マーケティングリサーチ会社を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。

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マーケティングリサーチの業界は、世知辛い現代を象徴するような仕事でした。

記事の目次

野村龍一
今回は外資系のマーケティングリサーチ会社にお勤めされていた近藤邦治さん(仮名)からの寄稿レポートです。
近藤邦治 さん
クライアント企業の依頼でデータを集めて資料にまとめるマーケティングリサーチ。私は外資系企業だったのですが、これがなかなか外からではわからない…とても大変な仕事でした。

クライアントのマーケティング上の課題を咀嚼し、クライアントがターゲットの生活習慣や価値観にマッチした商品やサービスを開発できるように調査企画を実施するというと一見クリエイティブに聞こえますが、実際にはルーティンを回しているだけという業務も少なくありません。

また、他の業界と同様過去の負の遺産に苦しんでいる部分もあります。

クライアントからの承認が遅れることによって生じる厳しい納期とサービス残業、過去におけるしがらみ、そして雑な工数管理と見積から生じた労働時間に見合わない安い受注額などが原因で、営利を求める会社の経営層と短い期間でマルチタスクをこなさないといけないスタッフの間には溝が生じ、休職者や離職者が増えるのも、この業界に多く見られる傾向です。

特にクライアントがマーケティング部や営業部といった中心的存在の組織ではなく、調査部や〇〇課といったお金や発言権があまり強くない組織ですと、彼らから得られる案件は短い納期や工数の割に受注額が少ないブラック化するリスクが高い案件が多くなります。

そのような案件であっても受注して売上を取りたい経営層の要求に応えるために、マネージャーまたはそれ以上の残業の発生しないポジションの人たちが、納期を守るとともに人件費が増えないよう残業や休日出勤をしながら対応することになります。

このような受注額が低いのに工数が厳しい案件が重なることで体調が悪くなり休職するマネージャーが出る、それによって残ったマネージャーたちが業務をカバーすることになり、さらに負担が増すという負のスパイラルに悩まされることになります。

また、外資系マーケティングリサーチ会社の場合は上記の問題に加えて、業界自体の利益率が西欧諸国やシンガポールそして香港などと比べて低いため、半年または四半期ごとにアジアパシフィック部門のトップに言い訳めいた報告書を提出し、常にペコペコするという屈辱的な時間があります。

そのような時に、英語ができるリサーチャーには漏れなく英文報告書の作成というタスクが回されます。
中には外部の翻訳会社に依頼できる会社もありますが、経費削減のためにマネージャー以上の英語ができるリサーチャーにサービス残業で英文報告書を作らせるというのがお金に困っている会社の常です。

このように、マーケティングリサーチャーというとクリエイティブかつ余計なことに振り回されずリサーチに没頭できるように思われがちですが、その実態はというと過去のしがらみや業務量の割に短い納期、そして低い受注額から生じるサービス残業など、他の業界でも色々耳にする問題に悩まされ、リサーチに集中して納得のいく成果物を出せる環境とは決して言えません。

マーケティングリサーチ業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

辞めたい理由と悩み1:クライアントとのグズグズな関係から生じる心理的負担

マーケティングリサーチ会社はクライアント企業のサプライヤーなのである程度は仕方がないのですが、同僚の諸先輩方が築き上げてきた負の遺産(クライアントからの要望には、社内の稼働状況を考慮せず必ず応える、クライアント側の意思決定が遅れ納期までの時間が短くなった場合でも納期は変更しない(したがって残業が発生する)、本来は自分たちが行わなくてもよいようなクライアントの業務まで行うといった具合でした。

更に、今まで工数の管理が杜撰で業務範囲の記載もいい加減な状態で見積を行い何年もその業務スタイルを維持していたために、それを改善しクライアントを説得するのは困難)の部分が大きく、一部のクライアントに関しては業務を受注するほど赤字になるという悲惨な状況に陥っていました。

私もそのようなクライアントの担当マネージャーになったことがありますが、クライアントとの関係改善を実行し受注額を上げるだけの影響力はありませんでした。

そして、いただいた受注額の中からフィールドワークやデータ入力などの費用を引くと集計や分析に使える額はほんのわずか、当然のことながら社内のスタッフに業務を依頼すると工数とお金が発生してしまうので自分でやるしかありません。

赤字を出してでも社内スタッフに手伝ってもらうという方法もありますが、赤字を出すと社内での評価が下がりもっと収益性の低いクライアントの担当に回され、最終的に自主退職を迫られる状況に追い込まれかねないので、自分で行うことにしました。

また、このような社内の労働環境に将来への不安を感じ、モチベーションを維持できずに離職するスタッフも何人か存在しました。

辞めたい理由と悩み2:役職が上がるとかえって時給が減少客のクレームで疲弊する

前職などでリサーチの経験があり統計解析も少し知っていたこと、そしてビジネスレベルで英文報告書の作成などができたこともあり、同じくらいのキャリアのスタッフに比べると給与面もよく2年目からマネージャーに昇進させてもらえるなど待遇については特に問題がありませんでした。

ただ、マネージャーになると担当するプロジェクトについて収支管理をするという責任が生じます。

そして、私がマネージャーになった年から、社内で給与・評価体系の見直しとそれに伴うプロジェクトの収支見える化が始まりました。

プロジェクトの収支見える化によって私を含めスタッフのコスト意識が改善されたのはプラスですが、これによって収益性が低く行う価値がないプロジェクトやクライアントが存在することも明らかになりました。

このようなプロジェクトでは人件費も限られるため、仕方なく私も含めマネージャー以上が多くの業務を負担することになります。これらの業務の多くは就業時間後や休日出勤で行われるため、週60時間以上働くということも珍しくありません

結果として、昇進前の残業代をもらえていた頃と比べて、給与は若干上回るものの時給に換算すると大幅に減少ということになっていました。

辞めたい理由と悩み3:有休消化は困難

当時は基本土日休みでしたが、グループインタビューや会場を借りての商品テストなどが週末に行われると、私達も当然出勤しインタビュー会場に向かうことになります。
また、月曜日に会議などがあると、週末に報告書類を作ることになります。

週末に出勤して取得できなかった休暇に関しては、プロジェクトが入っていない時期に振り替えて週末と繋げてプチ大型連休にすることもできたので、その点は大変良かったと思います。

ただ、実際には元々が低い受注額で行っていたプロジェクトが多かった影響で中々目標額には到達できないため、休みを取得しづらい環境でした。

プロジェクトの合間に2~3日休みを取得できましたが、それらの休みは休日出勤の振り替え分であり、年間10~12日ほどあった有休自体の消化はほとんどできませんでした。

私は当時共働きで子供がいなかったこともあり、妻からも労働環境を原因とする不満はほとんど挙がりませんでしたが、小さいお子さんがいる家族の方々にとってはストレスが溜りやすい環境だったと思います。

辞めたい理由と悩み4:外資系企業の悪い部分、商習慣の違いを理解してもらえず現場は不満でいっぱい

当時の会社は外資系で、本部のオーナーとアジアパシフィック部門のトップはともに外国人です。
特に、アジアパシフィック部門のトップは直近の成果を出すことに注力し長期的な視点で会社を見ていないと同時に、日本を含む東アジアにおけるクライアントとサプライヤーの力関係なんて端から理解していません。

具体的には、外国人が考えるクライアントへのチャージ(1時間当たりの費用)と日本でクライアントから受け取る一般的なチャージ額が大きく異なるため、彼らにとって日本オフィスは収益率が悪くスタッフの能力が低いと映るようです

彼らの言い分についても正しい部分はありますが、そもそもクライアント企業のマーケティング戦略から関わって高いチャージを得られるアジアパシフィック(シンガポールや香港)と、クライアントのマーケティング施策のほんの一部にしか関われない日本を含む東アジアのオフィスでは、もらえるチャージ額も収益率も異なるのは当然です。

ちなみに日本では、クライアントのマーケティング戦略など上流工程から関与できるのは、私達が逆立ちしても叶わないような地頭の良い方々です。

しかも、彼らは粗雑なマクロデータをもとに一方的にノルマを押し付けてくるので、日本オフィスも厳しい稼働状況の中で何とか売上及び利益額をねん出することが求められ、アジアパシフィック部門のイエスマンと化した私達の社長様のもと、不満を募らせた一部のマネージャーやスタッフが職場の雰囲気をさらに悪化させ、私自身も常にストレスを感じながら働いていました。

では、マーケティングリサーチ会社に勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、マーケティングリサーチャーの人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.クライアントとの関係改善にひたすら務める

クライアントとの関係を見直し、今までより高いチャージを貰えるように交渉するのは、正直なところ非常にハードルが高いです。
クライアントにとっては、今までと依頼内容も成果物の質も大して変わらないのに、今までより多くのお金を払うのは納得がいかないからです。

困難を承知の上ですが、マーケティングリサーチ会社側からできることは大きく分けて以下の3つです。

  1. 各プロジェクトにおける業務内容を詳細まで設定し、それ以外については別料金にする
  2. クライアントから追加作業を依頼された際、期日やスタッフの稼働状況を考慮した上で実施困難なものは丁重にお断りする、またはお断りするよう上司を説得する
  3. プロジェクトごとに工数が増えている業務を検証し、工数が多い部分についてはプロジェクト提案時に稼働時間ならびにチャージを多めに見積もるようにする

劇的な効果を期待できるものはありませんが、業務範囲を詳細に設定して範囲外のものについてはお断りするか別途納期を設定してお金をもらう、という当たり前のことを推進することで、少しずつ改善していくのが妥当だと思われます。

2.常態化した休日出勤やサービス残業を是正するには

まず仕事のやり方を見直すことが不可欠です。
というのも、予定時間をオーバーするミーティングや、クライアントから急遽依頼されて引き受けてしまった本来行わなくてもいい業務によって稼働時間が逼迫し、その結果就業時間後のサービス残業や休日出勤で遅れを取り戻すという事態が常態化していたからです。

この改善を行うには、社長や社内で発言力のある上司を味方につけて改善しやすい状況を作りつつ、綿密に改善案を提供することが必要になります。
というのも、進め方を間違えると現行の否定と誤解され、その原因は上司たちが無能だからという捉えられ方をされかねないからです。

3.海外オフィスの偉い人達に意見を通すには

海外オフィス、特に日本オフィスで働いている人たちにとって、アジアパシフィック部門の上層部の方々は天上人のような存在です。

彼らにとって日本ローカルの商習慣なんぞはどうでもいいことであって、売上や利益額を達成してくれれば何の問題もない…と思いきや、必ずしもビジネス面のみで意思決定されるというわけでもなく、彼らの単なる好き嫌いで判断されているとしか思えないこともチラホラ起こります。

ビジネス面における評価だけでなく、彼らに好かれているかどうかで処遇が決まることも少なくないので、外資系に勤めている人たちは互いに疑心暗鬼になるのでしょうね。

たいてい日本だけでなくどの国にも1人はアジアパシフィック部門トップからのお目付け役(スパイとも言われているが)がいるので、その方との関係を良くするというのも一案です。

関係を良くすることで彼らを通じてアジアパシフィック部門の偉い方々に存在をアピールすることで、日本オフィス全体の評価が低くてもあなただけは高い評価と待遇を得られるようになるかもしれません。

ただ、お目付け役の人へのアピールを露骨にやると、今度は他のスタッフやマネージャーたちからスパイ扱いをされ落とし穴に嵌ることになりかねないので、ほどほどに行いましょう。

4.思い切って転職する

ここまで頑張っても、マーケティングリサーチ会社(特に外資系)で踏ん張ることにもう疲れた…という方ならば、思い切って転職へと舵を切ることも一計です。
特に外資系企業ならば、転職そのものが当たり前の選択肢ですので、周囲に必要以上に気を使う必要もなく、思う存分転職活動に打ち込むべきです。

他業種や他社への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく現マーケティングリサーチ会社を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、今の職場以外への道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

マーケティングリサーチ会社の辞め方とタイミング

辞め方とタイミング1: 次の仕事への準備

できれば辞める3カ月くらい前から次の仕事に向けた準備を開始し、必要に応じて資格取得の準備や職務経歴書の更新、リクルーティング会社への登録を済ませておきましょう。

リクルーティング会社への登録の際にはオンラインで履歴書と職務経歴書を作成することになると思いますが、職務経歴書についてはリクルーターから何回か修正を求められることがあります。

転職の面接の場では、今までの経歴を端的に説明することが求められます。

あなたの経歴が、応募先企業の人事担当者や面接担当者にわかりやすく伝わるよう意識しながら、十分時間を掛けて職務経歴書を作成しましょう。

辞め方とタイミング2:引継ぎと人間関係

辞めるときには、「立つ鳥跡を濁さず」で後任の方々に迷惑を掛けないようにしましょう。

特に引き継ぎ書の作成に関しては、何も知らない人でも引き継ぎ書を読めば業務に取り掛かれるようにするのがベストです。また、クライアント企業や担当者の特徴、受注額の設定方法などについても口頭で簡単に済ませるのではなく、きっちり見える化をして引き継ぎましょう。

また、退職後も前職の方と一緒に仕事をする機会が発生するかもしれません。
その際に悪い評判が立ち、あなたの業務に支障が出ることがないよう、辞めると決意した後も、業務や人間関係でトラブルを抱えることがないように行いましょう

マーケティングリサーチ会社の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.一般企業のマーケティング部門に転職する

多少ハードルは高いものの、事業戦略のフレームワークを理解し、課題抽出や解決に向けたアクションを提案・実施できることをアピールするとともに実施できる人であれば、転職は不可能ではありません。

ただ、過去に自らが担当したことがない商材よりも、自らが調査に関わり課題や改善に向けた仮設を出せる商品を扱っている会社のほうがハードルは低いでしょう。

2.メーカーや代理店の調査部門に転職する

特定の商品やサービスに関する専門知識が豊富な人であれば、消費財メーカーや大手広告代理店の調査部門に入り、リサーチのスペシャリストになるという選択肢もあります。

メーカーであればマーケティング部門の一部署になるため自由度があまりないというデメリットはありますが、リサーチに集中して自社に貢献したいという方にはおすすめです。

また、大手広告代理店の調査部門であれば、営業部門を通じてクライアント企業に様々なメディアを連携させたマーケティングプランを提案し、より主体的にマーケティング面でPDCAサイクルを回していくことも可能です。

3.フリーランスのマーケティングリサーチャーに転職する

特に深く付き合いがあるクライアントを持っている人で、かつ実査(フィールドワーク)を行う会社とのコネクションを持つ人におすすめです。

自分の裁量で業務量をコントロールできるので、仕事と余暇両方を充実させたい人におすすめです。また、定性調査のモデレーションと分析に自信がある方であれば、競争は激しいものの独立してフリーのモデレーターになることも可能です。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

マーケティングリサーチ会社勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「いまのマーケティングリサーチ会社以外にも職場はあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないマーケティングリサーチ業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

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