているんです。飲み会の席では、必ず説教をしてくださいます。それがしつこいのなんのって。記者として使えないから広告部に飛ばされたのに、全然その自覚がないんです」
あなたもテレビ局や新聞社には、いまだに泣かされているのではないでしょうか。
リコさんは1回泣かされるたびに、1回良い経験をしたと考えるようにしました。その積み重ねで、フリーの道が開けたからです。
しかし誰もが苦しさをエネルギーに変換できるわけではありません。むしろリコさんのような人の方が例外で、少なからぬ代理店営業パーソンが、マスコミ業界から受けるストレスに耐えきれず心を壊しています。
ストレスや苦労が人を育てるのは事実です。しかし、ストレスのそういった部分のみが強調され、過労死が生まれたのです。
いまでは、過度なストレスが人を殺すことは、医学的にも科学的にも証明されています。よって、ストレス職場で働くあなたには、「逃げるが勝ち」という言葉を贈りたいと思います。
そして、結果的に勝ってしまえば、かつて「逃げ」と思われた行為は、「正しい選択」と再評価されるはずです。
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「広告代理店マンの人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.なぜ自分は広告マンを目指したのか…初心を振り返り、雑念を振り払って広告マン街道を邁進する。
広告パーソンの中で「1度も辞めたいと思ったことがない人」などいるのでしょうか。それぐらいこの世界は過酷です。
一生懸命なだけでもダメ、センスだけでもダメ、賢いだけでもダメ、たくさん知識があるだけでもダメ、愛想がいいだけでもダメ、人脈が広いだけでもダメ。
そのすべてを兼ね備えた人でないとここでは生き残れません。しかしあなたは「だからこそ」広告の世界に憧れたのではないでしょうか。
広告業界は1度だって、あなたに「こっちの世界に来てごらん」と言ったことはありません。広告に飛び込んで来る人は、格好いい仕事をしたくて自ら志願してやって来るのです。
この世界で鍛え抜かれれば、一生懸命仕事に打ち込む喜びも、センスを磨くことも、賢くなることも、たくさんの知識も、愛想も人脈も身に付きます。
あなたが「格好いい」と思ったその広告人は、叩かれて削られて鍛えられてその姿になったのです。
もしあなたが「受けるストレスが現状ぐらいで済むのなら、なんとか持ちこたえることができそう」と感じているのであれば、ここで踏ん張ってみるのもいいでしょう。
2週間連続の抑うつ傾向がうつ病のサインですので、1週間程度の「つらいなあ」ならば、我慢してみるのも上を目指すのであれば「あり」です。
仕事で味わった悔しさは、仕事でしか晴らせません。
仕事で受けたダメージは、仕事の成果でしか癒せません。
あなたは、頭が古い上司に叱られて理不尽に感じているかもしれませんが、しかしその上司だって誰彼かまわず当り散らしているわけではなく、成績優秀な部下には上司の方からすり寄っているはずです。
ならば、あなたも「絶対的な成績」を打ち立てて、上司の口を封じましょう。
2.歴代の著名広告代理店マンと同じフリーランスの道へ…AD業界人の能力多様性を信じ、新分野に挑戦
山口瞳、開高健、大貫卓也、糸井重里、安西水丸、佐藤可士和…広告の世界は文化人を多数輩出してきました。
しかも広告出身者は単なる「文化に精通した人」になるのではなく、ビジネスでも結果を残しています。
糸井氏は「株式会社ほぼ日」を上場させましたし、佐藤氏はセブンイレブンの「金の」シリーズをデザインしてプライベートブランドのイメージを一新しました。
1人の広告パーソンが、1つの業界しか担当しないということはありません。さらに、広告は媒体企業やクライアント企業のみならず、一般消費者や特定分野のスペシャリストと接点を持ちます。
すなわち、広告人は世の中のすべてに関わることができるのです。
「広告なんて虚業だ」「霞を売って生きている」「代理店は右から左に流すだけのビジネス」「広告がなくなっても誰も困らない」
広告や広告代理店の仕事を否定的に見ている人は、そのように言うかもしれません。いや、あなた自身、そう感じることが増えているのではないでしょうか。
しかしそれは間違いです。広告パーソンは、意外に何でもできます。
先輩方をことさら「偉人視」する必要はありませんが、しかしあなたもこれまで過酷な広告の仕事に耐え抜いてきました。その結果、実はいまのあなたは「ビジネス的筋肉質」に生まれ変わっているのです。
なので、ここは思い切って、フリーランスになってみてはいかがでしょうか。フリーランスになれば、あなたがこれまで「自分は広告屋だから」と手出しすることを遠慮していたビジネスにも参画することができます。
例えばデザインですが、あなたはこれまでに何回「私だってもっと格好良くデザインできる」と思いましたか。
あなたはこれまでに何回、クライアントから「もっとちゃんとしたデザイナーさんはいないの?」と言われましたか。
フリーになったらあなたが手掛けてしまえばいいのです。
コピーも同じです。コピーライターが持ってきたコピーに、何度手を加えたいと思ったことでしょう。
フリーランスになったら、名刺に「広告企画、デザイン、コピー」と書くことができます。広告パーソンは「人と人をつなぐ」ことが上手です。これはキャスティング能力に他ならず、イベントでも企画でも祭りでも新製品のプロモーションでも役に立つスキルです。
名刺に「イベントプランナー」と足してもいいでしょう。
あなたが「広告が嫌」なのではなく、「いまの会社が嫌」なのであれば、ぜひフリーへの道を検討してみてください。


3.広告代理店勤務を辞めて他業界に転職する
「自分はもう広告はいいや」と思っている人も、「広告業界にはうんざりだ」と思っている人も、さきほど指摘させていただいた「広告パーソンは意外に何でもできる」ということを忘れないでください。
そのことを踏まえた上でのアドバイスはこれです、思い切って転職をしてみてはいかがでしょうか。広告を捨てても、広告で培ったスキルは一生使えます。
あなたが希望する転職先企業は、「元広告パーソンなら、この仕事はお手の物だろう」と考えています。どの業界でも、あなたの知識と経験は通用します。あとは、あなたの決断だけです。
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまく広告代理店勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、広告代理店以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
広告代理店の辞め方とタイミング
1:上司はすんなり退職願を受け取り、先輩は静かに見送ってくれた――と見えた後の悲劇とは。
山内リコさん(仮名、26歳)は、地方の中堅広告代理店に2年しかいませんでしたが、それでも辞めるときは右往左往させられました。
まず、言うタイミングがありません。リコさんが会社にあがると上司は帰宅した後ですし、上司が平日の昼間にいることがあっても、せっかく取得した代休の日に出社したくありません。
また、飲みの席でいいタイミングができたのですが、酔った上司がいつもの説教を始めました。薄い内容をとうとうと喋るだけなのですが、相手(この場合、リコさん)に付け入るすきを与えません。
そんなふうに忙しい日々を送っているうちに、退職願を書いてから2カ月が経ってしまいました。ある日、午後10時に帰宅したリコさんは、それを破ってから、再び新しい退職願をつくりました。そして「明日も上司と会えなかったら、机の上に置いておく」と決めました。
果たしてその退職願は、翌日夜に事務所内で上司に手渡しすることができました。
それを手にした上司は、封も開けずに「お前、うちに入って何年だ?」と尋ねました。
「2年になります」
「2年もったら、普通は3年までは我慢するけどな」
「もう限界なんで」
「そうか。クライアントには何か伝えているか」
「いえ、まだです」
「それでよろしい。では、仕事に戻っていいよ」
「ありがとうございます」
リコさんも上司も、大きな声でやりとりしたわけではありませんでしたが、近くにいた同僚たちは、雰囲気でリコさんが退職の手続きをとっていることを察知しました。
そのうちの1人で、入社当時のリコさんの教育担当だった先輩社員が、リコさんに「辞めるの?」と声をかけました。
リコさんが晴れ晴れと「はい、いま退職願を渡してきました」と答えると、先輩は「そう」とだけ言って、あとは何も言わずにパソコンに戻りました。
リコさんはこのときのことを次のように振り返りました。
「結局その会社では友達はできなかったんですが、その先輩だけはなんとなく気が合うなって思っていたんです。だから、引き留められるとまでは思いませんでしたが、それでも『とりあえず飲みに行こうか』くらいは声がかかるかなと思ったんです。でも『そう』と言ったきりでした」
ここからが、リコさんの悲劇の始まりでした。
2:退職手続きを先延ばしする上司。口げんかで勝利するもムナシイ…ここぞの我慢強さが求められます。
その先輩に退職の意向を伝えて、「そう」としか言われなかったとき、リコさんはあまり気にしませんでした。「ま、仕事上の付き合いだしね」と感じたくらいでした。
しかしその先輩は、それからリコさんが退職するまで、一言も口をきかなかったのです。完全な無視を貫くほど先輩が怒ったのは、リコさんの仕事がその先輩に引き継がれることが確実だったからです。
リコさんは退職願に「本日より1カ月後に退職させていただきたく存じます」と明記しました。これは「労働者は辞める2週間前に退職の意向を会社側に伝えればよい」ということを知っていたからです。「2週間前でいいところを、1カ月前に設定したのだから問題はない」と高をくくっていました。
しかし、上司に退職願を渡してから2週間が経っても、今の仕事を誰に引き継いだらいいのか指示されていません。
なのでこの2週間は、これまでと変わらず営業に出たり、クライアントに会ったりしていました。
それで3週間目に入った時点で、リコさんは自分の判断で退職の挨拶回りを始めました。ところがその週の金曜日の夜、自宅にいたリコさんの携帯が鳴りました。会社からです。リコさんが出ると、上司がいきなり「お前、広告屋が後任が決まってないのに退職できるはずないだろう」と怒鳴りました。
「は?」
「は、じゃねえよ。お前、クライアントに月末で退職するって言ったらしいじゃないか」
「言いましたけど、それが?」
「だから、それが、じゃねえよ。いつお前に『退職していい』って言ったよ」
「退職願にちゃんと『1カ月後に』って書きました。後任を決めないあなたが悪いんでしょ」
「辞めるとなると、途端に偉くなるんだな。俺はお前の退職願を受理していないぞ」
「受け取ってじゃないですか」
「バーカ、お前が出したのは退職願だ。『退職させてください、お願いします』っていう文章だ。俺は『その願いをかなえてやる』とはまだ言ってないからな」
「はあ?」
「お前、退職願と退職届の違いも知らねえのか、本当に社会常識がない奴だな。だから広告も売れねえんだよ」
「なんですかそれ。成績が悪いのは、ネット広告に進出しないからでしょうが。私の営業成績が良くないのは認めますが、会社の売上だって下がっているじゃないですか」
「うるせえ。お前が次にどこの会社に行くのか知らねえけどな、この業界では絶対に働けないようにしてやるからな」
上司はそれで電話を切りました。リコさんは手がぶるぶる震えていましたが、「言いたいことは言ってやった」という満足感はありました。
そして缶ビールのプルタブを開けて、「お前なんかに、私を広告業界から追放する力があるはずねえだろ」と独り言をいってから飲みました。
3:人は去り際の態度で評価される。どんなに悔しくても怒らないこと、怒らないこと、怒らないこと…。
上司との電話での口げんかによって、ようやくリコさんの退職手続きが始まりました。まずは、リコさんの仕事の後任選びですが、リコさんの予想通り、「そう」と言ったきりリコさんのことを無視し続けていた先輩が選ばれました。
リコさんが先輩に「じゃあ、クライアントさんのところに行きましょうか」と声をかけても、返事をしません。先輩はリコさんの目の前でスマホを取り出し、画面をいじり始めました。しばらくするとリコさんのスマホの着信音が鳴り、確認すると目の前にいる先輩からLINEが届いていました。文面は「先に行け、後ろをついていく」とありました。
リコさんは驚きましたが、下唇をグッと噛んでバッグを持って事務所を出ました。
先輩は地下鉄駅に向かう道でも、クライアントの会社の中に入るときも、リコさんの1.5メートル後ろにピタッと付いたままです。
その会社の面談ブースで先方の担当者を待っているときも、2人は何も話しません。そして担当者が現れるやいなや、その先輩は、リコさんの紹介を待たずに、名刺を差し出したのでした。
そして「これまで山内が大変ご迷惑をおかけしました。今回は山内の退職による交代ではあるのですが、実は我が社としましても、いつまでも御社に新人を張り付けておくわけにもいかないと考えておりました。何かと行き届かない点があったと思いますが、今後はそのようなことが起きないようにいたします」とよどみなく言ったのでした。
これにはリコさんばかりか、その担当者も呆れた様子でした。その1時間後にその担当者からリコさんのところに電話が来て、「なにさ、さっきの人。無礼にもほどがあるね」と言われました。
リコさんはこのように感じました。
「私もノルマについては大きなことは言えないんですが、その先輩も成績は悪い方でした。だから本当は、私の後任になるのは助かったはずなんです。でも仕事量は確実に2倍になるので、それは嫌なんです。人の本性って、ピンチのときに見えるもんなんですね」
リコさんはその後も、ぎくしゃくしながら引き継ぎを続けていきました。退職日は結局、リコさんが当初希望していた日の1カ月後になりました。つまり2カ月も引き留められたわけです。
ただ、リコさんが辞める会社にここまで尽くしたのにはわけがありました。それは、フリーランスになろうと思っていたからです。
上司や先輩と険悪な状態になってしまった以上、退職後にこの会社から仕事をもらうことは不可能です。ならば、引き継ぎ業務にかこつけて、クライアントたちにフリーになることをなんとなく臭わせることにしたのです。
なので、リコさんの後任になる先輩が、クライアントから嫌われれば嫌われるほど、リコさんはほくそ笑むのでした。
そして案の定、退職から数カ月もすると、かつてリコさんにセクハラやパワハラをしかけたクライアントや顧客から、仕事のメールが届いたのでした。しかもその仕事依頼は、きちんとリコさんのスキルを見込んだ内容になっていて、ギャランティも申し分ないものでした。
広告代理店の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.ADからPRの道へ…企業の広報部に転職
広告代理店での営業経験が100%そのまま活かせる転職先は、企業の広報部があります。広告の仕事も、広報の仕事も、企業の良いところを世間に周知するという点でまったく同じだからです。
ただ、広告代理店はクライアント企業のために、広報担当者は自社のために、という違いはありますが。
企業には必ず良いところと悪いところがあります。企業は、悪いところもきちんと知らせないと、叱られます。それで大きな企業にはIR部門があり、自社に不利な情報も株主や投資家に提供しています。
しかし、広報の担当者は遠慮なく自社の良いところだけを宣伝すればいいのです。
例えば、自動車メーカーの広報担当者なら、自社の最新低燃費車について、「世界で最も経済的なクルマです」とPRすればいいのです。
ところがこの仕事は、簡単そうに見えて複雑です。というのも、人は燃費だけを気にしてクルマを買うわけではないからです。また、「低燃費」「ガソリン代が安い」とうたうだけでは、どことなく貧乏臭いクルマに思えてきます。それでは、燃費を気にする人にも買ってもらえないでしょう。
そこで広報担当者には、イメージ戦略を立てることも求められます。
例えば、たばこメーカーであれば、「おいしいタバコですよ」とPRするのではなく、「マナーを守った喫煙を」と広報すれば「良いタバコメーカーだな」と思ってもらえます。
たばこメーカーのイメージ戦略が成功すれば、すっかり世間の嫌われ者になってしまった喫煙家が、あまり嫌われずにニコチンを吸うことができるようになります。
そして、広告代理店に勤めていたあなたが広報に向いている理由は、もうひとつあります。それは「常に売上を意識した広報ができる」ということです。
広報が「利益や売上を意識しなくてよい部署」というのは誤解です。いや、誤解というより妄想に近いかもしれません。
広報はどうしても「キレイごと」を言わなければならないときがあり、それで「この広報活動は社会貢献の一環です」と言い切ってしまうことがあります。
しかし、ビジネス活動において、売上に貢献しなくてよいアクションは1つもありません。広報においても同じです。
しかし、広報をやりたくて広報パーソンになった人の中には、この妄想、つまり「我々は売上に貢献する必要はない」という考えにとりつかれている人がいます。
こういう人は、上司がいくら「とはいえ、売上につながるような広報をしなさい」と注意しても、イメージ先行の広報にこだわってしまうのです。
しかし、広告出身のあなたなら、そんな注意は不要でしょう。広報はイリュージョンであることを、あなたは知っています。イリュージョンである以上、観賞料を支払う観客を感動させなければなりません。
人々を感動させながら、その奥に購買に結び付ける仕組みを潜ませることは、あなたの得意技のはずです。
以下に紹介するのは、転職支援サイト大手のDODAの「広報」求人票の一部です。「業務内容」から、企業が広報パーソンに「売上への貢献」を求めていることがお分かりいただけると思います。
しかもおまけのメリットとして、ADと違って広報業務には「ノルマ」「目標値」が存在しないか、計測が曖昧なため、ゆったり仕事が楽しめるのです。
広報に関する求人票から
求人企業の特徴 | 賃金 | 業務内容 |
東証1部機器メーカー | 社内平均年収712万円 | 経営企画部の一員、マスコミ対応、プレスリリース運営、 |
教育とエンターテインメント | マネージャー月給40万円 | マスコミ対応、官公庁への報告、取引先との連携、広告代理店との折衝 |
アパレルブランド | 年収375万~525万円 | ブランドの世界観や商品コンセプトを伝える、リース業務、撮影補助、パリコレ随行 |
参考資料「広報の求人検索結果」(DODA)
2.広告/マーケティングコンサルタントに転職する
「コンサルタントへの転職はいかがですか?」と言われて、「自分には無理」と感じたあなたは、「経理の知識がないから無理」と思ったのではないでしょうか。
確かにコンサルが経理の知識を持っていると、財務や税務についても助言ができるので、ひとつの武器にはなりますが、しかしそれは刑事が足首に隠している小型拳銃のような、いざというときの武器でしかありません。
経理や会計をメインの武器にしているのは会計コンサルであり、一般の広告コンサルのメインの武器は別にあります。
広告コンサルの武器は、次の3点です。
- 対人コミュニケーション力
- 社外組織、社外業界への適応力
- 流行への感度と情報収集力
まず最初のコミュニケーションについてですが、広告代理店の経験があるあなたなら、「単なる趣味に過ぎないコミュニケーション」と「おカネになるビジネススキルとしてのコミュニケーション」の違いをご存知のはずです。
ここで言うコミュニケーション力は、もちろん後者です。多くのコンサルタントは、あなたには信じられないかもしれませんが、ビジネスで通用するコミュニケーション力を持っていません。話術もプレゼンも下手なコンサルがいかに多いことか。
なので、広告業界で磨いたあなたの会話術は、すぐにコンサル業界で力を発揮するでしょう。
次の対応力ですが、これも「1分先は別案件」「ドタキャン」「修正の嵐」「朝令『昼改』暮再改」の世界で生きてきたあなたなら、難なくクリアできます。
ちなみに「朝令昼改暮再改」は「朝令暮改」よりはなはだしい「朝の指示が、昼には修正され、夕暮れには再修正が入る」という意味の造語です。
あなたはいつも、変更と修正と中止を想定して動いてきました。それが対応力です。そして最後の、流行への感度は、これまであなたがもっとも意識してきたスキルのはずです。「古い」「陳腐」「手垢がついている」「知ってるよ、そんなの」という言葉を聞くと、広告パーソンなら誰でもアレルギー反応を起こすはずです。
コンサルタントは、クライアント企業の社長たちに対し、クライアントの業界について解説し、今後の展開を示す仕事です。流行への感度がないコンサルのプレゼンは、1分で社長のあくびを誘います。しかしあなたなら、社長が知らない業界事情を盛り込んだプレゼンが可能なはずです。
そうなんです、プレゼン能力もコンサルには求められます。あなたのタブレットの中にあるパワーポイント資料は、少し改良するだけですぐにコンサルの現場で使えるかもしれません。
コンサル業界の成長性
- 5年で3.9%の成長見込み…2016年の国内コンサルティングサービスの市場規模は6792億円。2021年には8000億円(3.9%アップ)を超える見込み。
- デジタルコンサルはさらなる成長率…コンサル業界の中でもデジタル関連のコンサル市場は、2016年から2021年までの5年間で23.8%の上昇を見込む。
- デジタルコンサルとは…クラウドやビックデータの導入や活用、モビリティやソーシャル技術の運用、その他、AIやロボットなどのコンサルを求める企業も増える見通し。
3.ややこしいメディアを相手にしてきた辣腕がここでものをいう…一般企業の営業職に転職
「普通の営業をしてみてはいかがでしょうか」という提案は、「広告業界に疲れた人は、普通のビジネスをしてみてください」というアドバイスではありません。
一般の人がイメージする営業とは、モノやサービスを顧客に売り込む仕事です。これを「普通の営業」と呼んでいます。
というのも、「広告代理店の営業」は、確かに媒体というモノや、宣伝というサービスを売る商売ですが、しかし媒体はいわゆる「製品」ではありませんし、宣伝には消費者が肌で実感できる「ありがたさ」が希薄です。
なので、やはり広告代理店の営業は、「普通の営業」ではないのです。
ですので、広告代理店の営業経験があるあなたにおすすめする「普通の営業」は、あなたが売りたいモノを売る仕事です。
あなたがこれまで見てきたさまざまな業界や企業の中で、あなたが「売ってみたい」と感じたモノまたはサービスを生み出している会社に転職しましょう。
もしくは、あなたがこれまでつくってきた広告の中で、一番消費者に刺さったモノまたはサービスは何だったでしょうか。
その広告が世の中に受け入れられたのは、コピーが良かったからですか、ビジュアルが斬新だったからですか、媒体がマッチングしたからですか。
そうではないでしょう。
あなたが「これを売りたい」「この良さは必ず理解される」と確信したからではないでしょうか。
「普通の営業」が「広告の営業」と異なる点は、実感です。
「普通の営業パーソン」は、自社の製品やサービスを売ります。開発者や企画者や社長や上司を代表して、営業パーソンが世の中に売り込みをかけるので、「売っている」という実感が得られます。
これは必ずやりがいにつながります上に、ややこしく癖があるメディアマン達を長年相手にしてきたあなたならば、「いかに一般企業の営業職が広告業界に比べると楽勝なのか」を身をもって感じることとなるでしょう。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
広告代理店勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「広告代理店以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない広告代理店業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。
また、辞めづらい今の職場で(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
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