
北野筆太

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記事の目次
卸業のルートセールスマンは小売店のパートナーのはず。しかし実態は大口顧客の「無料のパシリ」!?。
私たち消費者が「便利になった」と感じたとき、その裏では多くの企業が知恵と汗を流しています。携帯電話もインターネットも、ここまで便利になったのは、そのような裏方さんたちが様々な困難を乗り越えてくれたからです。
同じことは、DIYでもいえます。Do it yourselfはかつて、日本語で「日曜大工」と呼ばれ、マニアなお父さんたち限定の趣味でしたが、いまでは老若男女、誰でも気軽に楽しめる娯楽に発展しました。
DIYがここまで身近になったのは、ホームセンターというお店が拡大したからです。きょう紹介する「辞めたいと考えている人」は、そんなホームセンターに商品を届けている、「DIY卸のルートセールス営業マン」です。
ホームセンターに置いてある商品のアイテム数は、業界平均で3万5千点、多い店だと18万5千点に及びます。これだけの種類の商品が1つの店舗に並んでいることもすごいのですが、これだけの商品群を集めてくることも、実はものすごいことなのです。
ホームセンターが「こういう商品を陳列したい」と考えたとき、その商品を日本国中のメーカーから、ときには海外メーカーから取り寄せるのが、DIY卸会社です。
そして、ホームセンターの「ほしい」とメーカーの「売りたい」をつないでいるのが、DIY卸のルートセールスマンなのです。
「とても大きな仕事で、やりがいもデカかったです」と語るのは、DIY卸のルートセールスマンだった徳田秀人さん(仮名、34歳)です。
徳田さんは仕事自体には不満はありませんでしたが、ある理由から1年半ほどでその仕事を辞めてしまいました。
あなたがDIY卸ルートセールスマンなら、徳田さんが「辞めた理由」について察しがつくのではないでしょうか。
そうです、この仕事には「働きにくい」と感じさせる要素がいくつも存在するのです。
資料「九州に凄いホームセンターがあった」(日経ビジネス)
「ルートセールスは飛び込み営業がないから楽?」誰がそんなことを言っているのか。実態を見てほしい。
辞めたい理由と悩み1:商品棚を任されたとき「顧客に信頼された!」と喜んだ。それがやがて徒労感に変わった。
徳田秀人さん(仮名、34歳)が勤めていたDIY総合卸会社では、建築用資材や溶剤、インテリア用内装材、木工道具を扱っていました。
徳田さんは一般的な営業マンではなく、ルートセールスマンと呼ばれる仕事をしていました。ルートセールスマンには、新規開拓や飛び込み営業がないため、世間では「一般的な営業マンより楽」と考えられがちですが、あなたなら、楽という認識が間違っていることをご存じのはずです。
というのも、ルートセールスは、すでに取り引きがある企業や顧客に商品やサービスを売るので、上司や同僚は「できて当たり前」と考えています。そのため、もし受注金額が落ちようものなら、大きなペナルティが課されるでしょう。
しかも、ルートセールスには競合他社がたくさんいます。徳田さんの得意先のホームセンターにも建設資材やリフォーム材料の卸会社が多数食い込んでいました。
徳田さんはかつて、取引先のホームセンターのバイヤーから値下げ要請があったのですが、その検討を放置してしまい、「そんなことをしてたら、もうお宅からは買わないよ」ときつく注意されたことがあります。徳田さんはすぐに上司に報告して、その上司と2人でバイヤーに謝罪したため実害は出ませんでしたが、危うく「出禁」を食らうところでした。
また、ルートセールスマンは、「自社が売りたいモノ」を売るだけではダメで、「取引先の販売戦略にマッチするモノ」を提供しなければなりません。もし自社製品に「取引先の販売戦略にマッチするモノ」がなければ、取引先のメリットになる販売戦略を逆提案し、自社製品を購入してもらわなければなりません。
徳田さんは、顧客に信頼されること、そして先方の担当者に好かれることを心掛けました。情報収集能力と人柄に磨きをかけ、そしてプレゼン能力を高めることにしました。新商品やイチオシ商品を売り込むときは、ワード、エクセル、パワーポイントの「プレゼン3点セット」を駆使して、「この商品を置くことの貴店のメリット」という資料を作り、バイヤーだけではなく店長やフロア長にも配布しました。
プレゼンスキルが身に付くと、営業成績はみるみる伸びました。ホームセンターのバイヤーが「俺は徳田さんイチオシのその商品を置きたいんだけど、まったくの新規商品は本部決済が必要なんだよな」と言ったとき、徳田さんはなんと、ホームセンターの本部までいって、「この商品を置くことの御社のメリット」というタイトルでプレゼンをして、受注を勝ち取ったのでした。
DIY卸のルートセールスマンのあなたも、商品を置いてもらうためにありとあらゆる工夫を重ねてきたことでしょう。その中でも、売り場の棚割り表の作成や、ディスプレイの造設は腕が鳴ったのではないでしょうか。
あなたにとって、取引先のホームセンターの商品棚は「他人様の陣地」です。それを自由にデザインできるのは、ホームセンター側があなたを信頼しているからです。そしてあなたも、「このディスプレイでうちの商品が売れれば嬉しいし、ホームセンターの売上アップにつながればなお嬉しい」と感じたことでしょう。
あなたはまさに、自社と顧客のWIN-WINの関係を築いているのです。
徳田さんにも、そのような強い使命感を持てた時期もありました。しかししばらくすると、徒労感に襲われるようになりました。
「これって、単なるただ働きじゃないか」
徳田さんの会社も、ホームセンターもWiner(勝者)になって喜んでいるのに、なぜ徳田さんだけがLoser(敗者)になってしまったのでしょうか。
ホームセンターにおけるDIYの位置付け
①2016年(1月〜12月)ホームセンター売上高 | 2兆6,446億円 |
②売上高対前年比 | 全店(新店含む)ベース100.8%
既存店ベース98.7% |
③商品分野別売上高構成比では「DIY素材・用品」が25.1%で第1位 |
資料「日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会の公表データから」
辞めたい理由と悩み2:棚卸作業を夜中まで手伝わされた挙句に残業代はゼロ円。会社の低姿勢にも嫌気がさす。
徳田さんが「おかしい」と感じたのは、ホームセンターのスタッフの態度でした。徳田さんは卸会社の社員なので、仕事としてはきちんとした品物をホームセンターに届けた時点で終了するはずです。なので、ホームセンターの棚を見栄えよく作り変えるのは、「徳田さんの気持ち」です。
ところがホームセンターのスタッフは、徳田さんの仕事にあれこれと細かい注文をつけてくるのです。中には、徳田さんのことをアルバイト学生のように扱うスタッフもいました。
さらに徳田さんは、ホームセンターの棚卸の手伝いをさせられたこともあります。棚卸は店内の商品の数をすべて数えるので、営業が終了してから作業を始めて、夜中まで、ときには明け方近くまでかかることがあります。
もちろん、その作業賃をホームセンターに請求することはできません。ところが徳田さんのその仕事は、自社内でも残業とみなしてもらえなかったのです。
徳田さんが異議を唱えると、上司は「うちがホームセンターさんに無料で労働力を提供したことがバレると、まずいことになるんだよ。お前に残業代を支払っちゃったら、お前が働いていた証拠になっちゃうだろ」と言いました。
徳田さんは「ああ、うちはブラック企業なんだ」と確信しました。
ブラック企業の性質はまだありました。それは、顧客に対して異常なくらい弱気な姿勢で臨むことです。徳田さんの勤務先は、ホームセンターからの「販売応援」の要請を絶対に断らないのです。
販売応援とは「協賛」のことです。卸会社が、利益が出ない金額で大量の商品をホームセンターに納入しなければならないのです。それがホームセンターの店頭に並ぶと、消費者の誰もが「どうしてこの商品をこの値段で売れるのか!」と驚く「超目玉商品」になるのです。
徳田さんは「会社としては後々の取り引きに致命的な影響が出るため、販売応援は断れませんでした。でも、ホームセンターにとって欠かせない商品を卸している他社は、正々堂々と断っています。従業員にサービス残業をやらせて、それで浮いたおカネでホームセンターのご機嫌取りをする会社に『未来も未練もないな』と思うようになりました」と振り返ります。
あなたはいま、「徳田さんの気持ちが分かる」と感じたのではないでしょうか。ホームセンターの「命」は、豊富な品揃えです。しかしアイテム数が増えれば増えるほど、1ロットの点数は少なくなります。つまり、卸会社にとって儲かりにくい仕組みになっているのです。
それにも関わらず、あなたたちは「新しい品」「より良い商品」を探して、ホームセンターに卸しています。
つまり、卸会社の創意工夫こそが、ホームセンターに「命の火」を吹き込んでいるのです。
しかしそれが報われることは、滅多にありません。
ホームセンターのトレンド
店舗数と売場面積 | 前年同月比で増加。増加は調査開始以来、13年4カ月連続。 |
売上高 | 新店含む全店:前年同月比99.2%
既存店のみ:前年同月比で97.3% |
前年同月比プラスになった商品分野 | 「園芸・エクステリア」や「ペット」など5分野 |
概況 | 概ね全国的に、平年と比べて気温が高かったことから、季節商品を中心に不調となった。一方、園芸用品等の外回り関連商品では動きが見られた。 |
資料「月例調査 2016年12月度」(日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会)
辞めたい理由と悩み3:構造的に給料が安く30代で月給20万に届かない。将来が見えない。
徳田さんが困難を極めたのは、重量がある商品でした。DIYの商品には「重たいモノほど売れない」という傾向があります。しかしホームセンターとしては、滅多に売れない商品でも欠品させずに置いておくことは、消費者へのPR材料になります。なので、卸会社でも滅多に売れない重量物を在庫にしておかなければならないのです。
重量物にはもうひとつ、運送コストが高くなるという欠点がありました。単価が高ければ運送コストを吸収できますが、例えばコンクリート製の商品は重量の割に安いので、運送便に依頼すると採算割れを起こしてしまいます。そういうとき、徳田さんたちルートセールスマンの出番となります。注文のたびに徳田さんは自分の手で会社のワゴン車に商品を積み、自分で運転してホームセンターに届けるのでした。
また、徳田さんには、大きなストレスを感じる仕事がありました。飛び込み営業や新規顧客獲得には存在しない、ルートセールスならではの欠点です。
「嫌な担当者とずっと付き合わないとならない」ということです。
これはあなたにも「それ、ルートセールスあるあるだあ!」とご賛同いただけるのではないでしょうか。
ルートセールスは営業先が固定されるため、先方の担当者が「嫌な奴」だと、ずっと嫌な目に遭い続けます。いつも値下げをせがむ人、いつも「取引先を変えちゃうぞ」と脅してくる人、雑談が長い人、その雑談を遮ろうとすると露骨に嫌味を言う人――ルートセールスマンは、こういう担当者から逃げられないのです。
ルートセールスマンのことを「無料のパシリ」と考える顧客もいます。顧客が自社の従業員を使えば、残業代や長時間労働の問題が発生しますが、ルートセールスマンなら無料でどんな汚れ仕事でもやらせることができます。
ホームセンター側が、ある商品の仕入れ先として複数の卸企業を持っていれば、「より多くの無料奉仕をした会社から商品を買う」と言うだけで、ルートセールスマンたちはこぞって無料奉仕に走ります。
そして、徳田さんの退職の決意を固めたダメ押しは、給料の安さでした。徳田さんが会社の先輩に「どうしてホームセンターの従業員の方が、俺たちより給料が高いんですか?」と尋ねると、先輩は業界事業を解説してくれました。
「ホームセンターの利益率は約3割、一方で我々のDIY卸の利益率は大体2割だ。ということは、うちみたいに商品力が弱く、ホームセンターの言いなりになっている会社だと、利益率は1割あるかどうかだ。つまりうちは、いつも損益分岐点ギリギリのラインで商売しなくちゃならない。だからたまに儲かったとしても、社長はボーナスを出したがらないんだよ」
徳田さんは30歳のときにこの会社に入社しました。社内の30代前半の先輩と飲んだときに月給を尋ねると、20万円を割った金額を伝えられました。
「手取りではなく税引前の支給金額がその金額ですよ。私なんて中途採用ですから、その金額にすら到達していませんでした。『将来はない』正直そう感じましたね」
あなたはいかがでしょうか。あなたと、あなたが勤めるDIY卸会社に、将来はありますでしょうか。
もし徳田さんと同じ感想を持っていたとしたら、必ずこの続きもお読みください。
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「ルート営業マンの人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.DIYアドバイザー試験を目指そう
DIY卸会社のルートセールスマンの仕事に行き詰まりを感じているあなたにまずおすすめしたいのは、「DIYアドバイザー資格」の取得です。
DIY卸会社98社などが加盟する一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会が認定する資格で、大工道具や作業工具、建築金物、塗料など、ありとあらゆるDIY商品の知識を身に付けている証明になります。
なぜ筆者があなたにこの資格をおすすめするかというと、DIYの深さを知ってほしいからです。
DIYはいまや国民の娯楽にまで成長しました。1社のDIY卸会社が扱っている商品数はほんの一握りにすぎません。
DIYアドバイザーの資格所得に向けた勉強は、あなたを「DIYという大海」に誘ってくれるはずです。そこで、自社が取り扱っている商品のさらなる活用法が見付かれば、そのまま営業戦略になります。また、自分で売ってみたい商品が見付かれば、社内の企画会議で提案することができます。
あなたがきょうまでに積み上げてきたDIYの知識は決して小さくありませんが、巨大なDIY市場においては、まだまだ一部にすぎないかもしれません。
せっかく入ったDIY業界なのですから、退職してしまう前にもうひと踏ん張りして業界全体を見渡してみてください。
2.提案型営業を心掛けてみよう
これは優秀な営業パーソンが口をそろえて言うことですが、「営業を極めると、この仕事が天職に感じる瞬間がある」そうです。
その瞬間とは、営業パーソンが「迷惑人間」から「待ち焦がれる存在」に変わったときです。
営業を苦痛に感じたり、営業で実績を出せない人は、「自分は押し売りをしている」とか「営業トークなんて詐欺師の言葉と同じ」と自虐的になっていることが多いのです。
これは、売上を上げることだけに集中しすぎていて、自分が提供する商品やサービスが顧客を幸せにする姿をイメージできないからです。
営業が天職に感じる瞬間を迎えるには、押し売り型の営業をやめ、提案型の営業を心掛ける必要があります。
例えば多くのホームセンターは、移り気な消費者の関心を引こうとして、多品種小ロットの商品ラインナップに力を入れています。しかしDIY卸会社は、ホームセンターから「多くの種類の商品を少数持ってこい」と言われると、収益が苦しくなります。
なのでDIY卸のルートセールスマンの大多数にとって、多品種小ロットを求めるホームセンターは「迷惑客」となります。
ここにビジネスチャンスが生まれます。あなたのライバルたちが敬遠する迷惑客こそ、あなたの最高のお客様なのです。なぜなら、そのホームセンターが卸会社に多品種小ロットの納品を強要するのは、消費者のことを考えてのことなので、そういう店は将来性があるのです。
顧客の無茶な注文をチャンスと考えることができるようになると、営業成績は自ずと上がっていくはずです。
3.ルートセールスマンを辞めて他業界に転職する
卸関係者が最も嫌う言葉は「中抜き」です。どの業界であっても小売業を営む企業はいま、「どうしたら卸会社を飛ばして直接生産者から商品を仕入れられるか」を考えています。
DIY商品を扱うホームセンターも同様で、中には自らメーカーになって自分の店舗で売る企業も現れています。
そこで、もしあなたが「DIY卸には将来がない」「ルートセールスにはほとほと疲れ果てた」と感じていたら、転職をおすすめします。
転職先としておすすめするのは、①ホームセンターの店舗運営、②リフォーム会社の営業、③DIY商品メーカーの営業の3つです。それぞれその業界のメリットを紹介します。
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまくルート営業勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、ルート営業以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
ルートセールスマンの辞め方とタイミング
1:強烈な引き留めに遭ったら労働相談をしておこう。まずは電話だけでも効果的。
転職をするために必ず必要なこと、それは退職です。しかしあなたのような優秀なDIY卸ルートセールスマンは、おいそれと退職させてもらえないと覚悟しておいてください。
もし上司が、あなたの強い退職の意思を承知しながら、あなたの退職願をなかなか受理しない場合、労働相談を受けてみてはいかがでしょうか。
かつて労働相談といえば、不当な解雇を取り消してほしいという内容が多かったのですが、現在はどの業界も人手不足にあえいでいる状況なので、「辞めさせてくれない」という相談が増加傾向にあります。
厚生労働省は47都道府県に計380カ所の総合労働相談コーナーを設けています。その多くは地域の労働基準監督署に設置しています。
ここの相談の特徴は
・無料
・予約不要
・秘密厳守
です。
相談のコツは、被害が拡大する前に駆け込むことです。
退職願が1週間以内に受理されなかったら、電話相談だけでもしておくことをおすすめします。
資料「総合労働相談コーナーのご案内」(厚生労働省)
2:心の病気は大丈夫? 自覚症状がなくてもむしばまれている可能性も。
筆者が営業に関わっている人に口を酸っぱくしてお伝えしていることがあります。「メンタルは大丈夫ですか?」「自覚症状がなくても心をむしばまれていることがありますよ」ということです。
DIY卸のルートセールスマンを含む営業パーソンたちの多くは、テンションで仕事をしています。というより、テンションを高めないと営業という仕事は手につかないでしょう。
自己暗示や自己啓発を繰り返し、「私はやれる」「この壁は乗り越えられる」と独り言をして、営業パーソンは顧客の元に向かいます。
この自己暗示が強すぎると、本当は自分の心や精神がSOSを発信しているのに、聞こえないことがあります。これが、自覚症状がない状態です。
「自分は大丈夫」と思っていいる営業パーソンにおすすめしたいのが、東京都労働相談情報センターが公開している「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」です。
「イライラするか?」「不安か?」「朝、起きた時、ぐったりした疲れを感じるか?」「出張の負担が大きいか?」など20の質問に答えると、あなたの疲労蓄積度が数値化されます。
仕事による疲れがうつ病を誘発することはよく知られていますが、実は脳や心臓の血管の病気も引き起こすのです。医学的には、残業時間が「月100時間超」または「6カ月平均で月80時間超」になると、心筋梗塞や脳出血などのリスクが高まることが分っています。
「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」は2分で終わるので、営業職の方はぜひ試してみてください。
資料「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」(東京都労働相談情報センター)
http://www.jisha.or.jp/web_chk/td/pdf/list_s.pdf
ルート営業マンの勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.ホームセンターの店舗運営に転職
DIY卸からDIY小売りへ、つまりホームセンターに転職してみてはいかがでしょうか。
まずはホームセンターの「凄い数字」をご覧ください。
業界規模は3兆円に迫る勢いですし、成長率も上々です。平均年齢が38.8歳と若いことも将来性を感じられますし、平均年収の478万円は、あなたのいまの年収額を比べていかがでしょうか、かなり魅力的な額ではないでしょうか。
平均勤続年数が12年を超えているのも注目できます。終身雇用制度が「死語」と化して久しい現在、これだけ長く勤める人がこんなにいるということは「良い業界の印」といえるでしょう。
「凄い数字」が並ぶホームセンター業界
2兆8,111億円 | 業界規模 | 19,896人 | 労働者数 |
1,701億円 | 経常利益計 | 38.8歳 | 平均年齢 |
+2.0% | 過去5年の伸び率(成長率) | 478万円 | 平均年収 |
2兆3,067億円 | 総資産額 | 12.1年 | 平均勤続年数 |
(2013年7月-2014年6月 決算)
資料「ホームセンター業界基本情報2013~2014年版」(業界動向)
また、ホームセンター業界をけん引する企業が多いことも、この業界の元気さをうかがえさせます。以下はホームセンター企業のトップ10ですが、シェアが「四捨五入すると10%超」の企業が7社もあります。この数字は競争の激しさを表していますが、同時に業界の活力も示しています。
あなたはこれまでDIY卸のルートセールスマンとして、ホームセンターの無理難題をこなしてきました。それはつまり、既にホームセンターの店舗運営に協力してきたようなものです。
あなたなら、すぐにホームセンターの業務を軌道に乗せることができるので、最もスキルを活かしやすい業界といえます。
ホームセンターの有力企業
企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | DCMホールディングス | 4,341 | 15.4% |
2 | ニトリホールディングス | 3,876 | 13.8% |
3 | コメリ | 3,355 | 11.9% |
4 | コーナン商事 | 2,737 | 9.7% |
5 | ナフコ | 2,326 | 8.3% |
6 | ケーヨー | 1,740 | 6.2% |
7 | 島忠 | 1,597 | 5.7% |
8 | アークランドサカモト | 992 | 3.5% |
9 | Olympicグループ | 956 | 3.4% |
10 | PLANT | 795 | 2.8% |
(2013年7月-2014年6月 決算)
資料「ホームセンター業界基本情報2013~2014年版」(業界動向)
2.リフォーム会社の営業に転職
リフォーム会社はブラック企業も少なからず存在するのですが、ただ、「震災日本」「木造住宅日本」においては、社会インフラの一翼を担う重要な業種です。
そしてDIY商品とリフォームはいわば「親戚」のような関係にあるので、リフォーム業界の専門用語も、DIY卸の経験があるあなたには違和感なく頭に入ってくるでしょう。
国土交通省によると、耐震補強が必要な木造住宅は、国内に1300万戸もあるそうです。ですので、あなたが転職先としてリフォーム会社を考えるなら、そこが耐震補強工事を行う会社かどうかは大きな判断基準になるでしょう。
逆に避けた方が無難なリフォーム会社は、水回りしか行っていない業者です。キッチンと浴槽のリフォームは、顧客から苦情が多い分野なのです。
また、高齢者対応リフォームや、防犯設備の設置も有望な分野です。こうした市場に進出している企業は「◎」を付けておきましょう。
また、リフォーム業界は、ミサワ、住友不動産、積水化学工業といった住宅大手もこぞって参入してきています。最近のビール業界や家電業界にも同じことがいえるのですが、大企業と中小零細企業が混在して切磋琢磨している業界は、元気があって楽しい仕事ができます。
また、リフォームにはたくさんの可能性があります。次の資料は、「リフォーム産業新聞」の記事を元に、筆者が他のニュースソースを織り交ぜて作成した10個のキーワードです。
他業種とコラボして新たな「住宅ビジネスの切り口」を打ち出している点がとてもユニークです。
リフォームの可能性を感じさせる10個のキーワード
①コンバージョン | 日本語で「用途転換」の意味。古くなった社宅をシェアハウスにしたり、オフィスにしたりすること。 |
②「VR」&「360度カメラ」
|
リフォームのプレゼンにバーチャルリアリティと360度カメラを導入する傾向が高まっている。リフォーム後の家の中の風景が仮想体験できる。 |
③民泊
|
法律が整備され、外国人観光客にも喜ばれる民泊は今後の成長分野。リノベーションが期待できる。 |
④中古住宅の相場サイト | ビックデータを使った中古住宅情報が充実している。中古住宅市場≒リフォーム市場といえる。 |
⑤付加価値型中古住宅の再販 | 日本では、中古住宅市場は未成熟だが、少子高齢化の中で新築に手が届かない層が増えれば、成長産業になり得る。 |
⑥DIY | リフォーム企業としては痛手だが、オーナー自身がリフォームを手掛けるケースが増えている。しかし進んだリフォーム企業はこれをビジネスチャンスにとらえて「DIYのお手伝い」事業を始めている。 |
⑦リフォームのネット販売 | 「リフォームは近所の工務店で」という傾向が崩れつつある。ネットで何でも買える時代は、リフォーム業界にも到来している。 |
⑧エリアのリノベーション | リフォームといえば「1戸ごと」が基本だが、エリアのリノベーションはマチづくりを見据えたビッグビジネスになる。 |
⑨空き家活用 | 空き家は「社会問題」になっているが、これを「ビジネス」にとらえる動きも見えている。当然リフォームが必要になる。 |
⑩ホームステージング | リノベーションやコンバージョンと似た概念だが、ホームステージングはアメリカで普及しているリフォームビジネス。自宅をあたかも「ステージ」のごとく見栄え良くする手法。 |
資料「2017年、リフォーム業界のトレンド『10のキーワード』」(リフォーム産業新聞)

資料「急成長する住宅リフォーム業界」(NSKねっと)
3.DIY商品メーカーの営業に転職
DIY卸から、DIY商品のメーカーへの転職はいかがでしょうか。
というのも、ルートセールマンとしてホームセンターというホームセンターをくまなく巡ってきたあなたなら、ホームセンターが本当にほしい商品を知っているはずです。
また、取り扱い商品に愛着を持ってきたあなたなら、常に「この商品をこう改良したらもっと便利になるのに」と感じていると思います。
そうした知識は、DIY商品メーカーで役立ちます。
家電メーカーが苦境に立たされている現状は、あなたもご承知だと思います。家電業界には空前のリストラの嵐が吹き荒れています。
そんな中、家電メーカーを追われた人たちがDIY商品メーカーに引っ張りだこなのです。「世界に冠たる日本の家電」を支えてきた人たちが持つ開発、設計、生産などの技術は、いくらでも応用が可能なのです。
DIY商品メーカーは、さまざまなユニークな商品を世に出しています。そしていま必要なのは、そうした自信のある商品を売る人、つまりあなたのスキルなのです。
あなたが持つ販路と人脈で、これまで世界になかったDIY商品を、消費者の手に届けてあげてください。
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
ルート営業勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「ルート営業以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないルート営業業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。
また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。