美容外科のカウンセラーを辞めたい人へ=つらい仕事と会社を上手に辞める方法

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北野筆太

北野筆太

ブラック企業の取材などを主なテーマにしているライター。実際の転職経験者にインタビューをすることで、労働者が煮え湯を飲まされるその業界ならではの特殊事情やゆがみを探り当て、「就業する前に(転職する前に)知ってほしい体験談記事」を日々執筆中。
美容外科のカウンセラーを辞めたい人へ=つらい仕事と会社を上手に辞める方法

美容外科のカウンセラーを辞めたい人へ=つらい仕事と会社を上手に辞める方法




記事の目次

「美のトップランナー」である美容外科のカウンセラーの仕事は実は地味。「なんで私が?」の毎日。

美容外科クリニックのカウンセラーをしているあなたは、美人のはずです。単なる美人ではなく、有名な大学を卒業しているか、英語ができるか、秘書検定を持っているか、接遇のエキスパートか、いずれにしても「中身」をともなっている美人のはずです。

美容外科カウンセラーとして成功しているあなたは、自分の地位をきちんとわきまえることができる方です。「自分はいちスタッフにすぎない」と認識し、医師や看護師たちを立てることができます。

だからあなたは、院長や医師たちから絶大なる信頼を得ていますし、大金を払って綺麗になろうとしている富裕層から指名されるのです。

医療技術を使って美しさを追求する美容外科は、「美の最終兵器」と言っても過言ではありません。医学的にはなんら問題がない部位を、メスや注射針で傷つけるのですから。

「ビヨウゲカ」という言葉には、女性の心をとらえて離さない魅惑の響きがあります。美しくなるという、女性の永遠の欲求を満たすことができる場所、それが美容外科です。あなたも、そうした魅力に引きつけられて、この世界に飛び込んできたのでしょう。

なのに、あなたは最近「これが私の仕事?」と疑問に思うことが多くなっています。それはそうでしょう、美容外科は過酷な職場であるだけでなく、理不尽な世界なのです。仕事から得られる満足感より、職場で受けるストレスと方が大きくなってしまったあなたは、「辞めたい」と思うこともあります。

あなたのように容姿と学歴と語学力を兼ね備える「美のトップランナー」であればなおのこと、「このままでいいのだろうか」と考えるでしょう。でもそれでいいのです。いつの時代も、現状に満足しない人だけが「本当に自分がやりたいこと」に出会えるのです。

自分の能力を信じ、次の一歩を踏み出しましょう。

ビッグマネーが動く一方で、普通の医療とはまったく異なる医療。困惑する人は少なくない…美容外科業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み

辞めたい理由と悩み1:とにかくクレームが多い。「鼻の出来が悪い」と受付窓口で泣き叫ぶ女性も。

秋本アズミさん(仮名、25歳)が勤めていた美容外科クリニックは、テレビCMで有名な美容外科クリニックチェーンのひとつでした。アズミさんは私立大学の学生時代にはミスコンで上位入賞を果たすなど、まぎれもない美人です。英検2級を取得し、イギリスに1年間の留学経験もあります。

就活では商社の総合職の内定ももらいましたが、その美容外科クリニックチェーンに勤める大学OGの話を聞き、業界の将来性を感じ異次元の扉を開きました。

入社したてのアズミさんが実感したことは「美容外科のカウンセラーは、単なる診療所の事務員ではない」ということでした。

その仕事は、客からの問い合わせへの対応に始まって、診察や治療の予約の手続き、その受け付け、来院者への事前の治療説明、美に関する悩みを聞く個別カウンセリング、医療行為に含まれない施術、治療終了後のアフターケア、会計事務などなど多種多様です。

入社当初は、医療用語にとまどう日々でしたが、持ち前の探究心で医療の基礎知識を身に付けると信じられないほど仕事がスムーズに回るようになり、そうなると仕事が面白くなるので成果も上がり、医師や看護師は次々とアズミさんに新しい仕事を任せるのでした。

アズミさんが力を発揮したのは、中国と台湾からやってきた富裕層の対応でした。中国などの富裕層は3~5人のグループで来院することが多く、その中の若い人は英語が話せるので、アズミさんが英語力が活かされました。

新聞やテレビニュースは中国経済が減速していると報じていますが、アズミさんは「中国も台湾もまだまだ元気」と感じていました。海外の顧客はそれくらい羽振りが良かったのです。

受診の順番を繰り上げてもらうためなら幾らでもカネを積む外国人もいて、医師への「付け届け」の額は桁違いでした。通訳業務をしていたアズミさんは、現金が行き交う現場を何度も見ています。大きな手術が入ると、アズミさんに臨時ボーナスが出ることもありました。

その一方で、アズミさんが「やりにくい」と感じたのは、意外にも日本人の顧客でした。「とにかくクレームが多い」ためです。1万円程度でできる二重まぶたについて、電話で1時間も不満をぶつける人もいました。アズミさんは「施術時間の方が短いくらいですよ」と苦笑いしながら教えてくれました。

もちろん美容外科クリニック側が無料で追加の修正に応じるわけもなく、かといって顧客をこれ以上怒らせるわけにはいきませんので、アズミさんはただただ電話口でお詫びの言葉を繰り返すだけでした。

人工軟骨を使った鼻の整形は20万円もしますので、顧客の要望はさらにシビアになります。特にクレームが激しいのが、「ワシ鼻」と「上向き鼻(ブタ鼻)」の手術でした。医師としては「標準の出来」または「成功した」という感触を持っていても、顧客は「0.1ミリ」レベルの「間違い」を指摘します。ひどい客になると、クリニックの受付窓口で泣き叫んだり、怒鳴ったりします。

こうしたモンスターペイシェントの対応も、カウンセラーの仕事です。アズミさんが勤めていた美容外科では、手術後のアフターフォローは原則、カウンセラーが行います。アズミさんたちは、「成功した」と考えている医師と、「不満だ」と主張する顧客の間で板挟み状態になるのです。

あなたの勤める美容外科クリニックでも、似たようなトラブルが起きているのではないでしょうか。そういったトラブルに必ず巻き込まれるあなたは、「医者も看護師も、すぐに逃げる」と憤っているはずです。

仕事にやりがいを見つけても、あなたの味方になってくれる人が職場にいないと、踏ん張りがきかないでしょう。

有名美容外科のホームページを独自の視点で「採点」しました!
湘南美容外科 80点 高須クリニック 70点 城本クリニック 60点
データ 全国56院を展開。総合病院、透析クリニックも保有。 5院しかないのは意外に少ない? 27院を展開、25年の歴史。
目についた項目 「リフトアップ5.9万円」など明朗会計を強調。 施術の動画は迫力満点。 ピンクを基調にしているが、内容は地味。
ユニークな項目 症例写真が驚異的。このbefore&afterは思わず凝視してしまう。 あの有名な「高須院長」の他に3名の「高須先生」がいる。親子? 姻族? 写真をあまり使わず、イラストを多用している。訴求力が低いかも。
ちょっと「?」な項目 CMでおなじみの相川統括院長の顔が多すぎる。 スペシャルインタビュー「高須院長が丸坊主になりました」は…。 「シロモト娘でございます」というタイトルのブログ。

★ホームページの見やすさやアピール度、ユニークさについて採点したもので、各クリニックの医療について分析したものではありません。

辞めたい理由と悩み2:「なんで私の顔にメスを入れるの!?」強制的に医師や看護師の「練習台」にさせられる。

美容外科のカウンセラーは、医師や看護師の施術の「練習台」になります。秋本アズミさん(仮名、25歳)が勤務先の美容外科クリニックで最も多くやらされたのは、新人看護師による脱毛です。

新人看護師は機器の扱いが下手なので、それだけで不安な気持ちになります。施術中に手を休め取り扱い説明書を読み始める看護師もいて、そういうときアズミさんは「看護師免許を持っているんだからさ!」と心の中でツッコミます。

脱毛の練習台は、カウンセラーだけでなく、事務員も強制です。そういった意味では被害は平等です。なのでアズミさんも脱毛の「練習台」になることには「仕方がない。これも給料のうち」と思うことができました。

アズミさんが嫌だったのは、メスを使う施術の練習台です。アズミさんは医師からの懇願を2回ほど断りましたが、いずれも周囲からのプレッシャーは相当なものがありました。それで、医師から3回目の練習台の依頼があったとき、アズミさんはすぐに断ることができず、「保留」してもらいました。そして先輩のカウンセラーに相談すると「ここにいる以上『無傷』では済まないよ」と言われ、アズミさんは覚悟を決めました。

ただ、どうしても顔にメスを入れることは受け入れがたく、ほうれい線へのヒアルロン酸注入で許してもらいました。もちろん、当時20代前半だったアズミさんには、ほうれい線などありません。それでも医師は、注射器を扱う手技を確かめるために、練習台を必要としていたのでした。

あなたにはこんな経験はありませんか。あなたが友人に「練習台になることの苦痛」を愚痴ると、友人が「無料で美容手術を受けられるなんていいなあ!」とうらやましがられたことです。

そうなのです、その友人は、手技が下手な医師や看護師から施術を受けることの恐怖を知らないのです。

医療機関のスタッフが「練習台」にならなければならないのは、美容外科ならではといえます。内科や消化器科などの診療科で「練習台」を実施すれば、大問題になるからです。

つまり、あなたが渋々応じた「練習台」体験は、とても理不尽な仕打ちなのです。

辞めたい理由と悩み3:「女社会にビジネスの常識は通用しない」と気付いたアズミは自ら退場することを決意した。

秋本アズミさん(仮名、25歳)は、大学を卒業して美容外科のカウンセラーの職に就き、わずか2年で退職してしまいました。しかし筆者は、アズミさんが「我慢が足りない人」とも「考えが甘い」とも感じません。

それは、アズミさんが商社の総合職の内定を蹴ってまで選んだ道だからです。熟考を重ね、周囲の助言も受け、業界研究を行い、美容外科のビジネスモデルの中に将来性を見付けて採用面接に臨んだからです。

アズミさんが熱心に仕事に取り組んでいた証拠に、彼女は中国・台湾富裕層の開拓という大事業を成し遂げました。これは「偶然の成功」ではなく、インバウンドビジネスにいち早く目を付けたアズミさんの戦略が奏功した結果です。

それではなぜ、アズミさんは2年で撤退してしまったのでしょうか。筆者のこの疑問に対して彼女は「とても重要なことを見落としていたんです」と答え、こう続けました。「美容外科は完全な女社会で、私はそこにどうしてもなじめなかったんです」

美容外科業界における男性は医者と一部の事務職だけで、アズミさんの同僚も看護師も100%女性です。また、ほんの一握りの男性医師や男性事務職は、決してこの「女社会」に触れようとしないのです。

アズミさんが「女の社会」になじめなかったのは、「女の掟がビジネスの障害になっていた」(アズミさん)からです。アズミさんは勤務中、たえずビジネスモデルの改良を考えていました。

「もっと効率化できる」「もっとお客様に喜んでもらえる」「もっと売り上げを伸ばすことができる」「もっとスタッフの給料を上げることができる」

アズミさんはそうしたカイゼン案をノートに書き込んでいきました。

しかし、アズミさんが院長たち医師から信頼されればされるほど、看護師や先輩カウンセラーたちは危機感を募らせ、アズミさんの業務を妨害するようになりました。

意地悪な看護師は、アズミさんの顧客に施術するとき、わざを手を抜きました。アズミさんは客から「あなたが施術してくれるなら通うけど、それが無理ならもう来ません」と言われました。しかし医療行為を伴う施術は、医師免許も看護師免許も持たないアズミさんは手を出すことができません。

「医師たちも『女社会』や『女の掟』の弊害を十分承知していましたが、それでも手出しできないのは、ボス格の看護師が後輩看護師やカウンセラーを引き連れて別のクリニックに移られたら困るからです。美容外科ではそういう『事件』が珍しくないんです」

アズミさんは、このアンタッチャブルな慣習がなくならない限りこの美容外科業界はこれ以上拡大しない、と結論付けました。そして「この闇はあまりに深くて広いので、自分一人では抗えない」と思ったのです。

そしてアズミさんは退職しました。ただこの退職も一筋縄ではいきませんでした。その経緯は後述しています。

美容外科のカウンセラーのあなたも、もしいま女性職場に居づらさを感じていたとしたら、それは至極当然の感情であると覚えておいてください。女性職場を苦手とする女性は、男性よりも強く女性職場に嫌悪感を持つという特徴があります。

あなたも「女性職場になじめない女性」だとしたら、1日も早く脱出した方がいいかもしれませんよ。

では、美容外科に勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、美容外科勤務の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.経営陣が驚くレベルの営業力を身に付けて報酬アップを目指す

美容外科のカウンセラーとして「限界」を感じているあなたに、ひとつ質問させてください。

「営業努力はしていますか?」

不愉快に感じたら、大変申し訳ありません。しかし、美容外科のカウンセラーに限らず、ハードで難解な仕事をこなしている人たちは、「営業」はできても「営業努力」が足りないことがあるのです。

あなたの顧客が、あなたの仕事っぷりに惚れ込んでリピーターになるのは、あなたがしっかり「営業」をしているからです。しかし、あなたは「顧客の評価を得ることは難しくはない」と思ったことはありませんか? これを「営業の罠」といい、優秀な人ほどこの罠にはまりやすいのです

優秀な人は普通に仕事をしているだけで、周囲の人から高く評価されます。美人のあなたなら、なおさらそうでしょう。つまり「営業努力」をしなくても「営業」ができてしまうのです。

しかし「営業努力」をしない「営業」は、長くもちません。必ず成長が止まります。

しかし、容姿や学歴や語学力がそれほど高くない人たちは、日々の「営業努力」を怠りません。こういう人たちは永遠に「営業努力」を止めませんので「本物の営業力」が身に付くのです。

コンビニの社長がアルコール飲料メーカーの社長に転身しても好成績を残せるのは「本物の経営力」を持っている人だからです。

これと同じように「本物の営業力」を身に付けたサラリーパーソンは、どの業界に移ってもすぐに売上を作ってみせます。

あなたのように美も才も持ち合わせている人が「営業努力」を積み重ねると、間違いなくカリスマカウンセラーになれるでしょう。

そうなれば、美容外科は売上高をとても重視する業界ですのでヘッドハンティングという道も開けます。年収は一気に1.5倍になるでしょう。

2.「美容外科」から「外科」を外すと「美容」になる。独立開業を目指しては?

あなたがもし、美容外科のカウンセラーという特殊な仕事には嫌気をさしているが、「女性を美しくする仕事」は継続したいと思っている場合、とりあえず医療から離れることをおすすめします。つまり「外科」のない単なる「美容」の道を目指してはいかがでしょうか。

メスや注射器や薬を使う美容外科は「美容の最終兵器」「美容のピラミッドの頂点」です。そこにいたあなたは、エステサロンや化粧品業界、フィットネス業界などが放っておかないでしょう。

美容界で起業してはいかがでしょうか。最も手っ取り早いのは、自宅を改装して「美の店」を開くことです。友人や家族への施術から始めて、その知人、そのまた友人という具合に拡張していきます。

そこで儲けが出てきたら、ビルのテナントを借りて、スタッフを雇って手広く展開できます。

あなたは美容外科クリニックで、院長やチーフ看護師がどうやってスタッフを働かせているか見てきたはずです。自営業では、スタッフ数を増やしていくと倍々ゲームのように売り上げが伸びていきます。チェーン展開も夢ではありません。

3.美容外科を辞めて他業界に転職する

「もう美容の世界にいたくない」というあなたは、思い切って他業界に転職してみてはいかがでしょうか。

というのも、美しいあなたが「美容に飽きた」と感じてしまうのは、疲弊しているからです。このままこの世界にいても、消耗するだけでしょう。

あなたは、美という虚構の世界にうんざりしているのかもしれませんよ。あなたが本当に扱いたい「商材」は、イメージや幻想や見た目ではなく、「しっかり手に取ることができるモノ」や「社会貢献に寄与できるコト」なのではないでしょうか。

一般ビジネスの世界では、あなたが美容外科カウンセラーで身に付けた「人との関わりあい方」や「医療知識」「サービス精神」を渇望しています。たくさんの求人票を見ることをおすすめします。

他業種への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく美容外科勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、美容外科以外への道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

美容外科のカウンセラーならではの辞めるときの苦労、上手な辞め方、そして絶妙な離職タイミングとは?

辞め方とタイミング1:英語ができた私は外国人への対応ができた。だからかなりしつこく慰留された。

さて、転職を決意したとしても、あなたにはその前に越えなければならない壁があります。それは「辞めること」です。特に、あなたのような美貌と見識を兼ね備えたカウンセラーの退職は、とても難しいと覚悟しておいてください。クリニックの院長や看護師たちは、あの手この手を使ってあなたの退職を阻むでしょう。

冒頭で紹介した秋本アズミさん(仮名、25歳)も、たった2年間勤めただけでしたが、辞めるのはとても苦労しました。

アズミさんがその美容外科で、外国人顧客の開拓に成功したことは述べた通りですが、その仕事ができる人が、アズミさんしかいなかったのです。

アズミさんがクリニックの事務長に退職したいと申し出ると、彼はすかさず「給料が不満なんですか?」と言いました。アズミさんが「お給料ではありません。プライベートなことで辞めさせていただきたいんです」と言っても、「次のボーナスはびっくりする金額を出すから」と言われ、その日は退職願を受け取ってもらえませんでした。

アズミさんが日を置いて事務長のところに行っても、同じ結果でした。事務長は退職願を受け取らないばかりか、「院長には言わないでおいてあげるから、とにかくよく考えてみて」と意味不明なことを言い始めました。アズミさんは「こっちは院長に伝えてほしいんですけど」と思いましたが、一方で「ここまで引き止められるってことは、次のボーナスは本当にすごい金額になるのかな?」という期待も生まれてきました。

しかしこの淡い期待がアズミさんをさらに窮地に陥れたのでした。

辞め方とタイミング2:コネ採用の私は、「恩をアダで返す気か」と言われた。

アズミさんがこの美容外科クリニックチェーンに入職したのは、出身大学のOGのリクルートがきっかけでした。先輩もその美容外科のカウンセラーで、アズミさんが退職を決意したときは、アズミさんの勤務先とは別のクリニックのナンバー3にまで登り詰めていました。

先輩は、アズミさんと事務長が退職願をめぐってやり取りしていることを聞きつけ、アズミさんを食事に誘いました。場所は美容外科の医師たちが使う高級レストランで、もちろんアズミさんは初めて入店しました。

食事が終わって支払いのとき、先輩はアズミさんにクレジットカードを見せました。そして「このカードの名義を見て?」と言いました。そこに印字されていたのは、美容外科の女医の名前でした。

先輩は続けて「あなたが辞めたがっているって報告したら『これで思い止まってもらえ』って言われて渡されたの。次、どこに行く? ホストクラブに行ってみる?」と言い、ニヤリと笑いました。

アズミさんは「ここはやばい世界だ」と思いました。「このままじゃ、絶対に辞められない。もうボーナスは要らない。事務長が受け取らなくても、明日絶対に退職願を置いてこよう」と決意し、先輩を振り切って帰りました。

退職願が受理された日の夕方、先輩がわざわざアズミさんが勤めるクリニックにやってきて、「あなた、私から受けた恩をアダで返す気!? 私も一緒に行くから、いますぐ院長先生に謝りましょう」と、ものすごい剣幕で言われました。

しかしアズミさんの決心はもう揺らぎません。「○○さん(先輩の名前)、大変申し訳ありませんでした。○○さんから教わったことは、私の一生の糧になります」と丁寧にお辞儀をして言いました。先輩もそれで黙ってしまいました。

アズミさんは退職してから1度だけ、美容外科の関係者と会いました。そのとき「あなたが辞めてからしばらくして、うちのクリニックは外国人の受け入れを中止したんだよ」と聞かされました。外国人が来ても怒らせてしまうだけだったので、院長は「ドル箱」を捨てる決断をしたのでした。

アズミさんには思いもよらぬ出来事でした。というのもアズミさん自身は「英語ができる人なら誰でも外国人対応はできるはず」と考えていたからです。しかしそうではなく、富裕層外国人の心を射止めていたのは、アズミさんの語学力ではなく、アズミさんの「お・も・て・な・し」力だったのです。

それでは次に、美容外科のカウンセラーのあなたにおすすめする転職先を紹介しましょう。

美容外科カウンセラーの勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.コールセンターのマネージャーに転職

美容外科のカウンセラーとコールセンター業務は、まったく違う業種に思うかもしれません。美容外科は「見た目」重視なのに対し、コールセンターは「顔の見えない仕事」です。

しかしこの2つの仕事には、「顧客が不満に思っていることを解決して喜ばせる」という共通点があります。だから、あなたにすすめるのです。

コールセンターのマネージャー職を目指してはいかがでしょうか。というのも、実はコールセンター業界は、まだまだ成長する要素を持ちながら、伸び悩んでいるのです。こういう業界は、早く頭角を表すことができます。

日本コールセンター協会によると、2016年の業界全体の年間売上高は7726億円と8000億円に迫る勢いです。しかし最近の推移を見ると、ひと桁成長しかしていません。2014年においては、わずかながら前年割れしています。

このような有望市場でありながら低成長にあえいでいる業界は、優秀なマネージャーを求めています。

あなたがいる美容外科クリニックは、難しい顧客ばかりなのではないでしょうか。あなたは、顧客が突きつける無理難題をクリアするだけでなく、クレーム客すらリピーターにしてきました。その「魔術」を、コールセンターのスタッフに伝え、会社を成長させてほしいのです。

コールセンターは成長産業!業界の年間売上高は8000億円に急接近
年間売上高 前年度比
2011年 5759億円
2012年 6448億円 12.0%増
2013年 7046億円 9.3%増
2014年 6982億円 0.9%減
2015年 7400億円 6.0%増
2016年 7726億円 4.4%増

資料「コールセンター/コンタクトセンター関連の年間売上高」(日本コールセンター協会)

2.エステティシャンに転職

「美容外科クリニックは退職したい」でも「美の追求はあきらめたくない」というあなたの別の道は、エステサロンのエステティシャンです。というのも、美容外科カウンセラーもエステティシャンも「医療を使わない施術によって女性を磨く」という点で、まったく同じだからです。

しかも、美容外科カウンセラー経験者がこの道に進むことには「さらに良いこと」があります。それは、多くの顧客は「美容外科の方がエステより高級」「美容外科の方が本格的」と考えているという事実です。

つまり、エステティシャンになったあなたが、「以前は美容外科クリニックのカウンセラーをしていました」と言えば、顧客は魔法にかかったように「この人は信頼できる!」と感じるようになるのです。

あなたが美容外科クリニックで身に付けた「医療と美」についての知識と技術は、エステ業界で無敵を誇ることになるでしょう。

顧客満足度が高いエステサロンの企業規模
1位 エステティックサロン ゲラン パリ 株式会社ソシエ・ワールド

本社:東京都渋谷区代々木

創立:1971年9月

資本金:5千万円

店舗:国内62店舗、海外17店舗

2位 ワミレスサロン ワミレスコスメティックス株式会社

本社:神奈川県横浜市

設立:1980年

資本金:8千万円

売上高:49億円(2015年決算期)

3位 ヤクルト エステサロン 株式会社ヤクルト本社

設立:1955年

本社:東京都港区東新橋

資本金:311億1,765万円

(注:「ヤクルト本社」が社名)

出典:「エステサロン フェイシャル 顧客満足度ランキング」(OCSランキング)や各社ホームページ

3.化粧品会社の美容部員に転職

美容外科クリニック時代のあなたの武器は「医療」でした。その武器を「化粧品」に変えてみてはいかがでしょうか。

最後にあなたにおすすめしたい転職先は、化粧品メーカーの美容部員です。

美容部員の仕事の魅力は、活躍するステージの華やかさです。一流デパートの1階フロアを占領する国内外の化粧品メーカーのブースには、富裕層の奥様や少し背伸びをしたい若い女性たちがやってきます。

美容部員たちはそういった顧客に化粧を施し、丁寧な接客をして化粧品を買ってもらいます。

あなたが美容部員に転身する場合、新たに化粧品の勉強をする必要はありますが、あなた既に最も難しい医療の知識を身に付けた経験がありますので、それほど大きなハードルではないでしょう。

そして「化粧品の知識」と「美の医学」の2つの武器を持つあなたなら、顧客に化粧品をすすめるときに医学的見地からの意見を付け加えることができるので、顧客はあなたの虜になるでしょう。あなたの話を聞きたくて化粧品を買いに来るリピーターをたくさん作れるはずです。

美の世界は果てしなく広く深いので、あなたが活躍する場所は無限にあると思っていただいて間違いありません。

化粧品メーカーのシェアトップ10
順位 社名 売上高(億円) シェア
1 資生堂 7,620 37.9%
2 花王(ビューティーケア事業) 5,702 28.4%
3 ポーラ・オルビスホールディングス 1,913 9.5%
4 コーセー 1,900 9.5%
5 マンダム 682 3.4%
6 ファンケル(化粧品関連事業) 475 2.4%
7 ノエビアホールディングス 465 2.3%
8 ドクターシーラボ 339 1.7%
9 ミルボン 238 1.2%
10 ナリス化粧品 233 1.2%
  • 資料:「化粧品業界の動向」(業界動向)

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

美容外科勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「美容外科以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない美容外科業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。

また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。

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