保育士(公務員保育士)を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。




こんなに子供が好きなのに…それでも退職を選んだ公務員保育士の厳しい就労環境

野村龍一
今回は保育園で保育士として長年勤務していた道場夢子さん(仮名)からの寄稿レポートです。
道場夢子 さん
公務員保育士として長年勤務していた保育園を辞めたばかりです。女性だけの世界である保育園は、マスコミでも話題になるように、非常に過酷な労働環境がなかなか改善されないのが実態です…。

嘱託保育士として勤務してから公務員試験に受かり、正規保育士として公立の保育園で働いていました。途中一人目の出産で休暇を挟みながらも、約10年の間に、未満児から年長児まで全ての学年の担任を経験しました。

子どもたちの成長を間近で見る楽しさやうれしさを感じ、忙しいながらも充実した毎日でしたが…。

年度が替わり、人事異動で新しい園長、副園長になってからというもの、職場環境が悪化。
退職という決断をすることとなったのです。

保育士業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

辞めたい理由と悩み1:保育士はサービス残業、持ち帰り残業などの多さに心がつぶされる

保育士は子どもを見ているのが主な仕事と思われますが、それ以外の仕事もとても多いです。そのような業務は子どもがいる時間にはできません。

毎日の週案の記録や月一のおたよりの作成、運動会や発表会前には衣装や小道具作り、毎月の誕生会でも担当となれば内容を考え準備をし、学期末と年度末には子ども全員の台帳(成長記録のようなもの)の作成が待っています。

これらの業務はクラスの環境(子どもたちの特性、複数担任かどうか、クラスの人数など)で大きく質や量が異なり、保育士全員が同じ業務量にはなりません。学年によっても大きく差があり、年長児の担任になれば畑の管理や行事の進行、文集の作成などに日々追われることになり、負担はさらに増えます。

製作や行事の発表の内容は基本的に個々に任せられます。
なので、手を抜こうと思えばいくらでも簡略化できますが、真面目な人ほど頑張っていいものにしようとするので、やらなければならない仕事が増えていきます

そして仕事が増えても、「個々の仕事だから」と残業代は出ることもなく、遅くなってしまうので家に持ち帰って夜や週末も仕事をするという日々です。

さらに、職員会や講演会、研修会など、ほぼ強制的に参加させられるのに残業にはなりません。私の勤務していた市では、講習会や研修会が非常に多く、そのせいでやらなければならない仕事ができないという、何のための勉強なのかわからない状態でした。

全ては子どもたちのためだと思えば、お金のためにやるわけではないのだから頑張れる、という考えもありますが、自分自身や自分の家族の生活もあります。

残業代も出してもらえないのに、仕事は増える、忙しい時期は家族に迷惑ばかりかかってしまっていたと思います。

辞めたい理由と悩み2:子供たちから病気をもらいやすい

小さい子どもなので体調を崩すことも多く、夏はプール熱やヘルパンギーナ、冬はインフルエンザや胃腸炎などが流行します。

大人になって普通に働いていればあまり聞くようなこともないような病気もあります。
流行時にはマスクをし、手洗いうがいを徹底して予防に努めていますが…。

一緒に食事をしたり、添い寝をしたりしていて、目の前で咳を連発、そして嘔吐なんてことも多々あります。

どんなに予防をして、どんなに環境に慣れてきても、やはりこうなってはもらってしまいます。大人がかかると子どもより症状が重いことも多く、苦しい思いをすることも多かったです。

辞めたい理由と悩み3:女性職場ならではの人間関係の難しさ

保育園というと、一般的に人間関係の悩みといえば保護者との関係を想像すると思います。
もちろん、理不尽なクレームを言ってくる難しい保護者もいますが、誠実にきちんと仕事をしていれば、保護者との関係は良好に保てますし、それが仕事なので頑張ることができます。

保育園において一番厄介なのは、保育職員同士の人間関係です

保育士という仕事は、「保母さん」と言われていただけあって未だに女性中心の仕事で、私の勤務していた市でも男性が一人いるだけで、どの保育園もほぼ女性のみです。

女性特有のグループ化、陰口など、陰湿なものも多くあるのが現状です。

私は勤務していた約10年間、同僚とも上司とも良好な関係で、プライベートでもそれなりに付き合いがありました。

職場では間違っていることはきちんと発言し、物事をはっきりしようとするタイプでしたが、普段の付き合いから周りはきちんと理解してくれる人ばかりだったので、良い話し合いが持てたりして、職場でも頼りにされている方だったと思います。

しかし、みんなが誠実で良い性格なわけではありません。
公立の保育園なので市内で異動があり、年度が替わるとガラッと職場の雰囲気が変わります。

私が退職を決断した年度、園長と副園長が新しくなりました。
園長は全く仕事をせず、休んでばかり、有休を取るときの代替えの保育士も手配してくれません。

そんな園長の元、実質園の中心となったのは副園長でした。
その副園長は、仕事を周りに押し付け、自分の都合のいいように人を使います。
普通はこういうタイプの人は嫌われていくのですが、この副園長は口がとてもうまく、なぜか周りから「仕事のできる人」と持ち上げられ、この人の言うことは聞いておいた方が良いという雰囲気ができあがっているのです。
間違っていても、です。

これが女性職場の悪いところで、同僚が良いというなら私も良いと思うということにし、間違っている気がするのに主張もすることなく長いものに巻かれていきます。

当然、今まで仲が良かった仲間もその波にのまれ、私一人が悪者にされていきました。
副園長からは、「上司には意見を言うな」「女性の職場なんだから、おかしいと思うことも我慢して、何も言わず楽しくしていればいい」と理不尽なことも言われ、味方がいなくなった私は産休をきっかけに退職を決断しました。

後日談になりますが、新年度になり異動した仲間から、やはりその副園長は間違っていた、あの時助けてあげられなくて申し訳なかった、と謝罪がありました。時すでに遅し、ですがね。

私のように追い込まれることはなくても、女性ならではの人間関係にみんな少なからず悩んでいると思います。

誰でも合わない人、苦手な人はいますよね。
ただ、女性の悪いところは、人間関係を一対一で考えずに、「自分を含めた大勢」対一で考えるところです。

グループ内の一人が「私はあの人が嫌いだから、もちろんみんなも嫌いだよね。」という雰囲気を作り出し、やりづらくなるのが嫌だから周りもそれに同調していきます。
そうやって、自分は大丈夫という安心感を得ようとしているのだと思います。

学生時代によく見かけた女性同士の本音が言えない仲良しこよしって、大人になってもずっと続いていくのですね。
そこにうまくなじめない人は、やはり女性だらけの職場では苦労をすると思います。

では、保育士として保育園に勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、保育士の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.保育業務の効率化を図る

例えば、副担任の先生に手伝ってもらう、おたよりは手書きでなくパソコンにする、などです。

すべてパソコン管理、というような流れになればさらに効率化を図れるのだと思いますが、やはり(私のいた保育園は)公立ということでなかなか改革はしづらく、保育園は未だ紙媒体の仕事やアナログな仕事が多く、手間がかかります。

その中で、せめて自分の仕事は少しでも負担が減らせるようにしていく工夫が必要かと思います。

また、残業にならないような範囲の仕事になるように計画を立てることも大事です。
特に行事を計画するときは、凝ったものにすればするほど時間がかかります。

なので、まずは自分の力量をきちんと見定めて、それを大きく超えるような計画は立てないようにします。
そして、以前使ったものを残しておいて再利用する、保育園にある道具でできる範囲の内容を考えるなど、新しく用意しなくてもいいものはうまく活用していくことも大事です。

残業代は、交渉してもなかなか出してもらえないので、それならばなるべく就業時間内で仕事を終える工夫が必要です。

毎日定時、なんてことは難しいですが、少しでも残業が減れば、身体的な負担も減り、体調管理もしやすくなると思います。

とはいえ、やはり子どものためにもっといいものを、いい保育をと考えると、なかなか楽をすることができないというのが本音でしょうね。

2.不満を話したりできる仲間を見つける

人間関係がうまくいかなかったときに、職場に一人でもいいから親身になって話を聞いてくれる相手を見つけることが大事だと思います。

表向きはかばってあげられなくても、「ちゃんとわかってるから大丈夫だよ」と味方になってくれる人がいるだけで、支えになります。

私も、女性のグループは苦手ですが、一人が好きなわけではありません。人間誰でも、特に女性は、一人では生きていけませんからね。

もちろん、いつもは何もしないでおいて、困ったときだけ助けてくれというのは無理ですよね。そのため、私は普段から職場内でいろんな人に声をかけるように努めていました。

本当に何気ない会話です。給食の話、服装の話、髪型の話、自分や相手の子どもの話。でも、仕事とは関係ないような話でも、ちょっとした一言をかけていくだけで、相手との距離は近づいていきます。

そうすることで、困ったときにはきっと、支えになってくれるようになると思います。
もちろん、女性職場なのでそれすらうまく機能しない時もありますが…。

私の場合は、前述の通り最後の一年がそうでしたが、退職した今はその時の同僚との関係も良好に続いているので、うわべだけの付き合いではなかったと安心しています。

3.今の保育園を辞めて、別の保育園や他業界に転職する

どんなに頑張っても、上記の対抗策がうまくいかないときもあります。
私も、たった一人の上司によって、今まで築いてきた人間関係をめちゃくちゃにされました。

みんな自分が働きづらくなってしまっては困りますから、自分を守っていくのが優先ですよね。やはり女性職場、こうなってしまうと自分では対処しきれません。

そうすると、精神的にボロボロの状態で働かなくてはならなくなります。
私も軽いうつ状態で、でも年度末まではと必死で仕事を続けました。

保育園という特殊な職場のため、子どもや保護者には常に笑顔で接していかなくてはなりません。パソコンや機械に向かって仕事をしていれば無表情でも何も言われませんが、保育士はそうはいきません。

今にも泣きそうなくらいで必死にこらえている中、子どもたちとは変わらず接していかなくてはならず、精神的に追い込まれているときは本当に辛かったです。子どもたちに対しても、自分が心から楽しんで接してあげられていないことに罪悪感を抱き、そのせいでさらに落ち込んでいくという悪循環。

もちろん、家族にも本当に迷惑をかけました。
私は早めに通院したり、家族の理解があったりしたおかげでひどくはならずに済みましたが、ここでもし我慢して、鬱病など最悪な状態になってしまえば、一生働くことができなくなってしまうかもしれません。

そうなってしまう前に、思い切って仕事をやめる、転職するという手段もありなのではないかと思います

保育士をやっている方は、これ以外の仕事をするなんて考えられないという方が多いです。でも、経験してみないとわかりませんよね。
保育士という仕事にこだわらなくても、選択肢はたくさんあるのですから。

他業種や他社への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく今の保育園勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、現在の職場以外への転職の道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

保育士の辞め方とタイミング

辞め方とタイミング1:年度末以外の退職は避ける

クラス担任をもっている場合は迷惑がかかりますので、待てるのならば年度末まで待つべきかと思います。もちろん、本当に辛いときは我慢せずに相談して、退職や休職をするべきですが…。

私の場合は、産休に入ってからの退職手続きとなったので、年度途中でも迷惑ではなかったのですが、逆に自分で役所に出向いて人事の人や普段関わらない上司と話をするという面倒なことになりました。

課長や係長と何度も面談をして、そのたびに考え直しませんかと止められます。
保育士不足の現在、退職されるのは痛手ですからね。一般的な年度末の退職になれば、自分の保育園の園長を通しての手続きになると思うので、ここまで面倒なことはなかったと思います。私のように、イレギュラーなタイミング(産休でなくても、行事前など)での退職は、正直お勧めしません。

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辞め方とタイミング2:会社員からの退職との違いを知っておく

保育士といえども公務員なので、公務員からの退職です。
会社員とは違うこともあるというのは知っておいた方がいいです。

私も退職について調べていて初めて知ったのですが、公務員には失業保険がありません
なので、ハローワークに行って手続きをして、失業保険をもらうということができません。(その代わり、退職金が少し多く、失業保険分が含まれているという考えのようです)なので、損をするわけではないのですが、違いは頭に入れておいた方がいいと思います。

あとは、周りからの「退職なんてもったいない」という空気が会社員に比べると強いです。

確かに、定年まで確実に安定して保証されている場所を捨ててまで辞める人って少ないですからね。

もちろん、安定した生活を捨てたことは事実なので、給料や待遇の面で恵まれていたというのは退職して初めて気づきます。
でも、お金の大切さなどを身をもって感じることができて、私はよかったと思っています。

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辞め方とタイミング3:当たり障りのない退職理由を考えておく

保育士という仕事は、退職した後でも、一度関わった子どもや保護者にとってずっと「先生」です。町で会うこともたくさんあります。

私が働いたのは約10年の期間でしたが、それだけでも出かければ必ず誰か教え子に会うというくらい、特に人口の少ない田舎では顔が広くなります。

「なんで先生辞めちゃったの?」と聞かれたときに、「いや、人間関係が…」なんて言えませんよね。
その時のために、当たり障りのない言い訳を考えておくことも保育士ならではの注意点かと思います。

私の場合は、ちょうど二人目を出産するタイミングだったので、「子育てに専念したくて…」というのを退職理由にしています。

もちろん、これも本当に退職理由の一つですが…。こうやって話しておけば、「そうだよね、やっぱり仕事しながらの子育てって大変だよね」と納得してくれます。

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公務員保育士の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.飲食店など、接客業に転職する

何が理由で辞めたかにもよりますが、人間関係に疲れていないのであれば、人と関わってきたことを生かして接客業をするのはいいと思います。

私は、職場内での人間関係には疲れてしまったのですが、人との関わりはやはり好きです。
特にお客さんと関わるような、飲食店などは向いているのではないかと思います。

いつも笑顔で、常に広く目を配りながら保育士という仕事をしてきたはずなので、そういう意味で接客業は良いのではないでしょうか。

2.配達業など一人になれる仕事に転職する

人間関係が嫌でやめた場合、もう仕事中あまり人と関わりたくないと思うのであれば、配達ドライバーなど一人の時間が多い仕事を選ぶのも良いと思います。

もちろん関わりがゼロになるわけではありませんが、ある程度一人の時間が確保されていれば、今まで人間関係で疲れた日々を少しリセットできるのではないでしょうか。

3.在宅ワーカーに転職する

私はこれを選ぶつもりです。
職種にもよりますが、人と関わる仕事も選べますし、一日パソコンに向かっている仕事を選ぶこともできます。

つまり、自分で選択できます。

また今までと違い、自分のペースで仕事をして、自分の責任で収入が上がったり下がったりします。雇われていると、特に公務員は給料の上がり方も決まっていて、仕事量は多いのに給料は増えず、サービス残業ばかりで働いた分が給料に反映されないことが多々ありました。

自分で仕事を見つけて自分で管理して自分でやる、やりがいと責任を感じる全く違うタイプの仕事を選ぶのもいいと思います。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

保育園勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「今の会社以外にも職場は沢山あることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない保育園業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
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また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

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