警察官を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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波止 鏡子

波止 鏡子

結婚を機に転職エージェント勤務8年を得て退職。人事コンサルティング会社へ転職すると同時に、キャリアパス相談を日々こなしながら原稿執筆にも邁進中。花の30代。




根強い組織文化と風習が残る警察官

警察官は市民の安全や犯罪対応、災害時の治安活動などその業務は多岐に渡ります。
他の職業と比較しても業務内容が多岐に渡るのが警察官の特徴です。
そのため、あらゆる場面を想定して任務を遂行出来るように警察官には教育が施されています。
民間人からすれば馴染みのない仕事も多数存在しますが、それは市民を守るために必要不可欠だからです。

警察官は組織が持つ特別さのためか、閉鎖的な環境でこれまで業務を行ってきました。
こうした環境から民間企業では考えられないような独自の組織文化や風習があり、その文化に馴染めない警察官が上司や先輩に暴力的を振るわれたり、イジメととれるような行動やセクハラを受けたりという報道が度々なされるのも事実です。
ひどい場合には自殺に追い込まれるなど、組織が抱える問題は後を絶ちません。

もちろん「市民のために」という精神のもと、頑張ろうとしている警察官は数多く存在します。
しかしその一方では警察組織が抱える現実に直面し、今後も警察官を続けて良いのか悩む人たちは後を立ちません。

警察官ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

辞めたくなる悩み1:厳しい訓練で体力的にも精神的にも辛い

警察官は基本的に年齢や部署によらず、一定の体力水準を維持しなくてはなりません。
体力訓練が業務の一環としてあることから、警察組織で働くには一般人よりも体力があるのは前提となってきます。

所属部門によっては、連日厳しい体力訓練を行う場合があります。
基本的に体力は鍛えれば誰でも向上するという考えの組織のため、訓練についていければ一定水準以上の体力がつくことに違いありません。

ですがいくら頭では分かっていても、体力的にも精神的にも厳しいトレーニングのため「このまま続けられない」、「早く辞めたい」と考える人が出てくるのも事実です。
そのため、肉体的にも精神的にも究極まで追い詰められた環境で「こんな環境で働き続けるなんてあり得ない」と辞めていく人が後を絶ちません。

辞めたくなる悩み2:警察組織特有の生活や慣習についていけない

警察組織特有の生活や風習についていけないのも辞めたいと考える大きな理由です。

何となく周囲に進められて警察官になったものの、組織自体が自分の性格に合わないと感じている人は残念ながら少なくありません。
その要因としては以下のようなものが挙げられます。

【警察官特有の生活や慣習】
  • 完全に縦社会で上下関係がはっきりとしていている。
  • 上司や先輩の命令は絶対のため、不服があっても従わなくてはならない
  • 体育会系のノリの部署が多く、パワハラまがいの行為をされることも少なくない
  • 武道の訓練と称して、上司や先輩から徹底的にしごかれる
  • 自分よりも仕事が出来ない上司でも上下関係を尊重しなければならない
  • 仕事中に頭を叩かれたり怒鳴られたりするのは日常茶飯事
  • 多少は理不尽と思われる暴力も警察内部ならば許される
  • 出来ない人間には仕事を与えなかったり、無視したりする

などが挙げられます。

こういった環境で長期間に渡って過ごさなければならず、適応出来ない人にはストレスやフラストレーションが自然とたまっていきます。
体力的に辛いだけであればまだしも、精神的な負担が大きいのも警察官の特徴です。

このような組織的なイジメや暴行が原因で自殺をする警察官すら報道されています。
規律正しい団体行動を順守しなければ命の危険に晒される可能性もあるため、ある程度は仕方がないとしても、極端すぎる縦割り社会は警察官として働く上で大きな障害になっていることがあるかもしれません。

辞めたくなる悩み3:勤務時間が不規則で体力的に厳しい

警察官は勤務時間が不規則で体力的に厳しく、激務を理由にして辞めていく人は増えています。体力に自信のある人でも激務に追われ、体調を崩すことは珍しくありません。

その背景には非番の日でも急な対応で呼び出されたり、シフト勤務による不規則な生活に体がついていかなかったりすることが挙げられます。
このような環境では身体を壊すだけではなく、プライベートの時間すら確保することが難しいです。

そのため家族とのプライベートを犠牲にして働いている人は少なくありません。
こうした理由から公務員の中でも離婚率が高い職業だと言われています。
「20代ですら辛いのだから、このまま30代や40代まで持つわけがない」と考え、転職を検討する人がいます。

辞めたくなる悩み4:現場からやりがいや使命感を感じられない

「市民の安全のために」と夢を持って警察官になる人は多いでしょう。
しかし警察官として実際に働く中で使命感を感じられないために、辞めていく人は後を絶ちません。

組織内の複雑な人間関係や先輩たちの働きぶりを見ていて「市民のために働いている実感が全くない」、「誰のために働いているのか分からない」ということを自問自答しているうちに辞めたくなるといった気持ちや思いにかられる人がいます。

警察官になった当初は、仕事へのやりがいを感じていた人が多いかと思います。
人によっては辛くて逃げ出したいと考えるものの、自分の働きが市民のためになると思い頑張ってきたはずです。

しかし実際の現場では自分が役に立っているのかという実感が湧きにくく、惰性で続けているとモチベーションも自然と下がってしまうのが現状です。

辞めたくなる悩み5:退職後のキャリア設計が見えにくい

警察官の多くは新卒採用です。
そのため民間企業で働いたことがある人はほとんど居らず、退職後のキャリア設計が立てにくいのが退職を阻む実情として挙げられます。

警察官の再就職先の多くは警備会社や防犯会社など、持ち前の力を発揮出来る場所が多いです。これは警察組織の中の縦社会しか知らず、ビジネスに関するキャリアやスキルを積めていないことが要因です。
もちろん専門スキルを持つ人や天下りができるキャリアの方々は違った就職先がありますが、それはごく限られた人にしか過ぎません。
多くのノンキャリア警官には該当しないのが現実です。

当然のように副業も禁止されているので在職時から自分のビジネスを持つことは出来ません。そのため自分一人の力では退職後のキャリアプランが見えにくいのです。
こうした危機意識から転職出来る年齢で退職しようとする人が出てきます。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.警察官として働くメリットを再度考える

仕事を辞めたいと思う人の中には「警察官としての仕事は好きなんだよね!」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした人におすすめしたいのが、今一度ご自身が警察官として働くメリットや思いを振り返ることです。

警察官として働くメリットや思いについていくつかまとめました。
もちろん、これは一例なので、ぜひご自身でも考えてみてください。

【警察官として働くメリット】
  • 厳しい訓練を通して体力や成し遂げるだけの力をつけられる
  • 人間関係が複雑な場所で仕事をしてきたので精神力がある
  • 市民のためにと仕事を行ってきたので責任感がある
  • 上下関係が叩き込まれているので上司や先輩に対する忠実性が高い
  • 修羅場や泥臭い現場と関わってきたので根性を持っている
  • チームや部隊の運営経験があれば、マネジメントの経験をアピール出来る

などが挙げられます。

これらのスキルは他の企業や業種でも必要とされますし、こうしたスキルを持つ人は転職市場において貴重な存在となります。

警察官においては「国家のために働く」、「自分の働きを国民のために活かしたい」など他の職業にはない特徴があり、やりがいを感じている人も多いでしょう。
仕事に誇りを持って取り組んでいるのであれば無理に辞める必要はなく、警察官としての経験やスキルに磨きをかけるべきです。

ですが、改めて警察官として働くメリットをご自身の中で見直した時に、転職という選択肢がでてきてもおかしくはありません。
その時には、早い段階で転職活動を始められることをおすすめします。

2.転職するメリットを知る

警察官の仕事を辞めて転職するメリットを以下にいくつか挙げます。

【転職するメリット】
  • 厳しい訓練に時間を費やさなくて良いので体力的に楽になる
  • 警察組織独自の規律や風習に従わなくても良い
  • イジメやパワハラから解放されて精神的なストレスが軽減される
  • 転職先によっては今よりも高い給料や収入を得られる
  • 厳しい訓練による怪我や悪質なパワハラによって病気を患うリスクを低減出来る
  • 今までのスキルや経験を活かして更に高い給料や年収を貰える可能性がある

などが挙げられます。

残念ながら病気や怪我が理由で退職する警察官は多いです。
病気や怪我にならないまでも体力的にも精神的にも厳しさを覚えている人は、無理に仕事を続けるのではなく転職を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

警察官として働くことに生きがいを感じているのであればまだしも、辞めたくて仕方がない状況が続いている人は「転職する選択肢もある」と気楽に考えてみてください。

3.警察官の経験が活かせる他業種へ転職する

警察官が他業種へ転職することは、正直難しくありません。
それは通常の業務を通して他業種で働く上で必要なスキルや経験、能力を常に磨いているからです。

基本的に警察官は、その仕事柄から体力やストレス耐性が高い人が多いです。
指示内容を的確に実行するための理解力や行動力が高い人も少なくありません。所属分野によっては専門性が高い人も多いため、警察官として培った知識や経験を元に新しい環境で再出発をする人もいます。

これまで培ってきたスキルや技能を上手にマッチングさせられれば、他業種でも問題なく働ける人材とみなされるに違いありません。

警察組織の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1. 公務員としてのモチベーションを糧に別の職種の公務員へ

警察官としてある程度の期間働いていた人なら、公務員としての心構えや仕事のスタイル、働く上で有利となる各種資格も多数取得しているのではないでしょうか。
そうした人におすすめしたいのが、別の職種の公務員として再出発することです。

今の職場や環境で働き続けるのは辛いけど「国民のために働けることに生きがいを感じる!」という人や「出来ることなら公務員として働きたい!」という人は検討されてみてはいかがでしょうか。

同じ公務員とはいえ、警察官とそれ以外の場所ではまた環境や条件が変わってきます。
体を使いたい人であれば自衛隊や消防など、デスクワークを行いたい人であれば国家公務員や地方公務員を受験することも可能です。

ただし中途採用には年齢制限があるため、受験を考える場合にはまず募集要項を確認するようにしてください。

2.鍛えた体と肩書きを上手に利用!防犯会社や警備会社への転職

「警察官としてはもう働きたくないけど、体を動かす仕事がしたい!」、「元警察官という肩書きを上手に利用したい!」という人には、防犯会社や警備会社に転職するという道もあります。

こうした企業では先輩警察官が転職、再就職をしている実績があるため、受け入れてもらいやすいです。民間企業のため、転職時に待遇や福利厚生の面での交渉も可能となってきます。

また警察官の時の知識や経験を活かして、防犯術のアドバイザーやセミナーを開き講師として活躍している人もいます。
民間で働きながら、こうした自身の経験を一般の人に伝えていくのも一つの働き方です。

3.自分の力で成果を出したい!自身が興味のある分野の営業職へ転職

「自分の実績だけで成果を残す仕事がしたい!」、「警察官とはまったく違う仕事がしたい」という人も多いかと思います。そうした人には、自分が働いてみたい分野で営業職へ転職されることをおすすめします。

基本的にどの業界でも営業職は人不足に悩んでいます。
製薬業界などのような一部の業界では、資格所持が転職の際に必要となる場合もありますが、大部分の業種ではそうした制限はありません。
そのため自分が興味のある業界や職種に挑戦することが可能なのです。

特に警察官として働いていたとなると、強い責任感と高いストレス耐性を持っている人材と期待した企業からオファーを受ける場合があります。

これまでとは毛色が違う業務になるため、自身をアピールする時には、警察官として得た能力や経験が「これらの仕事にどのようにマッチングしていくのか?」について伝えることが大切になります。そのため、これまで培ってきた能力を転職先で「どのように活かせるのか?」を今一度自分の中で整理する必要があります。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

警察官勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「警察官の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない警察業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

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