
野村 龍一

最新記事 by 野村 龍一 (全て見る)
- 日本には年収3000万円のA君と年収200万円のB君しかいなくなる - 2019年6月24日
- 外資系アパレルブランド営業マンを辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法 - 2018年7月19日
- 機械設計者(計測機器エンジニア)を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法 - 2018年6月5日
記事の目次
就職難時代の駆け込み寺…生命保険会社。しかし業務実態は、社員のようで社員ではなく、看板を「貸して」もらって働く個人事業。
非正規雇用や賃金の格差など、様々な労働条件が問題となっている現代ですが、そんな中でも比較的楽に入社できる企業があります。
それは生命保険会社です。
誤解のないように説明をすると、決して本社勤務の総合職が楽というわけではありません。
楽に入社できるのは各支社や支部・営業所単位で採用される外交員のことです。
いわゆる生保レディといわれる仕事です。
会社によって研修期間や賃金の最低保障額は異なりますが、「頑張って契約を取れば稼げる」「必要な保険を売る仕事だから胸を張ってやれ」というようなことを形を変えて研修では叩き込まれます。
でも現実は、頻繁な退職と入社が繰り返される不安定な状況なので、真の意味での駆け込み寺とはとてもではありませんが言えたものではありません。
生命保険会社(生保レディ)業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み
辞めたい理由と悩み1:契約ありきの給料形態なのに営業エリアも選べない…運だけで勝負して運だけで決まる給与額
私の場合、同じ生保でも法人営業の担当をしていました。
個人と法人の違いはターゲットだけです。
給与形態は全く同じで、獲得したSに対する規定のインセンティブが基本給にプラスされるというものです。
個人のSはたかが知れている、法人、それも社長クラスの法人契約ならSは軽く億は超える!なんていう甘い意識の営業でした。
でも入社した保険会社はまるで「運」で給料が決まっているような会社でした。
それは既存顧客+新規開拓を行う担当地域の設定です。
支社ごとに割り振られている地域があり、必然的にその地域の担当が既存顧客の管理と、その地域での新規営業を行うのです。
これってすごく運が関わってくることで、入社のタイミングによっては、すぐにものすごい更新の契約が挙がったり、新入社員が毎年たくさん入る企業を持っていれば、定期的に契約が挙がるシステムなのです。
入社や配属のタイミングなんて、こちらには選べません。
会社なんていくらでもあるオフィス街の担当と、車でなければ移動できない地方の担当では分母が圧倒的に違います。
なのに給与体系は同じというのは何かおかしいなと感じました。
辞めたい理由と悩み2:上司の総合職はエリートサラリーマン、私たち営業員は超零細の奴隷的個人事業主
上司と私たち営業員は同じ職場にいるのに、福利厚生の制度が違うのです。
雇用形態が違うので、それは当たり前なのですが、例えば交通費です。
営業員は個人事業主の扱いになるので、毎年事業主としての申告が必要です。経費として計上するために、必死で領収書を確保します。
意外とバカにならないのが交通費で、経費として計上はされるものの、精算するまでは自腹です。これが総合職になると会社支給になるので、自分の腹が痛むことは全くありません。
潤沢な資金があれば話は別ですが、日々の交通費やノベルティにかけるお金すら厳しいと感じる営業員は非常に多いです。
後半、知恵を付けた私は、上司に同行を依頼するようにしました。
車での同行なら上司の営業車で移動できるし、ちょっと息のつまる空間を我慢すれば、相当の経費が浮くわけです。
ただいつもいつもできるわけではないので、やはり経費の捻出には頭を痛め、格差には呆然とすることがありました。
ボーナスや有給休暇の制度自体も違います。
担当する課の成績が良ければ、何もしていない新人上司でも本社に表彰されたり、大きなSが挙がれば、我が物顔です。
部位不や告反があればこの世の終わりのような顔をされて、ゼロだった暁には「オレに触れるな」というようなオーラを出します。
雇用形態としては上司の方が上なのかもしれませんが、昨日今日来た新人に偉そうな顔をされたりするのには合点がいきません。
福利厚生の違いをあからさまに見せつけるような上司もいるので、人間性を疑ってしまう様なケースも多々あります。
辞めたい理由と悩み3:とにかく社員の出入りが激し。人員の分母を増やすために営業員の勧誘までやらされる
保険会社の給料は「サイチン」=最低賃金というものが定められています。
入社後は3~6か月研修期間があり、その間は給料が保障されています。
ただそのあとはベースとなる基本給の部分に、契約が承認されたインセンティブがプラスされるのです。
契約が取れなかったり、成立しなかった場合はどうなるのか?というと…給与は基本給のみとなってしまいます。
基本給はおおよそ10万円前後なので、そこから様々な控除をされると、おそらく手取りは7~8万になります。
これでは経費も出ませんし、生活が成り立ちません。
できない人間は自然と退職に追い込まれるシステムになっているのです。
成績の悪い支社などは、本当に入れ替わりが多く、時期的には「これしかいないの?」というような数まで落ち込むこともありました。
そこで会社が打って出た施策が、営業員による紹介制度です。
当然これには餌がありました。1人につき2万円の報酬です。
友人・知人に声をかけて、説明会に参加してもらう→一般課程試験に合格してもらう→入社したら2万円っていうシステムです。
ただこれは「長続きさせるため」の施策ではなく「頭数を揃えるため」の施策に思えてなりませんでした。
全くの素人さんを無理やり入社させて、通り一遍の研修を終えたら野放しです。
別に契約の面倒を見てもらえるわけでもなく、下手をすると自分が入社することで紹介者に金銭が支払われていることすら知らない人もいます。
こんな状況なのに、上司には「誰かいない?」と合コンのようなノリで勧誘を迫られます。
特に契約の挙がらない月はかなりのプレッシャーが待っています。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.自分自身でナーチャリングを行う
既存顧客からの契約が見込めないのなら、新規で獲得するしかありません。
ただ自分の担当地域だけではたかが知れています。
私の場合、そこで社内のシステムを利用して、担当者のついていない空いた地域を探し、そこから企業を検索してDMやテレアポを行いました。
PRする商品は「保険」ではなく「中退共」を使用しました。
経費で落とせる保険があること、退職金制度の構築が必要なこと、保険と中退共のメリットデメリットを伝えられるような内容でアプローチしたのです。
住所がわからないようなオフィスビルにはポスティングを合わせて行い、何とか新規の顧客獲得や囲い込みをしなければ、継続的に契約を挙げるなんて、新人にはできません。
ただハガキは会社で余っているものを使用しましたが、切手代やあて名を書く手間はこちらもちです。
あて名印刷という方法もあるのですが、これは返信率が極端に下がるうという実績を当時の上司が叩きだしていたので、丁寧な手書きが有効と判断して、手書きで行っていました
それでも返信率は1%、そこからの契約成立は約20%ほどだったので、ゼロではないけれどあてにしすぎてはいけない手段でもありました。
テレアポに関しては、とにかくいきなりアポではなく、興味喚起できるようなスクリプトを作り、資料送付を行いました。
資料送付のタイミングで、可能な場合は直接持って行っても良いですか?とアポに繋げました。
会社の既存顧客や新規の開拓法だけでは、継続的に契約なんて取れません。
同じ課の人間とこの手法を行い、何とかゼロだけは回避できていました。
2.ユニオン(労働組合)から交渉してもらい職場改革を促す
基本的に労働条件に関する交渉は労働組合が行っていました。
私の入社した会社の場合は、支社ごとに支部があり、本社に本部があり統括を行っていたので、各支社にいる支部長に定期的な会議の中で提案や要望を挙げていました。
給与のことなどは、ほぼ形式的な提案が多く、込み入ったことを依頼しても持ちつ持たれつのような感覚で処理されているようでしたが、基本給や有給制度の見直しやインセンティブの交渉等については労働組合の担当職員が毎年行ってくれていました。
「通るか通らないかは別の話。とりあえず要望を挙げることが大事。だから気が付いたことがあれば、どんどん言ってほしい」というのが、その担当者の口癖でした。
ただやみくもに文句を言っても通るわけがないので、他の保険会社との比較や今までの実績などもきちんとリサーチして、職場環境や条件の改善に声を挙げました。
規模の大きな会社だったことと、生保会社に多い相互会社ではなかったので他の会社の仕組みはわかりませんが、やはり然るべき担当者に伝えないと意味がないことです一人一人では愚痴で終わってしまうことも、組織で動けば改善案として会社に提出できるのです。
本当に納得のいかないことがあれば、労働組合を通すのが一番です。
3.会社からの支援は期待せず、成績あるのみと達観する
あれもこれもしてくれない・・・と文句言っても契約はあがりません。
運任せのような不平等さにはかなり頭にきましたが、そのまま腐るのは嫌だったので、開き直ることにしました。
会社の制度に頼らずに成績を挙げるには、戦略を立てることが必要です。
同じ思いを持つ職員4人でグループを作り、どのようにしたら新規で顧客を獲得することができるのかを模索しました。
DMはターゲットをベンチャー企業にフォーカスしました。
理由は、まだ法人契約の保険を検討していない、もしくはこれから考えようと思っているからです。
既に契約している場合、なかなか乗り換えを勧めることは難しいので、社長の年齢も若い年代に絞り、月に100枚以上送付をしました。
テレアポは得手不得手が顕著に現れるため、得意なメンバーが行いました。
いきなりの提案ではなく、自分の退職金に興味はないか、会社の利益を使用して、経費計上しながら資産を形成する保険を検討する可能性はあるかをメインに、資料送付を行いたいという主旨の内容にしました。
既存の契約の更新や追加がない以上、このような手段で対抗するしかないのです。
身内や友人に声をかけるような営業はしたくないという思いは皆が持っているので、この作戦はかなりモチベーションを高く持つことができました。
3.生命保険会社(生保レディ)を辞めて他業界へ転職する
それでも今の環境に我慢ができないならば、スッパリと他業界や他社へ退職を決めてしまう事をお勧めします。
自分自身だけがいくら思い悩み抵抗をしてみたところで、どうにもできないことにこの先もずっと抗い続けるのは人生の無駄な浪費でしかありません。
だったらその時間と熱意を、自分の人生が好転するための転職活動にそそぐ方が、ずっと生産性の高い取り組みであるといえないでしょうか?
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまく生命保険会社(生保レディ)勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、生命保険会社以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
生命保険会社(生保レディ)の辞め方とタイミング
辞め方とタイミング1:お客様への挨拶は後任担当者との同行が必須
一生懸命頑張ったとしても、何らかの理由で退職するということはあり得ることです。
これは生保の営業だけではなく、営業職であればどんな業界の方でも同じことですが、せっかく信頼関係を築けたお客様に対しての最低の礼儀とも言えます。
特に生保の場合は、これから請求や満期の手続き等でお付き合いを続けていく可能性が非常に高いので、必ず後任者を連れてご挨拶に伺うべきです。
万が一、同僚や先輩後輩で適任者がいない場合や、大口のお客様である場合は、総合職の上司に同行してもらうのがベストです。
遠方のお客様や入院中のお客様には、後任者の名刺を添えてご挨拶状を送付します。「何かあったらこの人に聞いて下さい」という引継ぎをきちんとしないことには、お客様の不安を募らせるだけです。
くれぐれも電話連絡を受けて「○○は退職しましたが…」ということのないように、時間をかけて丁寧なあいさつをすることが必要です。
辞め方とタイミング2:転職時期は12月がベスト
会社を辞める時に、次の仕事が決まっていないという人は、なかなかいないですが、次の職場にどのような雇用形態で入るかによってタイミングを計る必要があります。
通常生保業界には査定時期があります。
過去1年間の成立した成績、解約された成績等をその会社ごとの基準に基づいて、次年度のランクや給料を決めます。
その時期まで目一杯頑張るのは当たり前ですが、事情があっての退職であれば、なかなか査定に合わせての退職というのは難しいものがあります。
事実、査定で最賃になってしまい、諦めて退職というケースは少なくありませんが、時期的には12月末をおススメします。
これは確定申告に関係してくることですが、生保の営業員は個人事業主です。
収入によっては青色申告、通常は白色申告を行う必要があります。
確定申告の時期は前年度分を翌年の2月から行いますが、仮に年の途中で退職した場合は、転職先の会社と合わせての確定申告になります。
会社員の確定申告と、個人事業主の確定申告では内容が大きく違います。
その煩雑さを考えるとかなりの労力となるので、12月末であれば翌年2月に確定申告を行えばOKということになります。
転職先の申告は別途1月からの分として源泉徴収してもらえば済む話なので、できれば12月末での退職がおススメです。
辞め方とタイミング3:別の保険会社への乗り換えはタブー
生保業界にはいろいろな会社を転々とする営業員がいますが、実をいうとこれはあまりおススメできません、顧客を引っ張りまわすことになってしまうからです。
以前の会社の顧客をそのままにしているのなら特に問題はありませんが、「○○生命から△△生命に移ったので、何かあれば・・・」のような形で会社関係なく顧客とのパイプを持とうとするのはタブーです。
その大きな理由としては、顧客の利益にはつながらないからです。
年齢が上がれば、当然Pも上がります。
中には持病を持ってしまったがために、保険に入れなくなってしまった顧客もいます。
掛け捨てならともかく、貯蓄型の保険の場合、途中解約はほぼ元本割れします。
乗り換えは顧客の利益ではなく、営業員の利益です。
顧客からの強い要望があれば話は別ですが、こちらから強引に話を進めることではありません。
ただ会社を変えて、一から出直しという場合には、この限りではありませんが、自分で新規の顧客を獲得した営業員は特に注意です。
生命保険会社(生保レディ)の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.来店型保険代理店に転職する
最近保険業界では、様々な会社の保険を比較しながら検討できる来店型の代理店が人気です。
様々な保険を一手に引き受けて、お客様のニーズに合わせた保険を多くの商品から選ぶことができるという営業スタイルに人気が高まっています。
来店型であるため、特に積極的な募集活動は必要ありません。買い物帰りに寄ったり、予約をされたお客様に対する対応を行うのです。
多くの商品を取り扱うため、生保の基礎知識は絶対必要です。保険の種類や詳細がわからなければ、販売はできません。
生保会社で身に付けた知識を活かすには、最適の転職先です。
2.自分自身で代理店を開業する
少し資金に余裕があり、お客様も抱えているベテランの営業員は、自分で代理店を開業するケースもあります。
ノルマの厳しい研修がありますが、希望者は大変多いです。
個人事業主としても、法人化して会社としても行うことは可能です。
ただし、やはり顧客の数がある程度ないと、新規の開拓だけで行うのは無謀です。
乗合は最初の数年はできないので、しばらくは専属で行うことになります。
損保もやるか生保だけかというのは選択できますが、損保の場合は交通事故の対応が24時間行わなくてはいけない可能性があると言われています。
自分でやってみたいと思える方には、成功者が多くいる転職先です。
3.損保代理店に転職する
これは同じ保険でも生保ではなく、損保の代理店に就職するケースです。
試験や研修を受ける必要がありますが、生保の代理店よりも損保の代理店の方が数が多いので、募集も目にする回数が多いです。
女性よりは男性がチャレンジすることが多いですが、生保よりも「必要性」をお客様が感じている商品なので、生保の営業よりは疎まれることは少ないようです。
ただし、交通事故の対応はある程度の交渉力が必要になるので、多くの研修を受けることになります。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
生命保険会社(生保レディ)勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「生命保険会社以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない生保業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。
また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。