泥船理論…落ち目の会社を辞めるベストタイミングはいつか? – 戦略的に会社を辞める転職技術

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越川正志

越川正志

有力な転職コーディネーターと協力する形で、某電力会社から某大手総合商社に転職を成功させました。商社へ転職希望の方は、私の転職成功例と方法論を、是非参考にしてみてください。

皆さんは、転職すべきタイミングってあると思われますか?

一昔前に落ちこぼれ校に一風変わった弁護士資格を持つ教師が着任し、東大が合格を独特の勉強法で目指させる「ドラゴン桜」という漫画がはやりましたが、あの漫画と同じ漫画家が描いた「エンゼルバンク」という転職エージェントさんの世界を描写した漫画があります。

この漫画の中で、経営が傾いた企業では、優秀で自社の置かれている環境を敏感に察知できる社員から、見切りをつけて去っていく場面が沈む船からねずみがどんどん逃げ出すという象徴的な表現の仕方で妙にリアルに描写されていて、今でも記憶に残っています。
この漫画はこの船が沈むシーン以外にも、転職エージェント業界の裏話、キャリア構築論、ベンチャー企業論などもカバーしていて、いろいろ参考になると思いますので、是非、読んでみて下さい。

漫画とは言え、侮れません。




前職のトラブル時の話1

漫画、エンゼルバンクでも描写されていた泥船となった会社から、優秀な社員ほど先に逃げ出す話ですが、私の経験上の話も含め、少し、整理していきたいと思います。

私は、およそ6年ほど前の前職の想定外のトラブルを機に転職活動をし、現職に転職しました。
トラブルが発生するまでは、前職の会社は、いわゆる隆々たる業界のリーディングカンパニーで、会社が経営が傾くことが起きるとは私を含め、社内外でほとんどの人が想像もしていないような安定企業でした。
私自身、社費で海外留学した後も、帰国して、復職していて、転職はほとんど考えていない状態で、同トラブルを迎えて、非常に動揺したのを覚えています。

トラブル発生直後から、会社の中は大混乱状態で、それまでにしていた業務は棚上げになり、社内はトラブル対応で組織的に連携した動きがないまま、徹夜で会社に交代で泊まったりして、冷静に考えると、意味があるか疑問な対応を粛々と続けていました。

トラブルから、2か月ほど経った時に、前職の同じ部署の1つ上の先輩が、別業界のリーディングカンパニーと言える会社に転職していきました。
その方は、海外留学経験もあり、社外で通用するいわゆる難関専門資格も保有していて、当時の所属部署でも将来を嘱望されていたわけですが、トラブルに右往左往する前職に早々に見切りをつけて、周りの人にも転職活動も公言され、実際に転職されました。

この方のように自分が転職活動していることを周りに公言する人は会社がトラブルになっている時の転職に限らず、普通は少ないとは思います。
(と言うよりも、転職活動自体、周りの人に公言すると、邪魔が入ったりするので、内定が出て、転職することを決めるまでは、誰にも言わないという人がほとんどではないかと思いますが)

ただ、所属している会社の経営が傾いて先行きが危ういといういわゆる”泥船”状態になった時に船の中にいる人(エンゼルバンクの描写ではねずみですが)はまずは船の中で右往左往するわけですが、優秀かつ社外で通用するとの自負のある人ほど、冷静かつ客観的に内外の状況、自分の置かれている立場やありうるキャリアの選択肢を比較検討して、転職に真っ先に踏み切ると言えると思います。

やはり、一般論として、泥船から優秀な人(ねずみ)から、いなくなり、その後も優秀な人から去っていくというのは、真実であり、核心をついていると思います。

前職のトラブル時の話2

私は結果的に上述のトラブルから2ヶ月ほどで転職した先輩に続いて、およそ半年後に当時の所属部署の中では二番手として、現職に転職しました。

転職活動自体は、前職のトラブルの直後から始めていたのですが、当時は、前職に定年まで勤務することありきの単線的なキャリアのイメージしかなく、転職エージェントさんの知り合いなどもいなかったので、大手の転職支援会社に連絡して、面談のアポを取り、求人票ベースでポジションの紹介を受けるところから、手探りで進めていました。

実質初めての転職活動で、最初は前職がトラブル状態で、世間的にもいろいろ批判もされていたので、社外の人に会うのも怖い心境にもなっていたので、転職エージェントさんに会うのも、こういうタイミングで転職しようとしていることをどういう風に思われるのだろうかと恐る恐るという感じでしたが、さすがにプロなので、むしろ、同情され、次の道を一緒に探していきましょうと励まされ、心強く感じたのを覚えています。

ということで、転職エージェントさんからの後押しを受け、求人票の出ているポジションにある意味、手当たり次第という感じで、20社ほどに書類応募しました。
当時、年齢が30代半ばで、いわゆる転職の壁と言われる35才を微妙に超えるくらいでしたので、不安半分、でも、求人票もたくさん出ているし、なんとかなるのではないかとの期待半分という感じでした。

求人票をもとに応募していた会社は、いい意味でも悪い意味でも前職と何らか関係のあるところも多く、前職の窮地につけこんで、優秀な社員を引き抜いたと思われ、今後のビジネスに影響が出ないかとの懸念などもあったようで、書類選考自体を保留という会社が半分ほどありました。

私の前職に限らず、社会的影響力の大きな会社がトラブルを起こした場合などは、その会社の社員を採用することに対して、一定期間は、社会的な対面を含め、気を使い、慎重になる会社もあるのが実情だと思います。

そうした中で、書類選考を通過したいくつかの会社の面接を受けましたが、最初の会社では前職からの退職理由を聞かれ、その会社が異業種だったこともあり、キャリアパスがつながっているとの説明も難しいところがあり、結果的には、非常に優秀だが、泥船から真っ先に逃げ出そうとしている逃避傾向があるのではないかとの評価で、二次面接には進めずじまいでした。

前職のトラブル時の話 3

その後、私は大手転職支援会社の転職エージェントさんだけでは、面接に進める確度の高いポジションを紹介してもらうのは難しいと考え、某有料転職サイトを使用し、自分の希望する業界に強そうな転職エージェントさんを探して、コンタクトし、ポジションの紹介を受け、最終的にはトラブルから半年弱で現職に転職しました。

振り返ると、トラブルから3-4か月くらいの頃から、書類選考を保留していた会社も選考結果を連絡してくるようになり、現職を含め、面接に呼ばれる回数も増えだしました。
(後日談ですが、私のことを泥船から逃げ出そうとしているのではないかとの理由で一次面接で落とした会社にも前職の同期がトラブルから1年後くらいに転職しました。)

振り返ると、トラブルから、2年間くらいで、前職の同じ部署だけでも数十人が転職しましたし、会社大では、数百人~千人規模の転職者が出ました。客観的に考えれば、社外で前職の出身者が活躍できるポジションは限られ、条件のいいポジションほど、数は限られますので、ある意味、椅子取りゲーム的な競争状況になりますので、先に動いたもの勝ちということになりますし、私の場合も、いくつか受けた面接で、同じ会社の人と競合していたようでした。
そういう意味でも、やはり、早く動いた方がいいと思います。

留意事項

これは、複数の転職エージェントさんからも聞いた話ですが、所属している会社がトラブルに巻き込まれ、かなりの数の転職者が出る場合、トラブルから半年から1年半くらいの期間で転職する人が多いということです。
私の前職からの転職者を見ていても、やはりトラブルから2-3年で、転職している人がほとんどです。

このトラブル発生から、2-3年の間に転職する人が多いというのは、考えてみれば、あたり前の話で、そもそも社外でも通用するような経験や資格などを保有していて、転職に踏み切れるマインドを持っている人は現職にこだわって、ずるずると居座る、いわゆる”ゆでがえる“症候群にはならないので、見切りをつける時はつけて、必要な仕事の引継ぎは行い、仁義は切ったうえで、次のポジションへ活躍の場を移していくわけです。

逆に採用する企業側の立場に立つと、トラブルからあまり早いタイミングでの採用に

は慎重になる反面、今度は、3,4年も経ってから、応募してくる転職候補者に対しては、あれだけの数の転職者が出たのに、今頃、面接を受けに来るような人は、他の会社に応募しても採用されずにやむを得ず、現職にとどまっている”残り物“的な人で、あまり優秀ではないのではないか、会社の置かれている状況に対しての判断力が劣るのではないかとのネガティブな先入観を持たれることもあるかと思います。

もちろん、転職活動時期が遅くなっている正当な理由があればよく、考えられる理由としては、トラブル対応で中核的な役割を担っていて、それが一段落したので、転職活動しているという説明になると思います。

トラブルが一段落していないと逆になぜ、今まで中核的な役割を担ってきたのに今、そこから抜けようとしているのか?との疑問を相手に持たせることにもなり、説明が難しい面はあると思います。

私自身、前職の転職からそれなりの時間が経ち、反省もこめて、いろいろ振り返り、再度、整理してみましたが、結論としては、やはり、所属している会社のトラブル時の転職活動は早く開始した方が起こした方が絶対にいいと思います

上述の通り、トラブルを機に転職活動をする場合、当初は、世間の目がいろいろ気になりますが、経験上も半年もすれば、転職活動をする人も増えてきて、採用する会社側も慣れてきますので、その頃には、いわゆる限られたポジションを争う椅子取りゲームの競争は激化している可能性が高いと思います。

まとめ

上述の通り、私の経験上も、トラブル発生直後は、所属している会社が大きい場合は、採用に慎重になる会社が出ることはありますが、それも3-4か月くらいの期間ですし、3-4か月の間、何も転職活動をせずに、急に動き出しても、出遅れますので、やはり、少なくともトラブル直後から動かないといけないと思います。

つまり、所属企業のトラブルを契機に転職活動を開始するというのは、外部環境に影響されて、やむを得ず、動かされていると言え、気持ち的な余裕もなくなりますし、自分のペースで転職活動を進めづらい面がいろいろあります。

もう少し踏み込んで、自ら主体的にキャリア構築していくという観点に立つと、所属会社のトラブルの有無とは関係なく、むしろ、現職の会社の業績が良くても、それに安住して、現職ありきと考える単線的なキャリアイメージを持つことは危険だと言えます。

天災などを含め、トラブルや不祥事はいつ起きえるか、分からないものですし、何事も栄枯盛衰があり、景気循環論にもあるようにどん底なら、そこからは上がり調子になりますし、逆にピークなら、そこからは、いずれ落ち目になると考えるのが、自然で、加えて、今は技術革新のスピードも加速していて、景気循環のサイクルもどんどん早くなり、それについていけない会社は、市場から退場となり、社会的な”新陳代謝”が起こるわけです。
そもそも、人生そのものが予測不可能な事柄ばかりですよね…。

そういう社会の動き、時代認識を持ちながら、キャリアを含めた自分の人生をいかに主体的にコントロールしていけるかと考えると、転職という行為も単に仕事を変えるということではなく、少し大げさに言えば、ある意味、その人の生き方自体を象徴しているとも言えると思います。

外部環境に流されるままの人生でいいのか、自分で主体的に動いて、コントロールできる部分を増やしていくか…考え方1つで、人生という時間の過ごし方の大きな別れ目となるのではないかと思います。

今回は、私が経験した所属会社のトラブルに端を発した転職活動の話を例に留意事項を含めて、整理してきましたが、トラブルという一面だけを捉えると、確率が低く、備えるのが難しいとの考え方になりがちですが、以前の記事にも書いたように普段から複線的なキャリアをイメージして、常に現職と比較検討できるPlan B,Cとして、転職も視野に入れておくべきだと思います。

そうすれば、トラブルが発生しても、冷静に取るべき行動が取れる確率が高まるかと思います。私自身、前職からの転職が会社のトラブルという外部環境に強く影響されたもので、右往左往した面もあり、その反省もあり、今は、常に現職と比較検討できるポジション、機会を探すべく、アンテナを立てて、行動しているつもりです。このあたりは、また別の記事でも書いていきたいと思いますので、お楽しみにしてください。

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