
北野筆太

最新記事 by 北野筆太 (全て見る)
- タクシー運転手を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法 - 2017年9月1日
- メーカーのプロセス技術開発者を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法 - 2017年8月24日
- 大手企業の受付業務を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法 - 2017年8月22日
記事の目次
そこに到達するまで3年半かかったのに、なぜ彼女は外資系高級ブランド販売員を1年で辞めたのか。
ハイブランド、ラグジュアリーブランド、呼び名は様々ですが、その中でも最も難関とされる「外資系高級ブランド」で、高野優梨愛さん(仮名、28歳)はセールスアソシエイトとして働いていました。
――ファッションに詳しくない人は、これがどれだけ凄いことなのかピンとこないと思います。でも「優梨愛さんは次のブランドのいずれかで働いていました」と言えば、その偉業が理解できますでしょうか。
HERMES(エルメス)
LOUIS VUITTON(ルイヴィトン)
CHANEL(シャネル)
PRADA(プラダ)
Dolce & Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)
GUCCI(グッチ)
Cartier(カルティエ)
GIVENCHY(ジバンシィ)
その他…
優梨愛さん3年半の努力を重ね、ようやくトップの座を射止めました。優梨愛さんが勤めていたブランド名を明かせないのは残念ですが、これがいわゆる「外資系高級ブランド」であり、ここのセールスアソシエイト、つまり販売員は、国内全てのアパレル・ファッション販売員の憧れのポジションです。
しかし、わずか1年で辞めてしまったのです。
なぜでしょうか。
外資系高級ブランド販売員の経験があるあなたはこの世界の厳しさを知っているので、優梨愛さんがなぜ短期間で退職してしまったのか想像がつくと思います。
しかし、この記事は、そういうあなたに向けたアドバイスが含まれていますので、ぜひ最後までお読みください。
厳しい競争も過酷な長時間労働もすべて愛するブランドのため。あなたは魔法にかかっていないか?
辞めたい理由と悩み1:少しずつステップアップして頂点に到達。そこで待ち受けていたものとは。
高野優梨愛さんはパソコン関係の専門学校に入りましたが、それは東京に行くための口実にすぎず、高校時代から外資系の高級ブランドの販売員になる夢を持っていました。
国内有名ブランドではなく、「外資系」であることは絶対に譲れない条件でした。
しかし専門学校の在学中に内定を取ることができず卒業を迎えてしまいました。
仕方なくプログラマーの補助のような仕事をしながら、就活を継続することにしました。
優梨愛さんを悩ませたのは、「どうやったら外資系高級ブランドの採用面接にたどりつけるか」ということでした。
つまり、求人誌やネットを探しても、エルメスやグッチの求人票はまったく見当たりません。
そんな苦悩の生活を送っている優梨愛さんに、転機が訪れます。
優梨愛さんの友人が、某アパレルショップの販売員を紹介してくれたのです。
彼女も「外資系高級ブランドを目指している」とのことでした。彼女は優梨愛さんに「まずはヤングファッションでもカジュアルファッションでもいいから、ショップの販売員になった方がいいよ」と助言し、こう続けました。
「国内、外資を含めほとんどの高級ブランド販売員は中途採用なんだよね。この世界は実力と即戦力が勝負だから、それなりのキャリアを積んでいないと採用されないよ。
それと、カジュアルブランドも、高級ブランドも、アパレルっていうことでは同じでしょ。だからカジュアルショップでも、新商品やバーゲンのタイミングや商品の流通の知識、接客の基本が身に付くわけ。
それと、好きなブランドだけじゃなくて、ライバルブランドの勉強をすることだね。最低20ブランドの縫製方法と生地の特徴は押さえておかないと、せっかく採用面接までたどりついても見透かされちゃうよ」
優梨愛さんは迂闊にも、こうした基本情報を身に付けていませんでした。
しかし恥ずかしがっている暇はありません。
「カジュアルブランドに就職したとして、そこからどうやって外資系高級ブランドにステップアップできるんですか?」と重ねて尋ねました。
「まずは、アパレル販売専門の派遣会社に登録することだね。派遣会社もバカじゃないから、登録者のスキルに応じて、ブランドを選ぶんだよね。あなたが登録しても、すぐには外資系高級ブランドは無理だよ。でも登録しなかきゃだめ。
私もいま、派遣なんだよね。いまのところはもう2年経つから、そろそろ派遣会社の担当者に、外資系ハイブランドに挑戦させてくれって頼むつもりなんだ」
優梨愛さんは、その助言通りに行動しました。
すぐにプログラミング会社を辞め、アパレル販売員専門の派遣会社に登録し、世界展開している某格安カジュアル衣料品店の販売員になりました。
そして、優梨愛さんは、派遣会社に依頼して、1年ごとに派遣先を変えてもらうことにしました。
つまり1年ごとに「上」のブランドショップに移り、そして3年半をかけて外資系高級ブランドに到達したのです。
ここまで聞いて、筆者はこのように尋ねました。
「アパレルやファッション業界のことを3年以上勉強した上で、憧れの最高級の店に入ることができたわけですよね。なのに1年で辞めてしまったんですね。もったいなくないのでしょうか?」
「ブランドの格が上がれば上がるほど、やらされる仕事がつまらなく退屈なものになっていったんです。○○(外資系高級ブランド名)でやらされた仕事は、雑用でした」
優梨愛さんは泣いてしまいました。
有名ブランドの販売員のあなたは、優梨愛さんが「雑用に耐えられない」と泣いたことに、「甘い」と思ったのではないでしょうか。
「そんな理由で1年で辞めたなら、到底ブランド販売員は務まらない」そうも感じたのではないでしょうか。
しかし、もう少し優梨愛さんの話に耳を傾けてみてください。あなたに通じるモノがあるはずです。
辞めたい理由と悩み2:高級ブランド販売員は自分のことを労働者と思わず「ブランドを作っている人」と考える。
長年の念願がかなって、派遣社員ではありましたが、外資系高級ブランドで働けるようになった高野優梨愛さん。
勤務先は、都内某市のデパート内の店舗でした。
しかし与えられた仕事は、在庫整理とディスプレイ替えばかりです。
いずれも優梨愛さんが「もう卒業した」と思っていた仕事です。
土日の混雑時に先輩販売員全員が接客しているときは、客に商品説明をすることが許されましたが、先輩の手があくとすぐに客を奪われました。
優梨愛さんが苦痛だったのは、顧客へのダイレクトメールの作成です。
定型の印刷物の他に、手書きの手紙を添えなければなりません。
優梨愛さんの顧客は少なかったので、自分の分はすぐに作り終えるのですが、先輩の分も作らされました。
つまり、先輩に成り代わって手紙を書かなければならないのです、ゴーストライターです。
先輩から文面案を渡されてその通り書いたはずなのに、何度も書き直しさせられました。「私の字と全然違う」と言われ30通すべて書き直したときは、深夜帰宅が続きました。
そんな時間まで店舗内に居られないので、ハンバーガー店で万年筆を走らせました。
もちろん残業代は出ません。
なぜなら、会社からは「ダイレクトメールに添える手書きの手紙は必ず本人が書くように」と厳命されていたからです。
優梨愛さんが残業申請をすれば、先輩からの代筆命令が会社にばれる可能性があります。
そして先輩たちは「これはいじめじゃないからね。ダイレクトメール書きは、セールスアソシエイトの基本だから、それを勉強させてもらっていると思ってよ」と言われました。
優梨愛さんは「これが外資系高級ブランドの洗礼なんだ」と思うようにしました。
「いまが耐えどきなんだ」と自分に言い聞かせました。
また、社内には派遣から契約社員に「昇格」した人もいて、「自分もいつかは!」と考えることもできました。
優梨愛さんの緊張の糸が切れたのは「ラインの発見」でした。
優梨愛さんの勤務先は東京都内ではありましたが、23区外の「市」にあるデパート内店舗でした。
ここに配属されている人たちは、絶対にマネージャーにも販売スペシャリストにもなれないことが分かったのです。
つまり、優梨愛さんを含むこの店舗のスタッフたちが乗っている「ライン」は、「出世ライン」と絶対に交わらないのです。
優梨愛さんは先輩から「派遣で最初の店舗がここだと、契約社員採用はないよ。だってうちの店長には人事権がないんだから」と聞かされて、自分が登録している派遣会社の担当者に確認してみました。
担当者は「詳しくは言えないが、そのブランドに雇われることはないだろう」と教えてくれました。
優梨愛さんはこのとき「自分は背伸びをしすぎたんだ」と反省しました。
これまで勤めてきた別のブランドの店では、とても大切に扱ってもらえました。
「正社員にしてあげるよ」と声をかけてもらったこともあります。
しかしそれらをことごとく蹴って、夢の舞台に上がったのですが、ここは「全然働きやすくない」(優梨愛さん)のです。
寿司好きの人が寿司を握れないように、憧れの商品を作っている会社が、必ずしもその人の天職ではないことは、誰でも知っていることです。
しかし高級ブランドの魅力は魔力です。
高級ブランドは顧客を魅了するだけでなく、働く人の心まで狂わすのです。
外資系高級ブランドのスタッフは、自分のことを労働者と認識せず、「自分こそが会社と一緒にブランドを作り上げている本人である」と考えてしまうのです。
それをロイヤリティ(忠誠心)と呼びますし、そのようにスタッフ教育をすることができるかどうかが、ブランド経営の必須要素でもあります。
あなたもいまの店で働き始める前に、「このブランドのためならなんでもする」と誓ったのではないでしょうか。
あなたはいま、優梨愛さんより苦しい立場に置かれながら、それでも歯を食いしばって売り上げを確保しているのではないでしょうか。
どうしてそこまで頑張れるのですか? それがブランド魔法です。
でも、身も心も捧げるほど、そのブランドは光り輝いていますでしょうか。
魔法は必ずいつか解けます。
そのときボロボロに疲れ果てた自分をかえりみて、「よくやった」と自分を褒めてあげることができるでしょうか。
インタビューを通じてじっくりと話を聞き、筆者は、優梨愛さんの1年での退職は、間違っていなかったと感じました。
辞めたい理由と悩み3:華やかな舞台裏はブラック企業顔負けの悲惨な労働環境。
外資系高級ブランド業界が、ブラック企業と言われないのはなぜでしょうか。
給料が高く、勤務時間が短く、福利厚生が良く、やりがいがあるからでしょうか。
そうではありません。ネット情報ではなく、筆者が聞き取りなどして「自分の手」で集めた情報だけで得た事実をお伝えします。
外資系高級ブランド販売員の「事実」
・正社員はまれ、契約社員すら少数。大半は契約社員の不安定雇用
・安い給料で時間外が長く、サービス残業も横行
・土日はほとんど休めない。恋人や家族と休日が合わない
・いわゆる「女職場」。教育という名の嫌がらせは珍しくない
・スタッフの自腹で自社製品を買わされる
外資系高級ブランドで1カ月でも働いたことがあるあなたは、これを「事実無根」と言えるでしょうか。
ここに掲げた「事実」は、世の中のブラック企業と呼ばれる会社が行っていることです。
なのになぜ、外資系高級ブランドは非難されないのでしょうか。
それは、働いている人が内情を告発しないからです。
ではなぜ告発しないのでしょうか。
それは「外資系高級ブランド販売員が『私の職場はブラックです』と発言することは、自ら負けを認めるようなもの」という考えが植え付けられているからです。
しかし、当然のことながら、あなたが外資系高級ブランドの厳しい世界から撤退したからといって、負け犬なんかになりません。
セレブやVIPへの接客が上手にできなかったからといって、ビジネスコミュニケーション能力が低いというわけではありません。
あなたは、バレーボールで全日本メンバーに選ばれなかった人が、ビーチバレーで花開いたことをご存じのはずです。
アイドル歌手がビジネスに転向して大成功した事例を聞いたことがあるはずです。
外資系高級ブランドの店舗だけが、販売員の舞台ではありません。
あなたがいま「同僚のプライドの高さにほとほと疲れた」と感じているのは、心と体のSOSかもしれません。
次の舞台を探してみてはいかがでしょうか。
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「高級ブランドショップ店員の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.今までより1歩だけひいて「冷静」に「労働環境」としての自分の職場を評価してみる。
あなたがプライベートのほとんどを犠牲にして働くのは、1品でも多くのブランド商品を顧客に届けたいからでしょう。
あなたが日本一の接客術を身に付けようと日々勉強を怠らないのは、あなたが信じるブランドをあなたと同じくらい愛してくれる顧客に、最高のおもてなしをしたいからでしょう。
どんな仕事に就いていたとしても、自分が扱う商品やサービスに誇りを持つことは重要です。なので筆者は、あなたの気持ちを全面的に支持します。
しかし、高級ブランドは女性に魔法をかけます。
盲目的に信奉してしまった結果、20代30代の貴重なキャリア形成の期間を棒に振ってしまう人もいます。
そこで、あなたに質問をします。あなたには、高級ブランドの本質が見えていますか?
「見えている!」と断言できないあなたには、「堕落する高級ブランド」(ダナ・トーマス著、実川 元子訳)という本を1度読んでみることをおすすめします。
この本を読むと、外資系高級ブランドは「良い服」「良い商品」で利益を上げているわけではないことが分かります。
では「何」で莫大な利益を上げているか。答えは「イメージ」です。
ヴィトンで知られるLVMHなどを所有する「ブランド王」ことベルナール・アルノー氏は、「いいか悪いかに関係なく、メディアに取り上げられることが重要」と述べています。ブランドは「イメージ」で食べているのです。
また、スイスの「リシュモン(Richemont)」は、グループ企業全体の利益の9割近くをカルティエ(Cartier)が稼いでいて、そのカルティエの利益の60%は時計で稼いだおカネなのです。
つまりカルティエのライバルはヴィトン(LOUIS VUITTON)でもエルメス(HERMES)でもなく、セイコーやシチズンなのです。
あなたはこれを高級ファッションと呼べますか?(それが現実といわれれば、その通りなのですが。少なくとも我々が表から垣間見える世界とはずいぶんと距離がある現実です)。
さて、外資系高級ブランドの「本質」とはなんでしょうか。
この本によると、現代の高級ブランドとは、かつて王族や貴族しか手に入れられなかった品々を、かろうじて庶民の手に届く商品に作り変えたもの、なのです。
そして外資系高級ブランドの商品の中には、中国工場で作られたものも含まれているのです。「中国製のコピー品」ではなく「中国製の本物」です。
これが外資系高級ブランドの「正体」です。
それでもあなたはブランドを盲目的に信奉しますか?
これまでとは一歩後ろに引いた冷静冷徹な目を持って、自らの職場が本当に「労働環境として、働くに値する職場なのかどうか」を相対的に考えてみるのも悪くないと思いますが、いかがでしょうか。
2.それでもこの道で上を目指すというあなたがすべき4つのこと。
さて、「堕落する高級ブランド」を読んでも「私はこの道を進む」と思ったあなたは、本物です。
この道の険しさを知った上で歩みを止めないあなたは、疲れている暇はありません。外資系高級ブランド販売員として生き残るための4つの「すべきこと」をお教えしましょう。
【ブランド販売員の道を究めるためにすべきこと その1】
いまのあなたがすべきことは、自社のブランド品を1品でも多く個人的に収集し、実際に商品を身に着け、利用する顧客の気持ちを100%以上理解することです。
販売員のあなたは、世の女性がうらやむ「社割」という特権を持っています。
あなたが勤める外資系高級ブランドを年中バーゲンプライスで購入できるのです。
まずは基本的なアイテムを数着買いましょう。
そして3カ月に1度、2~3アイテムずつ増やしていくのです。「3カ月」とは、四季(四半期)ごとに、ということです。
ものすごい出費になりますが、自社製品を極めずして、この世界でトップは取れません。あなたの営業トークに説得力を持たせるための投資と考えてください。
ブランドの商品価値を体験できていない販売員から、商品を喜んで購入する顧客がいるでしょうか?
ブランド販売員の道を究めるのならば、まず自らが自社ブランドの良き顧客になる必要があるでしょう。
【ブランド販売員の道を究めるためにすべきこと その2】
ヘア、ネイル、そしてメイクは一流店に行くべきです。
社割でブランド品を増やすだけでは、ブランドゲッターにすぎません。
あなたの店舗に足しげく通う顧客は、本物のセレブですので、ブランドの話だけしていては退屈させてしまいます。
彼ら、彼女らの興味がある情報収集は自らの体験を持ってなすべきです。
雑誌やネットで仕入れた文字情報とは、説得力が全く違います。
あなたがいくら敬語を磨いても、あなたのお辞儀の角度がいつも正確でも、話題が陳腐では顧客の信頼は得られません。
顧客が行きそうな店の情報は、いつも最新のものに更新しておくのは当然です。
【ブランド販売員の道を究めるためにすべきこと その3】
資格を取得してください。
英語が得意な人はTOEICやTOEFLで、明治青山法政の大学生並みの点数を目指してください。ブランド販売戦略を考えると、本当は中国語をマスターしてほしいのですが、これはあまりにハードルが高いので、英語でOKです。
外国人観光客の接客ができると、外資系高級ブランド業界で生き残れる確率はグンッと上がります。
英語が苦手な方は、カラーコーディネーターとファッション販売能力検定、アロマテラピー検定などを取得してください。
これらの資格は、顧客との接点を作り、営業トークを潤してくれます。
あなたは自社ブランド商品+「α」の専門家になるべきです。
自社ブランドのことだけ知っていればよいという知識量では、全く不十分です。
高級ブランドを買い求める人は、支払う金額に見合った納得と説得を求めています。
あなたが顧客から下に見られたら、商品の価値も下がると思ってもらって間違いありません。的確以上の接遇はできて当たり前です。
顧客の期待を超える接遇は、高級ブランド店の(駆け出し社員でもできる)必須事項となっています。
あなたに必要なのは「一芸」をひとつでも多く増やすことです。
【ブランド販売員の道を究めるためにすべきこと その4】
販売員である以上、とにかく売って売って売りまくってください。
外資系高級ブランドのほとんどは、販売員に制服を支給します。
また定期的に接遇や新商品の研修を行います。
これらはすべて、多額の費用がかかっていて、このおカネはあなたへの投資です。
外資系高級ブランドという世界的ビッグネームが、なぜあなたに投資するのでしょうか。それは投資以上の利益を期待しているからです。
外資系は、ここらへんはとてもシビアですよ。
外資系高級ブランドの販売員が厳しい立場に置かれる唯一の理由は、売り上げ不振です。
しかも、ただやみくもに売ればいいというわけでもありません。
ブランドの名を汚さぬよう、ルールに則って売らなければなりません。
さて4つすべて紹介しました。
これらは「上を目指すあなたがすべきこと」ですが、それと同時に「あなたの上司たちがやってきたこと」でもあります。
しかし、この4つをすべてこなすために、あなたはどれほどの犠牲を払わないとならないでしょうか。
もう一度同じ質問をします。
あなたは本当にこのまま外資系高級ブランドに身を投じ続けられますか?
3.高給ブランド販売員を辞めて他業界に転職する
せっかくつかみ取った外資系高級ブランド販売員の職ですが、それを手離すことは「あり」だと思います。
あなたがどれほど自分を磨いても、会社がそれに報いるのか報いないのかは、会社次第なのですから。
外資系高級ブランドがそれほどドライなのは、あなたが退いても、あなたと同じくらいの能力を持った人が、あなたより安い給料でいいから働かせてほしいと言っているのですから。
「代わりはいくらでもいる」と考えている会社に、忠誠を誓うのはもったいないと思いませんか。
しかも、「外資系高級ブランドで鍛え抜かれた人なら、高給、高待遇でお迎えしたい!」と声を上げている他業種の企業や業界はたくさんあります。
あなたなら、いまより短い勤務時間で、いまより高い給料が狙えます。
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまくブランドショップ勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、ブランドショップ以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
高級ブランド販売員の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.高級マンション(億ション)のコンシェルジュに転職
代官山、六本木、渋谷、汐留…憧れの勤務場所ではないでしょうか。
高級マンションディベロッパー大手が、マンションのコンシェルジュを募集しています。
この会社では、賃貸マンションのフロントに英語対応可能な人材を配置し、他社との差別化を図っています。
入居者は当然エグゼクティブや富裕層です。
そうです、あなたが外資系高級ブランド店で接客している客層とまったく同じです。
しかもホテルとは異なり、長期滞在している人ばかりですので、「顧客を覚える」仕事も同じです。
業務は、入居者が帰宅してきたときの声かけや、宅配便や郵便物の預かり、インフォメーションサービス、入居者が好むタクシー会社への配車依頼などです。
気になる初任給は月給20万~24万円で、初年度の賞与実績は年60万円です。
最初は契約社員でのスタートですが、それでも健康保険や厚生年金などの社会保険は完備します。そして正社員登用を前提としています。
あなたの次のステージとして、決して見劣りする就職先ではありません。
(出典:「住友不動産×Career」)
2.キャビンアテンダントに転職
外資系高級ブランド販売員の次の職場は、キャビンアテンダントがよく似合います。
あなたも一度は「空の世界もいいな」と思ったことがあるのではないでしょうか。
あなたの接待術は、群を抜いていると思って間違いありません。
接遇マナーについて、あなたほど厳しく鍛えられた人はそう多くは存在しません。
その強みは、生え抜きのキャビンアテンダントすら上回るといえるでしょう。
なぜなら、キャビンアテンダントの客には、中間層やバックパッカーたちも含まれますが、あなたは上流階級の人たちしか相手にしてきていません。
つまり、あなたほどファーストクラスの客たちをうまくあしらえる人はいない。
そう思って胸を張って採用面接に臨んでみてください。
3.高級不動産の営業職に転職
あなたが外資系高級ブランド店で売った最も高い商品の金額はいくらでしょうか。
100万円でしょうか、200万円でしょうか。不動産の販売価格は数千万円に及びます。
住宅営業に挑戦してみませんか。
この仕事の魅力は、給料です。
インセンティブがものすごいのです。
年収700万円超えも視野に入ってきます。
富裕層向けの高級不動産を専門とする企業ならばなお良いでしょう。
不動産営業というと男性のイメージが強いかもしれませんが、実は女性でも活躍できる数少ない「大物営業」といえます。
なぜなら、家を守るのは妻であり母親、つまり女性だからです。
顧客の妻または母からの信頼を得ることができれば、商談はスムーズに進みます。
あなたの超一流の接遇は、不動産業界、住宅業界では強烈な光を放つはずです。
不動産に関する勉強をする必要はありますが、逆にいえばそれさえ乗り越えれば、活躍が約束されているようなものです。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
高級ブランドショップ販売員勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「高給ブランドショップ販売員以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない高級ブランド業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。