
野村 龍一

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記事の目次
病気や怪我で仕事ができなくなったら、健康保険の傷病手当金の受給が可能です
病気でけがで仕事に支障が出た場合、大手企業の場合は就業規則にある「休職制度」を利用することが多いかと思いますが、中小企業などの場合は「休職制度」はもちろん、就業規則そのものが定まっていないケースが珍しくありません。
結局、休職制度を利用できず、やむを得ないまま退職せざるを得なくなるという場合が考えられますので、そういったケースでは健康保険の傷病手当金を受給すべきでしょう。
私傷病による退職手続きの簡易フロー
退職後でも傷病手当金の申請は可能
傷病手当金は、退職時に1年以上健康保険に加入した実績がある方が、退職時の段階で傷病手当金を受け取っている状況であるならば、退職後1年半の間も引き続き受け取れる手当金となります。
申請の方法
協会けんぽ宛に、健康保険傷病手当金支給申請書を記入の上、添付書類と一緒に提出いたします。
添付書類
・療養担当者の意見書
・事業主の証明
・年金証書のコピー
・年金額改定通知書のコピー
・休業補償給付支給決定通知書のコピー
・負傷原因届(外傷の場合)
・第三者の行為による傷病届(交通事故等第三者行為の場合)
・戸籍謄本または戸籍抄本(被保険者志望の場合)
・本人確認書類

健康保険傷病手当金支給申請書
傷病手当金を受けることができる期間と待機期間
病気やけがで休んだ期間のうち、最初の3日間(待機期間)を除いて4日目から支給されますが、支給期間は支給開始日から数えて1年6か月となります。

引用:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271
雇用保険の受給期間延長の申請を忘れない
私傷病で退職せざるを得なかった場合、病状や怪我が回復したのちに求職活動を行うことを条件に、失業給付を受けることができます。通常は1年間の受給期間ですが、本人申し出に基づいて、私傷病のために就労することができない期間(最大3年間)を、先の規定1年に加算することができる可能性があります。
必ず自分自身で申し出をすることがポイントです。
労災事故を理由に会社を辞める場合
もしあなたが就労中に事故(業務災害)を負った場合は、労災保険から療養補償および休業補償を受けることができる可能性があり、こういった在職中の事故は、退職後にも補償を受けることが可能です。
会社を辞めてしまうと労災が下りないのでは?と心配される方が多いのですが、就労中の事故であれば、退職後であってもきちんと労災が補償されていますので安心してください。
労災かどうかは誰が判断する?
労災事故は、就業先の企業を管轄する労働基準監督署所長が行うことになります。また、労災はアルバイトやパート、正社員など雇用形態に関わらず、事業主が雇用保険に加入していれば(加入は義務です)適用されることになります。
労災保険の給付の種類と、認められるケースについて
実際、労災保険の給付には様々な種類があるうえ、事故が起こった際の状況などがかなり細かく調査、判断された上で給付可否が決定されます。詳細は下記の厚生労働省ウェブサイトから調べたうえで、弁護士、社会保険労務士などの有資格者から第三者判断を受けるほうが良いでしょう。
- 療養補償給付…業務、通勤時の負傷や疾病で療養が必要となったときに給付される。
- 休業補償給付…業務、通勤時の負傷や疾病で療養が必要となったために労働ができなくなり、賃金が受け取れないときに給付される。
- 障害補償給付…業務、通勤時の負傷や疾病で後遺障害が残った時に給付される。
- 遺族補償給付…業務、通勤時に死亡した労働者の遺族に給付される。
- 葬祭料・総裁給付…業務、通勤時に死亡した人の葬祭費用が給付される。
- 傷病補償年金…業務、通勤時の負傷や疾病が療養後1年6か月経過しても完治しなかった場合に給付される。
- 介護補償給付…業務、通勤時の負傷や疾病により介護が必要になったら給付される。
- 二次健康診断等給付…直近の健康診断で、脳や心臓に異常があると診断された場合に支給される。
業務災害の判断基準例
- 作業中…反証事由がない限り、基本的に業務災害となる
- 作業の中断中…反証事由がない限り、基本的に業務災害となる
- 作業に伴う必要または合理的行為中…反証事由がない限り、基本的に業務災害となる
- 作業に伴う準備行為・後始末行為中…反証事由がない限り、基本的に業務災害となる
- 緊急業務中…反証事由がない限り、基本的に業務災害となる
- 休憩時間中…事業の施設または管理上の欠陥によるものだけ業務災害となる
- 事業場施設利用中…事業の施設または管理上の欠陥によるものだけ業務災害となる
- 事業場施設内行動中…事業の施設または管理上の欠陥によるものだけ業務災害となる
- 出張中…私用、私的行為、恣意行為などの業務起因性の反証事由で発生した場合の他は業務災害となる。
- 通勤途中…事業主提供のバスなどに起因する怪我、使用者の匿名により休日出勤中、休暇取消の業務命令に基づく出勤中の怪我は業務災害となる。
- 運動競技出場中…運動競技に労働者を出場させることが社会通念上事業に必要と認められ、かつ事業主の積極的な匿名があるものに限り業務災害となる
労災保険で休業中に解雇されることはある?
労働基準法により、業務災害で休業している間(加えて職場復帰後30日間)は原則として事業者は労働者を解雇できません(自己都合による退職は除く)。
ただし、通勤中に災害に遭った場合(通勤災害)の場合は、事業主に責任がありませんので解雇制限はつかないこととなります。