
野村 龍一

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記事の目次
やりがいある仕事の裏側を除けば、過酷な現実と自己犠牲だらけの日々…
公立中学校教諭の仕事は、とてもやりがいのある仕事です。
様々なバックグラウンドを持った思春期の子供たちと日々を共にし、毎日起こる“中学生日記”のような事件をドラマティックに乗り越えていくのが中学校の先生。
その日々が過酷であればあるほど、喜びもひとしおの卒業式。
それは、中学校教諭、特に担任を持った者だけが味わえる何物にも代えがたい至福の瞬間と言っても過言ではありません。
けれど、その感動を味わうためには、自己犠牲の連続と言わざるを得ない毎日を生き抜く必要があります。
公立中学校教諭ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み
辞めたい理由と悩み1:残業代が出ない…(概念が存在しない)
公立の中学校教諭の給料には“残業代”という概念はありません。
どれだけ朝早く仕事を始めようが、授業や行事の準備などが遅くまでかかろうが給料には全く反映されません。
生徒が学校にいる時間だけでなく、放課後の校外トラブルにも電話一つで駆り出され、解決するまでは決して帰宅を許されないということもしばしば。
生徒相手のことですから、突発的な出来事は日常茶飯事です。
しかも、月に数回ある会議は部活動が終わってから始まる学校も少なくありません。
部活動が終わるのは6時ごろ。
すでに就業時間は過ぎています。
まったく手当の出ない時間外労働はどれほどあるのでしょう。
通常、中学校教諭の勤務時間は8時~16時半。個人差はありますが、6時半ころから出勤して朝練に備える教員が多いです。
放課後は18時ころまで部活動があり、その後、会議や家庭訪問、授業の準備などを行って、20時ころ退勤するのが一般的ではないでしょうか。
1日5時間の超過勤務を週5日、毎日続ければ月100時間を超えます。しかし、そのすべてがボランティア。残業代は一切つかないのです。
つまり、頑張れば頑張るだけ、単位時間当たりの給料は減っていく一方なのが現状です。
辞めたい理由と悩み2:やったことのない競技でも顧問
在籍する教員を現存する部活動にあてはめていくのが、部活動顧問の配当。
当然やったこともないスポーツや文化活動の顧問をすることが多々あります。
希望を出すことはできますが、現存部活動が自身にとって未知の領域のものしかなくても、その中のどれかが必ず割り当てられるのです。
そんな経緯は生徒には関係なく、誰もが“顧問の先生”ですから、当然、技術的な指導が求められます。
専門外の知識や技術を得る時間をどこから捻出するのか?もはや、プライベートを犠牲にするしかありません。
その活動が好きになれなければ、文字通り犠牲以外の何物でもありません。
加えて、専門外のことを指導しなければならないという精神的負担が、本来であれば休日である土日にも付きまといます。(ほとんどの部活動が土日の活動を行っているので。)
顧問の知識不足を理由に、部活動が充実していないというクレームが来ることもしばしば。
さらに、部活動がうまくいかないことを発端に、“できない教師”というレッテルが貼られ、授業や担任クラスまでもがうまくいかなくなるというケースも少なくありません。
部活動においても、まじめで熱心な人であればあるほど、つらい思いを抱えてしまうのです。
辞めたい理由と悩み3:仕事の効率化施策を提案すると、さぼっている、さぼりたいんだなと思われる
学校現場は、“子供たちのため”を合言葉に自己犠牲が美徳化されています。
朝早くに出勤して朝練、放課後も部活動、家庭訪問、授業の準備や提出物の添削、クラス掲示や学級通信など…やりだしたらきりがない仕事のすべてに時間をかけて、丁寧に取り組むあまり、超過勤務をもろともしない教師がたくさんいます。
そして、周囲はそんな自己犠牲全開、疲労困憊教師を、“いい先生”と評価します。
確かに、そういった人たちはいい人で、優しさに満ちて敵を作りません。
そして、自己犠牲精神にあふれているので、仕事を効率化したいという欲望に欠けているのです。
そんな彼らと比較され、仕事をスリム化して、効率を重視した働き方をしている教師が“冷たい人”“優しくない”と評され、仕事の効率化が一向に進まないというジレンマに陥ってしまうのです。
そもそも教育はすぐに成果が出るものでも、その成果が目に見えるものでもありません。
それゆえに、勤務時間や学級通信の発行数、添削を頻繁に行っているかどうかなど、教師同士でも物理的に数値化しやすい値でお互いを評価することがまかり通っています。
その結果、効率よく仕事をしよう、仕事もプライベートも大切にしようとすればするほど、職場で孤立し、つらい職場生活を余儀なくされてしまうのです。
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「公立中学校教諭の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「職場を辞めたくなる悩み」への対応策
1.教職に人生を捧げることを決意する
前述の通り、中学校教諭は非常にやりがいのある仕事です。
プライベートな時間を求めず、24時間365日教育に情熱を注ぎ、寝る間も惜しんで、やりたいことに存分に取り組めば、教師として驚くほど充実した毎日を送ることができます。
そんなにやることがあるのか?と思われることもあるでしょうが、授業の準備にしても、日々のクラスの取り組みにしても、誰かの支持を受けて言われたことをするのではありません。
指導要領の範囲内であれば、どのようなアプローチで取り組んでもOK。(もちろん過激な取り組みをすれば、批判必至ですが。)映像を準備したり、教室掲示を作成したり。
クリエイティブなことが好きな人であれば、やりたいことが無限にでてくるのが中学校。担任クラスの準備だけでなく、教科の準備や部活動などそれぞれで通信を出したり、家庭訪問をしたり、やりだせばきりがありません。
しかも、人相手のことなので、生徒との関係が深まるほど、できることはますます増える一方です。
例えば私が目の当たりにした教師にはこんな人たちがいました。
3年生担任のとき、全然勉強に身が入らないクラスの生徒を年明けから卒業まで自宅に住まわせて面倒を見た教師。卒業後も折を見て生徒を食事に連れていき、近況を聞き、就職先などを探す教師。
家出をした生徒が、怖い団体に軟禁されたと聞き、そこまで出向いて行って生徒を助け出した教師。
結局教育とは子育ての延長線上にあるものなのだと思い知らされます。
2.誰に批判されても、自分のスタイルを貫く
公立中学校教諭は公務員ですから、法に触れることをしたり、体罰以外で解雇になることはありません。恐ろしいことに、職務怠慢での解雇は実質存在しないのです。
そもそも教師という職を目指し、従事している人は圧倒的にいい人が多いです。
人のことが放っておけず、自己犠牲、ボランティア精神の高い人達の集まりですから、頼まれなくても、時間外労働をしていたり、保護者が困っていれば、前述の通り仕事の領域を超えて生徒の世話をしてしまいます。
つまり、基本的には職務怠慢になる人はほとんどいないということです。
そんな中で、定時にやってきて、定時に帰るのは恐ろしく至難の業。
それでも、強い意志を持ってすれば不可能ではありません。
同僚から冷たい目で見られ孤立無援状態になっても、保護者からの苦情がきても、自分のスタイルを貫き通すことは可能です。
部活動の予定も、基本は顧問の裁量に任されているので、自分は土日に部活動をしない。と決めれば、いくら文句が出ようとも、どれほど管理職から注意を受けようとも、やらずに済ませることは可能です。
しかも、残業代ははじめからついていないので、どれだけ時間を割いて働いても、定時までしか働かなくても、お給料は変わりません。(土日の部活動手当の分は変わりますが、それは微々たるものです。)
誰からなんと思われようが、どれだけの批判にさらされようが大丈夫という鉄のハートがある人は、ぜひ自分のスタイルを貫いて教師人生を全うしていただきたいです。
3.勤務体系を時間講師にする。
公立中学校の教員の雇用体系は大きく分けて3つあります。
まずは正規採用者。
公立中学校教員の採用試験に合格し、晴れて公務員として正規の中学校教諭として職に従事している人たちのことで、中学校教諭と呼ばれます。
正規採用者ですので、終身雇用で、前述のような激務に従事することが求められます。
続いて、フルタイムの臨時採用講師。
産休や病休で出た欠員を埋めるための臨時採用者のことです。
原則1年契約になりますが、休んでいる教諭が戻るまで契約が更新されることも多いです。
また、現在多くの地方自治体で教員の不足が問題になっていますので、単純な人数不足のために採用される場合もあります。
生徒や保護者から見れば、正規採用の教諭と全く同じように仕事に従事しているので、誰が臨時採用講師なのかは一見してわかりません。
つまり、この立場の教師も激務を期待されているということです。
最後に時間講師。
週の勤務時間が48時間や24時間と決められている講師で、いわゆるパートタイムの職になります。勤務時間内で事前に契約した時間分だけ働くスタイルになるので、仕事内容は明確です。
そもそも担任や部活動担当はないので、生徒との関係も薄くなりがちで、多くのことを求められることもありません。
フルタイムではないので、給料は各段に下がります。どの学校もせっかく抱えるスタッフはできるだけフルタイムで働いてほしいので、次年度の雇用はフルタイムの臨時採用講師以上に不確実なものになります。
期間も1年ではなく、病休が出た数か月だけであったり、毎年いろいろな学校に飛ばされたり。時間以外のものはいたって不透明ですが、決められた以上の仕事はしたくないという人にはお勧めです。
4.思い切って退職して他の職種などに転職する
意を決して時間講師になったとしても…それでも公立教師の悩みはなかなかつきません。
今の職場そのものに居ることが辛くなってしまっては、勤務体系は不問として、とにかく別の仕事に就きたい!と考えるようになるのが自然のことでしょう。
ならば今の公立中学校教諭の経験を120%生かせる職場に、思い切って転職してしまうことこそが、もっとも確実、且つ、素早くあなたの悩みを解決してくれる手段になるでしょう。
他業種や他社への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまく公立中学校教諭の勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、現在の職場以外への転職の道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
公立中学校教諭の辞め方とタイミング
辞め方とタイミング1:事務にはいち早く退職意向を伝える
退職するしないに関わらず、教員にとって事務職員との関係はとても重要です。
教材や、行事で使う資材の準備やお給料のことまで。お金に関わる全てのことは、事務職員を通して行われます。
日ごろから友好的な関係を築いていれば、お得な情報をすぐに得られることができますし、忙しい中で必要なものの発注が遅れてしまっても、大目に見てもらえます。
事務職員なくして、学校業務は成り立たないと言っても過言ではないポジションにおられる方たちですから、日ごろから仲良くしておくこと必至です。
しかも、そんな重要ポジションに鎮座する事務職員が1年で最も忙しいのは、人事が目まぐるしく動く3月、4月。
しかも内示は年度末直前にしか出ないので、それを待って事務処理を始めるなんて、実はとんでもない話。
事務職員たちは異動や退職の情報はいち早く知りたがります。
しかも、時間に余裕を持って丁寧に手続きをしていただいた方が、こちらも気持ちがいいに決まっています。
早めに(11月ごろ)伝えて、気持ちよくスムーズに手続きを行っていただきましょう。
辞め方とタイミング2:できるだけ、年度末に退職する
中学校教員の仕事は、もちろん中学生との関係が最も重要な位置を占めます。中
学校の大きな区切りは年度ですから、年度の途中で教師が辞めるということは、基本的に誰も想定していません。
まれに、大きな問題を起こした教員を辞めさせてほしいとの訴えが起きることはありますが、年度途中で自ら希望しての退職はよっぽどの事情がない限りありえません。
年度の途中である日突然、担任や顧問が変わることは生徒や保護者の不安を多いに煽ります。また人事は4月以降どの学校でもほとんど動かないので、年度途中での退職は、自身の仕事を引き継ぐ新しい人材が見つからないことが多いです。
結果、現場に残った同僚教員が想像以上の負担を強いられることとなり、それが教育活動に悪い影響を与えることは明らかです。
ただでさえ時間の余裕のない現場に、必要以上に混乱を巻き起こして退職するのは、社会人として避けたいものです。
辞め方とタイミング3:管理職には11月頃までに退職意向を伝えること
前述の通り、年度末以外での退職はまずありえないので、年度末の退職を前提としてお話させていただきます。
公立中学校の人事は年末には始まります。たいていの学校で10月には体育会や文化祭といった大きな行事が終わりますので、それを待ってじわじわとスタートしていきます。
次年度に異動する教師がリストアップされ、それをベースに校長が交渉、それで決まらなかった人事は教育委員会が正規採用者を割り当て、それでも開いているポジションに新規採用者、臨時採用講師の順で配置されていくのが大まかな人事の流れになります。
つまり、校長は自身の所属する学校の次年度の教員の空き状況を早めにつかんでおく必要があるのです。
けれど、大きな行事を控えている最中で言われても、激務続きの現場ではそれどころではないというのもまた正直な所。
つまり、大きな行事が終わり、いったん学校自体が落ち着く11月ごろには退職の意向を伝えたい所です。少なくとも12月初めころまでには伝えるようにしましょう。
立つ鳥跡を濁さず。気持ちよく退職するため、相手の立場を思って切り出すタイミングを計りましょう。
公立中学校の教諭経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.教育教材を作っている出版社に転職する
実は教育教材の出版会社は現在右片上がりの業種です。
紙の出版物こそ減ってはいるものの、電子教材など新しい媒体の開発が進み、途中採用を募集している企業もたくさんあります。
現在、教育界では生徒1人1人の特性を理解し、それに即した多様な対応が求められています。
つまり、教育教材もこれまでの不特定多数を対象にした教材だけでなく、特性を持った生徒がよりよい学習環境を手にするための教材開発が求められており、教師としての実体験を生かせる業種の1つです。
また、学校への営業も出版社の需要な仕事の1つですが、自身が築き上げた学校での人脈は即、営業に役立てることもできます。
中途採用者に対して、教員免許所有者を優遇する企業もあるので、これまでの経験を十分に活かし、教育に貢献するのにとてもおすすめの転職先の1つです。
2.塾講師や予備校講師に転職する
生徒に教科指導をするという点で、中学校教師と同じ職ですが、家庭訪問や部活動指導、また保護者との関係や事務処理といった業務から解放されます。
3年生を担当した経験があれば、受験に対するアドバイスもより的確にすることが可能となり、生徒、保護者からの信頼も得られやすく中学校教諭の経験が大きな強みになること間違いなしです。
一方で、就業時間がどうしても遅くなってしまうので、生活が不規則になる覚悟は必要です。
また、最近は塾も手厚いサポートが求められ、長期休暇中には、勉強合宿を行ったり、卒業イベントをしたりと学校と変わらない奉仕精神を求められることもあるので、転職先の雰囲気や行事ごとなどは事前にしっかりと確認しておくことをお勧めします。
生徒との関係や教科指導という仕事は好きだけれど、拘束時間の長さや部活動指導に負担を感じている方にお勧めの転職先です。
3.フリーランスの家庭教師に転職する
学生だけでなく、大人にも学びの場が広がっている昨今、家庭教師だけで安定した収入を得ることも可能です。
特に、語学や家庭科、体育科の経験を生かせば、日中は成人対象の家庭教師、夕方からは学生対象の家庭教師と時間や曜日も、自分自身の都合に合わせて働くことができます。
特に、体育科の家庭教師は現在非常に人気で、大手の家庭教師斡旋業者でも広く募集されています。
学校業務や苦手な部活動、長時間の拘束時間から解放され、自身の得意分野を存分に生かし、教育に携わることができる転職先の1つです。
また現在、不登校生徒に対する家庭教師も多く求められており、ただ教科を教えるだけでなく、人と人との密なつながりができるのも家庭教師の魅力の1つです。
たくさんの生徒を同時に相手にするのは苦手だけれど、1人1人とじっくりと向き合って接していきたいという方にお勧めの転職先です。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
公立中学校教諭勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「今以外にも職場は沢山あることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない教育業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。
また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。