図書館司書を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。




記事の目次

楽なイメージのある図書館司書の仕事、実は案外色々神経をすり減らしながら低給与で頑張らないといけない仕事なのです。

野村龍一
今回は公立図書館などで図書館司書として仕事をしていた綾部照子さん(仮名)からの寄稿レポートです。
綾部照子 さん
あまり外から知られることのない図書館勤務の辛さを、今日は思い切って告白してみようと思います。

私は図書館司書として短期大学付属図書館と、公共図書館に勤務していました。
職業を図書館司書だと言うと、まず言われるのが「暇そう」「地味」「楽そう」のいずれかです。

地味であることに間違いはありません。
実際に地味です、派手である必要がないからです。
図書館というのは、その地域に暮らす人々の教養を深め、情報収集をする手助けをするための公共の施設であり、図書館で働く人間はいわば「影」のような存在です。

次に「暇そう」「楽そう」というイメージについてですが、これは、大抵のどの職業においても、その内情を知らないひとが勝手に抱いているだけのイメージと変わりないと思います。

図書館の仕事

私がこれまで携わってきた図書館の仕事には以下のようなものがあります。

基本的なところから申し上げますと、新聞のセッティングととりまとめ、館内の書架整理に始まります。
そして専用システムを使用しての資料の貸借、資料検索、資料登録、レファレンス業務などのカウンターでの来館者対応です。

この他に、蔵書管理、購入する資料の選定、増えすぎた資料の除籍作業、新刊や話題作の発注、リクエストのとりまとめ、小中学生の見学案内、読み聞かせ、保育所などに出向いて行う出張おはなし会、夏のこわいおはなし会や、冬のクリスマス会などのイベント企画・ポスターならびにチラシ制作・告知・開催・実演、季節ごとの展示入れ替え、資料にバーコードやクリーンコートを貼って登録できる状態まで整備すること。

それに破損した資料の修繕、小学校・児童館・公民館への団体貸出、季節やイベントなどにふさわしい館内の装飾作りなど、図書館に関することは、ほぼすべてです。

イベントの際には、子どもたちに喜んでもらうために簡単な仮装をすることもありますし、室内の装飾や配布するプレゼント(しおり・布小物など)を手作りすることもあります。
手作りのノウハウを知らないのならば身につけることろから始めなければいけませんし、ある程度の器用さとセンス、作業効率の良さが求められます。

本の読み聞かせひとつをとっても、淡々と読んでは本の良さが伝わらないため、物語の雰囲気を壊さず、なおかつ作品の良さが出来るだけ伝わるように読み方や間合いを調整するために練習を必ずします。

絵本を何冊も自宅に持ち帰って夜に静かな部屋で練習することがよくありました。
勤務時間以外にも、たとえば直木賞の受賞者発表や本屋大賞、映画化される作品の原作チェックなどメディアに対するアンテナを常に張り巡らせておき、発表の翌日には特集展示を組むというのも大切な仕事でした。

図書館司書ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

辞めたい理由と悩み1:非正規雇用形態が苦しい

まず何よりも苦しいのが雇用形態です
図書館司書は都道府県や市町村などが雇用主となっていることが多いのです。
つまり正規職員は公務員であり、公務員として図書館に配属されているひと以外、ほとんどが雇用年限の定めのある非正規雇用です。

非正規雇用で働くひとは「非常勤職員」とか「嘱託職員」という呼ばれ方をしますが実質、パートか契約社員と同様の扱いです。
最近は、業務委託といって、公共図書館のカウンター業務のみを別の会社が行うことが増えてきています。
カウンターのみの仕事の場合も雇用形態はパートのような扱いとなります。
仮に契約社員という名前だったとしても、給与は一般の他業種のパートと同じ程度です。

一部の例外を除けば、初めから公務員として配属でもされない限り正規雇用になることはありません。

契約更新は何回までと決まっているところと、特に定めなく何度でも更新できるというところがありますが、いずれにせよ、昇給もボーナスもありません
服務規定は公務員と同等のレベルを求められますが、立場としては公務員ではないため、司書資格をもつ公務員や無資格の公務員より業務を多く抱えて貢献していても正規で雇用してもらえることはないのです。

契約は年度更新がほとんどですが、年度更新ですと女性の場合は妊娠・出産した場合どうなるかといいますと、私の例でいえば産休は取得できましたが育休はもらえませんでした。

出産予定日が年度初めだったのですが、私が勤務していた図書館は、「4月1日に出勤出来ないのであれば契約更新はしません」という対応でした。
育休どころか契約更新もナシになってしまい、これが公共機関の対応なのかと呆然としたのを覚えています。

採用時は、給与面で不満は無く、契約更新も年限が決まっていないという条件だったため長く働けると思っていたのですが、契約更新をしないと言われてしまえば雇われる側は何も言えないのが現実です。
退職せざるを得なかった理由がこれです。
正規雇用であれば産休のほかに育児休業に2年以上取得できるところを、非正規雇用だという理由で簡単に契約更新を中止されてしまうのです。

育児休業に関する法律が新たに制定されましたが、制定されたあとの対応が「更新しない」だったので辞めざるを得ませんでした。

辞めたい理由と悩み2:悲しい位に低い給与体系

それに伴って、給与面です。
私営図書館と公共図書館では事情が異なるでしょうが公共の場合の話をします。
上に述べたように昇給もボーナスもないため、採用前に雇用条件をよく吟味して判断することが非常に大切です。

公共図書館に採用された場合は、先ほど申し上げたとおり公務員の服務規程に準じなければならないため、副業は原則禁止です。

司書資格を持っているとはいえ、無資格のスタッフより数百円給料が高い程度で給与面での優遇はあまり見込めません。
節約しながらでも、ひとり暮らし出来るくらいは給与を貰えるのですが、一緒に働いていた非正規雇用のスタッフは、やはり実家暮らしか、結婚して家族の収入もあるというひとがほとんどでした。

辞めたい理由と悩み3:ストレスのたまる、業務委託先との連携不具合

カウンターは別の会社、イベントや選書や蔵書管理は市町村で雇用された職員が行うとなると、現場の声を反映しにくいという問題が生じます。

たとえば利用者の年齢層、利用の多い時間帯、書架の整理整頓が行き届いているか、館内美化は徹底されているかなど、カウンターに立つスタッフであればわかる情報も、裏の業務ばかりこなしている市町村職員は意識しなければ知ることが出来ません。

カウンターでの利用状況などがわからなければ、次に購入する資料の選書をする際に判断材料として足りませんし、カウンター業務のみ行うスタッフ側からしても、来館者からのリクエストの問い合わせにすぐに応じられないということがでてきます。

実際に動かなければならないのは市町村職員なのに、クレームを受けるのは業務委託先のカウンタースタッフなので、当然、双方にストレスや不満が生じ、関係がギクシャクしたまま運営している図書館もありました。

派遣先と派遣会社のように、お互いにどこまで手を出して良いのかわからず、結果として、利用者のことをいちばんに考えられる状態ではなくなってしまう状態です。
この板ばさみ状態に耐え切れずに仕事を辞めていったひともいました。

では、図書館司書として勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、図書館司書の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「職場を辞めたくなる悩み」への対応策

1.仕事に対する考え方を変える

好きな仕事なのだから生活が少し厳しくても構わないと割りきって働くことです。
雇用年限はあるものの、今おかれている状況で経験を積み、雇用期間が満了したときに他の図書館に採用してもらえるように真摯に務めることです。
仕事で役立ちそうな各種講習会やセミナーに参加して教養を深めるのも良いと感じます。

図書館は来館者を楽しませたいという理由であれば、工作やポスター作りを勤務中に行うことが出来るので比較的自由度の高い職場であるといえます。
来月の展示はどのようにしたらおもしろいか、次の図書館見学で子どもたちに読み聞かせするのはどのような本を選ぶべきかなど、おもしろくしようと思えばいくらでもおもしろく働くことが出来るはずです。

せっかくですから司書という資格を活かし、一般の職員が手を出せない領域で理想とする図書館づくりを目指すのも良いかも知れません。

2.多くのスタッフとコミュニケーションを積極的にとる

業務委託先のスタッフと市町村職員の折り合いが悪く、職場全体がギスギスしているときには、自らすすんでそれぞれの現在の状況や仕事の進み具合を確認しにいくという方法があります。

この方法はかなり気を遣いますが、双方の理想とする図書館の在り方について本当は同じものを目指しているのだけれども進め方が異なっているだけということもありますので、どうせ自分は末端の職員だからと卑屈にならずに、司書の立場だからこそ何か変えられることはないか、探してみてください。

例えば、カウンタースタッフに、特集展示コーナーの評判や印象についての意見を求めたり、利用者が不便そうにしている点はないか、書架は利用しやすそうかなどを聞いてみること、そして自分で利用者の立場になったつもりで館内をよく歩いてみることです。

そして定例ミーティングなどの際に、それとなく改善点を提案してみるのも良いのではないでしょうか。
何かが大きくは変わらないかも知れませんが、何もしないよりは、ずっとマシです。

3.給与面の不満は転職でしか解決できない

給与面については副業が禁止されている以上、なにも打つ手はありません。
こっそりアルバイトをしたりする人もいるにはいるでしょうけれども、見つかったときは後がありませんのでおススメしません。

もし給与額に不満があるのであれば、転職を考えるほうがはるかに現実的です。
図書館の仕事自体は好きだというのであれば、転居も覚悟の上で、より条件の良い図書館を全国から探すか、思い切って別の業界へ飛び込むのも有効かと思います。

他業種への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく図書館勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、図書館司書以外への道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

図書館司書の辞め方とタイミング

辞め方とタイミング1:他業種に転職希望の場合は具体的な将来像を明確に持っておく

図書館勤務経験が正しく歓迎される転職先は図書館以外にないので、もし転職希望の職種に資格を要するものがあれば資格取得の勉強を密かにしておくことをおススメします。

また、転職による退職の場合、次の仕事の希望給与額や雇用形態など理想の就労条件を明確にしておくべきです。
曖昧なまま何となく辞めてしまうと、不満があって辞めたはずの図書館に戻りたいという気持ちが強くなってしまいます。

図書館という場所は基本的に居心地が良いので、辞めたあとに美化してしまう可能性があるのです。

辞め方とタイミング2:引き継ぎ書は必ず残していくこと

図書館の求人は年度末か上半期末の公務員異動発表後に出されることが多く、採用が決まるのが勤務開始日直前ということが結構あります。
つまり働き始める頃には前任者は既に新たな職場で働いているので、不在ということです。

私が入職するときに何度か直面した問題として、退職していったスタッフが引き継ぎ書をほとんど残していかなかったということがありました。
年度末でバタバタしていたとか、次の仕事の準備に追われて時間が無かったというのは、ただの言い訳です。

一応、司書というのは専門職ですので、何も残っていないところからのスタートは次のひとが非常に困ります。
可能であれば、退職する、しないは別にして、日頃からこまめに、自分の役割分担と業務内容が誰にでもわかるように、マニュアルの作成を心掛けて欲しいと感じます。

辞め方とタイミング3:自作のものは処分するか残していくかを明確にしておく

館内の装飾やイベント用の装飾、ポスター、チラシの紙媒体からデータに至るまで、司書の仕事をしていれば自分で作成したものがどんどん増えていきます。

前任者が残していったものというのは処分して良いのか判断に困り、何年も閉架書庫の隅でほこりをかぶっていることもあります。
そのため、他人に捨ててもらうことのないように、制作物は自分で責任をもって処分していくか、有用な用途を明確に記して譲っていくようにして下さい。

また、PC上のデータは次に入るひとに役立ちそうなものだけを残して処分しておくことです。
在籍していないスタッフの名前のついたフォルダがいつまでも残っていると、次に来るひとが自分の色を出しづらいこともあると思います。

図書館司書の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.コツコツ作業ができる一般事務に転職する

おススメの転職先は、まずは事務職です。
カウンター対応以外の図書館司書の仕事には専用PCを使用してのデータ登録・資料管理などが含まれていますが、簡単なチラシ・ポスター制作や文書作成を行うこともよくあります。
「一般事務+図書館の仕事=図書館司書」という認識が近いでしょう。

また、図書館司書はイベントなどをのぞいては地味で地道な作業の繰り返しですので、コツコツと日々の作業をこなす事務職に共通するものがあります。
転職先としては最も安全で無難な仕事といえるでしょう。

2.カーディーラーの受付に転職する

次に、カーディーラーなどの受付です。
最近は図書館でも館内にBGMなどを流してカフェのような雰囲気をつくっているところが増えてきましたが、まだまだ無音の図書館は多いと感じます。

私が実際に勤務していて苦痛だったことのひとつが、図書館が無音だということでした。
咳の音やお腹の音、鞄の開閉の音など、静寂のなか押し殺した生活音だけがやたらと目立つのです。
少しでも良いから音楽が流れていたら、と常に考えていました。
そこでカーディーラーです。

カーディーラーではラジオか店内BGMが常に流れています。
そして、図書館のカウンターで培った愛想笑いや簡単なPC操作技術、館内装飾などの美的センスや工夫が、そのままカーディーラーの受付業務に役立つことでしょう。
ただ、カーディーラーの場合、商売なので経理事務能力が求められることもありますし、来客にドリンクサービスをすることもあります。
転職を希望する場合は経理の知識を少しでも得ておくと良いかも知れません。

3.物流倉庫の倉庫作業員に転職する

最後に、物流会社の倉庫作業員です。
これは、本当に図書館司書などもうこりごりだ、と思った方におススメの転職先です。

図書館司書とは真逆と思える肉体労働ですが、実は図書館勤務をしていると重い資料の持ち運びなどで毎日少しずつ筋トレをしているようなところがあります。
そして、常に同じ空間で静かに作業をする司書業務に比べ、考える暇もないくらいあちらこちらと動き回らなければいけない倉庫作業は全くの新世界であり、おもしろい仕事だと感じます。

限られた空間でじっと働くことが辛くなったら、物流倉庫でひたすら身体を動かして汗を流しながらお金を得るのも悪くないのではないでしょうか。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

図書館勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「図書館司書以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない図書館司書業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

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