
野村 龍一

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記事の目次
スポーツジムインストラクターはハードな勤務体系+モンスターカスタマー対応で心と身体を日々すり減らす仕事
私は体育大学時に健康運動実践指導者などの資格を取得し、新卒で某スポーツクラブにインストラクターとして入社。スタジオレッスンのインストラクターとしてエアロビクスやストレッチ、筋力トレーニングなどの資格を取得しました。
また、パーソナルトレーナーとしてダイエットや筋力アップ、健康増進など会員さま一人ひとりに合わせた指導もしており。スポーツクラブでは社員として、フロント業務や子どものスイミングスクールなども併行業務として行っていました。
現在、31歳。スポーツインストラクターとして5年間働き、現在は地元の企業で会社員をしておりますが、私がなぜスポーツインストラクターを辞めて普通の会社員へと転職したのかを、これからお話しさせていただきます。
スポーツジム業界で働くスポーツインストラクターならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み
辞めたい理由と悩み1:睡眠時間は3時間のハードな勤務体系
▽私が働いていた店舗の基本情報
営業時間:平日9時~23時30分、土曜9時~22時、日曜・祝日9時~18時
休館日:水曜
社員数:社員2名~3名(異動により変動)、準社員2名、アルバイト・パート10名
営業時間は平日9時から23時30分まで。会員さまが実際全員帰るのは24時を過ぎる。
そこからメンテナンス。
働いていたスポーツクラブの規模にもよりますが、私が働いていた店舗のクローズ作業のスタッフは社員1名、準社員1名、アルバイト2名程度でした。
マシン、スタジオ、プール、お風呂、更衣室、トイレなど全部をメンテナンスし、終礼。
最終的に帰宅できるのは26時を過ぎていることがほとんどでした。
スポーツクラブの勤務はシフト制が多く、どんなに帰りが遅くても翌日朝シフトに入っていれば、朝開店2時間前に出社し、プールやお風呂の準備をします。
実質寝られる時間は3時間だけという毎日。
週に1度の休館日も、研修やマシンの故障修理や大規模メンテナンスなどの立会いで休みになるわけではなく・・・。
夜遅いことは当たり前、朝早いレッスンも当たり前、休みといえども体を鍛えたり、マシンや施設のメンテナンスをしたり、他店舗に応援に行ったりです。
これは余談ですが、運動をして汗をかくので、スタジオ内は寒いくらいの温度に設定されています。
逆にプールは水から上がると寒く、温かい風で温度を調整しています。
スタジオとプールの往復で体は急な気温の変化に、風邪をひくなんてことは多くのスタッフにありました。
こんな毎日を繰り返すハードな勤務体系がスポーツインストラクターという仕事なのです。
辞めたい理由と悩み2:モンスターカスタマーだらけの客層
先生と呼ばれることが多いスポーツインストラクターだが、実際は営業職に近いです。
会員さまの要望や意見をくみ取り、適切なアドバイスや指導をしていきます。
もちろんどの仕事もそうですが、会社からも顧客からも結果を求められますが、一定の顧客は過剰なまでにその結果に執着する念が強く、やがてモンスターカスタマー化していく傾向があるのです。
実際に私が出会ったモンスターカスタマーを少し紹介します。
ダイエットプログラムの料金を返金しろ!という会員
月4回のトレーニングと、栄養管理で3kgの減量をめざす会員さま。
2週間経っても減らない体重に疑問を抱き、カウンセリングを行いました。
「ダイエットしている」ということがストレスで、夜も眠れないのだそうです。
毎日こまめにチェックし、3週間経つと、むしろ体重が増えてしまいました。
会員さまはダイエットプログラムが悪いから返金を要求されてきました。
そんな時、帰りに寄ったファミリーレストランで爆食いしている会員さまを発見。
「それは痩せませんよね」と声をかけると、素直に白状。
ストレスで逆に食べていたそうです。
返金は取り消し、実際プラスマイナス0kgでプログラムを終えることになりました。
レッスンの内容を決めさせろ!という会員
スタジオプログラムでハードなエアロビクス系のレッスンをした後、ある会員さまに個人的に呼ばれました。
「レッスンの内容が俺のレベルに合わない、もっと強度を高めてくれ」とのことでした。
その会員さまは確かに他の会員さまより動けているのは認めるのですが・・・。
私が「レッスン全体を見て強度は決めています」と丁重にお断りすると、フロントスタッフに文句を言っている会員さま。
エアロビクスを始めたばかりの会員さまや、なかなか動きについてこられない会員さまもいる中、レッスン内容を決めるのは大変なことなのです。
その結果「レッスン内容を決めさせてもらえないなら、もう会員をやめる!違うスポーツクラブに行ってもいいんだぞ」と半分脅しに近い状態になってしまいました。
その後、丁寧に説明しても納得いただけなかったため、退会。
市内にあるほかのスポーツクラブでも同じことを言ったようで、1ヶ月で再入会。
それからは大人しくプログラムを受けていたと人づてに聞きました。
モンスターと呼ぶためには少し軽い話しかもしれないが、実際にスポーツインストラクターは会員さまの顔色をうかがいながら、結果を出すために必死に働いているのをもう少しだけご理解してもらえるとうれしいなと日々感じています。
辞めたい理由と悩み3:非常に悲しいまでの薄給体制が当たり前となっている業界
前述したとおりのハードな勤務やモンスターカスタマーに対応しているにも関わらず、給料はとても安いです。
20代の年収は300万円程度。
30代で400万程度。
その後は資格や試験、昇給により給料があがるシステムになっています。
勤務はシフト制なので、ほぼ残業なしなのが救いでしょうか。
しかしそれは基本給のみの生活を意味しています。
しかし遊びにいく時間がないので、貯金になっているという有意義とはいえないお金の貯まり方をしていました。
アルバイトは最低賃金から1,500円程度が時給の幅で、アルバイトの主婦や学生のほうが給料をもらっているという月もあったくらいです。
ボーナスは年2回。
これだけはこの業界では相当に高い水準で支給されていたと思います。
給料の3ヶ月分程度でしたけれど…
▽一般的なスポーツクラブ正社員の給与・昇格・賞与など
基本給:大卒180,000円~190,000円
昇格:年1回(昇給試験あり)
賞与:年2回
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.まずは職場内で可能な限りの出世を目指すべき
スポーツクラブで一番、忙しく働いているのが、マネージャーとセクション担当です。
社員が少ない店舗では兼務することもありますが、フロント、マシンジム、プールなど各セクション担当がしっかりと業務を管理しています。
入社2年目からはセクション担当として業務を与えられることが多いです。
兎にも角にも、若くして支店長になることが「ハードな勤務体系」と「給与体系」の不満を解消する近道といえるでしょう。
支店長は各店舗1名で、支部の支店長会議など平日の昼間にいなくてはいけない勤務がほとんどです。
店舗全体を統括するため、精神的なストレスはありますが、シフトの決定権や、給与面においても相当改善されます。
実際、どこのスポーツクラブにおいても、30歳前後には支店長候補として昇級試験に臨む社員がいるはずです。みな出世という正面突破の手法を使って、悪環境の就労待遇から少しでも抜け出ようと努力をしているのだと思います。
2.仕事を「給料がもらえる趣味」と考え方を切り替える
スポーツインストラクターは、「体を動かすことが好き」な人が大半で、お金よりも自分の好きなことを仕事にしたいという思いで入社する人が多いです。
実際に私もそうでした。
しかしそんな当初の志は入社して1年も経てば崩れ、2割~3割程度が次年度には転職を考えているのが普通です。
これは実体験ですが、実際のところスポーツインストラクターは他の職種に比べて、そう長く続けられる仕事ではありません。
30代になっても40代になってもプールに入り、スタジオレッスンのためにエクササイズの練習をし、体を維持するために努力をし続けられる自信が段々なくなっていくのです。
そんな中でも未だに仕事を続けている同期入社の友人はやはりいます。
定期的に連絡をとり、今でも仲がいいのですが、彼曰く、スポーツインストラクターの仕事を続けられる秘訣は、「体を動かすことが好き」ではなく「体を動かすことが趣味」になることだとか。
給料が低くても、勤務がハードでも、趣味をして一生過ごしたい。
仕事を趣味ととらえることを肯定的に思わない人もいるかもしれませんが、そんな彼のようにスポーツインストラクターの仕事を趣味ととらえることで、ようやく続けられる職種だということを理解してほしいです。
3.フリーランスのスポーツインストラクターとして活動する
これまで述べてきたスポーツインストラクターはスポーツクラブに所属している社員の話ですが、思い切ってフリーランスのスポーツインストラクターで食べていくという方法もあります。
▽フリーインストラクターの例
エアロビクスインストラクター
ヨガインストラクター
アクアビクスインストラクター など
フリーインストラクターは時給制が多いです。
時給の相場は2,000円~3,000円が多いですが、インストラクターを養成するためのインストラクターや、集客が多い人気のインストラクターは時給を上げることができますので、当然、こういったポジションを狙っていくのが正しい戦略です。
▽実際にフリーインストラクターになった場合の月収
1レッスン3,000円×週に20レッスン×4週=240,000円
※交渉次第で1レッスンあたりの時給は変動する。
週に20レッスンは、現実的にかなり多いものです。
しかし、私は週に25レッスンしていた月もあるため、一概に不可能な数字ではありません。
フリーインストラクターになると、月収より勤務スケジュールを自分で決められる利点があります。
また、休みを比較的自由に入れられることや、スポーツクラブの社員のようにジムのメンテナンスをしなくてもいいことも利点にあげられます。
更に、1つのスポーツクラブだけでなく複数のクラブと契約でき、さまざまな会員さまに合わせたレベルのレッスンができるようになるのも利点です。
4.スポーツインストラクターを辞めて他業界に転職する
それでもやはりこの業界に未練がない、という場合は、スッパリとスポーツインストラクター自体を辞めてしまって、できるだけ早いうちに他業界に転職するというのも手でしょう。
転職は早ければ早いほど有利ですので、ズルズルと年齢だけを重ねてしまわないように、チャンスを不意にしない努力が必要だと思います。
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまくスポーツクラブ勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、スポーツインストラクター以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
スポーツインストラクターの辞め方とタイミング
辞め方とタイミング1:会員様との関係を粗末にしたり断ち切ったりしないこと
会員さまは働いているスタッフが思っている以上にスタッフのことを見ています。
「この間、○○で見かけたよ」は日常茶飯事。
中学や高校の同級生の知り合いなどがいて、「高校のときのウワサ聞いたよ」など、業務に関係のないことをコミュニケーションの中に入れてくることも多々あります。
転職を遠方で考えている人は問題ありませんが、地元で考えている人は要注意!会員さまは意外にスタッフのその後の動向を見ているし、会員さま同士のネットワークで広まるのは早い。
因みに、会員さまと友人や彼氏・彼女として個人的にお付き合いしていると、あることないことウワサされることは目に見えています。
転職したり、退職する際は会員さまとの関係を整理してから。
その転職先に会員さまがいることだってあるのですから。
辞め方とタイミング2:一般企業とスポーツジムの始業時間のギャップに注意
私は、始業時間が9時の会社に転職しました。
スポーツインストラクターの時は、毎日始業時間が違って大変でしたが、昼からの勤務などを経験している私にとって、朝の9時でも早いと感じた。
スポーツクラブの始業時間は遅いので、転職する際は始業時間についてよく考えて選んだほうがよいと思います。
だんだん慣れてくるということはありますが、そこまでが大変。
一般企業はもっと早い始業時間のところがたくさんあります。
一度習慣化したものはなかなか直りませんよ。
辞め方とタイミング3:フリーインストラクターになる場合は給料と会員人気の相関関係に注意すべし
フリーインストラクターになるときに気を付けたいこと、それは給料の契約です
まずは人気インストラクターになることがとにかく大事なのは言うまでもありませんが…。
「ありがとうございました!」とスタジオレッスン終わりに、レッスンに出てくれた会員さまに笑顔であいさつまわり。
もちろんこれはインストラクターが全員やっているかといえばウソになりますが、会員さまに気に入られなければ、未来の仕事はないと心得るべきでしょう。
スタジオプログラムのタイムスケジュールは人気で決まります(言ってみれば、人気投票のようなものです)。
会員数が多い時間帯には、ジム側も人気のインストラクターのレッスンで集客したいというのが経営サイドの考え方であり、給与については人気が大きな決定要因になってきます。
▽人気の高いスポーツインストラクターの主な理由
- 体がかっこいい
- 運動量が豊富
- イケメン、美人
- 動き出しの指示(Q出し)がスムーズで動きやすい
- 使っている音楽が好き など
それはそれは露骨に集客に違いが出てきます。
集客できる人気インストラクターになり、給料の契約交渉をどんどん行うべきです。
最初に契約してから、ずっと同じ時給でやっていることほどもったいないことはありません。
フリーになったら自分で自分を売り込む以外ないのですから。
スポーツインストラクターの勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.派遣人材会社のキャリアコンサルタントに転職
派遣社員のマネジメントに必要なことは、
- コミュニケーション力
- 仲間意識
- 変化に気づく力
- サポート力
などですが、この必要条件が、スポーツインストラクターを同じであるといえます。
会員さまとのコミュニケーション、一緒に目標に向かって進む仲間意識、会員さまの顔色をみて体調を気にしていたインストラクターは、些細な変化にも敏感になります。
そして、一人ひとりへのきめ細かなサポートが必要になります。
どれをとっても派遣社員のマネジメントにいかせる能力が揃っているといえるでしょう。
転職してすぐにできるというわけではないですが、中途入社は今までやってきた仕事のノウハウを生かせれば、より早く戦力になれると思います。
2.医療関係(製薬、医療器具等)の営業職に転職
医療関係(薬、医療器具など)の営業職に必要なことは
- コミュニケーション力
- 健康や運動に関する知識
- 提案力
などといわれます。
進化を続ける医療は、一度覚えた知識がすべてではなく、変化をしていきますし、健康や運動も日々進化しています。
高齢化していく社会の中で、スポーツインストラクターの知識を生かして、訪問型の営業職に転職することを私はお勧めします。
健康や運動の知識を持っていることは、医療品をお客さまにおすすめする時に、プラスになることは間違いないでしょう。
元スポーツインストラクターの肩書は、医療系営業マンとしての業務の中でも、お客さまを説得でき、安心感を与えられると思われます。

3.ホテルマン、ホテルコンシェルジュに転職する
ホテルマンに必要なことは
- 気配り
- 広い視野
- コミュニケーション力
といわれています。
会員さまの顔や名前、趣味や体調まで気にかけて接していたスポーツインストラクターは、一味も二味も違った接客ができるでしょう。
お客さまが親しみやすいホテルマンとして、スポーツインストラクターとして生きてきた今までの経験が生かせるはずです。
また、ホテルには老若男女さまざまなお客さまが、来館されるため、コミュニケーション能力が非常に重要になります。
幅広い年齢層を相手にすることが多いスポーツインストラクターは、時事ネタや各年代に合わせた話ができる優秀なホテルマン、ホテルコンシェルジュになる素養が、インストラクター業務を通じて涵養されているはずです。
ホテルマンには、力仕事も要求される場合があるため、体力面も活かすことが出来ます。
スポーツインストラクターは一見華やかで、人前に出て、先生と呼ばれる仕事です。
しかしその裏で、過酷な労働や日々の努力を必要としています。
その裏の活動には給料はもちろん払われません。
また、体を酷使する仕事のため、年齢を重ねるごとに、無理を強いられます。
しかし、若い時にスポーツインストラクターを経験し、コミュニケーション力や小さな変化に気づく力を身につけることはとても良い点だと思います。
入社する前から転職を考える人は少ないと思いますが、スポーツインストラクターで経験したことは、転職先で必ず生かされると私は強く信じています。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
スポーツインストラクター勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「スポーツクラブ、スポーツジム以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないスポーツインストラクター業界人は井の中の蛙になることが多いです。自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
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