
野村 龍一

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記事の目次
売れる迄は絶対に会社に帰れない、OA機器販売会社営業マンの過酷な現実
オフィスでは必需品となる複合機、PC、ビジネスフォンなどを法人に販売するOA機器販売会社は実は非常に辛い業界です。
この業界はストックビジネスで成り立っています。一番わかり易いのがコピー機(複合機)です。複合機はカウンター方式という契約形態があり1枚刷る毎にお金がかかります。
これが販売した会社の利益になっており複合機を使う限り永遠に利益が出続けるという訳です。ですので、常にユーザーを増やしていかなければ業績は伸びないので新規の開拓は必要不可欠になります。
私は新卒でこの業界に入社しました。新規開拓が必要不可欠にも関わらず私が与えられたテリトリは会社がなくその中で常に成果を残すよう命じられていました。また、そのような環境にも関わらず、「何か売る迄帰って来なくていい」といつものように言われていました。
また、差別化のし辛い商品を扱っているため販売方法は課題解決提案ではなく、限りなく押し売りに近いお願い型営業が主でどんな手を使ってでもお客さんと仲良くなって購入してもらうという営業スタイルです。
OA機器販売業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み
辞めたい理由と悩み1:メンタル崩壊の新規開拓
この業界で生きて行くために最も必要とされる新規開拓は非常にメンタル的に厳しいです。特に心優しい性格の人は間違いなく向いていません。
飛び込み訪問、電話での営業は断られてなんぼという考え方なので多くの場合上手くいきません。そして、お客さんも「営業=何かを買わされる」という考えがあるので、拒絶反応を起こす人は少なくはなく心ない言葉を言われたりするのは日常茶飯事です。嫌われることをしていないのに、人から嫌われるというのは非常に苦しいことです。
皆さんも町中で居酒屋の勧誘する人を無視した経験はないでしょうか。あの時に感じる抵抗感を自分が訪問することで、お客さんに感じさせると考えると気が引けてきます。
今迄生活する中で自ら人に嫌われにいくことはしないですし、人から嫌われる経験を沢山した人は非常に少ないと思います。ですが、新規開拓というのはそれが毎日あります。
もちろん中にはいい人もいるので一概には言えません。また、営業嫌いの人と距離を縮め、自分のお客さんになってもらうことがこの業界の楽しさ、やりがいになることは間違いありません。しかし、圧倒的に営業に抵抗持つ人の方は多いことは確かで、メンタルの疲労は不可避と言っても過言ではありません。
辞めたい理由と悩み2:売った人が正義の実力主義社会
この業界の特徴は体育会系の会社で実力主義ということです。この点は良い側面もあれば悪い側面もあります。
どこの大学を出ているとか日頃の行いが悪いや先輩への礼儀がなっていないということは関係なく、どんな人でもどんなやり方をしても売っていれば何も問題はありません。一生懸命頑張った分はしっかり評価され、お給料も上がるという平等な仕組みです。
しかしその反面、売れない人間に対しての周りの目は非常に冷たいです。周りから売れないという烙印を押されてしまい会社内に居辛くなり辞めて行く人も非常に多く、先輩の話しを聞くと120人いた同期は3年後30人未満になっていたそうです。
辞めたい理由と悩み3:営業できる範囲が広い人、狭い人がいる不平等な環境
営業である限り数字に追われ、数字は見える化され順位付けされます。ここで問題になるのは営業活動ができる範囲(テリトリ)の不平等問題です。
この問題が売れない人間と売れる人間を作る大きな原因だと私は考えます。営業にはテリトリが与えられその中で結果を残すよう言われます。このテリトリの区切り方は企業数やユーザー数ではなく、〜町の1丁目〜5丁目のように丁単位で区切られています。
この区切り方では当然、企業が多い場所、企業が少ない場所、ユーザーが多く何もしなくても色々買ってくれる企業がある場所など不平等さが必然的に生まれます。
酷い場合では新規開拓の法人営業にも関わらず住宅街を任されそこで成果を出すように命じられたりもします。実際私がそうでした。
また、新規開拓が主といいながらも現実は粗利をとるという面では、ユーザー先で複合機を入れ替えてもらうことが有効的な方法です。また、粗利とれない=ポイントがとれないという仕組みになっており、多くの営業は新規開拓ではなくユーザー先で粗利をとることが多いです。すなわちユーザーを沢山持っている方が有利になります。
辞めたい理由と悩み4:将来性の不安定さ
近頃良く耳にする働き方改革の影響もあり紙を無くすペーパーレスを推進する企業が多く、この業界の一番の利益となる複合機の需要は年々下がってきています。
そのため高額な複合機に投資する企業は減ってきています。社会的なニーズは無くても、販売店は業績を上げ続けなければならないので、ノルマや目標は上がっていくという状態になっており、営業にかかる負担は今迄以上に厳しくなっています。
また、前述のテリトリ問題やペーパーレス化の影響で優秀な営業マンや売れるテリトリを持った人は常に忙しく、若手をしっかりと教育するということは困難になってきています。
私も配属後トレーナーが付きましたが、常に忙しく、ノルマに追われ、わからないことも非常に聞き辛く聞いてもしっかりした回答は帰って来ず失敗すると「なぜ相談しなかった」と叱責を受けることは日常茶飯事でした。
そもそも厳しい業界にも関わらず、販売している商品のニーズが下がり、力のある人は仕事に追われ、何もわからない若手は手探りで仕事をするので結果は出ず、成長もできないという悪循環があり、長い目で見てこの業界は非常に不安定です。
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「OA機器販売会社社員の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.心を整える時間を作る
常にノルマとの隣合わせで1日が終わっても明日また売らないと生き残っていけないということや新規の訪問先で門前払いされるという状況下でメンタル(心)はズタボロの状態です。
ですので、寝る前に20分程心を落ち着かせる時間をとるのは非常に有効的です。今日一日を振り返り明日はどのように活動しようかと考えたり、どうやったらもっと上手くいくか、本当にこの会社にいることが正しいのかなど自問自答を行い、心を整えることで冷静に行動することができます。
何かに追われていると知らないうちにストレスが溜まってしまい冷静な判断ができずお客さんの目線ではなく、自分目線で考えてしまい営業成績も上がらないという悪循環が生まれてしまいます。
そうならないためにも自分に向き合い、心を落ち着かせ、自分現在の立ち位置をしっかり理解できる時間を作ることで地に足の着いた活動ができるようになります。
2.自分がこの会社にいるメリットを明確にし、頑張れる軸を作る
この業界で働く中でのメリットを明確にすることは非常に重要です。忙しさのあまり上手くいかない自分を攻めたり、時には人のせいにしたりする人もいると思います。
それでは絶対にうまくいきません。よくある悪い例はお金がいいからと考えて仕事をしているものの本心では仕事のやりがいを求めていたり、誰かの役に立ちたいと考えている人がいます。
このギャップがあると何を頑張っても仕事は上手くいきません。前述した心を整えると関わってきますが、この仕事をすることで自分はどのようなメリットがあるのかしっかりと考え軸を作ることが重要です。
私の場合、テリトリの問題もあり大きな成果が期待できませんでしたが何か成長を感じられるものが欲しいと感じ、「商品を売るのではなくお客さんに信用を買ってもらうような営業になり、どこでも通用する営業になる」と行動の軸を作りました。
しかし、販売しているものはただのOA機器ということもありお客さんから信用を得てもお客さんのためになる比重があまりにも小さいことにやりがいを感じることができず退職を決めました。
このように軸を作らなければ自分が何をしたいのかも明確にならず、現状維持でつまらない日々を常に送ることとなってしまいます。
3.本当に自分が販売しやすいものは何か考える
実際に複合機をはじめとするOA機器を販売してみて違和感を感じている人は少なくないはずです。もしかしたら目に見えないサービスを売ったり、お客さんのニーズを聞き自分でその商品を作れるものの方が向いているかもしれません。
この業界は体育系が多いこともあり「この会社で上手くいかない腰抜けはどこ言っても上手くいかない」といったことを言われることがあります。はっきり申し上げるとそのようなことはありません。
私も退職を考えている頃に同期や先輩から同じようなことを言われましたが、そのような話しを真に受けるのは時間の無駄です。
必要なことは自分に正直になるということです。今迄のところでもお話ししましたが、自分がどうしたいかが一番重要です。
逃げたいという気持ちが先走ってしまうと同じことを繰り返すだけですが、自分の気持ちの棚卸しをしてOA機器を販売することをずっと続けたいか考えてみてください。
世の中にはいろいろな「もの」があり販売方法も異なります。視野を広くして自分が売りたいもの、売りたい方法は何か考えてみてください
4.今の職場を辞めて、別の企業や他業界に転職する
ここまで努力をしたとしても、どうしても今のOA機器販売会社勤務に我慢ができない場合は、素直に転職活動をして他社や他業界に移ることが、結局は一番の問題解決につながる可能性が大きいのは間違いいありません。
他業種や他社への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまくOA機器販売会社勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、現在の職場以外への転職の道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
OA機器販売会社の辞め方とタイミング
辞め方とタイミング1:辞める動機をネガティブなものではなくポジティブなものにする。
まず前提として、辞めると伝えると上の人間に100%止められます。それも「君はもっとできる」や「君が必要だ」や「ここでもっと成長できる」という決まり文句を上司は言います。しかし、その言葉が真意かどうかはさだかではありません。
なぜかというと、若い人間が辞めることは会社にとって大きな損害になるため、若手を退職させてしまった上司の評価は下がり、昇進にも影響します。結果綺麗な言葉の裏には自分のために辞めないでくれという言葉が隠れています。
ですので、「テリトリが小さいから」や「成長を感じれない」「成果が出ない」といったネガティブな理由ではそれを解消するという根拠のない理由を基に退職を拒否され、以前よりも会社に居辛くなります。あくまで上司も営業マンなので、言葉巧みに説得されてしまいます。
それを回避するために、「自分は自分の人生のために前に進む準備ができている」と伝えることが必要です。
前述したネガティブな理由は言い訳として捉えられるので、あくまで辞めたいと思ったきっかけ程度に考え、このきっかけから自分はどのように考え別の道に進むことを決意し、この理由から次の場所で頑張っていきたいと考えていると伝えることが大切です。もちろん具体的にです。
辞め方とタイミング2:退職意思を伝える順番をしっかりと考える。
転職を焦りすぎてはじめからマネージャーや支店長などに伝えると、話しを聞いてもらえない可能性があります。
ですので、近い先輩→主任→係長といったように徐々に位の高い人に言ってくようにする。そうすることで自分の理解者も増えマネージャーに伝わる時には色々は人に相談した上での結果と認識してもらえスムーズに円満に退職できます。
この順序を間違えると退職までの期間非常に辛い時間を過ごすことになります。どうせ辞めるのであれば円満にできることに超したことはないので、しっかりと順序を守って伝えることをおすすめします。
実際に私もこの手法を使い、周りの人との関係は崩さず円滑に退職することができました。
辞め方とタイミング3:周りに退職先を言いふらさない
この業界は辞めたい人が多くいるものの何かしらのメリットを感じ嫌々残っている人も少なくありません。その中で転職先が決まったとなると嬉しくなり、同期や仲の良い先輩に言ってしまいたくなりますが絶対にNGです。
また、いくら直属の上司であってもできるだけ具体的な転職先の名前などは伝えない方が身のためです。
なぜかと言うと、これも業界あるあるですがお客さんの大小関わらず取引している会社が多いので仮に転職先がユーザーだった場合、ユーザー先への転職は許されないなど何かしらの理由をつけて辞められないような状態に持っていかれるためです。
本当にひどい場合だと、転職先に電話をされ内定を取り消されることもあるそうです。このようなことはあってはいけないことですし、めったにないことですが気をつけなければなりません。
他にも平日に転職活動していたことを同期に話してしまい同期から先輩に伝わり、平日に活動するのは社会人としておかしいなどと一方的に叱責を受けることもあります。退職することが決まり一段落した時に伝えるのがベターです。
OA機器販売会社の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.IT業界の営業マンに転職する
OA機器の販売をしていると自然にネットワークのことや回線周りの知識が身に付きます。このあたりの知識はこの業界にいかないと学ばないもので、普通に働いている人はオフィスを取り巻く環境について詳しくは知りません。
その中で会社の基幹システムの販売などを行うIT業界は現状の知識プラスαで仕事に取り組めるので非常に仕事はし易いと思います。
また、システムを販売するとなると新規開拓やひたすら頭を下げる営業方法ではなく、クライアントのニーズに応えるための課題解決型の営業になるため、ワンランク上の仕事ができるようになります。
また、この業界のニーズはIOT、AIの登場により上がってきているので給料も良く精神的な負担も減少されます。
今よりレベルを上げた営業がしたい人におすすめです。
2.保険業界(生命保険、損保保険)の営業マンに転職する
商材は違えど、保険業界も新規営業が主です。個人への販売であれば販売できる母数が法人営業よりも多いのでOA機器販売よりも売りやすく、お客さんにしっかりと入り込めれば紹介などでどんどんビジネスチャンスが広がります。
活躍例として私の先輩で保険業界に行った人は非常に面白いビジネスモデルを作っていました。
具体的にはその先輩は非常に営業力があり、もの足りなさを感じて保険業界に行きました。そしてその先輩が目をつけたのは元の会社(OA機器販売会社)の伸び悩んでいる営業でした。
悩んでいる営業に売れる方法を教えたり、時には一緒に営業をしてあげたりして、信用を売ることで皆その人に惚れ込み保険を買って貰うという仕組みです。
前述の通り教育がしっかり行き届いていない業界なのでその人の噂はすぐに広がり多くの営業がお世話になっていました。
新規営業に抵抗がなく今よりも頑張った分評価されていと思って居る方におすすめです。
3.広告業界の営業マンに転職する
そもそも誰かの作ったものを販売するのではなく、自分で商品を作りたい、流行を作り出したいなど、現状よりも責任が重く大きな仕事がしたいと思っている人は少なくないはず、そんな人には広告業界をおすすめします。
OA機器の販売会社はエンジニアが作ったものを世に広げるのがミッションです。上記の通りこの営業を行って居る中で、もの足りなさを感じている人も中にはいると思います。
何もない中から商品を作り出し、その商品を広めていく、その活動が上手く行けばクライアントは儲かり感謝される。
現状よりも規模が大きく非常に大きな責任がある広告業界は全く異なる業界ですが面白い仕事ができます。
営業が好きで人の役に立ちたい気持ちであったり、営業活動がマンネリ化してきたと考えている方には検討いただければと思います。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
OA機器販売会社勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「今の会社以外にも職場は沢山あることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないOA機器販売業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
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