教育系出版社の編集を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法

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北野筆太

北野筆太

ブラック企業の取材などを主なテーマにしているライター。実際の転職経験者にインタビューをすることで、労働者が煮え湯を飲まされるその業界ならではの特殊事情やゆがみを探り当て、「就業する前に(転職する前に)知ってほしい体験談記事」を日々執筆中。




記事の目次

世の中の情報を統括する「出版編集者」に憧れる人は多い。その裏に隠された「残酷物語」も知らずに。

世の中に「憧れの仕事」とされる職業はたくさんありますが、「編集者」も間違いなくそのうちのひとつです。出版不況が叫ばれて久しいのですが、それでも「本を作りたい」「雑誌を当てたい」と、編集者を夢見る人が少なくないのは、毎年多くの一流大学生が、就職試験で出版社の門前に列をなしていることからもよくわかります。

それは編集の仕事が創造的(クリエイティブ)業務を代表する職種だからでしょう。未だ世の中に知られていないことを人々に知らせる喜び、知らせたことで世の中が動く喜び、人を感動させる喜び、そして、「この本を買って良かった」と言われる喜び。

編集者の仕事には、喜びが詰まっています。

実際の業務内容においては、編集者が、文字を書いたり写真を撮ったりするわけではないのです。文字を書くのはライターや小説家ですし、写真を撮るのは写真家です。

編集者は文字通り、素材を「集めて」価値ある情報に「編む」仕事です。

しかし、素材を集めればそれで本になるわけではありません。ライターや写真家から受け取った記事や写真が本の狙いに外れていれば、書き直しや撮り直しを命じなければならないのです。

もちろん「直し」が発生しないように、編集者は事前にライターや写真家に、本の狙いを正確に伝えなければなりません。

これだけでもとても高度な作業ですが、しかしこれだけでは優秀な編集者とはいえません。

「世の中の知りたい」や「世の中に知らせなきゃ」を的確に把握し、尚且つ、商売としてしっかりと売り上げを建てることができる本を作らなければならないのです。

これでもまだ足りません。

現在における出版社の編集者は、新興勢力とも言えるウェブニュースサイトやブロガーたちと闘わなければならないのです。ネット情報はほとんどが無料ですが、本の情報は有料かつ高額ですから、当然その情報クオリティで劣るわけにはいきません。

当然、ネット情報に負けている本は、存在価値がなく売れません。

オールドメディアの代表格にあげつらわれ、同じ業界内では常に企業統廃合と熾烈な販売競争で生き馬の目を打ち抜きながらも、業界外にも目を向けながら、ネット情報勢力に勝てる本を作りを続ける編集者しか、生き残ることができない世界です。

今回であった細川竜太さん(仮名、26歳)は「正直、教育系出版編集の世界がこれほど厳しいとは思いませんでした」と振り返ります。細川さんは、偏差値53の私大を卒業後、教育系出版社に入社し、晴れて憧れの編集者になりました。

しかし、細川さんは結果的に3年間の勤務の後、出版社を退職していきました。

「出版業界の外部環境が年々厳しくなる中、うちの会社も売上がダダ下がりで、将来に見通しを立てることができず…どうしても単なるやりがいだけでは、仕事を続けていくためのモチベーションを保つことができませんでした。そうこうしているうちに、最後の砦だったやりがいまでも失ってしまったのです。」

そのようにも言いました。

あなたも出版社編集者であれば、細川さんが指摘する「厳しさとやりがい喪失のダブルパンチ」の意味がご理解いただけると思います。

実際の編集は、とても厳しい仕事です。残念ながら、死にゆくオールドメディアの筆頭として紙媒体(の編集業務)が常にピックアップされるのはもう飽き飽きするほどの鉄板テーマとなっています。

細川さんがどのような壁にぶち当たり、どうして挫折したのかを紹介します。そこには、尾内編集者としてのあなたが着目すべき「次の道」へのヒントがあるはずです。

もしもあなたが「このまま編集の仕事を続けていてよいのだろうか…」と日々反芻しているのなら、きっと役に立つ情報になると期待しています。

好きな本を作るだけでいい編集者は一部の大手出版社だけ。広告取りやクライアントのご機嫌うかがいの日々を送る「なんでも屋兼編集者」がほとんどの業界事情。

辞めたい理由と悩み1:零細の教育系出版編集は我慢の連続…誌面テーマを無視した広告企画にも渋々賛同して食べていくしかない。

細川さんは大学時代の就活で、講談社、小学館、集英社の大手3社と、新潮、岩波、文芸春秋の老舗3社に落ちました。いずれも書類審査でふるい落とされ、面接に進めたところは1社もありませんでした。

それでも編集者への夢があきらめきれず、留年してもう一度チャレンジして、社員30名の小さな教育系出版社に入ることができました。

細川さんが最初に任された仕事は、高校教師向けの進路指導用の資料の作成でした。A4 版10ページの小冊子で、有料の書籍を定期購読してくれている高校に無料で送っています。

年12回発行するのですが、「特集記事」は前年のものをベースに作り変えるだけですので、若干の修正で済みます。

面倒なのは「広告」です。高校教師が読む小冊子ですので、大学や短大や専門学校が広告主となります。

広告といっても、学長へのインタビューや学食グルメ、先輩たちのキャンパスライフ紹介といった「記事体」で作らなければなりません。

内容は毎年新しくする必要がありますし、新企画も求められます。広告主は広告費に見合った入学者増を期待するので、要望はシビアです。

細川さんはこう振り返ります。

「記事体広告の企画が昨年と似ていたり、レイアウトが他大学と同じだと、すぐにクレームがきます。クレーム、即、広告打ち切りに繋がりますから、上司はピリピリするわけです。

本当に読んでほしい『特集記事』は手を抜き、広告に全精力を注ぐというのが、残念ながら今のウチの経済事情からくる編集方針なんです。出版社なんだか広告代理店なんだか分かりませんでしたよ」

単行本や文庫などを除くと、世の中のほとんどの出版物には広告が掲載されています。日本で最も信頼されている情報源のひとつである新聞ですら、広告の嵐なのはビジネスモデル上避けられない事実です。

ただ、大手出版社なら編集者と広告担当は分かれており、編集者は広告担当者と闘いながらも、自分たちが本当に作りたい誌面をなんとか工夫して作り上げていく。しかし、細川さんの会社のような中小零細の出版社では編集を含む社員全員が「営業ファースト思考」にならざるを得ないのです。

あなたも編集者ならば、多くの出版物は「広告を盛る皿」としての機能があるから生き残っている、ということをご存じのはずです。今の出版業界では編集者ですら、好む好まないに限らず、営業マン的機能を担う他は生きていけないのです。

減少の一途をたどる出版物販売額 単位:兆円
2001年 2012年 2013年 2014年 2015年 2001年比
約2.3兆円 約1.7兆円 約1.6兆円 約1.6兆円 約1.5兆円 35%減

資料「出版業界の現状」(日本出版販売株式会社)

出版業界の現状 | 日販 新卒採用情報
現在、出版業界は大きな変化にさらされ、刊行点数は増加しながら売り上げは減少。インターネット市場や電子書籍の伸長で変わりつつあります。

辞めたい理由と悩み2:人手不足が「締め切り地獄」に連鎖していく…長時間労働でブラック化にますます拍車がかかる。

出版社のジレンマは、書籍1点当たりの売り上げ数が年々下がっているにもかかわらず、実際の書店での棚を確保するために、無数の書籍タイトルを出版することで穴埋めに走らざるを得ない事情があります。

出版点数(編集本数)が多くなれば、当然のごとく、より多くの人手が必要になるにもかかわらず、苦しい経済事情から新入社員を絞り込む人員削減路線を変えることは叶いません。

結果、一人の編集者が抱える担当書籍数は増加傾向にあり、個々の負担は益々増加していき、ただでさえ長時間労働が是であった出版業界い、ますます長時間労働、ブラック化の風が吹き荒れる結果となっています。

先述した細川さんの場合、担当書籍の出版だけでなく、彼には大学入試情報の収集も大切な業務として課せられていました。

会社の古株先輩に聞くと、10年くらいまでは編集者とは別に情報収集のみの仕事をする専業のデータマンが社内にいたのですが、人員削減の波に逆らえずに、データマンの仕事は編集者がそれぞれ兼務するという流れになってしまったそうです。

「大学入試情報誌の誌面作りは大学の広報担当のご機嫌取りのような仕事でしたが、せめて、きっちりと正確で最新の情報を収集した誌面作りをしたいと思っていました。そのための裏方業務として入試情報リサーチが重要な位置づけとなってきます」と細川さんは言います。

まずは文部科学省のホームページのチェックから取り掛かります。中央省庁のサイトは東京の地下鉄網より複雑に入り組んでいて、求めるページにたどりつくだけでも大変です。しかも、そこに提示してある内容はオーソライズされたものだけです。

教育系出版社が知りたい情報がすべてウェブサイト上でオープンになっているわけではなく、不確定情報に関しては、一定の確証が得られるまでは誌面掲載するわけにはいきません。

結局は文部科学省に直接問い合わせすることになるのですが、「正面」から行っても得られる情報は限られています。そこで編集者には「裏ルート」作りが求められます。

官僚が決定する前に情報交換をする相手は、有力大学の幹部です。細川さんのような教育系出版社の編集者は、各大学の学長や広報室長とパイプを持っておかないと務まりません。

入試方法を毎年変えている大学も少なくありません。入試の日程や受験科目、学部や学科の再編は「受験生に絶対に伝えなければならない情報」であり「1日でも早く伝えたい情報」なのですが、大学側はぎりぎりにならないと決定しません。

そこで編集者は「○月○日までに決定しないと周知に間に合いません」と大学の担当者の尻を叩かなければならないのです。

細川さんは「入試情報は高校生や浪人生の人生を左右しかねないので、校閲作業はすごくプレッシャーがかかりました」と話していました。そうなのです、営業、取材、執筆、編集に加え、細川さんは同僚が手掛けた他誌面原稿の校閲までもしていました。1人5役の活躍ぶりですが、ドロドロの長時間労働で心身ともに消耗ししきってしまいます。

あなたも一度は「編集者に締め切りがなかったら…納得行くまで時間をかけて好きな本だけ作ることに集中できたらどんなに楽しいだろう」と想像したことがあるでしょう。

受験の出版物は、書店に並ぶ日が決まっています。さらに、印刷工場に原稿を送る日が決まっているので、校閲を終える日時も決まります。

このように逆算を続けると、編集、執筆、取材、営業にも絶えず締め切りが発生し、すべての工程に携わっている細川さんは「締め切り地獄」の住人と化すのです。

人手不足が原因で、本来の教育雑誌の編集業務のみに集中させてもらうことができないという悪循環。あなたの会社も、似たようなものではありませんか。

出版不況の実態
倒産増加 2015年の出版社の倒産は38件。前年比3件増。倒産件数の増加は2年連続。
名門ですら 中央公論社は1999年に読売グループの傘下に入り、社名を中央公論新社に変更。
あの書店ですら 岩波専門の書店「岩波ブックセンター」を運営していた信山社が2016年に破産。
ネットの波 老舗出版社KADOKAWAは2014年、ニコニコ動画のドワンゴと経営統合。

資料「出版社の倒産」(ITmediaビジネスONLiNE)など

出版社の倒産、2年連続で増加
東京商工リサーチは出版社の倒産件数(2015年)を発表した。

辞めたい理由と悩み3:全く賛同しかねる記事広告やPR記事に限って、クライアントの真剣度も薄い。やっつけ仕事で今日も日が暮れる。

細川さんが最も苦手だった仕事は、記事広告(PR記事)、特に大手の広告代理店を通じて大学から依頼される、オープンキャンパス用の雑誌スタイルをとった記事広告制作でした。

大学や短大、専門学校は毎年、春休みや夏休みを使って、高校生対象の見学会「オープンキャンパス」と行っています。このとき高校生たちに配布する資料が必要になりますが、雑誌形式の形を取ったオープンキャンパスプロモーションも、各学校にとっては重要なPR戦略となります。

これは出版社のドル箱で、営業担当は次々と仕事を取ってくるのですが、1校1校編集方針が異なるのに、開催時期が重なるので、細川さんたちのスケジュールはさらにタイトになります。

しかも必ずトラブルが発生するのです。

オープンキャンパスを実施する学校は「委員会」を結成します。この委員会には、大学広報と細川さんたち編集者に加え、学校の教師や学生たちも名を連ねます。

細川さんが最も手を焼いたのは、委員会メンバーの教授の「雲隠れ」です。教授たちはそもそも自分の研究テーマとは無関係の「学校経営」そのものには関心がありませんから、オープンキャンパスにもさほど力が入りません。それで「研究の都合」と称して打ち合わせをすっぽかすのです。

「それでいて、出来上がってきた企画案に文句を言うのは、そういう雲隠れ教授たちばかりなんですから…」と細川さんは吐き捨てるように言いました。

細川さんの独白は止まりません。

「学生スタッフが変にオープンキャンパスの委員会メンバーに加わっているときもやっかいです。学校側は、後輩たちへの訴求力が高いと考えて在校生をスタッフに加えたがるんですが、学生たちはビジネスの訓練を受けているわけじゃありませんからん、所詮は子供の素人企画を思いつきで提案してくるわけです。

的外れなことを好き勝手に発言するし、割り当てられた仕事を完遂する根性もない。その『子守』をするのは結局出版社側なんです。無下に彼らの面子をつぶすような提案却下もできないですからね…結局は私が学生達との間に立って、調整役をしなければならなくなります。」

オープンキャンパス記事広告は、本来細川さんがやりたい業務内容とは程遠い、実態は「広告そのもの」の雑誌作りです。気持ちが乗らない分、次第にやっつけ仕事へと変貌していく細川さん仕事そのもののクオリティも下がっていくのが、自分自身でもよくわかるとのこと。

「ここで頑張っても、給与が上がるわけでもないですからね。これ以上、編集業務と無関係の広告仕事ばかりやらされるなら、さっさと余所へ転職しようと思います。」

すっかり諦観といった様子の細川さんですが、実際にこの言葉通りに3年間の編集業務に別れを告げて、あっさりと転職をしてしまいました。

では、教育系出版社に編集者として勤めるあなたはどうすればよいのでしょうか?この先もつらい現実に耐えながら生きていかなけばならないのでしょうか?
いいえ、「教育系出版編集の人生を変える解法」はきちんと存在していますので、それを今からご説明いたします。

あなたの「会社を辞めたくなる悩み」への対応策

1.現状への妥協を今すぐ止めて、いまこそ本当に好きな分野の出版社に転身する

教育系出版社に就職し、憧れの編集者になったものの、わずか3年で退職してしまった細川竜太さん(仮名、26歳)は「続かなかったのは、私がまったく大学受験業界に興味を持てなかったからですね…それなのに受験専門の出版社に入社したのは大きなミスでした」と言いました。

細川さんは大学時代の就活で、大手出版社や名門出版社に挑み、ことごとくふられました。なので教育系出版社への入社は、出版物のジャンルに一切こだわらず、「編集者になること」ありきだったのです。

つらくても「好きだから」があるから踏ん張れますが、これでは、絶えず難題がふりかかる編集者を続けることはできないでしょうか。

大手出版社ならば様々な部署分野があり、どうしても自分に不適正な分野ならば移動願いを出すこともかなうでしょうが、出版分野を専門で絞っている中小出版社勤務の編集者には、移動自由も一切ありません。

そこで、「編集者の仕事は続けたいけど、いまの出版社での仕事は限界」と感じているあなたにおすすめしたいのは、あなたの好きな分野の本を出している出版社への転身を遠慮なく図るべきだと思います。

棋が好きな人なら、「将棋世界」を出版している日本将棋連盟や、「近代将棋」を出しているナイタイ出版へ、ガーデニング雑誌だと、「フローリスト」の誠文堂新光社、「園芸ガイド」の主婦の友社へ、スポーツ分野ならばベースボール出版へ…。

好きこそものの上手なれで、編集者が心から関心を示している分野であれば、仕事が苦になりません。

それなのに今の仕事が好きなれないのは、どうしても、あなたが取扱い分野そのものを「好きになれない」からなのではないでしょうか。

あらゆるジャンルを取り扱う最上位の出版社(講談社、集英社、小学館等)に中途入社するのは、非常に困難が伴いますし、あまり現実的な転職戦略とは言えません。しかし、中堅以降の準総合的にジャンルを扱っている分野でしたら、まだまだ広く門戸を開けている余裕もあり、少ないとはいえ、中途入社のチャンスは十分に残されています。

また、小規模零細規模の出版社であっても、非常にエッジのたった分野特化で成功している出版社は無数にあるわけで、あなたの「自分は好きな分野の編集ができていない」というセリフは、単なる言い訳(自分が好きな出版分野の版元に職しようと思えばできる現実が、本当は目の前にある)に聞こえてしまいます。

いまの勤務先が、あなたにとって「好きではない分野」の本しか出していない場合、この先お一生、好きでもない分野を我慢しながら編集作業しつづけていくか、思い切って、全く別の出版社で、本当に自分自身が取り扱ってみたい編集分野に挑戦してみるか…選択権は常にあなた自身が握っています。

2.ウェブメディア編集者となって活動フィールドを拡大、自分の思うがままの作品を世に送り出す。

ネットニュースやウェブメディア業界ではいま、編集者不足が切実な問題になっています。医療情報を作成・配信していた大型サイトWが2016年、その記事に信憑性がないとして閉鎖に追い込まれました。このサイト運営会社には、正確な記事を作り上げる編集者がいなかったことが分かりました。

記事を書くのはライターや記者ですが、記事を作り上げるのは編集者です。

というのも、ライターや記者などの執筆者は、ときに話題性を出そうと「盛る」ことがあります。「嘘」に手を染める人もいます。

執筆者が悪の誘惑に負けそうになったときに正しい道に戻してあげるのが、編集者です。

しっかりした編集者がいないと、閉鎖に追い込まれた医療大型サイトのように、ライターのみならず運営会社もその誘惑に飲み込まれてしまうのです。

そこでいま、多くのサイト運営会社がオウンドメディアの運営にコストを投入し始めており、より多くの企業で力のある編集者を求めています。サイト編集者の魅力はそのフットワークの軽い働き方です。パソコンとWiFiがあれば、仕事ができます。在宅勤務も簡単です。念願のフリーの編集者になるまたとないチャンスなのです。

さらに、サイト専用ライターを囲うことができれば、会社組織にしてクラウドソーシング事業を展開できます。あなた自身もベンチャー企業を興せる可能性が高くなります。

3.教育系出版社の編集を辞めて他業界に転職する

「教育系出版社の編集の仕事はもういいや」と感じている人には、出版業界から飛び出すことをおすすめします。他業界に目を向けてみてはいかがでしょうか。

出版業界が大変な状況にあることは明白です。ネットはますます利便性を増し、利用者を増やしていくので、出版は今後ますます不利な状況に陥るでしょう。

出版はなくなる業種ではありませんが、競争がより激化する業界です。

そんな業界で猛者たちを相手に闘っても、消耗するだけです。早めに業績好調な業界に移ることは、利口な選択といえるでしょう。

しかも、あなたが積み上げてきたキャリアが無駄にならない選択肢が用意されています。

例えば細川さんのように、「教育系出版社の編集経験」がある人は、受験産業が放っておかないでしょう。

細川さんの場合には、1.大学受験に精通している、2.情報の整理が得意、3.広告取りのスキルや営業マインドを持っている、という3つの強みがあるからです。

あなたも編集者をやりながら、編集の仕事だけをしてきたわけではないでしょう。転職市場において、編集者は「マルチな才能を持っている人」と考えられています。

あとはあなたが一歩を踏み出すだけです。

他業種への転職…不安はよくわかります。

しかし、まく教育系出版社の編集勤務を抜け出して、人生の立て直しに成功した人の多くは、教育系出版編集以外への道を選択した人々なのです
この件について、以下でより詳しく説明いたします。

教育系出版社編集者の辞め方とタイミング

1:ストレスは心筋梗塞、肥満、アトピーを引き起こす。そしてうつ病には細心の注意を払って。

細川さんは教育系出版社に勤務していた3年間に「体が弱くなった」と感じています。風邪を引きやすくなり、偏頭痛も再発するようになりました。

あなたも「ストレスが大きくなると体の抵抗力が落ちて病気になりやすくなる」と聞いたことがあるでしょう。

しかし医師たちはもっと深刻な事態を想定しています。

下に厚生労働省が公表している「ストレスに関連する病気」を紹介します。命にかかわる病気から生活の質を著しく落とす症状まで、とにかくありとあらゆる病気を誘発することが分かると思います。

ストレスに関連する病気
部位 病名や症状
呼吸器系 気管支喘息、過喚起症候群
循環器系 本態性高血圧症、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)
消化器系 胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、心因性嘔吐
内分泌・代謝系 単純性肥満症、糖尿病
神経・筋肉系 筋収縮性頭痛、痙性斜頚、書痙
皮膚科領域 慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
整形外科領域 慢性関節リウマチ、腰痛症
泌尿・生殖器系 夜尿症、心因性インポテンス
眼科領域 眼精疲労、本態性眼瞼痙攣
耳鼻咽喉科領域 メニエール病
歯科・口腔外科領域 顎関節症

ですので細川さんが感じた「風邪を引きやすくなった」「頭痛が再発するようになった」という症状は、「ストレスのせいかも」と疑うことができます。

ストレスが原因となって発症した病気なのに、ストレスのない生活を取り戻しても治らないことがあります。ストレスを取り除くのは1日でも早い方がいいのは手遅れにならないようにするためです。

そして、うつ病は、最も警戒しなければならないストレス関連病です。以下の症状がひとつでも当てはまり、なおかつ、2週間以上継続した場合、精神科や心療内科の受診をおすすめします。

  • 気分の落ち込み
  • 憂うつな気分
  • 趣味が楽しめない
  • 体重の減少または増加
  • 食欲の減少または増加
  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまう
  • どれだけ寝ても眠気がとれない
  • 気持ちが焦る、イライラしやすい
  • 疲れやすい
  • 価値のない人間だと思う
  • 周りに対して申し訳なく思う
  • 思考力や集中力が低下する
  • 決断できなくなった
  • いっそのこと消えてなくなりたいと思う
  • 死にたいと思う

資料「ストレスからくる病」(厚生労働省、こころの耳)

https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh002/

2:複数案件が同時進行する編集の仕事には終わりがない。ヘタすると退職のタイミングを逸する。

3年経ってもやりがいを見出せなかった細川竜太さん(仮名、26歳)は、上司に退職の意向を伝えました。すると上司は「そうか残念だな。でも、なんとなくそんな気がしてたんだよ」と言ってくれました。

上司はすぐに社長に「細川が退職します」と報告しましたが、社長は「いま辞められて大丈夫か?」と言いました。大学受験という「季節もの」を扱っているこの出版社では、すべてのプロジェクトが年間スケジュールに従って進行しています。

社長は上司に「俺も後任を探してみるが、すぐには見つからないぞ。仮に採用できたとしても、細川レベルまで育てるのにどれくらいかかるか分からないだろ。細川に、最長いつまで残ってくれるのか聞いてみてくれ」と言いました。

上司は細川さんに、社長とのやりとりを包み隠さず伝えました。そして上司は「退職を撤回してもいいんだぞ、その方が俺も社長も助かるし」とも言ってくれました。

細川さんは心が揺れましたが、「来年もまた同じ仕事をするのは耐えられない」と思い、「すみません、決意は変わりません」ときっぱり言いました。

上司は気持ちを切り替えた様子で、「分かった。だけど、申し訳ないが退職を3カ月後に延ばしてもらえないか」と言いました。

「3カ月ですか!?」

「分かった、じゃあせめて2カ月後でどうだ。俺のために、それくらいのことをしてくれてもいいだろう」

入社以来、とてもお世話になった上司でしたので、細川さんは了承しました。

あなたも退職を決意したら、まずは退職日を設定してください。そして、上司や人事部に「この日に辞めたいんですが」と言うのではなく、「この日に辞めます」と宣言してください。

「この日に辞めたいのですが」と下手に出ると、相手に退職日の決定権を与えてしまうことになります。しかし「この日に辞めます」と断言すれば、相手はあなたに譲歩を求めるので、あなたのペースで交渉が進みます。

出版社では複数の企画が同時進行で進むので、まごまごしていると辞めるタイミングを逸してしまいます。退職の手続きは、これまで育ててもらった義理を果たしつつも、断固たる態度で臨むべきでしょう。

出版社の編集勤務経験が優遇される、より就労条件のよい「おすすめ転職先」の例

1.教育系アプリに力を入れているIT企業の企画担当に転職

教育系出版社の編集者におすすめする転職先は、教育系アプリや商品の企画担当者としてIT企業に転職することです。教育分野のIT化の波はすさまじく、ビジネスの種がそこらじゅうに転がっているからです。

しかも、IT企業には「ハード屋」はたくさんいますが、「教育をITで効率化したい」というニーズを把握している「ソフト屋」が不足しています。あなたの出番です。

野村総合研究所は2014年に、「IT+教育」の市場が2020年に3222億円にまで拡大するとの見方を示しました。

ちなみに2012年が730億円ですので、4.4倍に膨らむというのです。

すでに通信教育のコンテンツをアプリにしたIT教材が、都内の公立小学校の1年生のクラスに導入されています。子供たちはこれで、ひらがなや時計などを楽しく学んでいます。

複数の教科書出版社で結成した「コネッツ」は、IT教材の開発を手掛けるグループです。IT教材の利点は、子供たちだけでなく、教師の好みにも対応できることです。

「教師がこう教えたい」と考えても、紙の教材は簡単には変更できませんが、IT教材なら大きさを変えることも書き込みも自由自在です。

子供の学力向上と、教師のスキルアップが同時に達成できるのです。

「教育のIT化を推進すること」と、教育のIT化の課題を吸い取ること」は、別のビジネスとなります。前者は「ハード屋」が得意で、後者は「ソフト屋」が得意な分野です。

そして、教育現場の課題を見つけることは、教育系編集者の仕事そのものではないでしょうか。だからあなたに「IT+教育」分野への転身をおすすめするのです。

IT使った教育ビジネス、20年に3000億円市場: 日本経済新聞
野村総合研究所によると、電子教科書などIT(情報技術)を使った教育ビジネスの市場規模は2012年で730億円。教育のIT化は今後も進むため、20年には3222億円にふくらむと試算する。
週刊BCN+ グランドオープンのお知らせ | BCN Bizline
IT業界向けビジネス情報サイト。IT流通と市場動向のニュース・解説記事を掲載。イベント・セミナー情報や導入事例の紹介も。

2.進学塾や大手予備校に転職

少子化の流れの中で、塾・予備校業界は衰退産業に数えられます。しかし、日本は依然として高学歴が優遇される社会なので、どんなに縮小しても決してなくならない産業です。

学力が低い子供を平均的な学力にするだけの塾・予備校は、生き残ることは難しいかもしれませんが、賢い子供をものすごく賢くする指導はまだまだ伸びる分野です。

大学入学の登竜門だったセンター試験が廃止され、思考力を問う新たな試験が導入されることはご存じだと思います。この試験改革は、政府に設置された教育再生実行会議が主導しています。

この会議の狙いは、知識偏重型からの脱却で、生徒たちを多面的に評価しようとしているのです。試験には記述式も出題される予定です。

これだけ聞くと「日本の教育が良い方向に進んでいる」と感じるかもしれませんが、大きな課題があります。

それは、すべての大学が、生徒たちを多面的に評価できるのか、ということです。

課題があるところにビジネスチャンスありで、いま、塾・予備校が大学の入試を代行しているのです。

それだけではありません、今現在、一部の大学は授業も塾・予備校に外注しています。もちろん外注化しているのは、教授や准教授が教える「法学」や「建築学」といった大学ならではの授業ではありません。塾・予備校が請け負っているのは、基礎学力が伴っていない大学生向けの補習的な授業です。

また、学生が日本の大学を休学して海外の大学に留学する場合の事務業務を請け負う企業も現れています。

外注化される主な「大学の仕事」が増えている
入試問題の作成 入試の監督業務
ネット出願システムの提供 基礎学力が足りない学生向けの補習
留学の相談、手続き 大学教員への指導

特集 行きたい大学がない 授業も入試も受験産業に丸投げ
入試問題作成を受験産業に外注──。大学の空洞化が静かに進んでいる。さまざまな世界ランキングでも、軒並み地盤沈下する日本の大学。偏差値至上主義に組み込まれ、改革ペースは緩慢だった。東京大学はもう眼中にない。そう言い切る高校生も増えている。今後を担う若者に対する教育の劣化は、日本にとって致命傷となりかねない。現場にもこれま...
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3.学校運営専門の経営コンサルタントに転職

教育系出版社の編集者は「教育ジャーナリスト」とほとんど同義です。すなわちあなたは、日本の教育問題のエキスパートでもあるのです。そこで、学校運営専門の経営コンサルタントへの転身も、あなたの「次の道」としておすすめできます。

私立学校の関係者の間では「2018年問題」が盛んに議論されています。この年にまた、18歳人口が「ガクンッ」と減るのです。

公立学校でも「子供が足りない」と言っている時代ですので、私立学校の生き残りは熾烈を極めます。専門家は、私立学校がとることができる選択肢は次の3つであると指摘しています。

現代の私立学校の3つの選択肢
  1. 従来型の踏襲
  2. ネット型への転換
  3. 職業支援型への転換

1は、建造物としての校舎が存在し、そこに子供たちが通う形態です。従来型と呼ばれてしまうと「旧式」というイメージはつきまといますが、しかしこれこそ真の教育の姿といえます。これを選択する私立学校は、困難を承知であえて王道を行くということです。

しかし、さまざまな理由から、リアルの学校には通えない子供たちが存在します。そこで2のネット重視型の学校が登場しました。

ネット型は当初、緊急避難的な位置付けでしたが、ITとの親和性が高いというメリットがあるので、「IT+教育」の導入によりリアルの学校よりも良い効果を出せる可能性を秘めています。

新しい道に活路を見出そうとする私立学校はこれを選択するでしょう。

そして3は、専門学校に近い姿です。日本の「義務教育+普通科高校教育」では、職業や労働や仕事についてほとんど触れません。そこで子供が小さいうちから職業意識を高める教育を提供し、他校との差別化を図る戦略です。

いずれにしましても、私立学校は経営感覚が求められる時代に突入していますが、教師や学校事務員はビジネスが苦手です。

なので私立学校の経営コンサルタントが注目されているのです。

教育系出版社の編集者の目と、経営コンサルタントの目は、業界を客観的に見るという点ではまったく同じです。

だからあなたに、私立学校をはじめとする、学校運営専門のプロフェッショナルとして、経営コンサルタント業をおすすめ致します。

http://sikeiken.or.jp/seminar/2016/kaki2016.pdf

私学マネジメント協会
私学マネジメント協会は、新しい学校経営を創造する機関です。
株式会社コアネット
コアネットは教育と学校経営専門のシンクタンクです。さまざまな角度から学校経営をサポートいたします

人生の選択肢は常にあなた自身が持っている

出版社の編集勤務のあなたの人生を変えるために、まず一番注目すべきことは「教育系出版社の編集者以外の職場もあることを知る」ということです。
案外、外部と交流がない教育系出版業界人は井の中の蛙になることが多いです。
自分の会社以外のことを全く知らないというケースも非常に多いようで、勇気を出して一歩外に踏み出せば大きな海が広がっているということを、改めて考えてみてはどうでしょうか。

兎に角、どうしても今の悩みが解決できなければ「別に辞めればいい」「辞めたっていいんだ」「自分は自由に人生を選択できるんだ」と割り切ること。

周囲からの目を気にしたり、あなたの人生と無関係な上司のメンツを立てて、自分の人生を後回しにしてします思考こそが「今の職場を辞められなくなってしまう」ことの最大原因であり、悩みをより深くして人生を間違えてしまう事につながります。

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自分自身でまず何をしてよいかわからないならば、人材紹介会社に登録するのも手。
転職コーディネーター経由で他の業界、企業の内情を知ることができますし、冷静な第三者の目で、あなたのスキルと経験を活かせる新しい職場を用意してくれます。

また、辞めづらい今の職場で、(転職先を紹介してもらった後に)スムーズに次の職場に移動するための方法やタイミングなどもしっかり教えてくれますよ。

いきなり仕事を辞めたりはせず、まずはじっくり転職エージェントと無料のアポイントを取って、今後の動き方を相談しつつ、あなたの希望に沿った新天地候補をじっくりと紹介してもらうべきでしょう。

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