
越川正志

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今回は、少し視点を変えて、MBAとキャリア構築の関係、特に転職活動におけるMBAの効用(コンサルティング会社への転職他)に関して書いてみたいと思います。
自分自身の経験をふまえて、これから、留学(特にMBA留学)を考えらえる方のご参考になればと思います。
私のMBA留学、そして転職への経緯
私は、某国立大学の経済学部を卒業後、前職時代に社費留学で、米国に2年間のMBA留学(いわゆるMBAランキングで15-20位くらいの学校)をしました。
前職では、以前は勤務扱いの留学制度だったのですが、留学後に転職する人が続出した影響で、休職扱いで、社員個人の自己啓発の一環で留学させるという制度に変更になっていました。
社費留学の場合、会社側が大変さ加減をちゃんと理解してくれている場合は、TOEFLやGMATという試験対策やエッセー、面接対策に必要な時間を考慮して、業務負荷を軽減させたりしてくれるようです。(会社に出社せずに、図書館などで勉強することを認める会社もあるようです)
しかし、私の場合は、社費留学ではあったのですが、留学経験のない前職の上司や同僚は、そうした配慮のかけらもなく、2年間も仕事を休んで、海外で楽しんでくるのだから、留学前くらいは、滅私奉公しろという感じで、休日や深夜まで、仕事をすることもよくあり、スケジュール管理が大変でした。
仕事でご一緒した別の会社の30代の方が、同じく社費留学の選考に通り、昨年、留学準備をされていました。折に触れて、留学経験者として、相談を受けたり、利用して効果のあった予備校や教材、エッセーカウンセラーのご紹介などもしていました。
その方の場合は、試験を受けるために休暇を取らせてもらったり、出願前は、海外出張を免除してもらったりしていて、職場の理解やサポートは私の時よりは、得られていたとは思いますが、それでも、負担は大きかったようです。
社費の場合、社内選考を通過していても、留学先に関して、会社がランキングで条件を付けていたり、制約があることがあり、一方で、合格を勝ち取り、自分で行く先を確保しないと来年からの居場所も社内でない状態になりかねません。
そういう意味での暗黙のプレッシャーは、経験者でないと分からないものがあります。
夜中によく、どこにも合格できない悪夢を見て、冷や汗をかいて、目が覚めたりしていました。
そんな苦労をしながら、準備して行くことになる留学にも関わらず、私の前職は、休職扱いという中途半端な制度で、その間、会社の昇進もStopしていました。自己啓発かつ社外でも通用する人材を育成するというまさに転職を後押しするようなお題目の留学制度でしたので、私自身、MBA留学先の学校の卒業時、そのまま、会社に戻るのがいいのか大いに???でした。
それでも、忠誠心もあり、卒業後に復職することにしたのですが、分かっていたことではありますが、帰国した時には同期から昇進が2年遅れていて、その後、その遅れが、数年しても、なかなか取り戻せないジレンマにも悩んだりもしました。
留学時代の同級生は、いわゆるキャリアアップを実現し、要職について、大幅な昇給を達成したり、起業したりと、華々しく活躍していて、刺激も受け、自分の立場に歯がゆさも感じていました。
以前の記事にも書きましたが、MBA留学からの帰国から3年ほど経ったときに、前職が想定外のトラブルに見舞われて、急遽、転職活動をすることになりました。
その際に結果的に比較的、好条件で現職に転職できたのも、MBA留学し、その後、前職で海外の仕事をしていたことが大きかったと考えています。
というのは、現職では海外関連の仕事が多かったのですが、前職では海外関連の仕事経験は3年ほどしていたものの、海外駐在経験はありませんでした。
しかし、MBA留学していたので、2年間の海外生活経験があり、英語もそれなりにできるだろうと現職の人事に判断してもらえたようです。
そういう意味では、ある意味、皮肉なことに前職が自己啓発制度の一環として行っていた留学制度を活用して、MBA留学をしていたことが、転職して、社外で活躍することにつながったわけです。
退職時に会社が負担していた留学資金の2/5を返済することになり、10年超勤務したことで本来もらえるはずの退職金が没収され、さらに100万円超の支払いを求められ、閉口しましたが…。
MBA留学から10年近くが経ちますが、私は、私費での留学は費用対効果が見合うかは、判断が難しいある意味、かけだと感じています。
よほど、しっかりとしたキャリアプランと留学により、そのプランの実現可能性が高まるとの確証がないと必要な時間やお金を考えると覚悟を持って、やり切ることが難しいと思います。
逆に社費で留学できるチャンスがあれば、失うものよりも得るものの方が大きいケースが多いので、是非、挑戦すべきと考えています。
そんなMBAに関して、転職エージェント目線での転職時の評価と私の所感に関して、まずは整理してみたいと思います。
転職エージェント目線での転職時のMBAの価値
お付き合いしているコンサル系の転職支援に強い転職エージェント目線では、転職時のMBAの評価に関して、おおよそ、下記のような整理をされていました。
- MBAに関しては、MBA保有者という学歴だけで中途採用の転職時に採用されることは、基本的に無いはずで、あくまでも転職候補者を評価する一項目という位置づけという印象が強い。
- 例えば、MBAを保有していたからコンサルティング会社に受かったというよりは、コンサルティング会社に受かるための基礎的な素養を持つ方にMBA保有者が多いということではないか。そして、そのような方はMBAを保有している状態で、コンサルティング会社に入社されるケースよりも、入社後に仕事ぶりを評価されて、社費でMBAを取得するケースが多いのではないか。
- 外資系コンサルティング会社だと単にMBAを保有しているということだけでなく、MBAをどこの大学で取得したかも重要視されます。例えば、米国Topクラスの学校やオックスフォード等欧米系の有名大学のMBAでないと、仮に保有していても転職時にゼロ評価となることが少なくありません。
- ただし、転職マーケットにおいて一般的に学歴上、一番評価をされるのは、修士のMBAではなく、学士をどこの大学で取得したかという点です。
例えば、以下の2名の方の経歴上の最終学歴はともに一流私大院卒となりますが、1の方が、有名コンサルティング会社の書類選考を通過することは通常ないと思います。
- 二流私大卒(日本)→一流私大修士卒(欧米)
- 一流私大卒(日本)→一流私大修士卒(欧米)
1の方が米国Topスクールやオックスフォード等のいわゆる欧米一流と言われる学校のMBAを持っていれば評価は多少、プラスにはなるかもしれませんが、相対的な比較という意味では、MBAを持っていなくても日本の一流私大卒の2の方の方がコンサルティング会社への転職という意味では、可能性が高い。
どこの大学を卒業したかということが、中途採用の転職時(卒業から10年、20年…経過しているわけですが)にも、いつまでも回るということに正直、首をかしげたくはなります。
そうなると、あまり評価の高くない大学の出身者が、一念発起して、海外留学して、マネーロンダリングならぬ学歴ロンダリングをしようとしても、日本の転職市場では、あまり意味をなさないということですね。
中・高くらいの成績でほぼ行き先が決まってしまう大学の学校名に卒業後、いつまでも縛られるあたりが、日本社会のシステム的な弊害にも感じますが。
コンサルティング会社への転職に関しての所感
コンサルティング会社への転職に関しては、周りの知人、友人を見ていて感じるのは、30代になって、それまでコンサルティングの経験がない人がいきなりコンサルティング会社への転職を考えようとしても厳しいと感じています。
というのは、あのいい意味でも悪い意味でも、脳みそに汗をかき続けるような知的な体育会的なノリについていける年齢には限界があるからです。
私はMBA留学時、2年目の夏休みに2週間ほど、戦略系コンサルティング会社の東京オフィスでサマーインターンシップを経験しました。
有名どころの学校のMBA留学生を15名くらい募集して、往復の飛行機代と東京滞在中のホテル代を出してもらい、無給で仕事を体験するものでした。
その2週間でも、通常の事業会社とは仕事の仕方や頭の使い方が全然、違うなと感じ、私はあまり適性がないと実感もしました。
端的に言うと、クライアントの高い要求レベルに応えるために頭のいい人が知的な長時間労働を当たり前にしている職場環境で、2-3年の勤務で燃え尽きる人が大半というのもうなづける気がしました。
コンサルティング会社の長時間の知的労働も20代なら若さで(数年間の期間限定なら)何とかなるかもしれませんが、30代でコンサル未経験の場合、仕事を離れて、MBA留学した勢いで、卒業後にコンサルティング会社に転職してしまうというのがラストチャンスかなと思います。
なぜかと言いますと、コンサルティング会社への転職を志望しているMBA留学先の同級生とチームで与えられた実ビジネスに近いプロジェクトを、それこそ、脳みそで汗をかく訓練をしながら、2年間の留学期間、やり続けるとある意味、それが染みついて、多少、ハイな状態になるので、そのままの勢いで、周りの同級生と同じノリで、未経験のコンサルティング会社に飛び込んでしまうことはできるからです。
社費留学で来ていて、卒業後に復職せずに辞めるなら、留学資金返済のお金の問題も出てくるので、サインアップボーナスがそれなりにもらえるコンサルティング会社に卒業と転職してしまうというのはぎりぎりありかなと思います。
コンサルティングの実務経験不足は否めないので、長続きしないケースは往々にしてありますが、元々、コンサルは長くやる人は少ないので宿命かもしれませんね。
MBA留学の価値とは?
事前の留学準備期間を含めると3年以上の期間におよぶMBA留学の価値が何かと改めて考えてみると、まずは仕事を離れて、自分のこれまでを振り返り、今後のことを考える時間を確保できるという面は大きいと思います。
よくよく考えると、これは転職活動と同じプロセスで、転職活動の開始にあたっては、職務履歴書を書きながら、自分のこれまでの学歴、職歴を振り返り、何が強み、弱みで今後、どんなキャリアを積んでいきたいかを整理するわけです。
MBA留学というのは、過去、現在から、将来のキャリアを考える時の選択肢を増やすための期間と言えると思います。
現職で仕事をしながら、転職活動をする場合、面接などを受けるためのスケジュール調整自体も大変ですが、MBA留学中は、前述の通り、夏休みにサマーインターンをしたり、興味のある会社の面接を受けたりする時間はいくらでもあるわけです。
それに加えて、海外でのMBA留学の場合、いろいろな国の出身の留学生と一緒の授業に出て、チームで課題に取り組んだり、様々なイベントに参加していくことになります。
そういう経験を通じて、言葉のハンデもあるインターナショナルな環境で、自分がチームの出活動で何ができて、どのような貢献をしていくのが向いているのか、逆に何が不得意かも時には冷汗もかきながら、実体験として理解していくことになります。
これは、日本にいて、日本語で仕事をしたり、生活をしているとあまり意識することがない自分の強み、弱みを再認識させられることになり、非常に貴重な経験でした。
転職に関しても、外資系企業への転職はともかく、日系の会社への移籍であれば、海外留学で感じる環境変化に比べれば、たいしたことはないと開き直れるものです、経験上も(笑)
私の場合、帰国子女でもなく、受験英語はともかく、日常生活で英語を話す機会がほとんどないまま、留学したわけですが、最初は、相当、苦労しましたが、徐々に慣れていきました。
今にして思うと、ある種の開き直りが肝要で、英語が多少下手でも、伝えたいことの中身の方がしっかりしていれば、相手の方が私の話を聞かざるを得ず、聞く耳をもってくれることが分かったのは、かなり自信につながりました。
自分の特性を活かして、組織のために貢献すべく、かくべき汗をかいていけば、外国人に囲まれた環境でも、それなりに何とかでき、評価もされ、必要としてもらうことができる自信が持てたのは大きかったと思います。