
越川正志

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私が試行錯誤しながら、この6年間に、実体験として経験してきた転職活動(今、振り返ると、かなりの冷汗や悔し涙も流してきました…)を通じて、留意した方がいいと感じていることを整理していくシリーズの第6弾の今回はSNSを利用した転職活動に関して書いてみたいと思います。
早速ですが、皆さんは、Facebook, LinkedinなどのいわゆるSNSサービスを普段から、利用していますか?
私はおよそ10年ほど前に前職の社費留学制度を利用して、米国のビジネススクールに留学していたのですが、当時からクラスメートは、privateのやり取りはFacebook、転職活動の情報収集、企業側とのやり取りはLinkedinと使いわけをしていました。
今回は、転職活動という観点で、SNSの利用に関して、整理してみたいと思います。
記事の目次
海外でのSNSの転職活動への活用のされ方(FacebookとLinkedinについて)
海外では、Linkedinは、「Facebookのキャリア版」とも言われています。
キャリア版というのは、Privateとは一線を画し、転職活動などのフォーマルな活動に利用するイメージですね。
上述の通り、私が、米国ビジネススクールに留学していた2008年頃から、Facebookと並行して、周りの同級生でLinkedinにも登録している人が増え始めた記憶があります。

両者の使い分けとしては、Facebookはprivateなコミュニティを形成するためのツールと位置づけ、幅広く、友人申請して(友人申請を受ければ、基本的に承認して)、オープンにコミュニケーションをする形で利用する人が多かったです。
一方で、Linkedinの方は、多くのクラスメートが、転職などのビジネスに関連するよりフォーマルでプロフェッショナルなやり取りをするためのツールと位置付けていました。
そして、つながる相手も厳選し、あまりPrivateな情報は出さずにプロフェッショナルなやり取りをするコミュニティという使い分けをしている人が多かったと記憶しています。
あと、Linkedinはそうした転職やキャリア構築のためのツールとして利用されることを意識して、有料サービスで高度な検索機能を提供しています。
こうした機能を利用して、企業側が求人ニーズに合う人材をキーワードベースで探したり、逆に転職を考えている人が、転職候補先企業の人事担当者を探して、個別にやり取りができ、使い方をいろいろ工夫している人が散見されました。
欧州での採用活動におけるSNS使用実態に関して
半年ほどまでに、高校卒業以来、20年ぶりにある友人(いわゆる昔の悪友ですね)に再会しました。
この友人は、新卒以来、勤務しているある日本企業のオランダ法人のtopをしているのですが、現地での人材採用をどのようにしているのか、ざっくばらんに話を聞くことができました。
彼が駐在しているオランダはその他の周辺の欧州の各国と同様に人材の流動性がかなり高いのですが、最近は、ヘッドハンター(必ずしも、経営人材の一本釣りということもなく、ミドルクラスもカバしていて、日本でいうところのいわゆる転職エージェントに近いイメージ)が、企業側の求人ニーズに合いそうな候補者をLinkedinの検索機能で探して紹介してくるケースが多いそうです。
転職エージェントは、具体的には、求人をしている企業の所属している業界に関する関連のキーワードをいくつか使って、Linkedinの検索機能で、紹介する候補者を探していることが多いようです
その上で、候補者が見つかれば、「下手な鉄砲、数打てば当たる」式に片っ端からメッセージを送付する形で、コンタクトするのが慣習となっているようです。
そして、候補者が求人ポジションへの応募に興味を持てば、個別に面談などもろくにせずに、そのまま、右から左で、その候補者を企業側に紹介するケースが大半とのことでした。
転職エージェントが、個別に面談すらもせずに紹介してくる候補人材なので、当然、紹介された企業が採用しても、定着する確率が極めて悪く、採用しても、数か月で辞める人が後を絶ちません。
もし辞められると、また、後任探しをしないといけない悪循環にはまり、常に求人をかけているような状態だ…苦労しているとこぼしていました。
そんな感じだと、儲かるのは、仲介している転職エージェントとサイト利用料を稼げるLinkedinだけという構図になっているのでしょうね。
日本と比べて、いわゆる人材の流動性がかなり高いため、いい意味でも悪い意味でも、企業側も中途採用に抵抗感がなく、転職する側も合わなければ、また別のところに転職すればいいと考えている人が多いことが私の知人が人材確保に苦労している背景にはあるのだと思います。
しかし、SNSだけで転職が成立してしまうとすると、そもそも転職エージェントは存在価値がどんどんなくなっていくのではないかと思います。
企業側の人事担当者が、Linkedinで自ら、検索して、候補者を探して、直接、コンタクトすればいいわけですから。
日本でのSNSを活用した転職活動に関して
私も、ビジネススクールの同級生の影響も受けて、2008年頃から、Linkedinに登録してはいます。
日本は、Facebookの利用者は急激に増えたものの、海外と比べると、Linkedinの利用者はそれほど急激には増えませんでしたが、それでも、3-4年前くらいから、Linkedinを経由でして、転職エージェントや求人をしている企業が直接、コンタクトしてくるケースが出てきています。
頻度は、年に4-5件という感じでしょうか。
よくあるパターンは、転職エージェントからつながり申請が来て、さらに英語でメッセージが来て、
「ある外資系企業が日本市場に参入するために日本法人の新規設立を計画している。同日本法人の設立にあたり、立ち上げの責任者を探しているが、興味があるか教えてほしい。 もし、あなたが興味がない場合、周りの知人で興味を持ちそうな候補者がいれば、紹介してほしい」
という内容が書かれているというものです。
率直に言って、Linkedinを通じて、会ったこともない転職エージェントから、いきなりコンタクトが来ること自体にも非常に違和感も感じます。
キーワード検索で探してコンタクトしたとか、そういう背景の説明があれば、まだしも、そうした説明すらもないケースがほとんどなので、自分のことをどこで知って、コンタクトしてきたのだろうかとの疑念を感じます。
そんな面識のない転職エージェントからの話なので、そもそも、ちゃんとした求人なのか、不安になります。まして、自分でも不安を感じるポジションを知人に紹介することなど、無責任の極みでとてもする気になれません。
日本人の感覚的にはかなり不躾な内容と感じますので、基本的に無視し、つながり申請も却下することにしています。
とある日本人転職エージェントからのはた迷惑なコンタクト
2年半ほど前のことですが、会社の代表電話宛に聞いたこともない会社の人から連絡が入り、受付から職場に転送されてきて、何かと思ったら、転職エージェントからのヘッドハンティングのお誘いの電話でした。
全く面識のない転職エージェントだったので、どのような経緯で私のことを知ったのか聞いてみたところ、Linkedinで、キーワード検索で探したら、該当者として見つかり、連絡しようとしたが、直通電話が分からず、代表電話にかけて、転送してもらったとのことでした。
代表電話宛にヘッドハンティングの電話をかけてくるというのは、あまりにも大胆不敵というか、無神経すぎて驚いたので、ネタとして周りの知人で転職経験のある人に話してみました。
すると、さらに驚くことに現職の職場の同僚、あと、前職の後輩のところにも同じタイミングで、その転職エージェントが連絡をしてきたようでした。
驚くと同時に自分を含めコンタクトしてきた人の属性から、Linedinでどのようなキーワード検索をしたのか、すぐに分かりました。
面識もない相手の職場の代表電話に手当たり次第、電話をかけてくる厚かましさ、非常識さに非常に腹が立ちましたが、そこまでしてコンタクトしてくるからには、ものすごく勧めたい有望なポジションがあるのかもしれないと考え、興味本位で一度、平日のお昼に会社のそばのレストランで面談しました。
会ってすぐにポジションの紹介の話がありましたが、少し、突っ込んで聞くと何も答えられず、しどろもどろという感じで、すぐにたいしてリサーチもせず、コンタクトルートも考えずに手当たり次第、候補者と思しき人の会社の代表電話に電話をかけまくっていたことがよく分かりました。
身なりもよれよれのスーツで、求人を考えている企業側もこんな人物はまともに相手にしないのではと感じました。
面談後、数回メールでやり取りをしたのですが、結局、まともなポジションの紹介もなく、しばらくしたら、同じ会社の別のエージェントからコンタクトがあり、不審に思って話を聞いたら、その転職エージェントは連絡もないまま、引継ぎもろくにせずに転職支援会社を辞めていました。
連絡してきた転職エージェントも急に辞めた人が引継ぎもせずにいなくなり、残された連絡先リストをもとにフォローしていたようでした。個人情報の管理も何もあったものではありません。
厳しいいい方ですが、この転職エージェントは、転職エージェントという範疇にとどまらず、社会人になってから、私が接点のあった人の中で、ワースト3に入る非常識かつ無責任な人物でした。
転職業界というある意味、狭い世界で、レピュテーションがとても大切な中で、この手の無責任を絵に描いたような人物が会社名を出して、代表電話に電話して転職候補者にコンタクトしたり、企業側の人事担当者とやり取りをしていたこと自体が転職支援会社にとっては、とても恐ろしいことだったと思います。
そういう認識があったのかすら、今となっては分かりませんが、こういう転職エージェントを自社で採用している時点でその会社も同じ穴の狢(むじな)というやつかもしれませんね。
転職活動におけるSNSを位置づけについて
一般論として、SNSを利用することで、学校卒業以来、音信不通だった中学、高校、大学時代の友人などの近況を知ることができたり、場合によっては、それをきっかけに再会できたりすることもありますし、いろいろなメリットがあると思います。
ただ、SNSで、あまり自分のPrivateの情報を掲載することには慎重になった方がいいと感じています。友達と何を食べたとか等のたわいもない話であれば、いいのかもしれませんが、政治や宗教などの思想的なものを含め、あまり濃い内容を掲載するのはリスキーだと思います。
というのは、SNSに情報を掲載すると、転職エージェントや企業の人事担当者など、不特定多数の人が知らないうちに自分の情報にアクセスしているかもしれないわけです。
その情報をもとに誰がどのように自分のことを評価する(評価までいかなくても、先入観を持つか)か分からないわけです。
と考えると、少なくとも、転職活動のことを考えた場合、SNSでの個人情報の出し方には細心の注意を払う必要があると思います。
逆に情報収集をする立場にたてば、面接のアレンジをしてくれた転職エージェント経由等で、事前に面接官の名前が分かれば、FacebookやLikedinなどのSNSで、名前で検索して、該当者が見つかれば、掲載されている内容を見ることで、面接前に人となりの一端を知ることができます。
顔を見ておくだけでも、面接の場でいきなり会うよりは、気持ちの余裕もあるかと思います。
更にその人の仕事や考え方が分かるような情報があれば、面接時のQ&Aでそれも念頭において、やりとりすると的外れなことを言う可能性をかなり、減らせると思います。
要するに、ビジネスでメディアに積極的に露出したいという人でなければ、SNSの利用にあたっては、自分の側から出す情報は限定して、逆に面接官などの相手の情報を探すツールとして適宜、利用するのが、SNSの特性を考えてもいいように感じます。
まとめ
人材の流動性の高い海外とは違い、日本では、ビジネス(転職活動を含む)目的でのSNSの使い方に関してのスタンダードと言えるようなものがまだ、ないように考えています。
そもそも、日本人は、重要な対人関係は直接、会ってやり取りすべきと考える人が多くて、海外のような形で、転職関連で、Linkedin他のSNSが積極的に利用される文化は、少なくとも今はないのでは?とも感じています。
そうした中で、SNSを利用して、面接官の個人情報を収集することは、面接の準備という意味では有用だと思いますが、上述の通り、SNSを利用してコンタクトしてくる転職エージェントの中には、日本人の感覚では、非常識な対応をする人も散見されますし、個人情報の出し方、管理の仕方は、よくよく留意が必要だと思います。