
越川正志

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これまで、既に20社超の面接を受け、内定も10社ほどからもらってきました。
面接はそれぞれの会社の企業文化や戦略などを面接官の人柄や質疑のやりとりでも如実に表すものです。
面接は出たとこ勝負な面もありますが、やはり、事前に想定されるパータンをある程度、頭に入れて、想定問答をしたり、心の準備をすることで、うまく対処できる可能性は格段に上がるというのが経験上の感覚です。
これまで受けてきた面接の中で、皆さんのご参考になりそうなものを選考のプロセスなども含めて、シリーズもので整理して、記事にしていきたいと思います。
今回は、A社(卸売業/業界Top3)に関して書いていきます。
選考の流れ
A社には、Bizreachに登録後、コンタクトのあった転職エージェントから紹介を受けて、応募しました。
この転職エージェントの所属会社は、当時、A社の関係会社でもあり、A社人事部と定期的に人材交流もしていて、出向者を数年間期間のローテーションで出していまいした。
そうした経緯もあり、人事部と太い人的なパイプがあり、公開求人となる前の段階で、御用聞き訪問で尋ねた転職エージェントが、人事部から相談を受けるという非常にラッキーな状態で求人ニーズを把握してもらうことができました。
結果として、他の候補者と比較されることなく、選考が進むことになり、非常にスムーズに書類選考から面接に選考プロセスが進み、およそ、2か月間という短期間で内定をもらうことができました。
書類選考が、履歴書と職務履歴書を転職エージェント経由で提出して以降の選考の流れは、おおよそ以下のような感じでした。
(書類選考から一次面接までの間が2週間ほどありましたが、その後は、各面接終了後、2-3日で連絡があり、次のプロセスに進んでほしいということになり、すぐに日程調整して、1週間後くらいに面接を受ける流れで進みました。)
- 一次面接(採用部門の部長と課長)
- 二次面接(採用部門の部門長と課長)
- 三次面接(採用部門の経営企画部長と人事担当者)
- 入社前健康診断、最終面接(本社の人事部長と人事部課長)
- オファー面談後、内定を内諾
- SPI試験などの筆記試験はなし
一次面接関連
これは、入社後に聞いた話ですが、実質的には、採用部署にあたる部長と課長が面接官となった一次面接で、ほぼ採用が決定している状況だったようです。
採用部署が採用の実質的な決定権を持って、一次面接で判断し、あとは採用部署の採用意向が強い場合は、その後、人事などで処遇条件、入社時期などを調整する目的も含めて、二次面接以降の対応をするケースは経験上、わりと多くありました。
(本社の人事部主導で中途採用する場合は、大手の転職支援会社を使い、新卒同様に時期を決めて、大々的に募集をかけて、書類選考、一次面接、、、スケジュールを開示して進めていくパターンがあります。)
一次面接の冒頭で、面接官の一人の部長から「うちに入社したら、前職で直前まで、関与していた〇〇案件を担当してもらうことはできるか?」といきなり、守秘義務すれすれの質問があり、正直面食らいました。
その時は、さすがは生き馬の目を抜くと言われる厳しい世界だけのことはあるなあと妙に納得し、守秘義務に触れない範囲で前向きな回答をしておきました。
(後から、振り返ると、面接の場で弱い立場にいる転職候補者に入社したら、前の会社で業務上知りえた秘密情報に近いセンシティブな情報を出して、仕事をできるか?と聞いているのに等しくて、コンプライアンス上、アウトに近いように感じました。幸いなことに、実際には入社後に秘密情報は出せと強く迫られることはありませんでしたが。)
もう一人の面接官の課長からは、前職が不祥事を起こした中で、こうして転職活動をしている話を聞いて、会社としては社会的に加害者のような捉えられ方をしていても、中にいる社員一人一人の人はある意味、被害者なのだなと感じたとの暖かいコメントももらい、さすがは人心掌握もうまいなあと思いました。
この部長が強面で厳しい、答えづらい質問をして、課長が優しい言葉で相手の心をつかむといういわゆるGood Cop & Bad Cop作戦は意図的にしていたのかは分かりませんでした。
しかし、実際に内定をもらい、A社に入社してみて、交渉の場面などで意図的にいい人と悪い人を複数の人で使い分けて、交渉相手をうまく自分たちの思う方向に誘導している場面を何度も見聞きしたので、私の面接の場面でも阿吽の呼吸でそういう対応をしていたのかもしれません。
その後、お決まりの転職理由を聞かれました。
1つは前職からの転職理由をしっかりと答えることを意識して、泥船から単に脱出しようとしていると思われないように整理して伝えることに集中しました。
(A社の前に受けた面接で某社から泥船から逃げ出そうとしている現実逃避傾向が強い人物ではとの理由で選考が進まなかったことがあり、その経験を活かさねばと必死でした)
説明の仕方としては、前職に残って自分が一社会人として個人のレベルでできること(技術者でないので、貢献できることは限定的という説明の仕方)と、社外に出ることで、できること(これまでの業務やMBA留学経験も活かせるという説明の仕方)の比較を行い、散々、考えた末に決断して、転職活動をしていることを説明しました。
この転職理由に補足して、前職には10年超在職し、社費でMBA留学もさせてもらったので恩義も感じているといういい方で、組織への忠誠心を人並み以上に持ち合わせていることもPRしました。
転職後も、前職の人脈を活用できるように退職する場合も、円満退社できるようにきちんと引継ぎなどの対応をしていきたいことも併せて、説明しました。
その次の転職理由としては、転職エージェントから聞いた求人ポジションで求めている経験やスキルなどを念頭において、自分のこれまで経験してきたことを活かして、今後、達成したいキャリアを構築できると考えていることを上げました。
ただ、やや、抽象的で面接官にうまく伝わっているか感触がいまいち、よく分からないところがありました。
これは、新卒の面接でも同じですが、所詮はその会社の中で働いたことがない“よそ者”である以上は、いくら会社のHPやインターネットで探した情報ベースで回答しても、外から見た外野の意見ということができ、地に足の着いた実態に基づくものかは確信が持てないところがあるものです。
抽象的な自分の回答に対して、聞いている面接官が本当に自分の会社のことを理解して回答しているのか分からないと感じているのに対しては、さらに、抽象論のレベルで話を積み上げても仕方がないので、いかに具体的なイメージを持てる説明をできるかが重要となると思います。
この面接の場でも、面接官の反応を見て、抽象的な話では十分な納得感が得られていないなと判断しました。
対策としては、自分自身の実体験に基づく転職理由を買い物出ない自分自身の言葉で話すのが効果的だろうと思案しました。たまたま、大学の同級生が5年ほど前にA社に中途入社していて、面接前に何度か話を聞いていたが幸いでした。
事前に考えていたネタではなかったのですが、大学時代の知人から話を聞き、中途入社でも生き生きと活躍できる可能性が高い会社という印象を強く持ったことを理由として挙げてみました。
結果的には、この回答が採用の決め手になったようでした。
というのは、大学の友人といういい方をしたのに対して、面接官から誰?と名前をきかれたので、友人の名前を出しました。すると、本当に偶然だったのですが、実は、この大学時代の友人が社内でIR関連の仕事をしていて、面接官の部長、課長と頻繁にやりとりをしていたのでした。
そうした背景もあり、面接官の二人から「ああ、彼とは先週も仕事で打ち合わせをしたよ」という回答が返ってきました。それを受けて、「彼とは、大学時代からの悪友でして…」と多少、プライベートにからめた話をすることで、やや硬い展開だった面接を笑いを交えてのなごやかな雰囲気のものに転換するきっかけにもなりました。
入社後、半年くらいしてから、部長と話す機会がありました。思い切って、面接の話を聞いてみたところ、
「面接の場で、転職理由を聞くととかく会社の戦略の話とか小難しいことを知ったかぶりをして言いだす人が多い印象を持っていた。
そういう受け答えに対しては、社外から対外的に発表されている字面だけの情報で、何が分かるのだ?と反感を感じていた。
逆にあなたは、自分の言葉で、友人の名前を挙げて、転職したいと説明してくれたのが、すっと腹に落ちて、納得できた。
その結果、その場で是非、採用したいと決断できた」
と打ち明け話を聞くことができました。
面接はフォーマルな場ですし、限られた時間で会社側は転職候補者のことを採用に足る人物か判断しようとしますし、転職候補者側も自分のことをきちんとPRしようとするので、お互いに緊張感もあり、ともすると話が抽象的なものになりがちです。
そういう中で、他の候補者と比較して、抜きんでた存在として認識してもらうには、やはり、他でもない自分自身のことを理解してもらえる具体的なネタを随所に織り交ぜるべきだと思います。
(もちろん、面接官が理解できるものでなくてはなりません。)
そうした具体的なネタを借りものではない自分の言葉で、なるべく、かみ砕いて分かりやすく説明するというのは非常に重要だと思います。
これは、新卒の就職活動の時にも考えていたのですが、どんな面接官でも、個人的な経験に基づく話は否定できませんし、具体的なネタを自分の言葉で話す方が、抽象的なネタを借りてきた言葉で説明するよりも格段に説得力があると思います。
例えばですが、尊敬する人物を聞かれたときに、坂本龍馬などの歴史上の偉人の名前を挙げるよりも、身近な人物(例えば両親など)を挙げるということをイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。
歴史上の偉人に関しては、面接官が歴史好きだったりするとその人物への評価が自分のものと違ったりしてややこしいことも十分にあり得ます。
それに対して、自分の両親を挙げれば、面接官は会ったこともないので、多少、デフォルメして説明しても問題ありません。
面接で述べてきた自分の長所などが両親の影響を受けて、育まれたものなんだなと面接官に感じてもらえるようなネタを話してみると効果的だと思います。
もちろん、面接の場面や相手により、使い分ける必要があるわけですが、今回、ご紹介したケースのようにうまくはまれば、採用の決定打になるケースもあるくらい、個人的な話をネタにするのは効果的なケースも往々にしてあります。
二次面接以降
その後の二次面接は、冒頭で面接官の一人が「私は○○の出身で、あなたの前職の不祥事のせいで多大な影響を受けています」という趣旨のことを言い出しました。
こちらも今にして考えると、本心でそう思っていたとしても、面接の場で初対面の相手にいきなり言い出す話ではない気がしますし、社会人としてマナー違反だと思います。
ただ、そういうわけにもいかないので、前職の会社全体のことと自分個人のことの線引きをどうするか、悩みましたが、一旦、会社がご迷惑をかけていますと謝罪しました。
その後のやりとりは、既に一次面接で採用する方針だとの高評価が上がっていたこともあり、特にややこしい話もなく、無事に終了しました。
その後の三次、最終面接もとくに回答に困るようなこともないまま、終了し、内定を受領し、入社を決めました。
反省すべき点もあった
面接が想定したよりも、短期間にスムーズに進んだこともあり、早く転職を決めたかったので、処遇条件の交渉もせず、提示を受けた条件を受諾する形でした。
処遇条件は、前職との比較で、給与が上がるものでしたので、特に不満もありませんでした。条件の決め方は、新卒で同じ年にA社に入社したプロパーの同期の母集団の真ん中の評価での処遇条件というもので、それが会社の人事規定なのかあと思ったくらいで、特にそれ以上の確認もしませんでした。
あと、A社では、前職で社宅に入居していた場合、転職時に引っ越しが必要で、会社の借り上げ社宅に入居を希望すれば、一定の条件を満たせば、会社から補助が出る規定がありました。その条件は、A社が提携する不動産会社に連絡して、物件を斡旋してもらうというもので、条件を満たせば、2年間家賃を毎月一定額まで補助してくれるものでした。
あいにく、そうした制度があるとの連絡は受けていたものの、前職からの転職、引っ越しのドタバタの渦中にいて、自分で物件を決めてしまって、契約した後に、この制度の詳細を知り、後の祭りでした。
今振り返ると、2年間、年間数百万円の補助をもらう権利があったので、もったいないことをしたなと反省しています。