洋菓子販売店を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。




記事の目次

ケーキのように甘くない!体力・精神どちらも消耗するキツイ仕事

野村龍一
今回は洋菓子販売店で店長として働いていた松本美香さん(仮名)からの転職寄稿レポートです。
松本美香 さん
華やかに見えて女性人気の職場の1つである洋菓子店ですが、実際の仕事は本当に辛いことが多かったです。私の経験をみなさんにシェアしようと思いました。

百貨店の食料品売り場(いわゆるデパ地下)でお菓子を販売するお仕事というと、一見華やかそうに見え、憧れを抱く女性も多いようです。

ところが実際やってみると、頭と体両方ともフル回転のハードな仕事です。

正社員の募集は少なく、賃金の安い契約社員やアルバイトがほとんどです。また、洋菓子店の場合、店員は8割以上が女性で構成されているので人間関係が複雑になりがちです女性の多い職場特有の派閥や陰口や足の引っ張り合いは、常に付きまとう問題だったので在職中の頭痛の種でした。

就業環境についても恵まれているとはとても言い難い状態でした。

普段お客様として百貨店を利用している方からはわかりにくいですが、百貨店で働く販売員のほとんどはそれぞれのショップを運営している企業から派遣されており、百貨店と直接雇用関係を結んでいるわけではありません。

就業環境はそれぞれの会社により異なりますがブラック企業スレスレのといったところが多いように思われます。

同じ仕事内容でも百貨店直接雇用の販売員とは賃金・休暇制度・福利厚生などあらゆる面において待遇には天と地ほども差がありました。

それにも拘らず、お客様の前では百貨店の社員と同じレベルの接客対応を求められますし勤務中は百貨店のルールに遵守しなければならないのです。

洋菓子販売店業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

辞めたい理由と悩み1:正社員の募集はほとんどなく、給与も上がりにくい

洋菓子業界では製造職(パティシエ)では中途採用の募集は出ていますが、販売職ではほとんど見かけません。店舗に勤務している販売員は契約社員や派遣社員、アルバイトで構成されていることが多いです。

私の場合も店長まで経験しましたが、待遇はずっと契約社員のままでした。

正社員であれば店舗の売り上げ予算の達成率に応じてボーナスが増額されたり、昇給したりしていくのが一般的ですが、契約社員の場合ですとボーナスは実績に関係なく一定額(私の場合は給与1か月分を年2回の支給でした。)で、実績をあげても次年度の契約の際に月給が数千円上がる程度でした。

そのためモチベーションが上がらず、店舗をアルバイトに任せきりにして影で仕事をさぼる店長なんかもいました。この社員は後に百貨店側からクレームが入り、契約解除になりました。

ここまで極端なケースは稀ですが、目標達成に関してはあまり意欲的でない店舗責任者が複数名いたことは事実です。

辞めたい理由と悩み2:繁忙期(クリスマス・年始・バレンタインなど)は休みが取れない日が続く

洋菓子業界の一年で一番忙しい時期といえば”クリスマス”です。12/21~12/25の5日間で数千万円、クリスマスイブ当日に至っては客数の少ない時期1か月分の売り上げに相当する金額をたった1日で稼ぎ出してしまいます。

これだけの一大イベントには、相応の準備期間を要します。

まず取り掛かるのはスタッフの増員や販促物の打ち合わせ、各広告や雑誌の撮影スケジュール管理などで8月頃から始動します。10月に入ると”バレンタイン”の準備も重なってくるうえ、”ハロウィン”も始まります。11月にはお歳暮の配送もこなさなければなりません。

このようにクリスマスは一年で最も忙しい時期であるとともに、翌年のイベントの準備期間でもある為、こなさなければならない業務数は通常の倍以上となり勤務時間もそれに比例します。

実際の私の12月の労働時間平均すると約300時間(1日8時間週5日勤務した場合、約172時間)で、クリスマスケーキの販売が始まるとそのまま元旦まで休みを取れないというのが実態でした。

同じ時期に周囲のお店を見渡してみると、やはり他社でも店長職の方は自分と同じく全く休んでいない様子です。

洋菓子業界では、この時期ばかりはどんな優良な会社でもブラック企業のような勤務体系にならざるを得ないようです。

辞めたい理由と悩み3:接客対応において高度のコミュニケーションスキルを求められるわりに、評価に反映されにくい

百貨店という場所で店頭に立っている以上は、そこに相応しい立ち振る舞いをしなくてはなりません。

まず重要なのはきちんとした言葉遣いです。実は皆さんが普段コンビニやファーストフード店で何気なく耳にしている接客用語には”バイト敬語”と呼ばれる間違った日本語が多数存在しています。

特に良く使用されているのが、

「よろしかったでしょうか」→「よろしいでしょうか。」

「~になります。」→「~でございます。」

「○円からお預かりします。」→「○円お預かりします。」などです。

百貨店を利用されるお客様の中にはご年配の方も多くいらっしゃるため、言葉の使い方を間違えた状態で接客をされることに不快感を示されることが多々あります。

次に求められるのが、施設内のお店や設備を正確に把握しておくことです。お買い物をされた際に「本屋さんは何階にありますか。」といったように尋ねられることが多い為です。

ここでスムーズにご案内出来ないとクレームになってしまう恐れがあるので必ずフロアガイドは携帯するように心がけます。催事場でどのような催しが行われているかも重要です。

そして一番困難なのは、これらのことを社員もパートも学生アルバイトも、すべての販売員が出来ていなければいけません。

特に接客用語については、これまでの職場で癖づいてしまった”バイト敬語”を矯正するのは教育する側にもされる側にもかなりの根気が必要となります。

そうして努力をして接客スキルを身に着け、お客様へ完璧な対応をしても、そのことについて感謝をされたり賞賛を受けたりすることは基本的にありません。

何故ならば、「出来て当たり前。」だからです。対応の悪かった店に抗議の電話やメールをすることはあっても、良い接客をした販売員に感謝の電話やメールをする方は本当に稀です。

プラス評価よりも、マイナス評価の方がウェイトを占めているように思われます。自分は正しい応対をしたつもりでいても、お客様から「態度が気に食わない。」「不愉快だ。」とクレームをいれられてしまうことも何度かありました。

また店員の立場が弱いのを良いことに、心無い言葉やセクハラ発言をする人や罵声を浴びせる人もいました。こうした精神的な負担からうつ状態に陥ってしまう人も少なくありません。

では、洋菓子販売店に勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、洋菓子販売店員の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.百貨店で行われている講習に参加する

百貨店では従業員教育の為の様々な講習が行われています。

まずは働き始める前に必ず全員が受講する「入店研修」です。これを受けないと入館証や名札は発行されません。この入店研修を修了していると一定期間は有効となります。

例えば、退職や異動などで一度退店をし、後に転職などで再入店する際には、有効期間内(百貨店によって1年~5年以内と様々)であれば入店研修は免除されます。

これは同じ百貨店の他社に転職する際に定期間は有効同じ百貨店内のお店に再就職した場合に歓迎されやすいです。レジは全店共通のものをしようするので、レジ操作を初めから習得しているという点も大きいです。

入店した後も、基本的な言葉遣いや接客マナー、進物の知識や熨斗(のし)紙の種類、包装(ラッピング)の仕方、外国語(英語・中国語)の接客セミナーなどを受講することが可能です。

こうした講習を利用し、質の高い接客スキルを身に着けることは転職の際にとても有利になります。

売り上げへの貢献度が高いと評価されれば、「マネキン(百貨店やスーパーなどで販売を専門的に行う派遣スタッフ。時給は高め。)」として正社員に引けを取らない収入を得て生計を立てていくことも可能になります。

2.他店舗の店長とコミュニケーションを取っておく

月に1度、前月の売り上げを報告する「店長会議」が本社で行われ、各店の店長が招集されます。

その時に他店舗の店長と親しくしておき、他店舗の人員状況を把握しておくことをお勧めします。そして、人手不足の店舗には積極的に応援に行きます。

こうしておくと、自店で人員が不足した際にヘルプを出してもらいやすくなります。

店舗間でシフトを共有することが出来れば、人件費の都合などでシフトを削られてしまったスタッフを他店舗に割り当てることも出来るので休みも取りやすくなり、残業の負担も軽減されます。

会社に対して要望がある時や抗議をしたい時にも有効です。個人で意見や要望を言ってもまともに取り合ってもらえないことが多いですが、まとまった人数であれば耳を傾けてもらいやすい為です。

このように自分から行動を起こすことも、働きやすい環境に作る手段となります。

3.百貨店社員や周囲の店舗と交流し、良好な関係を築いておく

百貨店で働く以上、百貨店社員(マネージャー)との連携は欠かせません。店舗の運営について助言をしてくださったり、クレームが発生してしまった時にも指示を出してくれたりと頼もしい存在です。

そして、会社からすれば大切な取引相手でもあります。マネージャーという第三者からの評判が良いということは、自分自身の社内の評価にも直結しやすいのです。

また、百貨店は同業他社の関係者が多数出入りする場所でもあります。周囲の店舗のスタッフと仲良くなっておくことも重要です。

何故かというと、他社の情報を集めるのにはうってつけだからです。雇用条件や給与や就業環境など、実際に働いている人の生の声を聞くことが出来るので、同業種での転職を検討する際にはとても参考になります。

お店同士の距離も近いので自分の働きぶりを見てもらえる機会でもあります。接客スキルの高い販売員が同業他社の社長の目に留まり、好条件でヘッドハンティングされたということも実際にあったそうです。

退職した時に同じフロア内のお店から声をかけてもらえることも多いです。同じデパ地下内での転職というのもこの業界では比較的よくある光景でした。

4.どうしても今の職場に耐えられないなら転職を考える

それでも流行り今の職場勤務を続けることが難しいならば、素直に転職をしてしまうのが最も効果的な解決方法となる可能性が大きいでしょう。

無理をして同じ職場にいることに価値が置かれた時代は既に終わっていますし、いざ転職をしてみると「こんなことならもっと早く決断すればよかった」と公開することも珍しくありません。

他業種や他社への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく洋菓子販売店勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、現在の職場以外への転職の道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

洋菓子販売店の辞め方とタイミング

辞め方とタイミング1:退職は早めに申し出ること

これについてはどのような職種であっても守るべきことです。どんな仕事にも引継ぎは必要です。洋菓子業界では店舗に社員は店長1名のみで残りはアルバイトのみという場合が多いので、引き継ぐ業務も必然的に多くなります。

退職に関しては就業規則で最低1か月前に申し出るように定められている会社が多いと思われます。しかし実際に引継ぎ業務をスムーズに進めるには1か月ではとても間に合いません。

新しい社員の募集広告を出すにしても、昨日の今日というわけにはいきません。早くても2週間ほどかかります。アルバイトと違い採用までにも日数を要します。募集をかけても何か月も応募が来ないこともあります。

採用後に引継ぎをすることも考えると3か月以上前に申し出てもらうのが理想的です。

辞め方とタイミング2:繁忙期の退職は避けるべき

これもほとんどの業種に共通することかと思われます。洋菓子業界では、特にクリスマスは論外です。(病気や怪我などのやむを得ない事情はのぞきます。)

実際にあった例としては、私が副店長を務めていた頃に当時の店長が突然無断欠勤をしてそのまま退職をしてしまったことがあります。11月の下旬のことでした。

引継ぎもままならない状態で繁忙期に突入してしまったため、その年の12月は2日しか休みが取れず残業も100時間を超えるという事態にまでなりました。

同業種での転職をするならば、元の職場に迷惑を掛けるような辞め方をするのは得策ではありません。例え別の百貨店などへ転職したとしても同じ業界にいる以上、元の会社の同僚と再会する可能性はゼロでは無いからです。

もし転職をするのならば、比較的忙しくない夏に済ませてしまうことをお勧めします。それ以降になってしまった場合は、せめて年内いっぱいは勤め上げましょう。

辞め方とタイミング3:退職前に貸与品は必ず返品すること

会社からの貸与品には制服、名札、社員証、社会保険証、などがあります。百貨店には退店手続き書類を記入し名札、入館証、ロッカーを一緒に返却しなければなりません。

前述の無断欠勤後に退職をした社員の場合は、こちらからの連絡も無視して応じなかった為、手続きにはかなりの時間を要しました。気まずい辞め方をしてしまったからといって会社から借りたものを返却しないままにしておくことは法律上では「業務上横領罪」に当たります。

勝手に処分してしまったりすると弁償金の支払いを求められるケースも考えられます。直接返却しに行くのはどうしても気まずいというのならば、挨拶状を添えて会社へ郵送しましょう。

洋菓子販売店の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.百貨店の直雇用の正社員や契約社員に転職する

百貨店は何といっても福利厚生が充実しています。長期休暇も取りやすいよう制度がしっかりしていて産休の取得率もほぼ100%と女性にとっては働きやすい環境となっています。病気や怪我をして長期

従業員割引を利用出来るのも大きなメリットです。セール除外品でも常に1~2割引で購入が可能です。映画館やテーマパーク、保養所なども割安で利用出来ます。これらの特典は従業員の家族も利用可能です。

資格取得支援などの教育制度も整っているのでスキルアップに臨むことも出来ます。
女性が多い職場なので、女性が働きやすいよう配慮されています。

2.コールセンター、カスタマーセンターのオペレーターに転職する

お客様からの電話対応は販売員でも予約の承りやクレーム対応で経験しているので比較的就きやすい職種です。

百貨店で身についた美しい言葉遣い、お客様のご要望を聞き出すテクニック、商品内容を分かりやすく説明するスキルなどこれまでの経験を余すことなく活かすことが出来ます。

実際にオペレーターとして働き始める前には必ず研修が行われロールプレイングを何度も行うので、未経験者でも始めやすいです。時給が高いのも魅力的です。

お客様の顔が見えない状態で対応しなくてはならないので、対面接客よりも難易度は上がりますがその分やりがいも大きいと思われます。

クレームの電話応対をすることもあり、時には電話越しに罵倒されることもあるそうですが自分自身のミスを責められている訳ではなくお互いの顔が見えていないのでさほどストレスは溜まりにくいそうです。

3.一般企業の事務職に転職する

販売職でも売上報告書を作成したり、シフト管理をしたりなどパソコンを使用する機会も多い為転職でさほど不利ということは無いようです。

もちろんエクセル・ワードを覚えたり、タイピングスピードを速めたりするなどの努力は必要となってきますが百貨店の複雑なレジ操作や複雑な金銭授受のルールを習得できた人ならば覚えられないことは無いと思います。

事務職といえども顧客とのやり取りや社内の人間関係などコミュニケーションスキルは必要です。販売職で磨かれた対人スキルは役に立たないなんてことはあり得ません。

どんな職場でも一番重宝される人材は、周囲の人と円滑にコミュニケーションを取ることの出来る人だと思います。

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

洋菓子販売店勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「今の会社以外にも職場は沢山あることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない洋菓子業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

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