
野村 龍一

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記事の目次
マスコミとクライアントの板挟みになり、元請け大手広告代理店にこき使われる。戦略PR?そんなの知らん。あるのはメディアへのお願い土下座行脚と、適当な報告書作り。
PR会社といえば、マスコミを相手に仕事をすることが多く、一部のPR会社所属の女性が自分自身をセルフブランディングさせてメディア露出している関係からか、華やかでキラキラした職種というイメージを持たれがちです。
一昔前は女子大生の就職先ランキングにPR会社がランクインすることも珍しくなくなり、キラキラ女子が就職試験に殺到。男性は「戦略PR」といったベストセラー本などに取り上げられた、まるで経営コンサルタントかプロモーションコンサルティングにでもなったかのような、知的産業に従事する自分自身に憧れたのではないでしょうか。
ところがそういった一見華やかな側面は、PR会社としての業務内容におけるほんの一部分でしかなく、実際は地味でドロドロした裏方業務が90%。発注元の大手広告代理店やクライアント企業の機嫌を伺いながら、高くもない給与でマスメディア記者やテレビマン達に愛想を振りまき、決して成就しない企画とわかっていても、ひたすら媒体に根性営業とお願い営業。ウソだらけの業務報告書と企画書をクライアントのために日々作成し続ける悲しいPRマンもいます。
挙句の果てには危険な「やらせ企画」にまで部分関与するはめになり、いつばれてネットでたたかれ大炎上するのではないか?と、半ばビクビクしながらも、会社としてのクライアントとの契約更新のためには、罪悪感に目をつぶらなければならない。
実際にPR会社にお勤めのあなたも、就業前のイメージと実際の業務とのギャップに驚き、そして、いつの間にかそれに慣れてしまったのではないでしょうか?「PR活動だから」を免罪符に、半ばウソだらけの仕事にショックを受けて業界を去る者も珍しくありません。
PR(広報代理店)業界ならではの、就業中の不満、大変さ、辛さと悩み
辞めたい理由と悩み1:理不尽なクライアントと我儘なマスメディアとの板挟みで苦しむ日々。
PR会社に入って最初の試練は、言うことがコロコロ変わる理不尽なクライアントと我儘なマスメディア記者との板挟みによる心労でしょう。
基本的にPR会社としては、どのクライアントも平等にメディア取材を取ってきてあげたいと考えるものです。それがリテール契約(継続契約)の顧客なら猶更でしょう。
ところがクライアントの中には広告とPRの区別が全くついていない企業や組織も珍しくなく、「おたくと契約すれば必ずマスコミ取材が殺到するって言ったじゃん。ガンガンTVとか出してよね」と、PR会社の立場としては決して軽々しく言うはずがない言葉で何故かプレッシャーをかけてきます。
こういうPR会社を雇えば必ずメディアが殺到すると勘違い(イヤミの可能性も…)をしているクライアント担当者に限って、言うことはコロコロ変わり、しかもPR会社が自信をもって提案してきたプレゼン企画はあっさり却下し、あるかないかもわからない「ブランド」をたてに、品のある(=当たり障りなく、面白味もなく、取材などまずされないだろう)企画ばかりをやりたがります。
もっとひどいケースになると、特に企画やイベント等PR用の仕掛けを一切行わずに、「ただあるがままを見てほしい」というが如く、ひなびたプレスリリース以外には記者と話す目新しいPRネタすらもたされず、ひたすらにメディア営業だけをさせられるケースもあります。
それでも恥を忍んで、過去に親交のあった記者やディレクター廻りをしてみても、メディアからは冷たく
「こんなのどうやって(媒体に)出せっていうの?」
と言い放たれますが、思わずあなたも
「そうですよね」
と変に納得してまいます。
機会があれば是非取材してくださいと言い残し、とりあえずクライアントに報告できる「メディア訪問」の実績づくりとしますが、帰社してみるとなかなかマスコミ取材を獲得できないPR会社に苛立ったクライアントからの苦情電話。
ここで更に自体を悪化させるのが、いい加減な上司や同僚の「心配しないでください、もうすぐ取材とれますよ」とのいい加減で根拠のない安請け合い。これで現場担当者のあなたの苦しみが加重速度で増すことが決定です。
そもそもメディアの人間は、「取材してくれ」と言っても普段はなかなか連絡すらよこさない癖に、クライアント企業に不祥事でもあろうものなら、呼んでもないのにわんさか殺到する方々。
こんな不祥事みたいなときばかりクライアントも「PR会社、何とかしろ」と言いながら、危機管理名目の謎の追加契約で謝罪会見を仕切る羽目になり、会社の売り上げ的には貢献できても、時代錯誤にもなぜか常に上から目線の社会部記者から、クライアント担当者と一緒にPR会社担当者のあなたまでもが、いわれなき猛攻撃を食らって耐え忍ぶ羽目になります。
いついかなる時でも、結局は板挟みにならなければならないのが、辛い辛いPR会社社員の宿命ともいえるかもしれません。
辞めたい理由と悩み2:大手広告代理店の指示で、24時間365日の奴隷ブラック社畜勤務。
あなたの会社と同じく、PR会社の多くは広告代理店と共同でクライアントにプレゼンアプローチをし、コンペで勝ち抜くことで仕事を得ています(もちろん、PR会社独自に獲得した顧客もあるにはありますが、それだけで食べて行くのは非常に厳しいのはご存じのとおり)。
言わずもがな、大手広告代理店とPR会社の関係は元請け企業と下請け企業の関係であり、双方には歴然たるパワーバランスの差が存在しています。
「元請け広告代理店の指示=絶対遵守」の方式は絶対に破られることはなく、売上を広告代理店に依存しているPR会社であればあるほど、社風的にその度合いは強まります。
あなたの勤務先に仕事を振ってくれる広告代理店の担当者が常識人ならばよいものの、言わずと知れた広告代理店は長時間労働を基礎とするブラック企業の代表職種。当然、合同でプロジェクトに当たる外注企業(あなたのPR会社)に対しても、必要ならば長時間労働、短い納期、24時間ともいえる業務対応を当たり前に求めてきます。
そもそも、近年の広告代理店のビジネスモデル自体が「顧客に営業」→「実務は外部に丸投げ」が実際の姿ですから、本来は代理店担当者が自分で動かなければならない部分すらもPR会社であるあなたが代わりに労働することになるのです。
大手に限らず、広告代理店は担当者の個人的能力、資質、考え方が業務において色濃く反映させる業種であるため、広告代理店の担当者次第ではPR会社社員の仕事は過酷を究めることになります。
大手代理店の若手広告マンが昼寝しながら考えたようなアイデアを元にした「ネタ会議」に何度も呼び出され、深夜までああでもないこうでもないの、不毛なエンドレスミーティング等、あなたはとっくに慣れっこになっているかもしれません。
高給取りの大手代理店社員にとっては、エンドレスミーティングも単なる仕事の1つかもしれませんが、今目の前にある案件を素早く売上にしなければならないPR会社社員にとっては、売り上げになるかどうかすら不明な会議に延々と付き合わされてはたまったものではありません。
それでいて給与は大手代理店の半分程度。
しかし、これも下請けという悲しい立場がなせる業。「それはいいアイデアですね!」と自分より年下の大手代理店社員に媚を売りつつも、内心では「それ絶対に取材されないな…広告代理店はいつも余所に丸投げしてばかりだから、全くマスメディアのことわかってない…」と、決して口に出してはいけない本音が喉元から零れ落ちるのを必死で耐え忍びます。
辞めたい理由と悩み3:妄想だらけの現実味がない企画書とウソだらけのでっち上げ報告書を作るのに今日も徹夜。
形のないものを売らなければならない多くのPR会社にとって、「自社の売り」と目されるもののほとんどが「メディアの人脈」か「PR企画力」の大体どちらか、もしくは両方というパターン。
元メディア関係者が立ち上げたPR会社は前者の「メディア人脈」、そうでない企業は「PR企画力」を前面に出してコンペに臨むケースが特に目立つのはあなたもご承知の通りです。
ところが実際の話、「メディア人脈」ほど宛にならない話はなく(人脈程度でどんな企業でもガンガン自由に取材してくれるメディアはありません。単に「一応、知り合いだから話は聞くよ」という程度の関係)、「PR企画力」といっても、マスメディアが好む企画はほぼパターン化されており、世の中を驚かすようなアイデアを連発できるPR会社はほぼ皆無。
現実は、本当にあるのかないのかわからない聞こえの良い看板を掲げて営業せざるを得ないのが、ほとんどのPR会社に当てはまるケースといえるでしょう。
自然、コンペのプレゼンでも「実現できるかどうかは不明(やってみないとわからない)」「まるでマスコミ取材とSNSによる口コミがバンバン舞込む(と客に夢を見させる)」無責任なPR企画が乱立することも珍しくありません。PR会社にとっては、とにもかくにも契約をまずは勝ち取らないと、話にならないからですね。
売るには売ったが、いざ実務となると非常に困りもののこういった企画書ですが、実際の施工プロセスに入ると、さまざまな理由で「現実的な姿」に形を変えていきます。
全国ネットのテレビメディア放送の取材予定が地方U局の取材となり、大手新聞社の取材が業界専門紙の取材となり、Yahoo!ニュースに掲載される予定が、聞いたこともないベンチャー企業のキュレーションサイトやまとめサイトのペイド枠にひっそり掲載される程度に形を変えるのです。
クライアントへのメディア訪問報告書には「取材まであと少しです」「好感触でした」心を痛めながらもウソ報告のオンパレード。本当に惨いPR会社になると、交渉してもいないマスメディア媒体について「数度訪問した結果、只今出演交渉中」と全くの妄想報告に終始します。
「PRってこんな仕事だとは…」
後悔先に立たず。現実と就業前の夢とのギャップにショックを受けたのは、あなただけではありません。
辞めたい理由と悩み4:戦略PR?ロビー活動?日本のPR会社はひたすらマスコミへの土下座行脚のみが評価対象。
あなただけでなく、多くのPR会社社員が入社前に「戦略PR」「プレス担当」という、雑誌やビジネス書で踊っている耳障りのよいキラキラワードに魅了されて業界入りしてきました。
ところが日本国内のPR(パブリックリレーション)は、広告活動となんら大差なく取り扱われており、「世の中を動かす空気づくり」などとはほぼ無縁に日々の業務を遂行するしかないのが実際の姿です。
戦略PR?そんなもの社内で誰一人できる人はいません。「日本のPR=マスコミ対応(+ネットメディア対応)」と目されているのが現実です。戦略PRみたいな余計なことを考えるならば、1件でも多くのメディアを回って取材を取ってきた方がクライアントや代理店も喜ぶし、何よりPR会社自身もその方が儲かります。
目に見えない戦略なんかより、目に見えるPR戦術を切り売りするほうがずっと現実的であり、あなたが日々、PR業界に対して感じる「割り切れない感情」の原因になっています。
惨いことに、業種や企業によってはいくら頑張っても、まずメディアから相手にされる可能性がない(小さい)というクライアントが珍しくありません。最初から取材をされないとわかっていてもメディア廻りをしなければならないのも、PR会社の悲しい運命です。
そのメディア戦術の実務上で、何よりも一番困るのが「取材します」といいながら、後程「やっぱり駄目になりました」とぬか喜びをさせる番組や記者の存在。
一旦喜ばせておいてからのNG宣言は、あなただけでなく全てのPRマンにとって、瞬殺で地獄に突き落とされたような喪失感を味わいます。
もっと最悪なのはすぐに予定がコロコロ変わるテレビメディアで、取材というので喜んでクライアントとロケ対応、散々無理な取材をされたにもかかわらず、テレビ側の一方的な都合で、オンエアがなくなってしまうケース。PR会社としては、クライアントや代理店への面子は丸つぶれ。予定していた売り上げもたたなくなります。
そんな時は、お金で記事掲載が買えてしまう「ペイドパブリシティ枠」を自腹で購入(もしくは何かと理由をつけてクライアントから予算をもぎ取る)しているのでは?
本当はお金さえ支払えばだれでも掲載されるような3流地方新聞のカス記事や、地方テレビ番組のPRコーナーにクライアントを出演させて、「よかったですね、取材取れましたよ!」とやたらオーバーに喜んで見せたりする空しい技を披露しなければなりません。
そうこうしているうちに、しびれを切らしたクライアントからは契約解除や契約更新の取消などを露骨にちらつかせてくるようになります。
辞めたい理由と悩み5:倫理観のかけらもない「やらせ番組」「編集協力費」「ステマ」には慣れたが、いつ炎上して世間から個人的に糾弾されるか内心ビクビクしている。
マスコミへの土下座行脚もやりつくし(2か月もあれば大抵のメディアへのプロモートは1順してしまう)、これ以上ペイドパブリシティもできない、ウソ八百の報告書を罪悪感混じりで作り続けるのも限界に来たとき、PR会社が契約延長をもくろむ目的で手を出すのが、金に困ったメディア(マン)と結託して行うやらせ番組、提灯記事の作成です(曲解されたケースのネイティブアド、ステルスマーケティング=ステマとも言われます)。
いつ世間にばれて糾弾されるかとビクビクしながらも、クライアントに契約解除をちらつかされて追い詰められたPR会社社員には何を言っても無駄となり、悪いことだとわかっていても、「全てはクライアントと代理店のため」を看板にして、結局は実行に至るケースが後を絶ちません。
ご存じの取り、某上場PR会社などは、週刊ダイヤモンドに特集枠で通信会社依頼のステマ事例をすっぱ抜かれて、代表取締役N氏が只管言い訳を紙面インタビューで晒すという醜態を披露してくれました。
当然、マスメディアにやらせ番組や仕込み番組を放送、掲載させてしまえば、関与したPR会社担当者もただでは済みません(某関西の健康番組やらせ事例では、PR会社担当者に失踪者まで出てしまいました)。個人的に大きなリスクを背負ってまで、やらせPR活動に従事しなければならない…それはあなたが本当にPR会社でやりたかったことなのでしょうか?
PR会社のやらせ行為が原因で炎上した著名な事件例
- 医薬品会社依頼による共同通信の有償による写真掲載
- 納豆関連業界団体の依頼による大手健康番組への有償取材
- マクドナルドでの行列仕込み取材
- 韓流スターの空港取材における出迎えファン仕込み取材
- 地方新聞やスポーツ紙が関与するYahoo!ニュースへの有料掲載
- タレントブログによる特定商品の紹介記事(ステルスマーケティング)
- ニュース番組における、実在しない人物の取材インタビュー設定
この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「PR会社務めの方の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。
あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策
1.再現可能なPR事例をストック。業界でのし上がり、自ら書籍を執筆するような著名PRマンとして成り上がる。
ここまではPR会社、PR業界における共通項ともいえる悩みや問題点を指摘してきましたが、それでもやはりPR業界は非常に魅力あるれる業種の1つであることには変わりありません。
でしたらこのPR業界に骨をうずめるつもりで、自らのセルフブランディングを行いつつ、クライアントから「●●さんを担当で」と直接指名されるレベルにまで著名なPRマンとして名をはせることを目指しましょう。
形のないモノを売るPR業界、しかも、自社のサービスではなく他社(クライアント)のサービスを目立たせることが命題となる業務ですから、PRマンには「これまで担当したクライアントの実績」しか売り物がないこととなります。
大手PR会社において、DやHのような大手広告代理店発注の自治体や国がらみの大規模PRプロジェクトで活躍するのもよいですが、PRマン個人のブランディングに最も役に立つのは、中堅規模レベルの一般企業における「一工夫すれば他社でも再現可能なPR事例」にほかなりません。1度成功させれば、次々と似たような成功事例を再生産しやすいからです。
国家規模の大きなプロジェクトは、あくまでPR会社(というより広告代理店)全体の仕事という位置づけですが、中堅企業レベルの仕事は、あなた自身が個人で担当したとはっきり明示することができる、非常に便利なPRプロジェクトです。
個人ブログ、ツイッター、フェイスブックにて(コンプライアンスと守秘義務に留意しつつ)ご自身のプロジェクト履歴や、PRに対するアプローチの独自法なハウツーを公開しながら、業界内での自分自身の位置をハイアップさせてきましょう。
出来れば個人的にPR関連のビジネス書を執筆できるレベルを目指すのが望ましいでしょう(当然、協力出版ではなく商業出版レベルです)。
そうすれば、いつの間にかクライアントからはあなた個人が名指しで担当者として指名され、サラリーはもちろん、業界内や社内での存在感も一気に高まることは間違いありません(存在感が高まれば、件のようなPR会社特有の汚れ仕事も自分が担当する必要がなくなりますね)。
大手PR会社勤務なので、いちいち仕事のレベルがでかいという場合でも、こういった中堅規模の業務が担当できる中堅のPR会社に転職するのも手です。
2.徹底的に大手広告代理店にすり寄り、出向からの転籍ルートを画策する
DやHやAといった大手広告代理店内には、何故か「実はPR会社からの出向でして…」という方が珍しくありません。代理店からすれば、どうせこき使うならば手元において、徹底的に使ってやろうという本音があるのでしょう。
ただし、そういった「PR会社からの出向組」の中から、能力のある人物が広告代理店社員へと引っ張り込まれるケース(転籍ルート)も珍しくないわけです。
当然、イチサラリーマン(OL)としては、PR会社よりも大手広告代理店の方が給与も福利厚生も充実しまくり、しかも、近年の長時間労働バッシングにより、大手企業は労働そのものが短時間化、ワークシェアリング化しているため、PR会社と大手広告代理店、どちらに所属したほうがあなた個人の人生にとって有利にはたらくかは一目瞭然です。
大手代理店と仕事をしていれば、必ず1度や2度は出向社員のお誘いがあるはずです。その時にはすかさず立候補し、しばらくの間徹底的に滅私奉公をすることにはなりますが、将来的には「元請け」の立場に転籍を狙うのは十分勝算のある戦略かと思われます。
3.PR会社を辞めて他業界に転職する
個人的にセルフブランディングもやりたくない、大手代理店への出向もその後の転籍確証がないし嫌だという場合は、すっぱりPR会社を辞めて他業界に転職するのが最も現実的な将来戦略といえるかもしれません。
幸い、PR会社は他業界からも注目度が高い業種の1つとなっていますので、転職は非常にスムーズに行うことができる可能性が高いといえます。つまり、PR会社社員は転職では非常に恵まれた立場であるケースが多いのです。
特に、過去に担当したクライアントに関係する職種や業界に転職をするという方法は、業界のPR成功事例を手土産に転職活動ができるので非常におすすめの方法です。
他業種への転職…不安はよくわかります。
しかし、うまくPR会社勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、PR会社以外への道を選択した人々なのです。
この件について、以下でより詳しく説明いたします。
PR会社を辞めるタイミング…退職は円満に、クライアントや残った社員に迷惑をかけないで
退職を思い立っても、プロジェクト単位で動くPR会社社員としては、その辞職タイミングがとても重要となってきます。
最低限の礼儀として、所属する会社はもちろん、クライアント、広告代理店、メディア関係者などのステークホルダーそれぞれに、迷惑がかからないタイミング=PRプロジェクトの切れ間に離職できるように、粛々と準備を進めるべきでしょう。
きっとあなたは非常に多忙なPR会社社員だと思いますが、転職活動そのものは現会社に所属しながら行う必要があります。
実際に退職してしまってから、おちついて転職活動を始めたいという気持ちもよくわかりますが、第一に経済的に給与が得られない期間を作ってしまうと暮らしがピンチに陥りますし、実際の転職が万が一うまく進まなかった場合、気持ちばかりが焦り、本来は転職すべきでない企業や業界へと妥協して移って行ってしまう可能性があります。
まずは転職活動で次の会社を絞り込みながら、内定確実との手ごたえを得られてから、無理なく離職につなげていくべきです。
PR会社の勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例
1.一般企業の広報、マーケティング担当職に転職
下請けの悲哀を今までたっぷり味わってきたPR会社社員のあなたは、先に述べた「出向からの転籍ルート」で大手広告代理店への転職を狙うというのも手ですが、更に、大手広告代理店お頭が上がらない存在…予算の大元ともいえるクライアント企業(一般企業)の広報担当職に転職するのはいかがでしょうか?
まさに「使われる側」から「使う側」への転職です。
広報職では(PR発注の)予算管理ができないと心配する場合は、マーケティング関連職や経営管理職なども近似理由で非常におすすめです。
まず、一般企業の広報職ならば、メディアリレーションを始め基礎的な業務内容はPR会社と大差がありませんので、社内広報を追加で学習する程度ですんなりと業務に溶け込むことができるでしょう。
その上、PR会社をまた新たに転職先企業が雇うことにでもなれば、実際にPR会社の良し悪しを身をもって知っているあなたならば、業務委託先の選定コンペはもちろん、実際のPR企画運用が始まってからも、PR会社に手抜きをさせず、「広告換算費」というしょうもない指標に誤魔化されることもなく、厳しくPR会社を監視することができるでしょう。
当然、転職先企業からの覚えもよいはずです。
さらに一歩進んでマーケティング職を希望するならば、広告を含めた企業(商品)全体のプロモーションの中心人物となることが可能となり、今までのような「PR会社はメディアさえ取ってくればいいんだ」という雑な扱いからは、大きく飛躍したレベルの職務に就くことが可能となってきます。
また、採用企業側もPR会社というパブリシティの最前線で戦ってきたあなたの経験値を大きく評価してくれるケースも多く、非常に有利な転職活動を望むことができるでしょう。
広報職の世代別平均年収例
年代 | 平均年収 | 同年代比 |
20代 | 375万円 | +21万円 |
30代 | 479万円 | +13万円 |
40代 | 625万円 | +11万円 |
50代 | 836万円 | +106万円 |
2.マスメディアの営業職に転職
このところマスメディアの間でも「勝ち組」「負け組」の優劣がはっきり色づき始めてしまい、没落していくかつての人気マスコミ媒体企業を横目に、大手勝ち組メディアの間でも「次は自分達の番かもしれない」と危機感でいっぱいです。
そんな中で重宝されるのは、ガツガツクライアント営業をこなしてスポンサーを獲得することができる広告代理店、そして、プロパーのヤリ手営業社員です。
PR会社として既に多くのクライアント企業とのコネクションを有し、過去に大手広告代理店と共同で様々クライアント企業のプレゼン競争に勝ち残ってきたあなたが選択するのは、営業に力を入れたいと本気で考えている勝ち組マスメディアへの転職がおすすめです。
制作ではなく営業部門に転職という点がポイントですよ。
そもそもPR会社や広告代理店は、マスメディア企業と異なって「営業」と「クリエイティブ(企画)」がわかれておらず、双方を兼務して業務を行ってきたケースは珍しくありません。
クリエイティブ側の事情と営業側の事情の双方に通じ、しかも、既に過去のお付き合いから営業先企業の一覧が頭の中に叩き込まれているあなたという人材は、マスメディア企業の営業部からは引っ張りだこになる可能性を有しています。
大手マスメディアの平均年収Top3社ランキング
年収Rank | 企業名 | 平均年収 |
1位 | 朝日放送 | 1518万円 |
2位 | TBSホールディングス | 1509万円 |
3位 | 日本テレビホールディングス | 1469万円 |
3.大手芸能事務所マネージャーに転職
PR会社時代に培った周囲への気配り力と、マスコミ媒体へのプロモート力、クライアント企業への営業力は、常に複数のタレントを売り出し続けなければならない宿命でもある大手芸能事務所にとっても涎が出るほど入手したい、新たな戦力たる可能性を秘めています。
PR会社からは離れたいけれど、マスコミ業界周辺からは離れたくない…そう考えている方もきっと多いことでしょう。そこで、大手芸能事務所マネージャー職への転職を志してみてはいかがでしょうか?
当方が知っているだけでも、複数名の方が元PR会社という肩書で芸能事務所マネージャーとして働き、かなりの成功を収めています。
転職先としての芸能マネージャー職の良い面は、これまでのPRマンとしての営業ノウハウと顧客を十分に活用することができるだけでなく、元々所属していたPR会社ともプロジェクト単位でお付き合いを継続することが可能であるという点です。
PR会社はクライアントに芸能イベントにまつわる企画を提案するケースが多数。あなたとしては、既存のPR会社に転職先の所属タレントをうまく使ってもらうことで、クライアント企業、元所属のPR会社、転職先芸能事務所と3方それぞれがWin-Win-Winとなる提案をすることができる、かなり貴重な人材となりえることができます。
ただし気を付けるべきは、あまりにも弱小な芸能事務所に転職はしないことです。
言わずもがなですが、タレントの売り出しは商品の売り出しとはまた違って、人間を扱うだけに非常に難しい側面と誰にもコントロールができない「運と時流次第」という側面が否定できません。
そのため、全く無名の新人を弱小事務所に所属して売り出すというのは、芸能界パワーバランスから考えても、非常に苦しい戦いになるのが目に見えています。だったら、最初からそれなりの大手芸能事務所に転職をして、事務所パワーでゆうゆうと営業活動に勤しむ方が賢いと思われます。
芸能事務所のマネージャー職での平均年収Top3ランキング
年収Rank | 企業名 | 平均年収 |
1位 | エイベックス・ホールディングス | 804万円 |
2位 | アミューズ | 641万円 |
3位 | ホリプロ | 588万円 |
人生の選択肢は常にあなた自身が持っている
PR会社勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「PR会社以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がないPR業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。
兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。
周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。
転職コーディネーターに無料相談することから始める
自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。
また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。
いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。