
野村 龍一

最新記事 by 野村 龍一 (全て見る)
- 日本には年収3000万円のA君と年収200万円のB君しかいなくなる - 2019年6月24日
- 外資系アパレルブランド営業マンを辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法 - 2018年7月19日
- 機械設計者(計測機器エンジニア)を辞めたい人へ=つらい職場を上手に辞める方法 - 2018年6月5日
円満に会社を辞めるためには、突発的な退職ではなくある程度の準備期間をおいて、跡を濁さないようにしてから退職すべきです。
実際、退職する際はかなりの役所手続きや仕事に関する引き継ぎをはじめとする残務処理、人間関係における儀礼事項など、精神的にも肉体的にもエネルギーが必要となりますので、一定の準備期間というものがどうしても必要となります。
ドラマのような「今日で辞めさせていただきます」は、一般には一切通用しないものであることを知っておきましょう。
記事の目次
円満退職までのスケジュール
円満に退職するまでの準備期間は、最低2か月、可能ならば3か月ほどの期間を見ておきたいところです。
3か月~1か月半前
退職の申し出期日を就業規則で確認、直属の上司に口頭で退職日の相談をして退職日を確定させる(上司以外には決して退職の件は話さないこと)。
1か月半~1か月前
上司に退職願を提出し、業務の引き継ぎに取り掛かります。引き継ぎには自分の業務内容をマニュアル化してみるなど、後任者が引き受けやすい環境づくりを提供しましょう。
1~2週間前
後任の担当者を同行して、取引先や関係者にあいさつ回りをします。諸事情や遠方で面会できない相手には、挨拶状を送付します。
退職3日前~前日
社内の私物、机やロッカー回りなどを整理します。社内文書、備品、支給文房具、PC内のデータなどは持ち出さないように気を付けてください(必ず深刻なトラブルを招きます)。
業務の引き継ぎは必ずこの時までに終えておきます。「どうせやめるから」といい加減な引き継ぎ業務しかしないでおくと、退職後に何度も元の職場から質問事項などの連絡が入り、場合によっては再度会社に立ち寄って、引き継ぎに関する手伝いをしなければならなくなる可能性があります。
退職当日
社内の上司、同僚へ挨拶回りをし、貸与品(健康保険証、社員証、名刺、通勤定期、社章、PC、制服、他)を会社に返却します。また、必要書類の受け取りを忘れないでください(離職票、雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票、退職証明書など)。
※離職票など一部書類は後日郵送のケースがあります。
退職願の書き方
自己都合による退職の場合、退職願を会社に提出することとなります。
退職願のポイント
- 封筒は白字に「退職願」と記述(「退職届」「辞表」とは記述しないように注意)
- プリントアウトではなく自筆で書くこと
- 便箋に罫線が入っているのは問題ない
- 退職理由は「一身上の都合」で統一(具体的には書かない)
- 退職日は会社と協議して決定した日を記述
- 届出日は届を出す日(記入日ではない)を記述
- 部署指名は宛名よりも下の位置に書くこと
- 自分の部署を自分の住所に変えても問題なし
- 社内規定がなければ横書き、縦書き両方可

退職届の封筒例
退職願、退職届、辞表…それぞれの違いは?
- 退職願…従業員自らが会社を辞める旨を願い出る書類ですので、会社側が承諾をしない限り退職は確定しません。会社が承諾をするまでの間ならば、撤回が可能です。
- 退職届…既に会社を辞めることが決定したので届け出る書類です。従って、特別な事情がない限りは撤回は不可能です。
- 辞表…一般的には役員や公務員が退職をする際に使用する書類ですので、従業員が使用することはありません。
退職の挨拶状文例
本来は挨拶回りにより直接のご面会にて、退職のご挨拶をするのがよいとされますが、諸事情や遠隔理由などで、どうしても面会が叶わない方には、書面による挨拶状をお送りします。
挨拶状文書のポイント
- フォーマルに「拝啓」で始まり「敬具」で終える
- 本来は直接面会に訪れるべきだが、書面挨拶になる旨を詫びる1文を追加
- これまでの感謝の気持ちを素直に表現する
- 勤続が長い場合、勤続年数を記入したり、次の職場が公にできる場合は、その旨についての1文を添えてもよい
拝啓
皆様には益々ご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 私儀
一身上の都合により、●●株式会社の取締役を退職いたすこととなりました。
皆様のご支援とご協力によりまして、大過なく勤めさせていただきましたこと、心より御礼申し上げます。
本来であれば、直接お目にかかってご挨拶申し上げるところですが、まずは略儀ながら、書中をもって退職のご挨拶申し上げます。
敬 具
平成●●年●月吉日
●●株式会社
取締役 ●●●●
退職意思を会社に伝える際の注意点
退職の医師が決まったら、直属の上司に口頭で伝えてください。
その際に、退職に関する規定(退職申し出期日など)が就業規則に定められているかどうかを確認いたします。また、会社を辞める意思が固まっていたとしても、周囲にあなたの決意を不要に漏らすことは絶対にやめておくべきです。
当然ですが、会社に退職意思を伝える前に、ご自身の家族とはしっかりと話し合いの場を持っておき、理解と納得を得られるようにしておくべきでしょう。
必須確認事項をもう一度チェックしてください
- 自社の就業規則における退職の規定(退職申し出期日など)を確認
- 退職意思は「直属の上司」に告げる
- 退職意思は「口頭で」告げる(メールや電話は不可)
- 退職日は自分都合だけでなく業務や顧客の都合も必ず考慮する(繁忙期や手がけている担当業務を中途で放り出す形は避けるべきです)
- 退職理由は「一身上の都合(自己都合退職)」とする
- 事前に家族に相談をして、同意を得ること
転職先はきちんと決めてから会社を辞めるべき
会社を辞める理由は人それぞれであり、転職はもちろん、独立開業を目指すための退職だったり、病気療養のためや出産子育てのための退職、家族を介護するための退職などが主な理由でしょう。
しかし、単に「仕事が嫌だからしばらく無職でいいや」「フリーターでも生きていけるからいいや」という退職は、あまりお勧めすることができません。なぜならば、会社員でいるということは、計り知れない大きなメリットを享受できることでもあるからです。
会社員であることの大きなメリット
- 健康保険、厚生年金保険(厚生年金基金)に加入できる…医療機関での医療を全額払う必要がなくなる。怪我や病気で仕事ができなくなっても、健康保険から傷病手当金と給与の3分の2が支給される(国民健康保険や任意継続被保険者には傷病手当金の制度はない)。月々の保険料は会社と折半で支払ってもらえる。
- 雇用保険や労災保険に加入できる…万が一失業に陥っても、失業給付が支給される。独立開業した場合、雇用保険には社長(経営者)は加入できない。
- 所得税の確定申告業務、住民税の納付が不要…会社があなたの代わりに税金を計算し納めてくれます。
- 会社の福利厚生制度が利用できる…家賃補助、通勤手当、社食利用、社員割引制度その他が支給されます。
- 住宅ローンやクレジットなど社会的信用が高い…サラリーマンを辞めると住宅ローンやクレジットカードの作成はまず難しくなります。