東大柳川教授の40才定年制 – 戦略的に会社を辞める転職技術

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加




The following two tabs change content below.
越川正志

越川正志

有力な転職コーディネーターと協力する形で、某電力会社から某大手総合商社に転職を成功させました。商社へ転職希望の方は、私の転職成功例と方法論を、是非参考にしてみてください。

皆さんは、今、どんな組織でお仕事をされていますか?

私は、6年ほど前に新卒で入社した前職の某大手企業から、現職に転職しましたが、現職も前職同様にいわゆる歴史のある日本の大企業です。

蔓延する”大企業病”

ここのところ、日本の大企業の不祥事、経営不振、リストラなどがニュースになることも多く(東京電力、ソニー、最近だと東芝、、、例は挙げだしたら切りがありませんね)、いわゆる高度経済成長期を支えてきた日本の伝統的な大企業が、組織の”金属疲労”を起こしているのが、露見してきているようにも感じています。

仕事の本質的な話とは関係ないところでの社内政治(足の引っ張り合いなどもありますしね、、)が横行したり、不祥事が発生した時に開示、解決しようというよりは、”臭いものには蓋をして隠蔽しよう“という無言の圧力が働いたり、組織が肥大化、階層化して、意思決定が迅速にできなかったり、いわゆる「大企業病」が目につくように感じませんか。

少し、見方を変えれば、個別の会社の問題というよりは、日本の会社という形態自体が、時代の流れに合わなくなってきているということかもしれません。(神田正則さんなどは、2020年までの会社が無くなるという衝撃的な内容の本も書かれていますが、背景としては、会社という組織形態が、社会の動きや個人の働き方、生活の仕方と合わなくなってきているということがあるように感じています。)

そんな時に考え方の1つの指針になるのが、東大の柳川教授が唱える「40才定年制」という考え方ではないかと思います。

東大柳川教授とは?

柳川教授は、ご両親の仕事の関係で、幼少期にブラジル他で育ったこともあり(日本とは違い、自己主張して、自分のことは自分で守らないといけないサバイバルな環境だったのかもしれませんね、いろいろな意味で)、高校には行かず、大検で資格取得して、慶応の通信制を卒業して、東大の教授になった方で、日本のアカデミックの世界でも異色のキャリアの方と言えると思います。

私は、20年以上前にまだ、助教授だった柳川先生に授業で教わる機会がありましたが(確か、会社の組織論だった記憶があります)、当時の授業の内容は残念ながら、あまり覚えていないので、大学の他の先生達とは雰囲気が違い、一昔前の書生さん風で、物腰柔らかく、優しい雰囲気の方だった記憶があります。(ご年齢も学生の我々に近かったこともありますが)

当時は、頭ごなしに理論を押し付けたり、一方的に黒板に板書をして学生はそれをノートに書き写して終わりという双方向のコミュニケーションが皆無な授業をする先生が多い中で、柳川先生は自分の話していることが絶対的なものというスタンスではなく、学生から質問が出れば、真摯に回答したり、議論したりして、一緒に答えを見つけ出そうとされていたのが、印象的でもありました。
当時は、柳川先生のバックグランドや育ってこられた環境などは知らなかったのですが、帰国子女で、いわゆる日本の通常の教育課程とは違うルートで教授になられたこともあり、懐が深く、多様な価値観を受け入れる素地があったのだろうなあと今更ながらに想像します。

私は、当時、別の財政の教授のゼミに参加していましたが、この教授はその道では有名な方でしたが、いわゆる押しつけ型の授業をされる方で、友人で柳川先生のゼミに入っていた人から、年齢も近い同先生と議論したり、飲みに行ったりした話を聞いて、うらやましくも感じていたのも思い出しました。

柳川 範之
東京大学大学院経済学研究科・経済学部

柳川教授の40才定年制の要点とは

そんな柳川教授の40才定年制の詳細は、柳川教授の著作などを見ていただけばいいと思いますが、要点としては、下記かと思います。

・AI(人工知能)の加速度的な発展などにより、時代は大きく変化していくことが予想され、それと共にこれまで有用だった多くのスキル(法律、医療、会計、税務等)は陳腐化していき、従来、人間が行ってきた仕事の大半をコンピューターが代替する時代がもうそこまで来ている

・上記のような時代の流れの中で、10年、20年前に大学(大学院)卒業時に身に着けた知識にいつまでもしがみついて生きていくのは、ますます困難になる。
逆にスキルは既得権益のような「ストック」ではなく、「フロー」ととらえて、40才を目途に、キャリアを見直し、必要であれば、大学で学び直したり、資格を取得したりしながら、今後の少子高齢化の流れの中で、75才くらいまで、現役で働けるようなスキルを身に着けていくべき

・今後の人生で有用なスキルを蓄積をしていくためには、大学以来ご無沙汰している人がほとんどの経済、経営などのいわゆる社会学系の学問をこの機会に改めて勉強し直し、大学卒業以来の個々の社会人生活における個別性の強いいろいろな経験を汎用化して整理すべき。
英語や中国語などの語学やプログラミングスキルを身に着けるべき。
(万里の道も一歩からで、今から1日10-15分でも、関連する勉強を開始すべき。)

・日本は基本的に「単線型」の社会で、基本的に皆が同じ”エスカレーター”に乗っていて、スピードについていけなかったり、そこから外れると「落ちこぼれ」と周りがとらえ、本人にもそのように感じてしまう傾向が強いが、本当は個人個人で、スピード感が違ったり、物事の進め方、考え方が違うだけで、そうした個性のある人材が落ちこぼれ扱いされて埋もれてしまうのは、個人のレベルでも、社会全体としてももったいないので、もっと「複線型」の仕組みを作っていくべき。

各要点に関しての所感

上記の一点目に関しては、ネットニュースやFBなどのSNSでも取りざたされる「今後、なくなる仕事ランキング」などで、ここ数年、よく目にしますし、周りを見ていても、弁護士や会計士などのいわゆる難関資格を取得しても、それだけで、一生食べていけるわけではないケースが増えているなあと痛感します。
(年収300万円の弁護士というような一昔前では考えられないような境遇にいる弁護士さんのニュースを何度か、目にして記憶があります。)

それ以外にも、会計や経理分野の定型業務は、日本で日本人が対応するのではなく、インドなどの海外のアウトソーシング会社にメールベースで外注して業務が完結できる流れになってきていると思います。
AIや海外へのアウトソーシングがどんどん、普及してくると、日本人が、日本で対応しないといけない業務は、どんどん限定されていくのでしょうね。

二点目に関しては、前職時代にお仕事をご一緒していたリクルート社が提唱していた38才定年制というコンセプトに近いものがあるなあと感じています。

仕事でご一緒したリクルート社の知り合いの説明では、この制度は、新卒でリクルートに入社したら、営業他で散々、鍛えられる機会もあるので、リクルートから離れても、社外で活躍できる経営人材になれるように若いうちから、意識的に人脈構築、将来の起業に向けての貯蓄などをさせて、38才のタイミングで、そのままリクルートに残ってキャリアを積むか、独立して、自分の道を歩むかを選択させて、後者を選んだ人に対しては、リクルートとして、起業する会社に出資することも含め、様々なサポートもする制度

ということだったと記憶しています。

三点目の社会学系、語学、プログラミングの勉強という話は、大前健一さんあたりが今後必要なスキルとして提唱していますし、インド人が国際ビジネスで強いのは、英語ができ、数字に強く、プログラミングのバックグランドもあることが挙げられますので、説得力があります。

自分の子供にも、日本の義務教育の内容だけで満足せずに、プログラミングなども機会をみつけて、慣れ親しんでいくようにさせてあげたいと思いますし、自分自身もそういう勉強を少しずつでもしていかねばと感じます。

最後の複線化の話は、別の記事でも書いたPlan B,Cの話と同じ発想で、新卒で入社した会社で与えられた仕事をずっとやっていくという既定のレールに乗って、前に進んでいくというPlan Aだけでなく、同じ組織でも仕事のやり方や仕事自体を変えたり、それでも自分のやりたいことが実現できなければ、転職、起業などの選択肢も常に考えていくというのは、まさに人生の選択肢の複線化ということだと思います。
柳川先生の場合、私の転職、起業という現職での仕事以外の選択肢に加えて、スキルの「学び直し」という選択肢も加えるより範囲の広い複線化と提唱されているということかと思います。

最近、新入社員の頃によく読んでいた高杉良さんなどの企業ものの小説を改めて読んだりしていますが、社会人経験を20年ほど積んだことで初見とは違う観点で、より深いレベルで読むことができますし、既に忘却の彼方にある経済や経営などの社会系の学問の知識がこれに加わると、より体系的に理解もできるのだろうなと想像しています。

40才定年制の示唆するところ

柳川先生の40才定年制の提案をいろいろな示唆、方向性を示してくれていると思います。

例えば、よく、転職は35才までで、それを過ぎると極端に応募できるポジションが減るという話を耳にするかと思います。

私の経験上もこれは、半分は当たっているなあと感じます。
というのは、新卒以来、1つの会社で同じ仕事をしてきて、30代半ばになり、業界や仕事の内容を変えずに、柳川先生が提唱するような新しい学びの努力などはせずに、定年までなんとかやっていきたいという”守り“の姿勢に立つと、長年、過ごしてきて、仕事にも慣れていて、人間関係も構築されている現職から転職したいと思えるようなポジションはなかなか、社外にはないのが通常だと思います。
そういう意味では、30代半ばになると転職の選択肢は減ると言えるかと思います。
(ある意味、自分で選択肢を狭めているところが大きいですが)

逆に30代半ばくらいの時点で、過去、現在、未来に関して、自分なりに考えて、これまでの経験、人脈などで今後も有用なものは取捨選択して、維持する努力は継続するとして、40才定年制という概念も意識し、今後、75才、80才まで、40年間、50年間(考えたら、とんでもなく長い期間ですが)働くことも想定して、現職にとどまることありきではなく、新しい知識の習得なども考えながら、転職や起業などのPlan B,Cの選択肢も考えていくという少し「攻め」のスタンスに立つなら、35才までしか転職は難しいという目に見えない制約からは自由になれると思います。

複線型の生き方の持つ柔軟性と強さ

私も6年前の前職からの転職後も、常にPlan B, Cの選択肢を考えるための情報収集の一環で、転職エージェントさんとのメールや電話、数か月に一回、平日のお昼に会ったりしてやりとりは継続しています。
ただ、40才を超えてからは、転職エージェントさんからのポジションの紹介だけでなく、昔、一緒にお仕事をした上司、先輩、同僚の方などのつながりで、転職してうちに来ないかと誘われるケースが年に数回ある状況ですので、仕事で知り合った人とお互いに認め合い、その仕事が終わった後もまた、仕事をしたい、仕事を離れてもPrivateでも会いたいと思えるような関係を構築していけるようなスタンスの取り方をしていけば、30代後半以降でも、転職や起業のチャンスはいくらでもあると感じていますし、こういうスタンスであれば、年齢が行けば行くほど、選択肢が増えることはあっても、減ることはないのではないでしょうか。

新卒で入社した会社に何が何でもしがみついて、パワハラでつらい目に遭おうが、自分のやりたい仕事ができなかろうがお構いなく、さらには定年が今よりも5年、10年と延びようと何が起きようと今の会社でそのままやっていくしかないと決めつける単線型の生き方は、なんだか余裕がない気がしますし、そもそも、新卒で入社した会社って、社会人経験もないまま、評判や限られた情報をもとに選んだ人がほとんどだと思いますので、本当の意味で自分に合う会社かどうかは、運任せという感じというのが実際だと思いますし、そういう偶然で選んだような会社に社会人人生のすべてをかけないといけないというのは偏った思い込みだと思います。

これに対して、柳川先生が提唱する複線型の生き方の方が、柔軟性もあり、変化の激しい現代社会を生き抜いていく上では選択肢を増やすことにもなり、長い目で見ると、対応力の高い賢い選択なのだろうなあと思います。(柳川先生だけに柳のようにしなやかな生き方という感じでしょうか…)

是非、今の会社ありきではなく、いろいろな選択肢を普段から考えてみた方がいいと思いますし、起業も選択肢ではありますが、とっかかりという意味では、信頼できる転職エージェントさんを探して、キャリア相談をし、現職の客観的な分析と転職する場合にどのような選択肢がありうるのか、ざっくばらんに話をしてみることを強くお勧めします。

スポンサーリンク