
野村 龍一

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記事の目次
事業拡大し続ける給食委託会社に潜む、過酷な就労環境とは?
栄養士として利用していただく方へ、正しい食の知識を伝え、生活習慣病にかかる方を一人でも多くなくしたい!健康であって欲しいという一心で、栄養士課程の短大を卒業し、新卒社員として入社しました。
その就職先が給食委託会社です。
給食委託会社とは、保育園や学校、事業所などから委託を受け、契約内容によるため配属先により仕事内容が多少違いますが、厨房業務や献立作成、発注業務を請け負って食事作りをしている所です。
夢を描き、希望に満ちて入社しましたが、想像を絶する現場に仰天しました。
人は食べて生きていくための根源といえる「食」で成り立っています。
しかし、現代は生活習慣病といって、毎日の生活習慣や食習慣から起こる不摂生が生活習慣病を招くことに気づいていない人もいます。
その不摂生を「食」の力で「人の健康を支える」ポジションとして栄養士がいるのですが、栄養士が置かれている立場はそれに見合った報酬や評価が低いのが現状です。
特に給食委託会社は低コストを売りに事業を拡大しており、従業員の賃金も良くはありません。
栄養士だからといって、献立作成を中心とした「デスクワーク」ではありませんでした。
ほぼ立ちっぱなし。
調理師と一緒に早朝より早番勤務から、夕食を提供し、食器洗浄をする遅番勤務までこなすシフト制に栄養士も加わらなくてはなりません。
私が配属された老人保健福祉施設は100人が入所、デイサービスの利用者が45人いる施設で、委託から派遣された栄養士は私だけ。
現場によりけりですが調理師の仕事+α栄養士という感じで、調理師やパートと一緒に調理、盛り付け、検品、仕込み、配膳、食器洗浄をしながら、食材発注や在庫管理を栄養士として行っていました。
しかし委託給食会社では、栄養士として配属されても調理師の仕事さえできていれば良いため、専門的な知識を生かすことができませんでした。
栄養学の知識を必要とするものはほとんどなく、献立作成は直営の老健の栄養士がしていました。
献立作成は直営の栄養士が行うため、委託では行わないのがほとんどです。
栄養士には定義があり、「都道府県知事の免許を受けて、栄養士として栄養の指導に従事すること」とされていますが、取り引き先との契約内容によって栄養指導や献立作成、発注業務などに関われるかが決まります。
栄養士は調理師やパートをまとめる役として給食経営全般に関わらなくてはならない立場でもあります。
ですが、栄養士が若ければ若いほど、経験も浅いため職場で長年働いているおつぼねさま的存在のおばさんにあまり聞く耳を持ってもらえないことが中には存在し、仕事上の関係ですが、精神的に追い詰められる栄養士がいることを、是非知ってほしいです。
給食委託業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み
辞めたい理由と悩み1:「新卒だからってお給料少なすぎる」
早出勤務をしても早朝手当がつかないのが給食委託会社。
早ければ午前5時から出勤しますが、どんなに早く出勤をしても手当がありません。
仕事中は立ちっぱなしであり、きめ細やかな利用者の対応をしているため、覚えることも多く年配の新人が入ってきても覚えきれず、すぐに辞めてしまい、人の入れ替わりが激しかったです。
欠員が出るたびに社員がその穴埋めをするべく、早番から遅番まで丸一日厨房で食事提供の作業をすることもしばしばあります。
事業所に配属される人数にゆとりはなく、ローテーションが回るギリギリのラインでしか配置されていないため、一人でも欠員が出てしまうと社員がその分の穴埋めを残業でこなさなければ、ローテーションが回らない事態となってしまいます。
新人が入ってきても長続きしないため常に人手不足に悩まされ、毎日残業という過酷な労働で、お給料が労働に見合っていないというところにも不満を持っていました。
また誰しも生きていくために必須である「食」が欠かせない、「食」はなくてはならないものであるのに対して、「食」への価値が世間一般では低く見ているところに悲しさを覚えました。
「大地の恵みをいただいて私たちは生きている」のに、食べ物はスーパーやコンビニに行けば何でも手に入る時代となり、「食」への意識が軽く受け止められているために、低コストを売りにした給食委託会社が事業を展開するようなったのではないでしょうか。
低コストで保育園や学校、事業所などと契約するとその低コストの中から、従業員のお給料や食材料費、備品をまかなっていかなければなりません。
私はどれくらいで老健と契約をしたのか知りませんが、契約金が低いほど、従業員へのお給料としての還元は厳しいものだと感じました。
辞めたい理由と悩み2:立ちっぱなし、きつい洗剤、暑さが体調を狂わせる
厨房での作業は基本的にずっと立ちっぱなし。
椅子は置いてありません。
休憩時間にホッと一息座れる程度です。
立ちっぱなしが血液やリンパの流れを悪くさせるため、足がむくむことはしょっちゅうのことで、仕事が終わった時には足の感覚がなかったこともありました。
足の感覚がなくなるということはなかなか聞かない話です。
それだけ足や体に負担をかけているということです。
立ちっぱなしが及ぼす影響がひどいと腫れてくると調理師から聞きました。
常に100食から160食の食事作りをしているため、使う鍋やボウルは家庭用とは比にならない大きさです。
大きいため重さもそれなりにあり、身長155cmの私の体には業務用の鍋などはとっても大きな物で、160食分を調理してそれを運ぶという作業は腰が砕けるのではないか!という不安を抱きながら、体にムチを打って仕事している気がしてなりませんでした。
業務用鍋で調理をすると重たいときは20kgを超えることもあり、女性一人では持ちあげられないため二人がかりで運ぶこともありました。
あまりの重たさに腰痛をわづらったり、無理な姿勢で鍋を運んだりするので骨盤が歪んだりします。
妊娠中も働いていましたが、重たい鍋を頻繁に持ったり、検収で食材を業者が納品にきたときなどは、調理師にお願いをして代わりに重たいものは運んでもらいました。
しかし、どの作業にも重たいものを持つ作業があるので常に誰かにお願いをして代わりに持ってもらうため、職場の人には頭が上がらない気持ちでいっぱいでした。
立ちっぱなしや重たいものを持つ作業ばかりであるため、疲れが溜まりやすく、疲労が慢性的になり、新卒で入社した私でも過酷な労働だと感じました。
また仕事をするようになって、よく手が荒れるようになりました。
「なんでだろう?」とあまり気にせずにいたのですが、だんだん手荒れが広範囲に広がるようになってきたので、原因を探ると仕事で使っている食器用洗剤が手荒れを起こす原因だということに気付いたのです。
食器用洗剤は、お皿やフライパンに付いた油を完全に除去できるように洗浄力が極限に高められているため、素手で使うと手肌のバリアシステムが徐々に破壊されて手荒れを引き起こしてしまうようです。
それだけ人体には、強力な影響を与えてしまうものなのです。
ですが調理中に使う器具を、毎度のこといちいち手袋をはめてできるわけもなく、極力洗い物を増やさないようにしましたが、毎日のことであるため手荒れはなかなか改善できませんでした。
他の調理師の手を見せてもらったことがありますが、やはり手荒れをしている方が多かったです。
みなさん、こまめにハンドクリームなどでケアを行っているとのことですが、敏感肌な同期の両手が皮がボロボロにめくれていて真っ赤になっているのを見たときはびっくりしてしまいました。
社内規定で厨房の室温は、28℃以上を超えてはならないようにと定められていました。
しかし厨房ではガスコンロを使うため、夏場はクーラーをかけていても、外で過ごしているかのような猛烈な暑さに厨房内は見舞われてしまいます。
IHなどの電気機器を使用していれば状況は変わってくるかもしれないのですが、私がいた現場では、ガスコンロを使っていたのでガスが充満してはならないため、火をかけているときは換気扇をつけていたのです。
換気扇も業務用のため、大きなもので、クーラーをかけていても換気扇によってクーラーの冷気が一気に逃げてしまい、厨房内は30℃を超える暑さとなってしまいます。
そのため、熱中症対策を施どこしながら水分をこまめにとるよう従業員に声をかけていました。
30℃を超えた暑さの中での厨房は風通しも悪いので湿度も高く、マスク着用のため息苦しく感じてしまいますし、大量の汗が全身から噴き出してきます。
だから水分摂取をおろそかにしてしまうと、勤務中でも気分が悪くなってしまい立ちくらみが起こり立てなくなってしまう人もいたほどです。
ゆっくり水分を摂る時間も作れないほど忙しい現場なので、水分を摂るのは個人任せになっていますが、体調をしっかり管理しておかなければ、命の危険があること、1日中厨房での作業のため大量の汗をかきっぱなしであり、体力が奪われます。
辞めたい理由と悩み3:慢性的な人手不足で、常に過酷な労働を強いられる調理現場
新人が入ってきてもなかなか続かないため、慢性的な人手不足で悩む調理現場。
欠員が出るたびに、欠員の穴埋めをしなくてはいけないため社員や準社員が早番から遅番までこなすこともしばしばあります。
1人病欠が出たり、退職されてしまっても、代替要員が入ればいいのですが、人が入ってこないため勤務形態は火の車状態。
一人一人に負担がのしかかってくるため、忙しさに耐え切れずまた一人辞めていく悪循環に陥る現場もあります。
そこで現場に余裕のある他事業所から「応援」という形で人材を派遣してもらって、少しでも人材不足を解消しようと応援を呼んでもらえるように、他事業所や会社の上司に掛け合ってみました。
会社の規模が大きい、給食委託会社だからこそできることです。
しかし、そう簡単には人材を派遣してもらえるわけもなく、他も人材不足であったため結局「自分たちの事業所は自分たちで何とかしてください。」というのが会社側からの回答でした。
人材不足だと、休日出勤や時間外労働もしなくてはならず、休憩時間すらないこともありました。
厨房で調理師たちと検品、仕込み、調理、盛り付け、配膳、下膳、食器洗浄に追われてしまうため、勤務時間に事務的な時間をほとんど取ることが出来ず、残業で時間を取るしかありませんでした。
求人を出しても面接を受けに来る人すら、なかなかいないのです。
面接に来ていただいた方のほとんどが60代から70代のおばさん。体力的に大丈夫だろうかと心配しつつ、やる気のある方であれば採用させていただいたのですが、一緒に厨房で作業にあたってもらうと、「想像よりも労働が過酷で、きめ細やかな個人への対応が難しく覚えきれないのでお断りしたい」と採用して間もないのに断わられることがしょっちゅうありました。
研修や会議が支社である時は、人手が足りないため早番(朝食を提供するまで)をしてから三時間かけて研修に参加していました。
辞めたい理由と悩み4:厨房の中の狭い世界で、ごちゃごちゃしたややこしい人間関係が従業員を苦しめる
やはり厨房の中は年配の女性が占めています。
会社側から新しいマニュアルを実行するように指示があるため、実行してもらうようにお願いをしても年齢が高い人ほど、頑固で「新しいことはなかなか覚えられないし、難しいから嫌」と突っぱねられたこともありました。
栄養士である立場上、年上であろうと調理師やパートに厳しく言わなければなりません。
委託であるため、取り引き先の栄養士たちが同じ職場にいるため、厨房で何かトラブルがあるごとに取り引き先と調理師たちとの狭間に委託の栄養士がいなくてはならず、お互いの顔色を伺いながら話しを進めていかなくてはならない立場が精神的に辛かったです。
八方美人という言葉が当てはまるくらい、給食委託会社の栄養士は職場に波風立たせないようにしなくては、うまくまとめていけません。
また、直営の栄養士が厨房に入ってきたときに、調理師たちの作業の仕方についていちいち口出しする栄養士がいました。
「こうするのではないか」と、その場で言い出し厨房内全員の作業を中断させられたこともあります。
取り引き先とのトラブルを防ぐために、綿密なやり取りをしなければ食い違いが起きるため、日々、直営の栄養士とも細やかなコミュニケーションをとるよう気配りをしていました。
辞めたい理由と悩み5:新卒の新人が現場責任者とならなくてはいけない矛盾した環境
同期に栄養士として新卒で採用された友人が、配属された施設には栄養士がいなかったため、たった二ヶ月の研修期間を終えると即、現場責任者に指名されてしまい「調理師やパートから頼られ、色々聞かれるがまだ全然わからない」と嘆いていたのを覚えています。
たった新卒でたった二ヶ月間の研修だけでは全てを把握しきれないのですが、人材不足であるところは新人だろうと栄養士であれば責任者に抜擢されます。
それを苦と捉えてしまった友人は、プレッシャーを感じるあまり自信を喪失していました。
入社したばかりで責任者という立場に置かれ、わからないことばかりの連続にも関わらず、周りの調理師やパートが全くフォローもしてくれず、友人が一人で抱え込み過ぎてしまい、仕事を続けることが困難になるほど精神的に追い込まれていきました。
経験が浅い新卒の栄養士が現場責任者となるのは給食委託会社ではよくある話です。
ですが、経験が浅い新卒では責任が大きすぎ、プレッシャーや責任感、経営管理、過酷な労働から精神的・肉体的に追い込まれてしまい、この友人は退職をしてしまいました。
また経験がないため、仕事の要領がわからずパートの方に質問するも、新人の話しを聞いてくれず、「社員だからなんとかしなさい」と言われる始末。
しっかりと栄養士として経験を積ませてから現場責任者として指揮できればよいのですが、長続きしない栄養士が多いため負の連鎖が起きてしまいます。
新卒の栄養士がすべて入社早々に現場責任者となるわけではありませんが、給食経営管理全般を栄養士に任されるため人材不足であれば、時間外労働や休憩時間の返上、休日出勤もこなさなくてはならない立場であり、取り引き先の利用者様に迷惑をかけられません。
辞めたい理由と悩み6:夏休みも有給すらも決してもらえない環境…
私が勤めていた給食委託会社の社内規定では、社員や準社員は夏休みが年に3日もらえることでした。
新卒で入った年は、人材不足がなく逆に、人材に余裕があるほどであったため、社員と準社員は夏休みをいただくことができました。
しかし、勤めて2年目辺りから人材に余裕がなくなり、時間外労働や月に8日しかない休日も出勤する羽目となり、夏休みどころではないのが現状でした。
有給も夏休みと同じく、社員や準社員は有給をもらえる状況でなく、パートさんが「申し訳ないけど、有給を欲しい」とお願いされたときに有給を使うぐらいで私の働いていた事業所ではほとんど有給が使えないあり様でした。
辞めたい理由と悩み7:会社作成のマニュアルがコロコロ変わる
仕事中に起こったインシデント・アクシデントに対して、対応策を考え二度と同じことが繰り返されないようマニュアル化していきます。
しかし会社が作成したマニュアルの中には、長続きせずコロコロと入れ替わっているものもよくあり、新しいマニュアルが増えると、栄養士から全員に実行するようにお願いをするのですが、負担がまた一つ増えてしまうため調理師やパートから嫌な顔、反発をされました。
その一つが食中毒防止という観点から、下処理しなくてはならない野菜や果物は専用の洗剤で消毒をしてから、調理に使うと規定され各事業所で実践されていたのですが取り引き先などから、できる限り農薬や添加物が入ったお食事を利用者様に提供したくないと言われてしまい、食品を洗剤で洗うというマニュアルが撤廃となりました。
確かに、食品を洗剤で洗ってしまえば少なからずとも食品に洗剤が残っている可能性があります。
誰しも少しでも農薬や添加物を使っていない食品を食べたいと思うのは当たり前です。
私は過酷な労働環境や少なすぎるお給料、女同士のごちゃごちゃした人間関係にいらだちを覚え、栄養士として栄養学の知識を生かした仕事に就きたいという思いが強くなり退職に至りました。
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「給食委託会社に勤める栄養士の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.真剣に人を育てることに取り組む
まず自分自身が向上心を持って、仕事に取り組むべきですが、給食管理は自分ひとりで行えるものではありません。チームワークが大切となってきます。
作業が効率よく進むように、全員が作業手順を確認しあい、特に作業効率の悪い人には一緒に作業を進めてみて、その人に合った方法を見つけていくことが大切です。
作業効率を良くしていくために毎日、作業手順表を作成し、誰がどのような作業に関わるか一目見ればわかるようにしました。ミーティングを利用して、作業効率アップするためにどうすれば丁寧で早く仕事が進むのか考えたりもしました。
全員が同じ能力を持っていればいいのですが、そういうわけにはいかないのでその人に合った仕事を提案していくことでしょう。
周りにいる人たちを育てることで、作業効率が改善され一人づつの負担が軽くなっていきます。地道な努力が必要ですが、人が育つと時間外労働や休日出勤も減るかと思います。
2.昇給を狙って、管理職となる
最初は栄養士として施設で現場を経験することから始まりますが、現場経験を積んだ後、会社の総務課や人事課に自分からアピールをし、会社を動かす部署に配属されるように申し出ることです。
施設に配属されず、会社の総務課や栄養衛生課などに配属されれば、暦通りの土、日、祝日休みがありシフト制ではなくなるため一般的な会社と同じになり、事業所のような過酷な労働からは解放されます。
また会社の部署に配属されるほうが、昇給ができなおかつ管理職のポジションにどんどん上がっていけます。
私が入社した時の同期は10人いましたが、現在は1人しか残っていません。
初めは10人とも現場に配属され、中には現場責任者となった者もいたのですが、時間外労働や休日出勤、人が育たないため常に人材不足に悩まされ、次々と退職に追い込まれました。
残ったたった一人の同期は、現場責任者をこなし、管理職を目指して会社を動かす栄養衛生課に配属されていました。
栄養や給食を提供する上で、衛生的に作業しなければならないため彼女は日々、事業所を周り栄養・衛生指導をしていました。
毎年昇給をし、重要な管理職を任されている彼女を見て、同期ながら尊敬していました。
給食委託会社で管理職を目指すのであれば、是非とも施設で現場を経験するだけでなく、会社側の総務課や栄養衛生課などに配属されるよう、管理職を狙っていくことをおすすめします。
3.管理栄養士としてのキャリアを歩む
栄養士という資格だけでは、ありふれた数の方が栄養士を持っているため特別感がありません。管理栄養士は国家資格でだけに「管理栄養士だから欲しい人材」だという企業もあります。
私が勤めていた会社では、管理栄養士国家試験が近づいてくると試験対策の勉強会を開いており、積極的に会社内でも管理栄養士を増やしている動きがあり、管理栄養士になるためのバックアップがありました。
独学では限界があるため、こういったものを活用するのも一つだと思います。
「栄養士」の資格だけでは、はっきり言ってもったいないです。
管理栄養士は国家資格であるため資格試験は難しいですが、栄養士よりも管理栄養士がいるほうが加算が取れたりするので、企業にとっても重宝される役職になってきます。
また会社によっては管理栄養士に対して「管理栄養士手当て」が支給されるのも魅力の一つと言えます。
過酷な労働で管理栄養士の試験勉強をするのは容易なことではありませんでしたが、時間を決めて早朝や入浴タイム、通勤時間、会社の試験対策勉強会を利用し二度目の受験で無事に管理栄養士を取得できました。
給食委託会社を辞めて他業界に転職する
しかし、給食委託会社の激務と会社の理不尽な対応ににどうしても耐え切れない…そのような場合は、私のようにスッパリと今の仕事を辞めて他業界に転職してしまうのも手です。
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまく給食委託会社の栄養士勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、給食委託会社以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
給食委託会社の辞め方とタイミング
辞め方とタイミング1:きっちり引き継ぎをして手を抜かない
新卒で入社したころは、現場の作業しか教わりませんでしたが、現場の作業に慣れたころから、発注や在庫管理を任されるようになりました。
初めは言われたことに対して、理解もできず覚えることが出来ませんでした。
必死にパソコンの栄養ソフトの使い方や発注管理の仕方について自分でメモを取りながら、頭に叩き込みました。
引き継ぎを私にしてくれた方が退職をされ、私自身で仕事を進めていかなければならなくなった当初は、ミスが多々あって事務に膨大な時間がかかり大変でしたが、周りの人にサポートをしてもらいなんとか軌道にのりました。
私が退職するときに引き継ぎをした栄養士が50代後半で入社したばかりの新人であったため、口頭での引き継ぎではすぐに忘れてしまうだろうと考え、すべて書面化しました。
また取り引き先の栄養士たちにも、誰にどんな引き継ぎをしたのかを伝えておき、不安な部分のフォローを周りの方にお願いをしました。
後から聞いた話ですが、まわりからのフォローとその新人栄養士の方の努力で、すぐにはミスは起きていないと聞きました。
辞め方とタイミング2:半年前から転職準備にとりかかる
栄養士の業務は「栄養士」という資格を持っている人でなければ行えないため、引き継ぐ栄養士を確保しておくと退職がスムーズに出来やすくなります。
一つの事業所にだいたい1人か2人の栄養士がいますが、入れ替わりの激しく少人数しか配属されない世界であるため、人員の補充がなかなかありません。
だから、退職しようとする半年前から準備にとりかかることです。
栄養士は給食管理全般と広範囲な業務に関わっているため、早くから上司に退職の相談を行うことです。
早くから退職を伝えることに対して、周りの同僚たちに何を言われるか不安を感じている方もいるようですが、可能な範囲で早くから伝えることにより、会社側もそれに向けて前向きに動くことができます。
栄養士が抜けてしまう穴は大きいため、栄養士が抜けても支障が出ないように調理師やパートにノウハウを伝えておくことです。

辞め方とタイミング3:就業年数に気を付ける
就業して2~3年の人と、10年働いている人ではキャリアが違います。
当然、10年働いている人のほうが抜けた穴は大きいです。
ただ個人の能力により、差はありますが、退職する企業で働いていた責任は年数に応じて高まっていることを知っておくことも大切です。
給食委託会社栄養士としての勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.直営の栄養士に転職する
給食委託会社と比べると、直営のほうが調理や盛り付け、食器洗浄などに関わることが少なく、献立作成や利用者と関わりながら、栄養指導がおこなえます。
栄養士ならば一度は憧れを抱く栄養指導が直営では実現させられる可能性があります。
厨房業務でなく、利用者に寄り添った栄養指導などが重点的でデスクワークが中心となることが多いです。
給食委託会社では厨房業務に栄養士も入らなければならないところがほとんどであるため、ほぼ立ちっぱなしですが、直営ではあまりその心配はなさそうです。
2.より待遇のよい給食委託会社に転職する
給食委託会社によっても、職場の環境が違ってくるため全部の給食委託会社が劣悪な労働環境に置かれているとは限りません。
転職をしなくても、いろいろな就業場所があるため働く場所を変えるだけでも労働環境を変えられることもあります。
3.食品メーカーやスポーツ栄養関連企業に転職する
栄養士が働きたい業界のなかでも特に人気なのが、食品メーカー。
新商品開発やそのための研究や営業など多方面で活動できます。
常に新しい発想ができる人を企業側は求めています。
また最近注目を集めているのが、スポーツ栄養士といってスポーツ選手など、アスリートに対しての栄養管理を行う栄養士です。
食からスポーツ選手のパフォーマンス向上をサポートし、スポーツ団体やプロ競技チーム、オリンピック参加チームなどと契約をしている栄養士が増えてきています。
4.時間制約のないフリーランス栄養士に転職する
料理が好きな人であれば、料理教室を開いたりレシピ開発を行ったりします。
また本を出版したり、なかにはテレビに出演したりと幅広く活動している人がいます。
ただ、独立して個人事業主となると、自分で仕事を見つけていかなくてはなりません。
フリーランスという聞こえはいいですが、全てが自己責任となるため、いきなりフリーで活動するのでなく副業から始めてみることをおすすめします。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
給食委託会社で働こうと考えている方、または働いている方にお伝えしたいのですが、委託は栄養学の知識がほとんど必要ありません。
なぜなら、直営の栄養士が献立作成や栄養指導を行っているところがほとんどだからです。だから調理師と同じ、調理や盛り付け、検品などができればそれでいいのです。
委託に入ったら、栄養士は事業所責任者となり、経営管理や労務管理を重視しなくてはならず、契約金の中で利益を出さなければならないため、資格を生かした仕事とは程遠いありさまです。
資格を生かした仕事、知識を生かせるところで働いてみたい、今の劣悪な環境に嫌気がさしている方、栄養士は幅広い分野で活躍できる仕事です。
給食委託会社だけに留まらず、転職を考えてみてはいかがでしょうか。
給食委託会社勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「給食委託会社以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない給食委託業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
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また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
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