ツアーコンダクター(旅行添乗員、旅行手配)、旅行代理店を辞めたい人へ=つらい仕事を上手に辞める方法

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。




記事の目次

大量雇用、大量離職の世界。アンケートのためだけに笑顔を作り、激安ツアー老害客からの理不尽なわがままに、全力疾走で答えなければならない職種。

旅行好きの人が趣味と実益を兼ねて就職することが多いツアーコンダクター(旅行添乗員、旅行手配)は、やりがいを持って仕事をしながら旅の醍醐味も、職権によりちゃっかりと無料で楽しむことができる仕事といえます。
「無料で旅が楽しめて役得!」と嬉しい仕事に就業前後はワクワクするものです。

ところがどの職業でもそうですが、ツアコンの理想と現実は全く異なるもの
旅程管理主任者資格を獲得して意気揚々と職を得たものの、安い賃金と長時間拘束の激務、激安ツアー登場による「常識外れにわがままなお客」に振り回され、しかも派遣が中心の仕事体系は生活の安定にも不安を残します。
これでは離職率が就業1年以内に30%にもなるというのも、頷けます。

国内旅行の温泉地で旗振りしながら高齢者を引き連れている添乗員の方も、海外ツアー担当の方も、共通する業界特有の悩みとその解決法をご紹介いたします。

「ツアコンは物理的にも心理的にも人を動かす仕事」、そんな綺麗ごとは半年で吹っ飛び、4年目に血尿が。

タカシさん(仮名、31歳)が中堅旅行代理店のツアーコンダクターを退職してから2017年で5年が経過しました。
「とにかく嫌なことがいっぱいで、退社直後は『旅行』と聞くだけでムカムカきていました。でも最近ようやく『自分はよくやった方だ』と思えるようになりました」

ツアコンのメインの仕事はツアー旅行の引率ですが、旅行代理店によっては、ツアコン自身が旅行を企画したり、ホテルや交通機関の手配をすることもあります。タカシさんも、旅に関することはなんでもやらされていました。

タカシさんがツアコンを志望したきっかけは、学生時代に読んだ1冊の経済雑誌でした。
インタビュー記事の中で大手旅行代理店の社長が「物理的にも心理的にも人を動かす仕事、それがツアコンの魅力」とコメントしていました。
「旅行を提供するサービス」のことを「人を動かす仕事」ととらえるスケール感に感銘を受けて、将来の道を決めました。

大学生での就活では大手旅行代理店はすべて落ちましたが、中堅旅行代理店に就職できました。

ところが、その理想は入社半年で吹っ飛んでしまいました。
1泊2日のバス旅行の添乗でも、客からクレームの嵐です。
しかしこのころは「自分はまだまだ実力不足、勉強不足」と考えて、ひたすら努力をすることで乗り越えました。

激務の中で迎えた入社4年目のある日、タカシさんは初めて自分の血尿を見たとき、本気で「コーラを飲みすぎたかな?」と思ったそうです。
タカシさんは自称「コーラ中毒」で、コーヒーも烏龍茶もアルコールも飲まずに、コーラばかり飲んでいたからです。

病院に行くとすぐに入院が決まり、退院して間もなく自宅療養を送りましたが、そのまま退職しました。

それでもタカシさんが、旅行代理店時代の自分のことを「よくやった」と振り返ることができるのは、「あの旅」を企画できたからです。

あなたがもし現役のツアコンなら、次の章でお話しする「あの旅」のエピソードは、あなたに宛てたタカシさんからのメッセージと思ってください。

かつて揶揄の対象だった日本のツアー旅行。いまもタイトなスケジュールは健在でツアコンを追い込む。

辞めたい理由と悩み1:常に顧客に囲まれている緊張感で心が休まらない

後にも触れますが、ツアーコンダクターは前日の打ち合わせと帰社しての清算時間以外、添乗員として全ての時間を、昼も夜も無関係で顧客とほぼ一緒に過ごします。

国内旅行の添乗、海外旅行の添乗に関わらず、宿泊先ホテルや旅館に到着した後も常にお客様から呼び出しがある可能性に備えていなければなりません。
国内日帰り旅行でも、集合時間7時の1時間前である6時からスタンバイし(当然、遅刻は絶対に厳禁!)、解散時間となる夜8時、9時までの間は一切気を抜く暇がありません。

添乗員の休憩時間など、お客にとっては全く無関係な話。
そんなもの、あってないようなものです。

ツアー同行時間が勤務時間外(休憩時間)だろうがなんだろうが、常にトラブルが起こらないか注意をはかっておく必要がありますので、残業の概念はまったくない中で緊張感を24時間維持しなければなりません。

同時に、すべての顧客を平等にあと買わないと、思わぬ角度から意図しないクレームが入ったりするケースがあり(のちのアンケートにびっしり苦情を書かれる)、口にする言葉の一つ一つにも大変気を使いますし、宿泊先やバス運転手の機嫌を取りながらも、全顧客の部屋に1件1件赴いいて挨拶を済ませなければなりません。

わがままは顧客だけではありません。

現地のガイドには仕事が怠慢なだけでなく、態度そのものまでがわがままな人物も少なくなく(特に海外添乗)、まるで中間管理職かと見まがうような理不尽な役割を、ツアコンが強いられることも珍しくありません。

更にダメ押しとして、ツアー先現地ホテル担当者とも「事前打ち合わせの条件と違う!」といったトラブルは当たりまえ。

想定できるあらゆるクレームとトラブルに対する対処を考えに考えた末出発したはずなのに、それでも旅行会社の想像から大きく斜め上を行くトラブルが頻発します。

辞めたい理由と悩み2:激安ツアーブームが客のクレームを加速させ、添乗員は更に疲弊していく

価格競争が年々激しくなる良工業会は、空前の激安ツアーブーム。
当然、激安ツアーには品格の低い顧客ばかりがここぞとばかりに集まります。

  • わがままで常識知らずの客
  • 座席希望が通らないだけで突然切れだす中年男性客
  • ちょっと応対を見すれば、後日の顧客アンケートにびっしりと書き連なられる嘘や添乗員の悪口
  • バスドライバーの態度がぶっきらぼうだ
  • 部屋が狭い
  • 料理がまずい
  • 顧客同士でケンカになった
  • 水道が出ない
  • オートロックで部屋を閉め出された
  • 海外旅行なのに通貨の交換方法がわからない
  • (挙句の果てには)部屋にお化けが出た(!?)
  • 宴会に参加してお酌をしろ(!)…などなど

こうなると、激安サービスにもかかわらず、どのような理不尽なクレーム客にもNOを絶対言わない会社の姿勢に疑問を感じざるを得ませんが、イチ添乗員の身分ではなにもできません。

ガイド不在の観光地では「即席ガイド」の役割を背負わされれ(※本来、観光地のガイドは添乗員の仕事ではない)、下手にサービスで事前勉強した知識を使ってガイド(の真似事)をしようものなら、下手だの、知識に間違いがあるだの、散々批判され…大きな声で話せば「うるさい」と言われ、小声で話せば「聞こえない」といわれる。

旅行中はありとあらゆるすべての怒りがツアーコンダクターに向かうように出来上がっているのです。

そして異常なまでの体力勝負の職場

添乗中はとにかくよく走る必要があるので、ひたすら疲れます。
特に観光シーズンなどになると、バスで目的地到着したらダッシュで次の乗り物(ロープウェーなど)に走り抜けます。
たった一人受付が遅れるだけで、旅行工程が何十分も遅れてしまうからです。
空港で客に迷子になれば、それこそ全力で、広い広い成田空港をかけずりまわります。兎に角、現地では他社の添乗員と競争するように、ひたすら走る、時間との勝負です

更に、年齢を重ねるとどうしても長距離でのバスや飛行機での移動業務といったものが辛く、しんどくなります。移動中、ついつい居眠りをしたくなっても、お客様の厳しい目が光っている以上、うっかり、うたたねもできません。
どんなに体がつらくても代打はいません。
入院しないレベルならば、どんな病気になってもツアコンは仕事をこなします。

辞めたい理由と悩み3:先進的な旅企画はいつも没になる。旅に関心が薄い上司を持つことの不運たるや。

話はタカシさんのエピソードに戻ります。
世界文化遺産に登録されるはるか前、あの「軍艦島」がまだ一部のマニアにしか知られていないころの話です。
タカシさんは大型書店の写真集コーナーで、長崎県の端島(はしま)、いわゆる軍艦島の本を手に取りました。

透明ビニールで梱包されていたため、店頭では表紙しか見ることができないのですが、その圧倒的な存在感にまさに圧倒されました。
すぐに購入して喫茶店に向かい、むさぼるように写真を眺めました。

このとき中堅旅行代理店2年目のタカシさんは、「これは見せなきゃ」と思いました。
「軍艦島ツアーなら企画案が通るかも」とか「旅慣れた人にも受けるに違いない」と思ったのではなく、「軍艦島の姿は、ひとりでも多くの日本人に見せなきゃ」と思ったのです。
「ツアコンとしての使命」とすら感じました。

タカシさんはすぐに企画案を仕上げ、なんと軍艦島の写真集を購入した翌々日に上司に提出しました。

しかし上司は、この企画案を瞬殺しました。それはそうでしょう。
「軍艦島」どころか「廃墟ブーム」も「産業観光」も「文明遺産」も注目されていなかった時代ですから。
朽ち果てたコンクリートとがれきの山があるばかりの島が、観光資源になると考えるのは、タカシさんのような「変人」だけです。
タカシさんに写真集を見せられた上司は「なんだこの島、薄気味悪いな」と言ったそうです。

しかしタカシさんは「軍艦島が否定された」とは考えませんでした。
「俺の企画力と営業成績が足らないから、上司に信用されなかったんだ」ととらえたのです。

つまり「もっと実績を上げれば、企画に説得力が生まれ、軍艦島ツアーが実現する」と信じ、タカシさんは仕事に没頭しました。

タカシさんは結局、その旅行代理店で軍艦島ツアーを実現させることはできませんでした。

「心残りといえば心残りですが、それでもいまはよかったと思っていますよ。最近、他社さんの軍艦島ツアーに参加したんですが、軍艦島以外の産業遺跡も巡ることができる内容だったんです。私の企画案にはなかった訪問地で。悔しいですけど、自分の企画力のなさを痛感しましたね」

タカシさんはそう言って照れ笑いをしました。

現役のツアコンのあなたは、信じられないと思います。
「あの軍艦島ツアー」の企画が闇に葬り去られたのですから。

でも、現役のツアコンのあなたなら、理解できると思います。
素晴らしいツアーをつぶすのは、ほとんど旅行経験のない上司であることを。

あなたに伝えたい「ツアコンの悲哀」は、まだあります。

旅行業界の市場
業界規模 1兆1,911億円
労働者数 5,683人
平均年齢 39.3歳
平均勤続年数 11.6年
平均年収 612万円
出典:「旅行業界基本情報2013~2014年版」(業界動向search.com)

辞めたい理由と悩み4:変わり者の顧客対応に疲れはてる…急性アル中で救急車、新婚夫婦がSMプレイで死ぬ寸前。

彼は背が高くて眉毛が太いことから、ツアー参加者からかなりの高確率で「ヨシズミさん」と呼ばれていたそうです。ここでもそう呼ばせていただきます。

ヨシズミさんは24歳で、大手旅行代理店のツアーコンダクターを2年やって退職しました。

なんの恥じらいもなく「俺、根性ないんですよねぇ」と言うのですが、その言い方は決して軽々しいわけではなく、むしろどこか愛嬌があって、筆者は「ツアー客から好かれただろうな」と想像しました。

筆者はヨシズミさんに「そんないい会社をなぜ辞めちゃったんですか。
ツアコンを目指す人の憧れの企業じゃないですか」と尋ねました。

ヨシズミさんはあっけらかんと「絶対に遅刻ができないプレッシャーがきつかったんですよね」と言いました。そしてこう続けました。

「当然ですが、ツアー1件を添乗員が1人で実施するので、添乗員が遅れてしまっては始まりません。遅刻厳禁。前日にどんなに遅くても、朝は早朝起床なので、その緊張感により眠りは浅かったような気がします」

筆者は思わず「ツアコンだけじゃなく、社会人はすべからく遅刻してはダメですよ」と説教口調になってしまいました。ヨシズミさんはそれくらい憎めないところがある青年なのです。

「それと、ずっと緊張感の中にいるので体が休まらないというのも、退職理由でしたね。私の会社では、バスツアーの添乗員は、必ず1番前の補助席に座らなければなりませんでした。どんなに疲れる行程であっても、お客様が寝ていても、添乗員が寝るわけにはいきません。ウトウトしてしまいそうでも、グッと堪える、後ろからお客様が見ている、という環境の中で毎日毎日ツアーに出るのは、相当な体力と精神力が必要でした」

ここまで聞いて、筆者にもツアコンの激務が理解できました。

ヨシズミさんはさらに続けます。

「時間との戦い、臨機応変に頭を動かす緊張感、そういうプレッシャーに負けてしまいましたね。

当時の勤め先は、企画担当と手配担当と、私たちツアコンの分業制で旅を作っていて、結構ぎりぎりにならないと、旅程が分からないことがほとんどでした。

渋滞に巻き込まれると次の船に間に合わない、というようなカツカツのスケジュールが組まれていることもありました.

パンフレットで「○○を見せます!」とうたった場所やモノを見逃したときの客の豹変ぶりは、明るい性格のヨシズミさんでも引いたといいます。
「カネを返せ」と言われるのはまだましで、「死ぬまでに見たかったなあ、もう来られないのになあ」と言い続けていた客もいたそうです。

ツアー客に原因があるトラブルも珍しくありません。
ワイン工場の無料の試飲コーナーで飲み過ぎて急性アルコール中毒で救急車搬送したり、新婚カップルがホテルでSMプレイに興じて死にかけたり、そんな事件は起きない方が珍しいくらいでした。

「観光地で集合時間になっても帰って来ないお客様も必ずといっていいほどおられます。そうした常に変動する環境の中にあっても、外見上はスムーズにツアーを進めてゆかなければなりません。ひとつの旅が終わるとヘトヘトでした。ツアーってですね、本当に本当に、毎回何が起こるか分からないんです」

ヨシズミさんはこんなエピソードも話してくれました。

ツアコンはとにかく走ります。
国内旅行では添乗員の脚力が試されます。
バスが目的地に到着したら、ロープウェイの駅まで走ります。
受付で客が1人遅れるだけで、何十分間も行程が遅れるからです。

遅れた時間は取り戻さないとならないのですが、名所観光を削るわけにはいかず、それでやむなくお土産の購入時間をスキップすることになります。
「やむなく」といっても、客がクレームを言うわけではありません。

土産物屋に寄らないことでクレームを言うのは、上司です。
上司は土産物屋からリベートをもらっているので、客数が少ないと土産物屋から文句を言われるのです。

現役ツアコンのあなたも、苦い思い出のひとつやふたつ、いや10個や20個お持ちではないでしょうか。あなたが「この旅で客を感動させたい」と思っても、ツアー参加者にはまさに「旅は恥の捨て場所」なのです。

上司も売り上げやリベートが最大の関心事で、客がクレームさえ言わなければ「合格点」を出します。
「99人に見向きされなくても、1人の客に深く刺さる旅にしたい」というあなたの理想は、上司の眼中にありません。

次に、ヨシズミさんの退職理由を紹介します。これを聞いてもあなたは、この業界にとどまりますか?

大手と呼ばれる旅行代理店の特色
社名 特徴(金額は「旅行取扱額」)
株式会社ジェイティービー 旅行会社の王様。年間1兆円に届く勢い。
KNT-CTホールディングス

(近畿日本ツーリスト株式会社、クラブツーリズム株式会社など)

近畿日本鉄道グループで、歴史が浅い割に業界2位に君臨するのは、社員の「野武士」魂のお蔭。年間5300億円程度。
株式会社日本旅行 創業100年をゆうに超える老舗企業。西日本に強い。年間4100億円程度。
株式会社エイチ・アイ・エス ベンチャーで名を馳せたHISだが、いまや業界4位の実力を兼ね備える。海外旅行販売はJTBに次ぐ2位。年間4100億円程度。
株式会社阪急交通社 コスパの高い海外ツアーが人気。3700億円程度。
※この表は、「旅行取扱実績ランキング」(旅行業界・旅行会社の就職求人採用【内定の法則】」などを参考に、独自に編集したもの。

辞めたい理由と悩み5:派遣ツアコンはもっとつらい。65人が1年で消える競争社会でもある。

悲惨な話が尽きないツアコン職場ですが、それでも正社員はまだましです。
現在、多くのツアーコンダクターは派遣の力に頼らざるを得ないのが業界事情ですが、社員と同じ量の「仕事の厳しさ」にさらされながら、さらに「生き残り競争の厳しさ」が加わります。

派遣社員は、仕事があるときとないときの差がとても激しいのです。
オフシーズンはツアーの数自体が少なくなるため、若手や人気が低い派遣ツアコンは干されることになります。

また、せっかく仕事が入ったと思っても、最少催行人数に達せずツアーが中止になることもあります。

派遣ツアコンは人気商売です。
ほとんどのツアーでは、最終日に参加者にアンケートを書いてもらいます。
旅行代理店はその結果で派遣ツアコンをランク付けしているのです。

派遣ツアコンの給与は、ツアーに出て初めて支払われる仕組みなので、収入が安定しません。こうした働き方は、向いている人と向いていない人がはっきりわかれます。

ある旅行代理店は、1年間に70人もの派遣ツアコンを登録させていますしかし1年後に生き残っているのは、わずか5人という年もあるそうです。

まさに、ツアーコンダクター業界とは来る者は拒まず、去る者は追わずといった業界の代表格。

ツアコンのあなたは、この厳しい世界で戦い続けますか。
それとも別の道を選びますか。これだけ過酷な環境なので、他業界に向かうことは「逃げ」ではありません。
一度冷静に考えてみてはいかがでしょうか。

辞めたい理由と悩み6:拘束時間が長いのに給与が少ない

ツアーコンダクターにとって、この激烈なハードワークに見返りとなる給与はほとんど期待できないのが現実です。

完全歩合制でツアーに参加できないと収入にならない「日給月給の派遣型」の労働体系が主流をしめているにもかかわらず、しっかり旅行業界には閑散期が存在しますので、仕事がないシーズンは全く収入につながりません。

これは添乗員の実力にも関係してはきますが、ツアーに入れる時とそうでない時のばらつきがあります。
更に、応募人数がどうしても集まらず中止になるツアーもあるため、定期的にしっかりとツアー添乗ができて収入につなげられる添乗員は、思ったより少ないのが現実です。

海外添乗の場合でも、10時間以上フライトをした末に3~5時間待ちで乗継便に添乗した末で、ようやく現地についたとしても収入は1日分の換算となります。

旅行日程10日前後のツアーが終了すると数日間のオフとなりますが、貴重なオフの日々でも終了したツアーの報告と次回ツアーの打ち合わせに出向かわなければなりません(これら打ち合わせの交通費が、既にツアーの日給に含まれているケースも多いです)。

結局、月に2~3日程度しか休みがなく、日々の拘束時間は12時間を超えていても、手取り月給が10万円を切ることすらめずらしくありません。
当然、派遣契約の場合は福利厚生が全くない状態でです。

では、ツアーコンダクターとして勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、ツアーコンダクターの人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.心を壊したらどうする? 働く人の「越えられない壁」は「越えなくていい壁」だ。

時間のプレッシャー、異郷の地が職場というアウェーな環境、多数の客を1人で対峙しなければならない孤独感、すぐに陳腐化する観光情報を追い続ける徒労感――

これらはいずれもツアコンたちの心をむしばみます。
仮にあなたの勤め先の旅行代理店がブラック企業でなくても、ツアコンはその業務の性質上、あなたの心の病気を誘発する要因がたくさんあるのです。

過労による心の病を軽く見ないでください。
最近は、若い人が心の病を発症するケースが目立っています。

厚生労働省の研究班が2010年から2015年にかけて労災認定されたうつ病などの精神疾患患者2000人を調べたところ、30代が3割を占めていることが分かりました。

「20代+30代」では、男性は5割、女性は6割となり、「過労うつは若者の現象」とすらいえるのです。

労災認定された精神疾患の年代別人数と割合(2010年1月~2015年3月)
男性(1373人) 女性(627人)
1位 30代(436人、31.8%) 30代(195人、31.2%)
2位 40代(392人、28.6%) 20代(186人、29.8%)
3位 20代(262人、19.1%) 40代(140人、22.4%)
精神障害・自殺の労災認定事案の分析に関する研究(厚生労働省)

あなたの職場の先輩ツアコンは、猛者揃いのはずです。
そういう人たちは、体調を崩して倒れても、病院で点滴を打ってもらってすぐに職場に復帰します。だから、後輩のあなたは「自分もそうならなきゃ」と感じているはずです。

しかし、「体と心を犠牲にしてまでやり遂げなければならない仕事はない」と筆者は強く考えます。あなたはどうお考えでしょうか?

真面目なビジネスパーソンは、「その仕事をギブアップする」ことに負い目を感じます。
学生時代から憧れていた職種に就いた人なら、「その職場から去る」ことを寂しく感じることでしょう。

しかし、その仕事から逃げても、人生から逃げなければいいのです
次の仕事に再び一生懸命取り組めば、それは人生から逃げたことにはなりません。

あなたがツアコンを辞めることは、恥ずべきことではありません。

2.企画に参加してみよう。自分が考えた旅に顧客を連れて行く楽しみは大きくなるはず。

ツアコンで実績を上げながら、それでもいまの仕事に満足がいかないあなたは、旅の企画に携わってはいかがでしょうか。
というのも、ツアコンに限らず、長年同じ仕事を続けていると「なんとなくつまらないなあ」と感じるものです。

エリートサラリーパーソンは、まったく別の仕事に挑戦することで、このマンネリズムを克服しています。あなたも彼らを真似てみましょう。

ツアコン業務に追われているあなたが、旅の企画を立てるために別途時間を作ることは難しいでしょう。
そこで、ツアコンの仕事をしながら旅の企画を練る練習をしてみてください。

マンネリ化にうんざりしているツアコンは、企画担当者や手配担当者たちが敷いたレールの上を走っているだけことが多いようです。
しかし、実際に現地に赴いているのは、あなたなのです。
そこで、旅先で「企画担当者や手配担当者が見落としていた情報」を探してみてください。「注目される情報」である必要はなく、「一見なんでもないように思える情報」でいいのです。それを「旅ノート」に記していってください。

その「旅ノート」が、未来の観光資源になります。
同じ場所を巡る別のツアーと差別化できるのは、そうした生の情報なのです。
それがあれば、社内で企画が通りやすくなります。

自分で作った企画に顧客を連れて行き、「意外な感動があった」という感想をもらったら、これはもうツアコン冥利に尽きるでしょう。

3.ツアーコンダクターを辞めて他業界に転職する

先ほど「精神疾患になる前に、転職を考えましょう」と書きましたが、精神疾患になりかけの状態で転職活動をすることは困難を極めるでしょう。
なので、心も体も丈夫な今が、動き始める好機なのです。

ツアコンのタフな世界を生き抜いているあなたが持つスキルは、様々な業界が必要としています。もしあなたが、ツアコンの仕事を「観光地にお客さんをご案内しているだけ」と卑下しているとしたら、それは大きな誤りです。

旅に不慣れな人たちに、安全で正確で快適で感動的な旅をさせるために、あなたは並々ならぬ努力を重ねてきたはずです。
ツアコンで成功しているあなたは、いわゆる「モーレツ社員」なのです。

そこまで馬力がある働き手を、企業が放っておかないでしょう。
今こそ転職を決断する時なのではないでしょうか。

他業種への転職…不安はよくわかります。

しかし、まくツアーコンダクター勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、ツアコン以外への道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

ツアーコンダクターならではの辞めるときの苦労、上手な辞め方、そして絶妙な離職タイミングとは?

辞め方とタイミング1:その引き止めは「必要とされているから」なのか「いま辞められると困るから」なのか。

  1. 入社から3年以上経過
  2. 客からのクレームが同僚に比べて格段に少ない
  3. 難度が高いツアーに添乗できる

この3つの条件に当てはまるあなたが会社に退職願を提出すると、ほぼ100%の確率で引き止められるでしょう。
「君がいなくなるとツアーが回らない」そのように言われると思います。

退職の決意がどんなに固い人でも、上司や社長から引き止められると、とても気持ちが良いものです。
その上「給料を上げる」と言われると、心はさらに揺れます。
そうなると、退職の時期を後にずらしたり、または退職を撤回してもいいかなと考えるようになります。

しかし、そういうときこそ注意してください。
引き止めようとしている人を冷静に観察しなければなりません。
というのも、会社が退職意向を示した従業員を引き止める場合、本当に必要な人材で、将来管理職への登用を考えているケースと、とりあえずいま辞められたらツアーが回らないから後任を採用できるまで時間を稼ぎたいだけのケースが考えられます。

そして旅行代理店の場合、ほとんどは後者、つまり「時間稼ぎの引き止め」です。
この場合、「給料を上げる」という約束が実現されないこともあります。
あなたの上司が「給料を上げる」と言ったにもかかわらず一向に上がらないので、総務部に問い合わせると「そんな話は聞いていない」と言われます。
あなたが上司に確認すると「総務部長に伝えるのを忘れてた、ごめんごめん」といい加減な答えをします。

このようなやりとりが2、3カ月も続くと、会社はこの間に新規のツアコンを採用できます。
すると会社は態度を一変させ、「いつ辞めるの?」とか「まさかボーナスまで居座る気じゃないよね」と言って、あなたを追い出しにかかるでしょう。

これでは、転職活動はあわただしいものになってしまい、甘い言葉であなた近づくブラック企業につかまってしまうかもしれません。

お世話になった会社に義理立てすることは必要ですが、自分のキャリアを犠牲にしてまで辞める会社に尽くす必要はありません。

労働法でも、働く人は辞める2週間前に退職の意向を伝えればよいことになっています。

辞め方とタイミング2:別の会社でツアコンを続ける人は遺恨を残さないようにしよう。

「いま勤めている旅行代理店は辞めたいけど、ツアコンは別の会社で続けたい」と考えているあなたは、辞め方に気を付けてください。この業界は意外に狭いですよ。

現在勤めている会社と喧嘩別れしてしまうと、変な噂を流される可能性があります。
噂が広がるには時間がかかるので、転職は成功するかもしれません。

しかし後々その転職先に「地元のガイドさんとすぐに喧嘩する」「土産物屋へのキックバックの要求がえげつない」といった嘘の情報が届いてしまうと、あなたには条件が悪いツアーしか回ってこなくなるでしょう。

そうなるとあなたの不満が膨らみ、再び転職しなければならない事態に陥ります。

辞めるときは「エア愛社精神」を見せてください。
「エアギター」の「エア」です。
もしあなたが、給料が不満で辞める場合は、社内では給料の話は絶対にしないでください。
退職理由を伝えるときも「働きやすい職場で、給料も十分いただいているんですが、どうしても勤務を続けられない事情が発生してしまいまして」と低姿勢を貫いてください。

円満退社は、その後の職業人生に必ずプラスになります。
逆に恨みを残す辞め方をすると、どこかで必ずしっぺ返しを食らってしまいます。

ツアーコンダクターや旅行代理店の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.アウトドアインストラクターに転職

ツアコンの経験があるあなたにおすすめしたい職の1つは、アウトドアインストラクターです。この業界の顧客は、あなたのこれまでの顧客と重なります。
あなたがこれまで培ってきた「客の心のくすぐり方」を、そのまま使うことができます。

アウトドアインストラクターの道に進むには、まずは1、海、2、山、3、アクティビティ、4、リゾートの中から、どれが一番自分に向いているかを見極めてください。

ツアコンの業務を無難にこなすには、浅く広い知識が必要でしたが、アウトドアインストラクターは狭くてとことん深い知識が必要になります。

もし時間的金銭的に余裕があれば、専門学校に通うことがベストです。
例えば新潟県にある国際自然環境アウトドア専門学校は、山岳ガイドの育成が得意です。
中高年の登山ブームが続いていますが、一方で山での遭難が大きな問題になっています。
ですので登山インストラクターは、体力と知識が必要になります。

また、エコツーリズムと呼ばれる自然環境の保全と観光ビジネスを融合した分野のガイドも将来性があります。

専門学校に通う余裕がない方は、アウトドア施設に住み込みで働く方法があります。
アウトドアビジネスは活況を呈していて、人手不足が続いているため初心者歓迎の会社がたくさんあります

こうしたところで経験を積めば、アウトドアインストラクターとして独立することも夢ではありません。

2020年東京オリンピックに向けて、海外からの訪日客が増え続けています。
基本的には、動き回るのが好き、人と接するのが好き、自然が好き、というの人が多いですから、さらに、トレッキングやキャニオニングでお客様と一緒に遊びを盛り上げる、というようなインストラクターもさらにやりがいがあると思います。

アウトドアインストラクターの主な求人
地域 業務内容 賃金等
群馬県 ラフティングツアーのガイド。ランチ作り、BBQ設営 正社員、月給16万~50万円、未経験者は30歳まで、外国人OK
富士山麓 森の中に設営した「木の上の歩行コース」を使ったフォレストアドベンチャーのガイド。 日給7千円、茶髪可
沖縄・西表島 カヌ―、シュノーケル、トレッキング、洞窟探検のガイド。 正社員、月給15万~30万円、ボーナス年25万~30万円、ユーモアのある方歓迎。
資料:「住み込み求人ナビ」

2.海外駐在の多い会社に転職

日本のグローバル企業は「ある種の人材」を強く求めています。
それは、海外出張や海外駐在を厭わない社員です。

グローバル企業には、有名大学を出た仕事のできる人が多くいますが、そういう人は国内業務でも重宝されるので、海外派遣に挑戦しようとしないのです。
そういう人は「海外業務はリスクが大きい」と考えてしまうのです。

しかし、海外ツアーへの添乗が多かったあなたなら、そのリスクをリスクと感じないでしょう。

多くの日本人ビジネスパーソンが苦手にするのは、外国人との交渉です。
エリートサラリーパーソンは語学力が高くても、交渉力がいまいちだったりします。
しかし、あなたはこれまで海外で、何度も修羅場を潜り抜けてきました。
つまり「外国でのトラブルは当たり前」という前提で業務スケジュールを組み立てることができます。海外ビジネスはリスク管理が重要なので、あなたに向いています。

アジア各国のツアー経験が長いツアコンはどの業種でも引っ張りだこで、アジア進出を活発に行っている物流、飲食、商社、アパレル、スーパーへの転身が可能です。

しかも、高い給料が期待できる業界大手ほど中国やASEAN諸国に出ているので、あなたなら「転職」=「年収増」が図れるでしょう。

新規海外進出国トップ5
  2011年 2012年 2013年
1位 中国 中国 中国
2位 インド インドネシア インドネシア
3位 タイ タイ インド
4位 アメリカ アメリカ ベトナム
5位 インドネシア ベトナム メキシコ
資料:「最新海外進出先ランキング」(東洋経済)

3.移動に疲れた人は農業法人に転職

毎日寝る場所が異なるツアコンの仕事に疲れたあなたには、「Iターン」による「農業法人」への転職をおすすめします。
旅を提供して人々を癒してきたあなたは、農業の仕事に就いて自分を癒してあげてはいかがでしょうか。

「Iターン」と「農業法人」の組み合わせがポイントです。

地方出身者が都会に出た後に、再び地元に戻ることを「Uターン」といいます。
「Iターン」は都会出身者が、故郷ではない地方に移り住むことを指します。

なぜいま「Iターン」をすすめるかというと、人口減に苦しんでいる地方自治体が破格の条件で移住者を迎え入れているからです。
移住費用に助成金を出したり、一戸建て住宅を格安で貸してくれたりします。

そして、単なる就農ではなく、農業法人への就職をおすすめするのも理由があります。
サラリーパーソンの経験が長いあなたがいきなり自力で農家を始めると、さまざまな壁にぶち当たるでしょう。
しかし農業法人への就職は、一般企業への就職とまったく同じ感覚で行えます
農業に従事していても、「給料取り」であることは変わりありません。
銀行口座に給料が振り込まれ、給与明細が渡され、休日も決まっていますし、社会保険を完備していることも珍しくありません。

そこで筆者からあなたに、「ツアコン経験者が『Iターンでの農業法人就職』で失敗しない6つのコツ」を伝授します。

  やること 確認すること
ステップ1 どの農業をしたいかを決める 稲作? 野菜? 肉牛? 乳牛? 養鶏?
ステップ2 土地を選ぶ 寒い所は平気? 山岳地域が希望? 海の近くがいい?
ステップ3 都道府県庁や市町村のホームページで移住支援の内容を確認する 格安の住居を提供? 移住者受け入れに積極的なコミュニティはある? 現金補助は?
ステップ4 求人を出している農業法人に電話連絡する 電話に出た人から歓迎ムードを感じる? 教育体制は整っている?
ステップ5 「Iターンで農業法人就職」した人に直接体験談を聞く メリットとデメリットは?
ステップ6 デメリットが許容範囲だったら決断する!

とにかく慎重に情報を集めてください。
しかし、ネット情報だけで決断することは危険です。
中には「ブームだからなんとなくIターン移住者を募集している」という自治体や農業法人があるからです。
そういうところに飛び込んでしまうと、十分な支援が得られないために無用な苦労を強いられるか、最悪、撤退しなければならない事態に陥ります。

必ず移住者募集の中心になっている人物や、「Iターンで農業法人就職」した経験者に、話を聞いてください。
生の情報が得られるほか、中心人物や経験者たちとの直接会話は、そのまま移住後の人脈づくりになるからです。

農業法人就職や地方移住を紹介したホームページ
全国新規就農相談センター https://www.nca.or.jp/Be-farmer/recruit/ 都道府県別、稲作・野菜・酪農・観光農業など別の求人を探すことができる
日本一就農しやすい長野県 http://www.noukatsu-nagano.net/ 農業法人への就業支援を紹介
U・Iターン就職情報(北海道庁) http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/rkr/ui-turn/index.htm 合同企業説明会などを紹介
あなたのあした、アリタカラ(佐賀県有田町) https://arita-kara.jp/ 移住説明会や空き家見学ツアーを紹介

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

ツアーコンダクター勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「ツアーコンダクター以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない旅行業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。

また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。

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