工場勤務を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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北野筆太

北野筆太

ブラック企業の取材などを主なテーマにしているライター。実際の転職経験者にインタビューをすることで、労働者が煮え湯を飲まされるその業界ならではの特殊事情やゆがみを探り当て、「就業する前に(転職する前に)知ってほしい体験談記事」を日々執筆中。




記事の目次

日本経済の屋台骨を支える自動車部品メーカーだが、その業績は工員の過酷な労働で成り立つ側面を持つ。

安川亮さん(仮名、23歳)は、定時制高校時代から5年間勤めていた自動車部品メーカーを退職しました。工場には様々な問題点がありましたが、ずっと我慢してきました。でも「ある事件」が起きて、決断しました。

直属の上司であるリーダーから平手打ちされたのです。

いや正確に表現するなら、安川さんは平手打ち「だけ」なら我慢できていました。安川さんが我慢できなかったのは、同僚が工場の管理職に「リーダーが安川さんに暴力を振るった。しかも安川さんがミスをしたわけじゃないのに」と報告したにも関わらず、さらに安川さんと暴力リーダーがその管理職から個別に「事情聴取」を受けたにも関わらず、リーダーに対する処分が下されなかったことです。

安川さんは「工場では、仕事の実績や信頼で上の役職に上がれるのではなく、管理職の扱いやすい人間が上にのぼっていきました。いわゆるイエスマンだけが偉くなるという風潮です。上司の言ったことは絶対であり、それに逆らえば、例え正論を言ったとしても迫害を受けます。結果、社員の向上心がほとんどありませんでした」と当時を振り返ります。

国内の産業を見渡すと、かつて日本企業が強かった家電や半導体は苦戦しています。モノ作り分野では唯一、自動車メーカーのみが堅調です。

そんな世界に冠たる「日本車」を支えているのは、自動車メーカーと部品メーカーです。

部品メーカーの工場で油まみれになって重労働をこなしているあなたこそ、日本経済を支えているのです。

しかしあなたの職場環境や給料は、その「すごい仕事」に見合っているでしょうか。この業界を熟知しているあなたなら、安川さんが5年のキャリアを捨てて他業種に転身したことについて、「賢明かもしれない」と感じたのではないでしょうか。

ならばあなたも「転身」を考えてみてはいかがでしょう。この記事はそんなあなたに贈る「カイゼン提案」です。

工場勤務は「単調の繰り返し」こそが尊い。工員たちの汗と涙が「何も起きない日々」を作り出している。

辞めたい理由と悩み1:反りの合わない上司と同じ工場内に8時間以上も拘束され無ければならない心苦しさ。

安川さんが働いていた生産ラインでは、軽自動車のコントロールレバーを製造していました。約10個のパーツを完全な分業作業で組み立てて、それを自動車メーカーに卸します。一般の人が安川さんの仕事を見たら、単純作業の繰り返しのように見えると思いますが、しかしそこには熟練工ならではの技が隠れています。組み付けるときの部品の方向や指先の力加減を間違えると「ツメ」が折れてしまうのです。すべての工程にそういった細かいコツを書いた作業マニュアルがあって、その通りに組まないとならないのです。

求められるのは正確さだけではなく、速さも重要です。1人が遅れると、その次の工程の工員の手が空き、さらにその次の工員も作業ができません。生産数は1日ごと、1週間ごと、1カ月ごと、1年ごとに記録され、工場の壁にデカデカと掲示されています。その横には、作業ミスで「お釈迦」になった部品数も掲示してあります。生産数と不具合品数という「2つの数字」に追い立てられる毎日です。

つまり、自動車部品メーカーの本質を知らない人は、簡単に「単純作業の繰り返し」と言いますが、無駄を極力省いて効率化を最大にした作業こそが「単純作業」であり、工員たちはまったく同じ作業を「繰り返す」ことができるよう日々鍛錬しているのです。

当時まだ夜間高校の生徒だった安川さんは、こうした考え方を上司から徹底的に叩き込まれました。厳しかったのですが、その教え方には愛情が感じられ、安川さんはその上司を慕っていました。

しかし上司は工場内の事故に巻き込まれて障害を負ったため、工場で働くことができなくなり、総務部に異動になりました。慣れない事務仕事に苦労しましたが、なんとか成果を出し、アジア工場の工程管理者に抜擢されました。

安川さんは「この人を目標にしよう」と仕事に専念しましたが、それからが本当の試練の始まりでした。

その上司の代わりに入ってきたのが、後に安川さんを平手打ちにしたリーダーでした。ねちっこい性格の持ち主で、マニュアルで許されている作業手順を行っていても「それは正しくない、非効率だ」と言って違うやり方を強制するのでした。

また、軽自動車ブームにのって、安川さんのラインの生産目標が2倍近くに跳ね上がりました。残業は当たり前になり、休憩時間も削られました。

あなたの工場でも、似た日常が流れているのではないでしょうか。あなたがいくら誇りを持ってモノ作りに携わっていても、正当な評価を受けることはまれです。

優秀な上司に恵まれるとやりがいを引き出してくれますが、そういう人はすぐに事務所に引き抜かれてしまいます。

「踏ん張りようがない状況」あなたの不満はその一言に尽きるのではないでしょうか。

国内の自動車部品メーカーの出荷額
2013年度 18兆8991億円
2014年度 19兆8006億円

国内の自動車部品メーカーの2014年度の出荷額19兆8006億円の内訳:

その1「品名ごと」

品名 出荷額 構成比
エンジン部品 2兆8695億円 14.5%
電装品・電子部品 2兆5211億円 12.7%
照明・計器など電気・電子部品 2兆8522億円 14.4%
駆動・伝導及び操縦装置部品 4兆832億円 20.6%
懸架・制動装置部品 1兆807億円 5.5 %
車体部品 3兆9150億円 19.8%
カーラジオ及びカーステレオ 3398億円 1.7%
冷房装置及び暖房装置 6864億円 3.5%
その他用品 1471億円 0.7%
情報関連部品 1兆3057億円 6.6%
19兆8006億円 100%
資料:「自動車部品出荷動向調査結果2014年度」(一般社団法人日本自動車部品工業会)

辞めたい理由と悩み2:この国の製造業に未来はあるのか?かといって海外の工場現場で起きている現状は…

安川さんは「自分の将来」にも悩んでいました。仮に自動車部品業界は安泰であったとしても、工場で働く先輩たちを見ていると、とても安心などできませんでした。

例えばリーダークラスですら「管理職」とみなされ、残業代が出なくなります。安川さんたち一般工員でもサービス残業をさせられますが、残業代が完全にゼロになることはありません。リーダーになると一時的に年収が下がる現象が起きます。

安川さんを平手打ちしたリーダーも、そうした「タダ働き」のストレスが溜まって暴挙に出てしまったのかもしれません。安川さんは「自分もリーダーになったらこの人のように心がすさんでしまうんだろうか」と考えるようになりました。

安川さんのもうひとつの不安は、海外勤務でした。安川さんがかつて尊敬した元上司がアジア工場の工程管理者になったのですが、彼が帰国した際に現地の様子を聞く機会があり、安川さんは愕然としました。

元上司の話です。「住んでいる住宅も、街中も、とにかく不衛生。だから外出は極力避けている。プライベートの時間の方がストレスが大きいから、仕事が息抜きみたいなもんだ。

あとな、こう言っては申し訳ないが、アジアの労働者は大変だぞ。工場の便所にトイレットペーパーがないんだから。会社がトイレットペーパーを設置すると、すぐに持ってかれちゃうから、用を足したいときはトイレに行く前に管理室に寄って便所紙をもらわないとならないんだぞ。

とにかく1日でも早く帰ってきたい。給料が多少減らされても全然かまわない。お前は、海外勤務を打診されたら、絶対に断れよ」

安川さんは大きな目標を失った気持ちになりました。

あなたの会社も、すでにアジア進出を果たしているのではないでしょうか。というのも、下の表の通り、自動車部品メーカーは海外に活路を求めています。

ただ同じ「海外進出」でも、アジアと欧米では、派遣された従業員の境遇はまるで異なります。企業にとってアジア進出の目的はコストダウンなので、労働環境は自ずと厳しいものになります。

苦労の割に状況が良くならないことを「割を食う」といいますが、海外派遣者の多くは割を食っています。

国内の自動車部品メーカーの2014年度の出荷額19兆8006億円の内訳:

その2「4輪2輪別、国内外別」

4輪用 2輪用
国内 海外 国内 海外
15兆5507億円 3兆9371億円 1625億円 1503億円
小計 19兆4878億円 3128億円
総額 19兆8006億円
資料:「自動車部品出荷動向調査結果2014年度」(一般社団法人日本自動車部品工業会)

辞めたい理由と悩み3:ひとつの不良品によって職場内に疑心暗鬼が生まれ、責任のなすり合いが始まる。

安川さんはこうして5年もの間、ストレスを溜め続けてきました。リーダーに嫌味を言われた日などは、ハローワークのホームページを開いて求人票を閲覧していましたが、それでも「よその工場も似たようなものだろう」というあきらめがあったので、履歴書を用意するまでには至りませんでした。

ところがある日、リーダーから思いがけない攻撃を受けたのです。

発端は、安川さんたちが製造しているコントロールレバーの納入先である軽自動車メーカーから、「不良品が大量に見つかった」とクレームが来たことです。工場を上げて調査した結果、安川さんたちのラインが「怪しい」ということになりました。

「怪しい」とは、「この現場での工程が不良品を生んだ可能性がある」というレベルに過ぎません。この段階ではまだ、工員の作業が原因なのか、部品が原因なのか分かりません。また、まだ別の部署が原因かもしれないのです。

ところが「このラインかもしれない」と指摘されただけで、リーダーがうろたえてしまったのです。リーダーは工場長から指示が出ていないのに、独自に「犯人探し」を始めました。

その流れの中で、リーダーは「犯人は安川だ」と確信してしまい安川さんを執拗に責めました。そしてとうとうリーダーは、否定し続ける安川さんを平手打ちしたのでした。

あなたの工場も、常に緊張感に包まれていることでしょう。本社の役員たちが工場を「視察」に訪れると、工員たちはざわつきます。彼らが来るときは決まって「悪い知らせ」があるからです。

職場で暴力を振るうことは許されませんが、安川さんを平打ちしたリーダーが「不具合を発生させた現場の責任者になってしまうかも」というプレッシャーにさらされていたことは想像に難くありません。

あなたがいま「そろそろ辞めたいな」と感じているのは、「いまここにある危機」ではなく、「明日必ずやってくる憂うつ」なのではないでしょうか。

その不安を解消する方法がありますので、いましばらく読み続けてください。

では、工場に勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、工場勤務の方の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.管理職となり海外市場進出の司令塔を目指す

安川さんの部品工場では、アジア工場への転勤はネガティブにとらえられていましたが、筆者はアジアであろうとアフリカであろうと、工場で働く人にとって海外派遣はスキルアップの大チャンスであると考えます。

アジアはすでに、日本の自動車産業の重要拠点に発展していて、自動車メーカーも部品メーカーも、日本の工場にすら置いていないような最新機器を惜しみもなく設置しています。

仮にあなたの勤務先のアジア工場がハイテク工場でないとしても、そこに派遣されればアジアの自動車産業を体験することでき、すなわち世界を見渡すことができるでしょう。

というのも、日本メーカーの次なる新市場はアフリカだからです。日本から遠く離れたアフリカに進出するには、アジアという中継点が必要になります。つまりアジア工場は日本の本社とアフリカの新工場の中間点にあるので、間違いなく司令塔の役割を担うでしょう。

いずれにしましても、日本の自動車部品メーカーは、世界と勝負するしかありません。「国内だけで食べていこう」と考えている企業は淘汰されます。

なので、日本の工場で腕を磨いたあなたにこそ、世界に飛び立っていただきたいのです。

2.エネルギー管理士の資格取得を目指す

あなたは何か仕事に役立つ資格をお持ちですか?
もし、これといって会社から評価される資格をお持ちでないならば、工場勤務の方にお勧めの有力資格として「エネルギー管理士」の資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
経済産業省管轄下の、一般財団法人省エネルギーセンターによる国家資格です。

国家資格であるエネルギー管理士資格は、まだまだ一般認知が少ない資格の1つではあるものの、工場を含む製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業といった業種の中で、一定以上のエネルギーを消費する工場(第一種エネルギー指定管理工場)おいては、必ずエネルギー管理士の資格保有者を置かねばならないこととなっています。

つまり、それなりに規模の大きい製造業の工場では、エネルギー管理士の雇用が絶対であり、当然、資格保有者には資格手当などの給与面での直接メリットや雇用の継続可能性といった将来性、更に、仮に転職をするにしても非常に有利に働く資格保有者としてのメリットを享受することができます。

エネルギー管理士の資格受験要項には、受験資格の制限もありませんので、誰でも受験をすることができます。燃料合理化に伴う資格取得などに関しては、実務経験が必要とされるものの、関連工場に勤務していた経験があるならば、これも資格取得に大きく有利です。

とはいえ、企業から重要視される希少な資格であることは間違いないので、資格試験そのものは簡単ではありません。
中途半端な気持ちではなく、本気を出して資格試験の対策を試みるべきでしょう。
苦労をした分、工場に勤めている限りは、必ず大きなリターンが得られるビッグライセンスの1つといえます。

省エネルギーセンター
エネルギー管理士試験の合格率
年度 電気分野 熱分野 熱・電気分野合算
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
1997(平成9) 1,382 320 23.2% 1,879 774 41.2% 3,261 1,094 33.5%
1998(平成10) 1,510 389 25.8% 1,930 653 33.8% 3,440 1,042 30.3%
1999(平成11) 2,864 537 18.8% 2,916 980 33.6% 5,780 1,517 26.2%
2000(平成12) 3,530 875 24.8% 3,314 1,043 31.5% 6,844 1,918 28.0%
2001(平成13) 3,813 906 23.8% 3,592 1,042 29.0% 7,342 1,948 26.5%
2002(平成14) 4,354 1,074 24.7% 4,053 1,508 37.2% 8,407 2,582 30.7%
2003(平成15) 5,131 1,266 24.7% 4,692 1,897 40.4% 9,823 3,163 32.2%
2004(平成16) 5,038 1,617 32.1% 4,248 1,550 36.5% 9,286 3,167 34.1%
2005(平成17) 4,641 1,074 23.1% 4,309 1,216 28.2% 8,950 2,290 25.6%
2006(平成18) 4,260 898 21.1% 4,079 1,088 26.7% 8,339 1,986 23.8%
2007(平成19) 4,368 981 22.5% 4,768 1,318 27.6% 9,136 2,299 25.2%
2008(平成20) 4,701 705 15.0% 5,279 1,349 25.6% 9,980 2,054 20.6%
2009(平成21) 5,347 1,588 29.7% 6,372 1,875 29.4% 11,719 3,463 29.6%
2010(平成22) 5,702 1,450 25.4% 6,814 2,940 43.1% 12,516 4,390 35.1%
2011(平成23) 5,404 1,176 21.8% 6,493 1,182 18.2% 11,897 2,358 19.8%
2012(平成24) 5,003 836 16.7% 7,046 1,973 28.0% 12,049 2,809 23.3%

2013年(平成25)以降は、熱分野,電気分野の合算のみの発表となる。

年度 熱・電気分野合算
受験者数 合格者数 合格率
2013(平成25) 11,102 3,094 27.9%
2014(平成26) 10,613 2,280 21.5%
2015(平成27) 10,537 2,454 23.3%
2016(平成28) 10,468 2,108 20.1%
合格率出典:Wikipedia

3.自動車部品工場を辞めて他業界に転職する

「海外なんて行きたくない」「資格取得にも興味がない」

筆者はそれでもいいと思っています。

自動車業界には様々な業種がありますので、部品メーカーに嫌気をさしたなら、そこにとどまる必要はありません。別の道なら、もっと稼ぐことができるかもしれません。

また、あなたの活躍場所は、自動車業界だけではありませんし、工場だけではありません。あなたの体力、あなたの器用さ、あなたの丁寧な仕事っぷりを熱望している業界はたくさんあります。

それでは「あなたの次の道」を1本ずつ紹介していきましょう。

他業種への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく工場勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは工場勤務以外への道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

自動車部品工場の工員の辞め方とタイミング

辞め方とタイミング1:「辞める」と宣言した途端に鬼軍曹が猫になる。退職まで4カ月かかることもあることを知る。

あなたが転職を成功させるためには、越えなければならない壁があります。それは「辞める壁」です。

おりしも国内の自動車部品メーカーは人手不足の嵐です。空前の建設ブームで建設業界が賃金を上げてしまったため、労働者がそちらに流れてしまっているのです。

なので、自動車部品工場で5年の経験を持つ安川さんは、簡単には辞めさえてもらえませんでした。

安川さんはリーダーを飛び越して、直接工場の総務部に退職願を出しました。すると翌日、安川さんに暴力を振るったリーダーが「ヤスカワちゃーん、あのこと、まだ怒ってるのお?」と猫なで声で近寄ってきました。

安川さんはもめたくなかったので平静を装いましたが、リーダーは得意の粘着質で休憩時間や昼休みに安川さんに付きまとい、退職願を撤回するよう迫りました。

それが1週間ほど続いた後、今度は総務部の係長が登場しました。そして安川さんに給料の増額を提示したのです。もちろん安川さんはそんなことでは揺らぎません。しかも、給料の増額分は、到底サービス残業で消えている賃金をはるかに下回るのです。

「会社は最後まで分かってくれないんだなって思いました」安川さんはそう振り返ります。

あなたが他の工員よりはるかに速くはるかに正確に部品を組み立てることができていたら、あの手この手で引き留められると覚悟しておいてください。

安川さんが退職できたのは、「辞める」と言ってから4カ月後でした。

辞め方とタイミング2:辞めると言っても就活時間が取れない場合、あなたが振り切らないと有給休暇を流すことになるので十分注意する。

自動車部品工場で働いているあなたは、「辞める」と決めたら自分のことしか考えないでください。「同僚や上司に迷惑をかけたくない」と思った途端に、会社側はそこを突いてきます。お世話になった人たちに申し訳ないと感じるかもしれませんが、そんな余裕はありません。

安川さんの場合、退職を表明しても2交替勤務や残業時間は一切変更されませんでした。なので、ハローワークに行く機会がほとんどありませんでした。

そして当然のごとく、有給休暇をすべて使うことなく退職日を迎えることになってしまいました。

自動車部品工場に限らず、現場仕事に従事している人は、「辞め方」を知らないことが多いようです。労働者は労働基準表という法律で厳重に守られていて、辞めるときも労働者が極力不利にならないような決まりがあります。

労働者は、2週間前に退職届を出せば辞めることができます。つまり会社が安川さんを4カ月も辞めさせなかったのは、労働基準法に違反しています。

「法律」に苦手意識を持つ人は多いのですが、しかし労働基準法は1度でも働いたことがある人であれば理解しやすい内容です。ぜひ厚生労働省のホームページを一読しておくことをおすすめします。

資料「知っておきたい 働くときのルールについて」(厚生労働省)

工場の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.もし下請け勤務なら…できるだけ上流工程、親会社への転職にチャレンジする

自動車部品工場の工員のように、下請け企業で勤務をする場合。
あなたが悲哀を感じるのは、下請け業者の切なさが原因かもしれません。自動車業界は典型的な縦社会で、自動車メーカーは「とてつもなく偉い」存在で、大手部品メーカーは「偉い」、2次下請けは「偉さとつらさが半々」で、3次、4次、5次下請けになるにつれて「つらさ」が強くなっていきます。

もしあなたが「自分は体を使った仕事に向いている。ただなんの憂いもなく働きたいだけ」と考えているとしたら、自動車メーカーの期間従業員をおすすめします。自動車業界の頂点で働けるというメリットがあるからです。

期間従業員は、給料の良さも魅力です。世界1の販売台数を誇るトヨタの工場ですと、1年目から月給30万円も夢ではありません。

また仕事の内容はクルマの組み立てですので、配属部署によっては完成車に触ることができます。オーナーより先に運転席のシートに座ることができます。

できるだけ発注元に近い業種と企業に転職を志すのは、自らのポジションを有利にするために大切な転職成功法則です。
逆に、発注元から遠ざかれば遠ざかるほど(下請けになればなるほど)、会社も苦しければ、そこに所属する社員も同様に苦しまねばなりません。

例えば、発注元としての「トヨタ自動車」であるならば、正社員にならずとも下記の給与が補償されているわけです。下請け、孫請け企業とは処遇の違いが一目でわかる有様です。

トヨタの期間従業員
1年目の月給 27万~30万円 月21日勤務、残業20時間、深夜業務33時間
2交替 6:25~15:05と16:00~0:40
ホンダの期間従業員
月収 勤務6カ月以下 27万~29万円 21日勤務、2交替制、残業20H、休日勤務なしの場合
6カ月超12カ月以下 26万~29万円
仕事内容 機械加工 エンジン部品の穴開け、替え刃チェック
塗装 ボディーへの塗装、外観検査
エンジン組み立て ミクロン単位で精密に加工された部品を組み立てる
完成車組み立て ボディーにエンジンやインテリアを組み付ける
完成車検査

外観、ライト、ブレーキ、足回り、排気ガスなどのチェック

2.引っ越し業界に転職

「自動車業界はもうまっぴら」「工場の閉鎖的な空間が嫌だ」というあなたにおすすめしたいのは、引越業です。引越産業の市場規模は年5000億円もあり、しかも、恒常的な人手不足の上に出世がしやすい安定業界、高給だということをご存じでしょうか?

引越しというと転勤や家庭の事情による個人宅の転地を真っ先に思い浮かべると思いますが、意外に需要があるのがオフィスの引越しです。

成長著しい企業がビジネスに便利な都心に引越したり、逆に地震リスクに備えて地方に本社機能を移したりする企業もあります。

ビジネス引越は時間との勝負なので、その分単価が高く実入りが良いのです。単なる体力勝負ではない面白さがあります。

引越大手は4社あります。2010年に業界トップだった日本通運が、2014年には3位に転落し、代わりにサカイが首位に躍り出ました。企業間の競争が激しい業界であるといえ、つまり活気がある分野なのです。

「3位に転落」といっても、日本通運は2010年から2014年にかけて売り上げを伸ばしています。

そして、今多くのビジネスマンが「AI(人工頭脳)」による仕事の消滅に怯えているのを、あなたもどこかで聞いたことがあるでしょう。

例えばAIを使った自動車の自動運転技術は、将来的にタクシードライバーなどの職種を壊滅させると予測されていますし、税理士や会計士とった(一昔前は)エリート業種といえ他業種ですら、AI技術の発達により「将来的に不要な業種」とされています。

そして工場での労働作業そのものも、AIより駆逐されるといわれています。

ところが、引越し業界においてはこれが全くあてはまりません。
引越し業務は、顧客が法人、個人に分かれており、更にそれぞれのニーズがかなりバラつき、個別対応が重要な業務となっています。そして、この個別対応業務においては、当面、人間の手でしか作業対応ができないと予想されます。

引越大手(サカイ引越センター)の平均年収
年度 平均年収
2013年 431万円(31.8歳/4,027人)
2014年 447万円(31.7歳/4,621人)
2015年 443万円(31.7歳/5,019人)
引越大手4社の売上高
 会社名 2010 2014
日本通運 575億円(1位) 591億円(3位)
ヤマトHD 490億円(4位) 485億円(4位)
サカイ引越センター 498億円(2位) 708億円(1位)
アート引越センター 493億円(3位) 629億円(2位)
資料:「なぜ日通はサカイにもアートにも負けたのか」(ビジネス+IT、2016年2月)

機械が奪う職業ランキング(米国)の上位15位

  1. 小売店販売員
  2. 会計士
  3. 一番事務員
  4. セールスマン
  5. 一般秘書
  6. 飲食カウンター接客係
  7. 商店レジ打ち係や切符販売員
  8. 箱詰め積み降ろしなどの作業員
  9. 帳簿係などの金融取引記録保全員
  10. 大型トラック・ローリー車の運転手
  11. コールセンター案内係
  12. 乗用車・タクシー・バンの運転手
  13. 中央官庁職員など上級公務員
  14. 調理人(料理人の下で働く人)
  15. ビル管理人

※出典:ダイヤモンドオンライン

3.自動車整備士に転職

自動車部品工場の工員であるあなたが「いまの仕事は退屈だ」と感じているとしたら、それは人との関わり合いが少ないからかもしれませんよ。

そんなあんたに紹介したいのは、自動車整備士です。あなたが好きなクルマに触ることができますし、ディーラーの営業よりは少ない接客数ですが、それでも整備士が直接顧客に修理内容を説明する機会があります。

また自動車整備士になると、専門学校の講師という道も開けます。自動車の整備というと「腕」だけで勝負しているように思われがちですが、実は案外「資格がモノを言う」世界です。

やっぱり転職には資格が武器になります。少し遠回りに感じるかもしれませんが、2級整備士の資格を取りに行ってみてはいかがでしょうか。

自動車整備士の主な求人票
会社 月給 仕事の内容 休日など
国内自動車メーカーのディーラー 月給18万以上、賞与2回 要2級整備士。

点検、緊急整備、分解整備、相談業務。

年105日休
自動車整備会社 入社5年目年収390万円 要2級整備士。

国産車、輸入車の整備、オーバーホールも。

年96日休
自動車整備士専門学校の教員 月給22万~28万円、賞与年4.8カ月 要2級整備士以上、実務3年以上 年121日休
資料「リクナビNEXT 【自動車整備士】を含む求人情報」

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

工場勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「工場以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない製造業工場業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

転職コーディネーターに無料相談することから始める

自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。

また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。

尚、転職コーディネーターはA:これまでと同じ工場を職場として転職する場合B:他の業界に転職する場合、のそれぞれで登録会社を使い分けるか、同時に登録で転職を進めるべきでしょう。

慣れ親しんだ製造業で他の職場を探す場合は、工場・製造業専門の転職を手掛ける専門転職エージェントの「工場WORKS」を利用すべき。

今までとと同じく工場での就業知識を活用して転職をする場合は、製造業専門の転職コーディネーターに支援をしてもらうべきでしょう。特に、正社員、契約社員、アルバイト全てに対応できる上、製造業専門の転職支援を手掛けている企業ならば、より一層高い密度の転職支援力が期待できます。

その点でふるいにかけた場合、当方お勧めの製造業転職エージェントは、「工場WORKS」が最もお勧めできる企業の1つとなります。



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