会社を辞める際の手続と流れは3種類(自己都合退職、会社都合退職、定年退職)

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。




会社を辞める手続きは3種類に分かれる

会社を辞める手続きはその退職理由に則って3つの種類に分かれます。1.「会社都合退職」2.「自己都合退職」3.「定年退職」の3種類です。

  1. 会社都合退職…所謂、倒産やリストラによって会社を辞めざるを得ない場合です。
  2. 自己都合退職…一身上の理由(転職、独立、疾患他)で会社を辞めることです。
  3. 定年退職…就業規定の定年年齢に達したために、会社を辞めることです。

会社を辞めた後は様々な手続きぞ自分自身で行わなければなりませんが、それぞれの退職パターンによって手続きは異なってきますので、注意深く諸手続きを行う必要が出てきます。

また、退職後に雇用保険(失業保険)の給付を受ける際に、会社都合退職のケースと自己都合退職のケースでは、失業手当の支給までに3か月間のズレが生じますので注意が必要です。そして、定年退職の場合は、年金手続きが他の退職理由とは異なることが多いです。

ここでは「会社都合退職」と「自己都合退職」それぞれ2つのケースの手続きとその違いをご説明いたします。

※「定年退職」の手続きプロセスについては当サイトの主旨とは異なりますので、詳細のご説明を省かせていただきます。

また、次の転職までに期間を置く予定の方(つまり失業期間)もいらっしゃると思いますが、念のために失業保険の給付がもらえる「失業」の定義を記載しておきます。

失業とは

「失業」とは、離職した方が、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことをいいます。したがって、次のような状態にあるときは、失業給付を受けることができません。

1.会社都合で退職する場合(倒産、リストラ等)

会社都合を理由等擦る退職の場合、多くのケースで転職先が見つかっていなかったり、残務整理状況が混迷していたりなどの複雑な状況が多いために、自分自身の退職のための手続きがおろそかになりがちです。

自己都合退職との違い

会社都合での退職の場合は、失業保険の給付金支給が3か月ほど早くなります。突発的に会社を辞めなければならなくなったケースが多いための、ある意味救済措置的側面があります。

従って、雇用保険の手続きと取扱いが自己都合退職との違いとなりますが、その他の年金、税金、健康保険の手続きは自己都合退職と同じですので覚えておきましょう。

入社後14日以内を除き、会社都合の解雇は30日以上前の解雇予告か、30日に不足した日数分の解雇予告手当を支払う必要があります(労働基準法)。

解雇の場合は必ず解雇理由証明書の発行を会社に依頼し、解雇理由についての詳細をあなた自身が納得できるまで質問することです。

会社都合退職者が忘れずに行うべきこと

会社都合による退職は、働いているあなたにとっては予想外のタイミングで発生する、言わば「トラブル」に近い状況といえます。

解雇予告を巡っての法的紛争などに発展するケースもありますが、ここでは会社を辞めることが避けられないケースを事例に、さまざまな退職手続きの中で最も重要な「雇用保険」「健康保険」「年金」「税金」の手続きについて、詳細を説明いたします。

1.雇用保険の手続きと流れ

1-1.雇用保険被保険者証の有無を確認

雇用保険被保険者証の例

雇用保険費保険証はご自身で保管しているか、会社が預かっているかのどちらかになる、非常に重要な書類です。もしも所在が不明だった場合は、総務部や人事部などで再発行の手続きを必ず依頼してください。

1-2.離職票の受け取り時期と受け取り方法を確認

離職票1(雇用保険被保険者離職票1)の例

離職票2(雇用保険被保険者離職票2)の例

通常、離職票は会社を辞めてから10日以内に郵送で届けられることになります。こちらも非常に重要な書類ですので、郵送されない場合は会社に催促の連絡を入れてください(離職票には1と2があり、両方必要です)。

1-3.離職票を持って公共職業安定所(ハローワーク)に向かう

離職票を受け取ったら、公共職業安定所(ハローワーク)に出向き求職の申し込みをしてくっださい。申し込みから7日間の待機期間を超えると、受給説明会があるので必ず参加します。また、求職申込日から4週間後に第一回目の失業認定日を迎えますので、失業認定(失業状態にあることの確認)を受ければ初回の失業給付金を受け取ることができます。

1-4.初回の失業認定日のあとは

4週間毎に失業認定を受けて、給付日数がなくなるまで失業給付金を受け取ることができます(退職後1年で受給期間は終了となります)。

2.健康保険の手続きと流れ

※健康保険加入手続きは会社都合退職、自己都合退職共に同じです
※国民健康保険を選ぶ場合、失業の翌年度末まで給与所得を100分の30として保険料を計算できる軽減措置(非自発的失業者の国民健康保険料の軽減措置)制度があります。

2-1.健康保険証を確認

手元に健康保険証があるかどうかを確認します。仮に見当たらない場合は、急いで会社に再発行の手続き依頼をします。健康保険証は退職日に会社に返却することになるので、この段階でコピーを取っておくと後々便利です。

2-2.自分が加入する健康保険制度を選ぶ

健康保険の制度は複数ありますが、会社を辞めた直後の場合は自営業者などが加入するための「国民健康保険」、前職場の健康保険がそのまま使える制度の「任意継続制度」、家族の誰かが加入している保険の「被扶養者となる」方法の3種から選ぶことになります。

  1. 国民健康保険…退職翌日から14日以内に居住自治体で受付。
  2. 任意継続制度…前職場の健康保険を引き継げるが、従来会社が負担した保険料も上乗せされるので、自分で支払う必要あり。退職翌日から20日以内に手続き。
  3. 家族の扶養に入る…健康保険加入者である家族が務める会社などで加入手続きをしてもらいます。

3.年金の手続きと流れ

※年金の手続きは会社都合退職、自己都合退職共に同じです

3-1.年金手帳が手元にあるか確認

年金手帳の例(左が旧式、右が新式)

年金手帳は自分自身で保管しているか、会社が預かっているかのどちらかだと思われます。もしも紛失などが考えられるようでしたら、総務や人事等の担当者に再発行手続きを依頼してください。

3-2.退職翌日から14日以内に、市区町村の国民年金係に出向く

この際、あなたが60歳以上ならば、年金事務所で手続き相談をして、年金請求書の記入などを行うことで年金の裁定請求が行えます。

配偶者を扶養に入れている場合はその方も国民年金に加入手続きを同時にしなければなりません。また、どうしても国民年金保険料を支払う経済的余裕がないときは、国民年金保険料を免除する制度もあります。

厚生年金基金の加入は務めていた会社によって状況が異なりますので、会社の担当者に詳しく手続きの方法をうかがっておくべきでしょう(この場合、厚生年金基金加入員証が手元もしくは社内に保管されているはずです)。

4.税金の手続きと流れ

4-1.退職金がある場合は「退職所得の受給に関する申告書」を会社の担当者に提出する

退職所得の受給に関する申告書例(引用:http://www.okayama-u.ac.jp)

退職金の有無により手続きが異なりますが、もしあなたに退職金が支給されるようでしたら「退職所得の受給に関する申告書」に記入、総務などの担当部署に提出してください。

※もしもこの書面を提出しなかった場合は、ご自身で確定申告をして退職金に関する税金の申告を税務署に行うこととなります。

4-2.税金は「所得税」と住民税」の2つに関する手続きに分かれているので注意

所得税

会社を辞めてすぐ再就職しない場合は、ご自身で確定申告をする必要が出てきます。すぐに転職する先が決まっている場合は、転職先企業にて年末調整を行います。

住民税

会社を辞めた日が1月~5月末の場合、元の会社でそれら期間分の住民税が一括給与天引きされます(一括徴収)。退職日が6月~12月の場合、市区町村役場から未払い分の住民税納付書が郵送されてきますので、ご自身で納付してください(普通徴収)。

※会社によっては6月以降退職でも給与から一括天引きの処理をしてくれるケースもあります。

2.自己都合退職

時効都合による退職は、最も多い退職ケースで所謂「一身上の都合」による退職のことです。従業員の個人的理由(転職、独立開業、疾患の療養はその代表的な例です)による退職は、全てこちらに該当します。

自己都合退職と会社都合退職との違い

自己都合で会社を辞める場合、会社都合退職との手続き処理については雇用保険の手続きのみ」が異なります(具体的には3か月間の給付制限があるため、実際に失業給付を手にするまでの時間が会社都合退職と比べて遅くなります)。健康保険、年金、税金の手続きは会社都合退職と場合と同じですので、そちらを参考にしてください。

自己都合退職者が忘れずに行うべきこと

会社都合退職と同じく重要な手続きは「雇用保険」「健康保険」「年金」「税金」の4種類になります。雇用保険のみ手続きが異なりますので、下記でご説明いたします。

雇用保険手続き(自己都合で会社を辞める場合)の流れ

1.雇用保険被保険者証の有無を確認

まずは在職中に雇用保険被保険者証の有無を確認します。会社か自分自身で保管しているかどちらかなので、もし見当たらない場合は会社の総務や人事などで再発行の手続きを依頼しておきましょう。

2.離職票の受け取り時期と受け取り方法を確認

離職票は在籍していた企業から退職後10日以内に会社から送付されてくるはずです。もしも離職票が10日経っても送付されてこない場合は、早急に送付を催促してください。

3.離職票を持って公共職業安定所(ハローワーク)に向かう

離職票を持参して公共職業安定所(ハローワーク)で求職の申し込みをします。その後、7日間の待機期間を挟んで、受給説明会の日程が指定されるので必ず出席してください。

この求職申し込みから4週間後に第一回目の失業認定日が通知されることになります。ただし、自己都合退職の場合はこの段階で失業給付は支給されれず、もう1ステップ処理が必要となります。

具体的にはこの日から更に3か月の給付制限がありますので、その期間を挟み、その後の第二回目の失業認定日が指定されて、再度失業認定(失業状態にあることの確認)を受けるのを待つことになります。

第二回目の失業認定日にて失業認定を受けることができれば、約1週間ほどで失業基本手当があなたの指定口座に振り込まれます。

4.2回目の失業認定日のあとは

この後は4週間おきに失業の認定を都度受けることとなり、給付日数がなくなるまで失業給付を受けることが出来ます。ただし、退職の1年後に受給期間は終了しますので、少なくともその期間までには次の転職先を探しておくべきです。

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