
北野筆太

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記事の目次
日本製品が安価で高品質なのはプロセス技術開発者のおかげ。彼らの「技術屋魂」を傷つけるのは誰だ。
「プロセス技術開発の仕事に携わった人なら必ず言う言葉があります。それは『こんなに楽しい仕事があるなんて知らなかった』です。そしてこの仕事を1年やると、必ず口にする言葉もあります。それは『この仕事がなくなったら日本のモノづくりは立ち行かなくなる』です」
半年前まで、あるメーカーのプロセス技術開発の仕事に就いていた八田浩二さん(仮名、27歳)によると、大学を出てメーカーに就職する技術系の人たちは、大抵「開発」に進みたがるそうです。
そして開発に空きがなかった場合、次に希望するのは「製造」なのだそうです。
というのも、メーカーに就職する人たちでも、「プロセス技術開発」の存在を知らない人がほとんどなのだそうです。
メーカーの中に入り、開発部門に回してもらうことができず、渋々配属されるのが、プロセス技術開発なのです。しかし、この仕事、やってみるととても充実感があるそうです。
八田さんには、「プロセス技術開発職を辞めた経緯をお聞かせください」という依頼してインタビューをしました。
ところが八田さんがまず語り始めたのは、その仕事の意義深さだったのです。この種のインタビューでは会社への批判がほとんどなので、喜々としてプロセス技術開発について語る八田さんの姿はとても意外でした。
それで次のような質問をしました。
Q:お話をうかがっていると、とても仕事に充実していたように感じたのですが、辞めてしまったことを後悔しているのではないですか |
A:いえ、後悔したことは一度もありません。非常につらい仕事でしたし、やり尽くしたといったら先輩方に申し訳ないのですが、自分なりに限界まで到達しました。
ですのでいまは『辞めて良かった』と思っています |
Q:それでも素晴らしい仕事だった、ということですか |
A:そうですね、とてもやりがいがありました。日本のモノづくりを支えているのは、開発者でもなく、製造現場でもなく、プロセス技術開発者であると胸を張って言えます |
Q:充実していた仕事に限界を感じてしまったのは、寂しくないですか |
A:それは少しあるかな。でも、私が感じた限界は、日本の製造業の限界でもあると思ったので、とにかく脱出できていまはホッとしていますよ |
家電メーカーに元気がないのもそのせい?
八田さんの見解では、日本メーカーの素材力と発想力は、世界屈指だそうです。商品開発力も、マーケティングも悪くないそうです。工場の職人たちの腕も、世界に類を見ないレベルだそうです。
それでも日本メーカーが世界市場で苦戦しているのは、「開発の後の工程」であり「製造の前の工程」である、「プロセス技術開発」部門が弱くなっているからだと、八田さんは考えています。
ユニークな家電を次々生み出し、世界中に製品の愛用者がいた日本メーカーS社が、台湾の受託製造専門の企業に買収されたことは驚かなかった、と八田さんは言います。
「開発力とブランド力だけでは、製造力にかなわない時代なのです」
八田さんの見解に深くうなずくあなたは、経済産業省の官僚か、もしくはプロセス技術開発の経験者のはずです。
「プロセス」(製造工程)をいちから見直し、品質向上とコストダウンという二律背反を克服する「技術」を「開発」するあなたの仕事は、もっと評価されてしかるべきなのです。
もっと脚光を浴びていいはずなのです。
あなたが抱える「もやもや」は、八田さんの話を聞くと、少し晴れるかもしれません。
プロセス技術開発の業務の流れ
技術ニーズの把握 | 生産効率と収率の向上を達成するために必要な技術を洗い出す |
研究開発と実験 | 集めた技術で本当に目標をクリアできるかを実験する |
シミュレーション | 実験より大きな規模でシミュレーションを行うことで、より実践に近い結果が得られる |
開発と設計 | 生産効率と収率を向上させる目途が立ったら、工場に導入するための開発に着手する。同時に設計も行う |
プロセスの構築 | 工場に導入できる状態までプロセス(製造工程)をつくり込む |
導入と生産開始 | 実際の工場に導入し、稼働させる |
評価と検証 | 新しいプロセスの稼働から一定期間がすぎた時点で、その特性評価や構造検証を行う |
サポート | 不具合のチェックや、生産効率と収率の集計、さらに改善点を洗い出す。コストダウンの算出も |
参考資料
メーカーのプロセス技術開発者ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

開発者と製造者をつなぐ、やりがいが詰まった仕事。「技術の仕事だけがしたい」それはわがままなのか。
辞めたい理由と悩み1:仕事自体はこんなにも楽しいのに…
それではまずは、八田浩二さんが感じていた、プロセス技術開発の仕事の「良さ」について紹介します。
八田さんは大学の工学部に進学し、そのまま大学院に進み、卒業と同時にメーカーに入社しました。半年ほど研究部門にいましたが、その後プロセス技術開発部門に配属されました。
研究志望の社員は、最初はショックを受ける
「その会社では、大学院出は研究職に長く居るものなので、異動を告げられたときは、正直ショックでした。職場の先輩にも『なんで八田がプロセスなんだ』って言ってもらえました。でもまあ、大学に残らないと決めたときから、サラリーパーソンに徹する覚悟はできていましたから、それでなんのクレームもつけずに、プロセスの部屋に向かいました」
試作品づくりがこんなに楽しい仕事だとは
八田さんの新しい部署「プロセス技術開発部門」では、新規に開発した製品の製造加工条件を決めたり、やはり新規開発品の試作品を作製したりしていました。
八田さんは試作品づくりを主に任されることになりました。
試作品には2種類あって、ひとつ目はラボでつくる試作品です。これは完全手づくりで、コスト度外視でつくります。コストを考えないでいいのは、つくるのは1種類につき数個ですので、それほど大きな金額にはならないのです。
もうひとつの試作品は、工場の設備を使ってつくるものです。本物の生産設備を使うのは、「量産できるかどうかはともかく、とにかく我が社が現在保有している機械でつくれるものなのか」を試す目的もあります。
後者の試作品、つまり自社工場の設備を使ってつくる場合は、ひと苦労あります。それは、自社工場は昼間は製品をつくっているからです。試作品づくりは工場の通常の操業時間が終わった後の夜から夜中、ときには朝方にかけてつくることになります。
「何回も失敗するのです。でも、必ず成功するのです。この過程を味わってしまうと、ちょっと他の仕事はできませんよ。だって、私たちが買うのは、アルミの塊とか、ビーズ状の樹脂なのですよ。それが工場の機械を使って加工すると、製品ができるのですよ。職場の先輩たちと飲むと、いつもそういう話をしていました。上司も『何年もこの仕事をしているけど、製品がポコッと出てくる瞬間は、いまだに不思議な感覚だよ』と言っていましたよ。試作品を見ると、ああ、自分は本当に技術屋になったんだなあって思いました」
プロセス技術開発職のあなたも、試作品が完成したとき、それが愛しくて愛しくて、いつまでもなでていたのではないですか。
幾日も数カ月も成果が出ず、自宅に帰っても加工方法について考え、試行錯誤を繰り返し、上司にギブアップ宣言をしてしまおうという気持ちと闘いながら、職場のみんなに支えてもらいながら、そしてついに成功の日を迎えるのです。
開発者はあなたに感謝し、祝福してくれます。あなたはそのとき、とても誇らしい気持ちになっていたはずです。
なぜプロセス技術開発が重要なのか1
■製品の「寿命」が短くなっているから
工業製品のライフサイクルは年々短命化している。新しい製品を次々生み出さなければ、ものづくりは立ち行かない時代になっている。
さらに、これまで次世代技術と思われたものが次々と製造現場に投入され、製造工程自体も変化を余儀なくされている。
つまり、メーカー間の競争とは、「開発・試作」から「量産体制の構築」までの時間を短くする争いなのである。
ところが、「魅力ある製品の開発・試作」と、「コストダウンが図れる量産体制の構築」は、矛盾する。魅力ある製品は量産しにくく、逆に、簡単に量産しやすい製品であれば海外の工場でつくればよい、ということになってしまうからだ。
その矛盾を解消こそが、プロセス技術開発陣の力の見せどころである。
「開発・試作」から「量産体制の構築」までの時間を短縮しつつ、なおかつ大量生産しにくい製品を、いかに安くつくるかが最大のミッションである。
参考資料
辞めたい理由と悩み2:いつの間にか業務の8割は調整業務。あちらを立ててればこちらが立たずに日々。
そんな魅力ある職場を、八田浩二さんは捨ててしまったのです。
プロセス技術開発という、やりがいがぎっしり詰まった仕事の魅力を上回る「嫌なこと」とはなんだったのでしょうか。
いかにも面倒臭そうにする作業員たち
八田さんは「技術屋としての仕事は、大体2割くらいでしたね。残りの8割は、調整役なんです。とても疲れました」と振り返ります。
例えば、試作品を工場の機械を使ってつくるときも、膨大な量の調整作業が発生しました。
八田さんは技術者ですが、工場内のすべての機械を動かせるわけではないので、現場の作業員に残ってもらわないとなりません。
作業員たちは日中に通常の製造ラインで働いて、そのまま残業をして、八田さんたちに協力しなければならないのですから、いい顔をするはずがありません。
作業員たちは、八田さんの指示通り動けばいいだけですが、八田さんにはそこにたどりつくまでにしなければならないことがあります。
■工場長は製造工程が頻繁に変わることを嫌がる
例えば工場の設備を借りるには、工場長の許可が必要ですが、工場長は実は非協力的です。
というのは、プロセス技術開発者たちが新しいプロセス(製造工程)をつくれば、作業工程を大幅に変えることになります。それは単純に工場長の仕事を増やします。
新製品の生産が始まるときも同じ面倒が発生しますので、工場長としては、試作品の完成が遅れれば遅れるほどありがたいのです。
さらに、プロセス技術開発者の「都合」で作業員を残業させるには、総務部の許可が必要です。労務管理の担当者は、作業員たちをオーバーワークさせないために、勤務シフトを組み替えなければならず、やはりいい顔はしません。
八田さんたちは、エース級の作業員に試作品づくりをしてもらいたいのですが、エース作業員の上司であるチーフたちは、試作品づくりで彼らを疲れさせたくありません。
ですので八田さんが現場のチーフに、普通に「どなたか作業員さんを貸してください」と頼んだだけでは、エース作業員を出してくれません。
八田さんは、事前にエース作業員の上司であるチーフに根回ししなければならないのです。
試作品に失敗はつきもの、という当然のことを理解してくれない
そこまで下準備して、試作品がその日に完成しなければ、また別日程を組み直さなければならないのです。ところが、その作業はさらに困難を極めます。
試作品の失敗は八田さんの設計ミスなのではないかと、工場長からも総務部からもチーフからもエース作業員から責められるのです。
八田さんはこう言います。
「確かに試作品が完成しなかったので、図面を書いた私のミスです。でも、だから試作品なのです。もし試作品が100%の確率で成功するなら、いきなり生産工程にのせてもいいはずでしょ。トライ&エラーを面倒くさがる風潮に、本当に嫌気がさしました」
「こんな夜中に私が行く必要があるのか」
長時間労働も、八田さんのメンタルを削っていきました。
新製品の製造がスタートしても、機械はなかなか安定しません。現場の作業員でも微調整はできるのですが、歩留まりの悪化がはなはだしいと、このプロセス(製造工程)を設計した人、つまり八田さんが呼び出されます。
八田さんはそのころ、試作品づくりと並行して製造における加工条件の設定も行っていました。
製品が好調に売れてフル生産体制のときは、夜中に呼び出されることもあります。
「夜中にスマホが鳴って、不機嫌な声でこちらが出ると、それを上回る不機嫌な声で『どうしたらいいんだよ』って言われるのです。夜勤の現場のリーダーから、うまくいかないという連絡です。電話で指示を出すのですが、作業員たちはわざと分からないフリをするのです。とにかく技術屋を現場に呼びつけたいわけです。彼らは、私たちのことを『お前らのせいでやっかいな仕事をやらされている』って思っているのです。だから、こういう機会に嫌がらせをするのです」
そして実際に八田さんが工場に出向くと、簡単に片付くこともありますし、また朝までかかっても修正できないこともあります。
朝までかかって修正できなかったのに、定時の午前8時に出勤してきた現場のチーフが機械を見たら1分で解決した、ということもありました。八田さんはこのとき、「こういうのは現場内で解決してくれよ」と怒鳴りたくなったそうです。
プロセスと製造が協力しなければ安くて良い製品はできない
八田さんは、モノづくりがしたくて、大学は工学部を選びました。高度で新しいものをつくりたくて、大学院に進学しました。プロセス技術開発の仕事は、モノづくりの実感が得られました。しかし社内調整という仕事には、なんの喜びもやりがいも見出すことはできなくなってしまいました。
「だから、いまの日本の大手企業製造業はダメなのだと思いますよ。社内調整や派閥ばかりに気を取られていて、良い製品をつくって世界を驚かそうといった意気込みがあまりに感じられません」
プロセス(製造工程)を刷新することは、それ自体が大変なことです。プロセス技術開発者と製造現場が歩調と波長を合わせて取り組まなければならない仕事です。
しかし製造現場では、その連携がうまくいかないことが多いのです。
あなたも、八田さんが言う「日本メーカーは製造工程の弱体化から崩壊が始まるのではないか」という意見に賛同できるのではないでしょうか。
■日本の重要産業を救えるから経済産業省は半導体製造におけるプロセス技術開発の研究費として、2012年度から2015年度までの4年で約39億円を投じた。日本の「お家芸」である半導体事業の復活には、少量生産ができ、製造コストを抑えることができる「小さな新しい工場(ミニマルファブ)」が必要である。巨額の国費を投じた結果、クリーンルームを用いないミニマルファブで製造できることを証明し、さらに、高付加価値のデバイスやマイクロプロセッサの開発が不可能ではないことを示すことができた。
参考資料
「革新的製造プロセス技術開発(ミニマルファブ)6.5億円(新規)」「経済産業省2012年」
http://www.meti.go.jp/main/yosan2012/pr/pdf/ene_sangi_03.pdf
「革新的製造プロセス技術開発(ミニマルファブ)技術評価結果報告書(終了時評価)」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/sangyougijutsu/kenkyu_hyoka/hyoka_wg/pdf/029_03_02.pdf
辞めたい理由と悩み3:カネに関わる仕事が嫌で工学部に入ったのに。価格交渉を押し付けられて退職を決意。
簡単につくれるものは、すべて海外に行ってしまいました。日本で工場を稼働させている日本メーカーは、日本人でなければつくり上げることができない高付加価値製品をつくっています。
日本人でなければつくれない高付加価値品でなければ意味がない
例えばキヤノンは、「日本シフト」に取り組んでいる優良メーカーのひとつです。国内の生産比率を43%から60%に引き上げる目標を掲げています。
同社の キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は「生産現場の人材の質は、日本の方が圧倒的に高いから」とその理由を説明しています。
八田さんの会社でも、土地や税金が高い日本の地に工場を建て、人件費が高い日本人作業員を雇用している以上、高品質、高付加価値、そして高い値段で売れる製品をつくっています。
「外注様」と「上司様」の板挟み「どうしても嫌だ」
そのためには、高度な技術を持つ会社とタッグを組む必要があります。自社ですべてまかなうには経費と時間がかかりますし、高度な技術を持つ会社を買収するにも莫大なおカネがかかります。技術力のある会社に協力してもらうのが、手っ取り早いですしコストを抑えることもできるのです。
いわゆる外注なのですが、ただこの場合は、自社に足りない技術を補ってもらうので、「外注だから立場が弱い」ですとか「横暴な元請け企業」といったことは発生しません。
対等どころか、元請け企業の方が立場が弱いこともあります。
ここまで読んできたあなたなら、もう察しつがつくでしょう。そうなのです。八田さんは、外注先企業の調整もやらされたのです。
外注先企業は高い技術力を背景に、かなり高いギャランティを要求します。
八田さんは自分の作業を円滑に進めるためにその金額で契約したいのですが、上司がそれを許しません。上司は平気に「そんな金額が飲めるわけないだろ。半額に値切れ」と言います。
八田さんがその金額をそのまま外注先企業に伝えてしまっては、「じゃあやりません」と言われてしまうのは確実です。
八田さんは、このような仕事が心底嫌いでした。
「なんで技術屋の俺が、カネの調整までしなきゃらならないんだ」と思い悩み、眠れない日が続きました。製造業に携わる以上、コストについて考えないわけないことは、八田さんも重々承知しています。
おカネの交渉のスキルを身に付けなければ管理職になれないことも知っています。
しかし八田さんは「どうしても嫌だ」と思い、退職を決意したのでした。
「もう研究職にも戻りたくない」企業全体に不信感を持つ
とてももったいない話だと感じました。
八田さんは、プロセス技術開発の仕事は好きだったわけです。ただ、そこから派生した「附属品」のような仕事を嫌悪したのです。それでこんな質問をしてみました。
Q:もう少し我慢すれば、また研究室に戻れたのではありませんか |
A:そうかもしれませんね。でも、そこからまたプロセスに戻されるかもしれないじゃないですか。会社全体に不信感を持つようになってしまっていました。 |
Q:おカネに関わる仕事が嫌だったのですね |
A:そうです。新しい技術を開発して、コストダウンを目指す、これもおカネに関わる仕事ですが、こういう仕事にはストレスを感じません。
ですが、外注先に作業賃を値切ったり、材料屋さんに価格交渉したりといった仕事は、どうしてもやりたくありませんでした。 |
Q:かなり大きなストレスを感じたということですね |
A:私はビジネスパーソンになりたくなくて、エンジニアになったんです。プロセス技術開発の仕事は、半分ビジネスパーソン、半分エンジニアであることが要求されます。
それは私にはとても大きなストレスでした。 |
安らげる職場を探すには退職&転職という道も
あなたはいかがでしょう。このままプロセス技術開発の仕事を継続しますか。
それとも退職しますか。
「転職しても、つらさの種類が変わるだけ。つらさの絶対値はどこに居ても同じ」
そのように思いますか。八田さんは転職先について明かしてくれませんでしたが、今の働き方にはとても満足しているそうです。
「定時で帰れますし、夜中に呼び出されることも(普通は)ありません。好きな仕事がルーティンワークになっています。仕事量が決まっているので、1週間の作業計画を月曜日に立てることができるので、精神衛生上とても良いです」
いかがでしょう、あたなもこうした心が安らげる働き方をしませんか。
そのためにはやはり、退職そして転職という作業工程を経なければならないのです。
参考資料
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.研究・開発部門に異動願を出す
プロセス技術開発は確かにやりがいを感じられる仕事ですが、しかし花形職場ではありません。花形どころか地味、地味どころか存在感すらない場合があります。開発なのか製造なのか、社内ですら「その位置づけ」を正確に理解できていない人もいます。
ある大手メーカーのプロセス技術開発部門に配属された理系大卒社員も、「この仕事に就くまで、こんな仕事があるとは知りませんでした。試作品が完成したら、製品をつくり込むのは製造工程だと思っていました」と告白します。
本音を見つめよう「プロセス技術開発は本当にやりたい仕事なのか」
プロセス技術開発の仕事は「やりがいがある」と言っていた八田さんですが、しかし研究部門に配属されるという約束で入社し、実際に研究の仕事に就けてとても満足していました。
もしかしたら「プロセス技術開発の仕事は素晴らしい」と言ったのは、自身のプライドを守るためだったかもしれません。研究職をわずか半年で外されて、本意でなかったプロセス技術開発に回されたことは事実なのですから。
八田さんがもし異動させられることなく、研究・開発の仕事を続けていたら、果たして退職していたでしょうか。
そのように考えると、いまプロセス技術開発の仕事をしていて、行き詰まり感を持っているあなたには、すぐに退職・転職を選択するのではなく、研究・開発部門への異動を願い出てはいかがでしょうか。
プロセスを経験した研究・開発者は相当強い
意外にすんなりとその異動願いが通るかもしれません。というのは、最近のメーカーはいわゆる「尖った商品」の開発に躍起になっています。
万人に愛され、誰でも手軽に買うことができるいわゆる「先が丸まった商品」は、いまの消費者に見向きもしません。
尖った商品は、「刺さる」消費者は少ないのですが、しかし1度「刺さった」消費者は、それが高価であってもおカネを出すことを惜しみません。
しかし、生粋の研究・開発者たちは、「尖った商品」のアイデアを出すことはできても、それを製品化するノウハウに乏しいのです。
そんなとき、プロセス技術開発を経験したあなたがいれば、研究・開発室では「尖った商品」をデザインしながら、製造工程を組み立てることができます。
また、研究・開発者のあなたなら、あなた自身が「尖った商品」をつくればいいのです。
研究室で純粋培養された研究者、開発者たちは、工場では到底再現できないことを、フラスコの中で成功させて喜んでいます。
これではいつまで経っても生産にのせることはできません。
後工程は「お客様」の精神で
あなたなら、研究・開発室を「構造改革」することができます。
これまでの研究・開発者たちは「素晴らしいものを試作しました。頑張って量産してくださいね」という態度でした。これでは、後工程の人たちに毛嫌いされます。
あなたが研究・開発者になれば「素晴らしいものを試作しました。製造方法はこのようにすればコストがかかりません」と提案できるのです。
2.製造部門に異動願を出す
プロセス技術開発の仕事を長くやっていると、製造現場のやり方にイライラしませんか。「もっと効率的にできるのに」「ちょっと考えれば分かるだろうに」と。
製造現場の意識改革ができる
あなたはこれまで、四六時中「工場の効率化」を考えてきたと思います。しかし製造部門の人たちが考えていることは「いかに事故なくマニュアル通りに仕事を終えるか」です。
そして、あなた出した効率化アップのためのアイデアも、製造部門は「面倒臭い提案」として闇に葬られてきました。従って、あなたが製造部門に異動すれば、あなたのストレスもなくなり、工場は生産性向上を果たせ、会社は収益を上げることができるのです。
自分の手で「新しい工場」をつくるために
プロセス技術開発部門は、あなたの会社の1部署にすぎません。「よそも同じだろう」と悲観するのではなく、「隣の芝生の青さ」に目を向けてみてください。
プロセス(製造工程)を熟知しているあなたが製造現場に異動すれば、工場を内側から改革して「新しい工場」をつくることができるのです。
3.プロセス技術開発を辞めて他業界に転職する
もしあなたが、プロセス技術開発の仕事に嫌気をさし、そのネガティブな気持ちの発生元が「会社の体質」であれば、研究・開発に異動しても、製造部門に移っても、状況は変わらないでしょう。むしろ「隣の芝生だから青く見えただけ」かもしれません。
プロセス経験者は多くの人が待ち望んでいる
それならばいっそのこと転職してみませんか。
モノづくりは、大手メーカーの専売特許ではありません。
むしろ現代は、ソニーやパナソニック、ドコモといったメガカンパニーが、小さなモノづくり会社やベンチャー企業に、コラボを持ちかけているくらいです。
モノづくりの巨人、自動車業界でも同様です。アメリカの新興電気自動車メーカーのテスラの時価総額が、世界のGMの時価総額を超えたぐらいです。自動運転車の開発に至っては、グーグルなどIT企業がリードしているのです。
あなたも「モノづくりの逆転現象」の波に乗りませんか。
そのためにはまず、退職という大きな壁を乗り越える必要があります。
あなたのような有能な方の退職は、少し大変です。
参考資料

他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまくプロセス技術開発勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、現職場以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
プロセス技術開発の辞め方とタイミング
辞め方とタイミング1:引き継ぎは非常に困難を極めるので注意
プロセス技術開発者の「退職活動」で最も大変なのは、引き継ぎです。
あなたも経験があるのでしょう、退職者から引き継ぎを受けたとき、「なんでこんなことしか教えてくれないのかな」と不満に感じたことがあるかもしれません・
しかしそれは、その退職者が悪いのではなく、プロセス技術開発の引き継ぎの難しさに原因があったのかもしれません。
プロセス技術開発者の仕事は、先輩たちの仕事のバージョンアップさせたものです。先輩方がつくり上げたプロセス(製造工程)を、さらによくするのがあなたの仕事だからです。
つまり事実上、あなたの仕事は、あなたにしか理解できないのです。
プロセス技術開発の引き継ぎ業務は、技術者の頭の中をのぞかせるようなもので、だから難しいのです。
八田浩二さんも苦労しました。
上司が八田さんの後任に指名した人は、八田さんの後輩でした。当然八田さんより仕事はできません。引き継ぎ業務に社員教育をトッピングしたようなものです。
八田さんは「今の仕事」を教える前に、「そもそも当社のプロセス技術開発とは」から説明しなければなりませんでした。
辞め方とタイミング2:「退職活動の3原則」静かに、じっくり、確実に
八田さんは当初、退職届を出してから2カ月後に退職するつもりでした。上司と話し合って、その期日に決めたのです。ところが、引き継ぎがはかどらず、上司から「もう1カ月延長してくれ」と懇願されました。
八田さんはこのように振り返ります。
「会社に籍を置いているうちは、転職活動をするつもりはありませんでした。全部片付けてから実家に戻って、失業保険をもらいながらゆっくり『定年まで働ける職場』を探したかったからです。それで1カ月の延長要請を受けることにしました。でも、普通の人は、退職を決めた時点で就活しますよね。私は蓄えがあったし、独身だったからよかったのですが。しかも最近は技術職の求人が多いから、すぐに決まってしまうと思うのです。内定した企業に入社を1カ月延長してほしいなんて言ったら、『来なくていい』って言われてしまいますよね。元も子もありません」
退職までの行動は「隠密」が原則です。退職届を出す前は、本当に信頼できる人にしか、そのことを明かしてはいけません。
ということは、退職の準備も秘密裏に行う必要があります。退職を表明する前に引き継ぎメモの作成に取り掛かるのはかまいませんが、その際、それを会社のパソコンでつくるようなミスはしないでください。
静かに、じっくり、しかし確実に、これが「退職活動」の極意です。
メーカーのプロセス技術開発担当勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
メーカーのプロセス技術開発の仕事に携わっている人の転職は、とても簡単です。なぜなら引く手あまただからです。いまより高額の年収を獲得することも、難しくないかもしれません。
しかし、それがあなたの転職活動の落とし穴になるかもしれません。
時には給料を度外視してみる探し方も
次の転職先探しは、給料よりも「相性」と「必要性」を重視してください。
あなたくらいのスキルがあれば、「やりたい仕事」や「やりがい」はすぐに見つかります。しかし、「社長との相性」「管理職との相性」「同僚との相性」「事務職との相性」は、なかなかマッチングしません。あなたは「売り手市場」であることを意識して、あなた目線で良い会社を探してください。
そして「必要性」とは、あなたが必要としているものを最優先で獲得してください、という意味です。もしあなたが、「帰省する必要」があるなら、多少給料が安くても実家近くの企業がよいでしょう。しかし「地域の隠れた優良メーカー」探しは、かなり大変です。
また、あなたが「都会生活を送る必要」があるなら、今度は打って変わって「買い手市場」になります。都心部のメーカーは、とても人気があるからです。
こうした点を考慮して、あなたに次の3つの業界を紹介します。
1.工場およびプラント建設コンサルタント担当に転職する
プロセス技術開発に携わった人なら誰でも「自分の理想の工場」を持っているはずです。生産設備はいうに及ばす、作業員たちが快適にすごせる環境づくりについても一家言お持ちのはずです。
省エネ工場を提案する仕事も
あなたはこれまで、自分の会社の工場でそれを実現したいと思ってきましたし、そのための働きかけもしてきました。しかしことごとく「抵抗勢力」たちにつぶされてきました。
そこであなたに最初におすすめしたいのは、工場やプラントの建設コンサルタントです。
転職支援サイト大手のDODAに掲載されていた、工場・プラント建設コンサルティング会社の求人の概要を紹介します。
この企業は、工場の省エネ化を強みとしています。その対象は半導体工場、食品工場、医薬品工場、造船工場など、ありとあらゆる工場です。
断熱材を使用したり、エネルギー効率を高めたりする一般的な内容から、最近では太陽光や風力の活用にも力を入れています。コンサルタントの業務としては、顧客工場に出向き全体像を見た上で、改善点とニーズを把握します。
その後、複数の提案を出し、コストパフォーマンスの観点で優先順位を付けてプレゼンします。
同社の年収は、主任クラスで600万円、課長クラスで800万円となります。部長になると1,000万円の大台に乗ります。まずは申し分ない金額といえるでしょう。
いまこそ理想の工場づくりを目指すとき
プロセス技術開発職のいまのあなたは、良くできる工場は1つか、多くても4~5カ所です。つまり、自分の会社の工場しか改善できません。しかし工場建設コンサルタントになれば、日本中の工場の効率化に携わることができるのです。
「日本中の工場」というのは決して大げさな表現ではりません。コンサルタントが成功事例を積み上げれば、必ずそれを真似する企業が現れます。同業他社に真似されることが、コンサルティングの成功を意味します。
あなたがこれまで培ったノウハウは、日本の製造業の宝なのです。コンサルティング業務は、ノウハウを最も効率的に日本中に拡散することができる職業といえるでしょう。
参考資料
「株式会社林ケミック、工場・プラント向け省エネコンサルティングの求人」(DODA)
2.モノづくりベンチャー企業に転職
あなたはこれまで、プロセス技術開発の仕事を通して、最先端の工場をつくってきたはずです。あなたのそのノウハウは、モノづくりベンチャー企業にとって高嶺の花であり、とても手が届きません。
そこであなたからその花をモノづくりベンチャー企業に届けてあげてはいかがでしょうか。
経済産業省は、モノづくりベンチャーが抱える問題点を「量産化」「資金調達」「事業策定」にあると考えています。このうち、あなたは「量産化」の支援ができます。
国も大規模バックアップする市場
同省によると、モノづくりベンチャー企業は、海外進出をためらう傾向にあるそうです。海外工場は製造費の安さが魅力ですが、一方で技術をすぐに模倣されるリスクがあります。
そこで国内生産にこだわるモノづくりベンチャー企業は少なくないのですが、当然ながら国内生産にこだわると、コストの問題が発生します。あなたなら、その企業の規模に見合った工場を、国内の適地につくってあげることができます。
こんなにすごい、モノづくりベンチャーのいま
衣類を機械の中に適当に投入するだけで、衣類の種類ごとに分別して折りたたみ、所定の衣類棚に納める。こんなユニークな「全自動衣類折りたたみ機、ランドロイド」を開発したのは、2011年に操業したばかりのセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社です。
株式会社ロビットはさらに若い2014年創業で、スマホでカーテンの開閉ができる「めざましカーテン、モーニン」をつくりました。
スマホのタイマーをセットすれば、朝、自動でカーテンが開くので、朝日に起こしてもらえるのです。モーニンは2万個を売る大ヒット商品となりましたが、この会社は中央大学の理系学生だった4人が設立したのです。
いかがでしょう、こうした企業があなたを求めていることは想像に難くないと思います。
そしてあなたも、こうした企業を応援したくないですか。
参考資料
「日本における『ものづくりベンチャー』発展の可能性と政策的課題」(経済産業省2016年度度製造基盤技術実態等調査、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000342.pdf
3.地方の老舗中小製造業に転職して工場長を目指す
外国産の安いメガネに押され、大きなダメージを受けた福井県鯖江市のメガネメーカーが、最近元気を取り戻しています。価格競争を辞め、ファッション性や高級感を全面に打ち出して復活したのです。
日本酒業界に革命をもたらしたと言われている、人口14万人ほどの山口県岩国市にある旭酒造株式会社は、かつては安い酒をつくるのが得意な小さな造り酒屋でした。
それが杜氏制度を廃止して、徹底的に「科学」と「高級志向」にこだわり、造り酒屋を工場化して、「獺祭(だっさい)」をつくったのです。
経済産業省近畿経済産業局は、「企業ガイドブック『きんぼし東大阪』」という冊子をPRしています。ここに紹介されている地場の製造中小企業は、どれもそのタイトル通り光り輝いています。
「地味でも光っている」「潜在力はあるけど光ることができない」老舗製造業は数多く存在している
あなたの故郷にも、こうした地味ながら光り輝く製造中小企業や、ポテンシャルは高いのになかなか光を発することができない堅実な企業があるはずです。
もしあなたが、「故郷に帰りたい」または「Iターンしたい」「地方に移住したい」という気持ちをお持ちでしたら、その地域はあなたを大歓迎してくれるはずです。
大企業にはない達成感と、大きな成功体験に遭遇できるかもしれないワクワク感は、相当大きな魅力といえるのではないでしょうか。
参考資料

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
メーカーのプロセス技術開発者のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「プロセス技術開発以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないプロセス技術開発業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
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自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。
また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。
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