業界新聞の編集部を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。




大手マスコミとは大違いの「業界新聞」編集者事情…

野村龍一
今回は業界新聞社で編集部に勤めていた小山内日向さん(仮名)からの寄稿レポートです。
小山内日向 さん
非常にニッチな業界新聞の編集部で仕事をしておりました小山内です。新聞業界の難しい将来を考え、私自身は転職に踏み切りました。

業界新聞社の編集部での仕事といえば聞こえはいいですが、実際のところ、取材を兼ねてライター業を行い、カメラマンとして取材対象を撮影し、定期購読や広告の営業を行うこともありえます。

すべての作業に従事する必要もあるのが、業界新聞社の性といえます。激務といっても過言ではありませんが、人材の少ない業界新聞社では致し方ないものだろうと感じます。新聞を刷るのはさすがに印刷会社が行いますが、コストをかけられない業界新聞社では、刷られた新聞を丸めて帯をするのは自社で行うことも普通にあります。

週一回の発行だと、一週間の間に新聞を作るのが3日間程度で、取材を行ったライターの記事をまとめ、初稿し、紙面レイアウトや見出しを考えます。取材分が足りないと編集部自ら取材に赴くこともあり、その時は営業も兼ねて飛び回ります。

4日目には締め切りがあるので、遅くまで残ることは当然のことになります。紙面データを完成させて印刷会社へバイク便を飛ばすとやっとホッとできます。5日目は出来上がった新聞を確認し、ここから各事業所への振り分けを行い、自分たちで折り込みます。

いくら人材が手薄とはいえ、通常業務を中断してまで行うのは精神的にもキツイ仕事といえます。

業界新聞編集部ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

業界新聞社の編集部には多くの不満が残るほど大変さが多くあります。新聞社の編集部という聞こえはいいものの、そこには知的なイメージとはかけ離れた姿があります。

辞めたい理由と悩み1:激務なほど仕事が多いのに薄給で手当は少ない

業界新聞では大手新聞社ほど人件費をかけることができません。折り込み広告がありませんから、収入は定期購読料と紙面広告となります。限られた予算で仕事をこなしていかなければなりません。編集スタッフはデスクワークで現場のライターとの軋轢がありますが、実際には取材にも出かけますし、本社勤務ということもあって、営業も兼ねて外回りをすることもあります。

新聞紙面を作るだけでも頭を使い、写真を撮ってこないライターのために使える写真を用意するなど、紙面の締め切りまでは地獄のような毎日となります。特に週1回発行の新聞社ではスタッフが少ない傾向ですので、先述した新聞の折り込みなどの雑務までやらないといけません。

これだけ何でもやるのに、給与は少なく、手取り額では大卒初任給の平均程度ということもあるでしょう。もしかしたら、それより少ない額で頑張っている編集者もいるかもしれません。また、諸手当は交通費のみという儚さもあって、時間外手当や休日出勤手当が付かないこともあり得ます。締切日には最終確認が終わるまで帰られないということは普通になってしまい、感覚がマヒしています。

編集部でやりがいを見つけるのは紙面レイアウトのみという毎日になります。これも原稿が少なければ何とかして見出しや写真を拡大するなど、ギリギリの禁じ手を使っている業界新聞社もあります。

辞めたい理由と悩み2:拘束時間やサービス残業が長い

新聞社ですから締め切りに間に合わせるためには、どれだけ時間が遅くなっても必ず残らなければいけません。事務員が帰ったあとも編集部は居残り、紙面データをチェックして再稿、再々稿まで細かく何度も確認作業を続けていきます。必然的に拘束時間が長くなり、会社も把握はしているのに時間外手当が支給されないサービス残業になります。

むしろ、タイムカードという概念すらない会社も多いはずですので、どれだけ残業して紙面を作り上げたか分からなくなるのも業界新聞社の特徴といえるでしょう。締切日ではなくても、自ら取材して帰社してから原稿を書き上げると、その分紙面レイアウトの編集作業が遅れますので、いつの間にか終電前ということもしばしばあります。

時間の感覚がマヒしていることもあり、記者の内容がイマイチ信憑性にかけるときには、裏付けを取ることも必要です。電話をかけ続けて裏付けを取る作業は、余分な時間となるので、さらに帰宅時間が遅くなってしまいます。

辞めたい理由と悩み3:肩身が狭い

印刷会社で紙面を刷ってもらうときにも、順番は業界新聞の大手が優先されます。大手はそれだけ発行部数が多く、印刷会社の売り上げに貢献しているので、小さい新聞社は後回しにされても文句は言えません。大手が遅れると、その分中小新聞社も出来上がりが遅くなってしまいます。

業界新聞社側は顧客で、印刷会社側からするとクライアントとなるのですが、実際にはお客となる小さい業界新聞社よりも印刷会社のほうが力は強くなります。紙の印刷が減少している印刷業界ですが、それでも発行部数が少ない業界新聞社の方が経営は圧迫しています。

「大手を優先するのが嫌なら他所へいけ」という姿勢はあからさまにしていなくても、ひしひしと伝わってきます。

講演会などの取材では前列に陣取れず、デジカメではかなり前方に行かなくてはいい写真が撮れないので、割り込みしないといけません。専任のカメラマンを用意している大手新聞社にはとても太刀打ちできませんが、それでもめげない姿勢を貫くのが業界新聞社の元味といえます。

もちろん、大手一般新聞社の顰蹙を買ってしまいますので、明らかな妨害をすることは禁じ手といえます。取材対象者も名の知れた大手新聞社のときとは態度が一変して見下した扱いをしてきますから、何かと肩身が狭いのが業界新聞社といえるでしょう。

では、業界新聞編集部に勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、業界新聞編集者の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

業界新聞社の編集部に所属していて、いつまでも不満を持ち続けていくのもモチベーションを保つのに限界が生じてしまいます。これらの不満を解消する3つの方法を見ていきましょう。

1.業界の企画・営業職を目指す

業界新聞社に多いのが横のつながりです。取材対象者はあまり一般紙に登場することのない業界人たちです。業界新聞社を軽く扱っているとはいえ、自分の顔や名前が紙面に掲載されると、だれだってかなり嬉しいものです。紙面に載るだけで仲良くなれることもあります。一度掲載した人は、次は気軽に取材に応じてくれますので、話がしやすくなり、さまざまな情報を提供してくれます。

業界人と親しくなっていくと、会社の込み入った情報まで聞き出すことができます。業界新聞社の顧客(読者)というのは、経営に余裕がそれほどありません。それでも新聞を購入してくれるのは長い付き合いや情報の交換というメリットが相互関係としてあるからです。

業界新聞社の記者(編集者)というのは、他の企業にも顔が利くので、仕事を紹介してほしいという業界人が多く存在しています。業界人は営業力や企画力で業界の情報を知り尽くしている記者を戦力として見ていますので、「給与が安いならウチにおいでよ」と声をかけられることも珍しくありません。

転職してしまうと、これまで取材を行う側だったのが、取材対象に変わってしまいますが、声をかけてくれるということは、それだけ期待されているということでもあります。

2.編集長への出世を目指す

紙面のレイアウトを仕切る敏腕編集長に出世すれば、取材や営業に行くこともありません。デスクワークを満喫することができます。世間一般からすれば管理職のイメージが付きますが、社員数の少ない業界新聞社の編集部では係長クラスと同等といえます。

たとえ小さい新聞社であっても、名刺の肩書は重いものとなり、新聞社の実情を知らない人からすれば、編集長という響きはかなりやり手の新聞社員という風にみられます。

編集長はその名の通り編集スタッフの責任者ですから、紙面レイアウトや写真、見出しのすべてに責任を与えられます。

もちろん、下積みの経験がモノをいうので、かなりの努力が必要となりますが、新聞作りに携わっている以上、1面から最終面すべての紙面構成を考えて指示を飛ばすのはだれでも一度は夢をみるものです。

編集長を目指すのは、業界新聞社編集部を続けていくなかで、モチベーションを維持するのに適しています。

3.今の職場を辞めて、大手新聞社や他業界に転職する

中小業界新聞社の下積みを経て、大手業界新聞社に転職を検討するのも一つの手法です。しかし、世間的に狭い業界といえる業界新聞社の中では、同業社を採用するのをためらう傾向があります。そこで、まったく同じ業界で転職するよりも、少し類似点がある業界へと挑戦したほうが採用されやすくなります。

たとえば、物流業界の新聞社でトラック運送をメインで扱っている新聞社なら、流通業界全体を扱っている新聞社へとシフトチェンジしたほうが、荷主と卸、小売とのつながりを記事にしやすく、より広い視野で物事をみることができます。また、物流の経験を活かすことが可能ですので、転職の際には志望動機を説明しやすくなります。

他にも小売業界から販売・サービス業界、飲食業界から食品業界など、扱っている商品自体はそれほど大きな差はないものの、自身のこれまでの経験を活かせるような業界へとチャレンジするほうが、別の角度から物事を図れるという武器をアピールすることができます。

顧客を広めたい業界新聞社では、多くの情報を持つ記者・編集部員は重宝される傾向があります。

他業種や他社への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく業界新聞社勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、現在の職場以外への転職の道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

業界新聞編集部の辞め方とタイミング

業界新聞社の転職する際には、同じ業界を避けるなど気を付けることもあります。また、激務が多い自社職場が困らないような配慮も必要です。その理由をみていきましょう。

辞め方とタイミング1:同じ業界新聞社への転職は避ける

業界新聞社はもともとその業界も1社でスタートしているものです。その編集部や記者から独立したメンバーが同じ業界で別の新聞社を立ち上げているケースが少なくありません。そうなると、上層部同士で過去につながりのある場合が多くみられ、同じ釜の飯を食べた仲で顧客(読者)の取り合いを続けています。

このような狭い業界ですので、よほどメジャーな業界(経済系)の新聞社でもない限りは、あまり転職をおすすめできません。

上記で記載した似た業界への転職を検討したほうが無難でしょう。役員クラスになると元は同じ新聞社で働き、独立したケースや引き抜かれたことがあるので、新しく入社して心機一転働こうと思っても、「あの会社を辞めた人」というレッテルを貼られてしまいます。

もちろん、そのような陰口を叩く新聞社は同じ業界から転職採用することはないともいえます。

また、編集部に配属されるとも限りませんので、記者として採用されてしまえば、これまで顔見知りの記者たちと顔を合わせる機会も増えてしまいます。狭い業界ですので、顧客から「○○さんが来ていたよ」という話をされてしまっては、やりにくさは計り知れません。

ただでさえ肩身が狭い思いをする業界新聞社なのに、稀ではありますが、さらに肩身の狭い思いをすることになってしまいます。

辞め方とタイミング2:半年前には退職意思を告げる

人材が乏しい業界新聞社では、一人抜ければ当然ながら激務が予想されます。退社の意思表示は最低1ヵ月前に連絡することが通例とされていますが、たった1ヶ月では補充された新人は編集部のスタッフとして戦力になりません。

すぐに採用されれば問題ありませんが、募集をかけて面接し、採用が決まって入社するまで2週間はかかるでしょう。実質的に次のスタッフに仕事を教える機会は1~2週間程度しかなく、とても編集作業を教えられるような期間は確保できていません。

経験者が入社すればいいのですが、なかなか薄給の業界新聞社にタイミングよく転職してくれるものではありません。恐らく編集作業に興味がある程度の未経験の新人が応募してくることになります。

残されたスタッフのためにも、急な退職は避け、せめて半年前か最低でも3ヵ月前に退社の意思表示をするようにしましょう。これは次の人材を早めに育てる必要があるからですが、やはり狭い業界ですので、似通った業界新聞社に転職した場合、メーカーや卸などの業者は前職と同じ会社となる可能性も否定できません。

次の人材が育たず、慌ただしく前職をかきまわして辞めた場合、あまり考えたくはありませんが、根に持たれて根も葉もない評判が顧客にまで広がることも懸念されます。

辞め方とタイミング3:引き留め工作には心動かされないように留意する

ただでさえ人材不足なのに、そこへきて戦力となる編集部員が去ってしまうのは会社にとっては大きな損失であります。上司となる編集長や部長、または社長クラスに至るまで引き留めに奔走することも珍しくありません。

給与UPを打診してくることも考えられますが、それはあくまでも一過性のものであって、上司たちの損失がすべてのもの。本格的に環境改善することは考えられませんので、どんな引き留め工作を受けても固い気持ちで臨むべきでしょう。

どうしても仕事を教えてくれた人たちには情が湧いてしまいます。しかし、これからの将来を考えて、このままこの新聞社で10年・20年と過ごしてもいいものか冷静になって判断するようにしないといけません。

新聞社の上層部というのは昭和の時代に記者を経験してきていますから、口がかなり上手で、頭も切れます。簡単な口車に乗せられないように気を付けましょう。

業界新聞編集部の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

転職を検討する場合、業界新聞社以外にはどのような会社が向いているでしょうか。デスクワークがメインとなりそうですが、パソコンを扱い集中力を擁して細かく丁寧な作業をする編集者が向いている転職先を紹介していきます。

1.出版・広告会社に転職する

新聞社以外の出版社や広告会社というのは、編集業務はもちろん、記者も採用しています。雑誌などの紙面を扱っていることが多く、デザインやインパクトが求められる広告会社にあっても業界新聞社編集部で培ってきたこれまでの知識や経験を十分に発揮できます。

出版社では編集業務を存分に活かせることが可能ですし、広告は新聞にも載せることが多く、そのほとんどは編集部が作成します。もちろん、少しお堅い印象が残りますので、デザイン力を求められる広告会社には弾けたインパクトが必要といえるでしょう。

2.Webサイト制作会社に転職する

WebプランナーはWebサイトの制作にかかわりますが、新聞のレイアウトといった紙面作りのスキルを十分に活かせます。もともと少人数の業界新聞社ではWebサイトも自社で作っていることが多く、その仕事は毎週の更新にいたるまで編集部が担っていることでしょう。

クライアントが見やすく、分かりやすいという観点では、紙面作りと似通った部分はあります。間違えてはいけないという校正力は編集部の得意分野ですし、タイピング能力も発揮しやすくなります。

まったく畑違いとなりますが、Webプランナーからみれば、新聞編集者というのは即戦力として期待するのは間違いありません。

3.企画営業職に転職する

紙面作りには企画や特集を組むことが多く、読者が飽きない紙面作りのさまざまなアイデアを出しているものです。クライアントへ向けての企画営業には向いているでしょう。

また、編集者は拘束時間が長いので、体力に自信がある人も少なくありません。体力がいる営業職では体力も必要といえます。さらに、業界新聞社での飛び込み営業なども経験していれば、その度胸買われてなおさら文句なしに採用に近づけます。

自社商品がクライアントにどのような役割を持って貢献できるか、というアイデアは、どんな紙面を作れば読者に受け入れられるかという新聞作りと共通することがありますので、編集部に携わっていれば、企画営業でも戦力として活躍することは可能といえます。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

業界新聞編集部勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「今の会社以外にも職場は沢山あることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない業界新聞に勤務する人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。

また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

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