退職金は必ずもらえるの?支払いが滞った場合はどうする?

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野村 龍一

野村 龍一

医療系転職コンサルタント企業で700名以上の医師転職支援に関わる。近年は医療以外にも様々な業種からの「私も会社を辞めたい」という転職相談が相次ぎ、転職成功者のインタビューを敢行中。2016年12月より一般転職に関する情報提供、人生相談を当サイトにて開始。




退職金、必ず誰もがもらえるのでしょうか?

実をいうと、退職金は必ずもらえるものと勘違いしている人が多いようです(いきなりドキッとした方がいるのではないでしょうか?)。まず答から言うと、退職金はあくまでもその会社の退職金規定や労働条件によって初めて支払い義務が発生するため、退職金規定そのものがない企業においては、従業員への退職金を支払わなくても、全く問題とはなりません。

従って、あなたがまずしなければならないこととして、自分が勤める会社の退職金規定の内容がどのようにきていされているかという点をチェックすることになります。

更に、退職金は短期間勤務しただけでは支給されない旨が退職金規定に記載されていることがほとんどで、多くが3年~5年の就業期間を得て後、初めて支給されるものである規定となっていることと思います。

ただし、これまで会社が慣例的に退職者のほぼ全員に退職金に相当する金額を支給してきた歴史がある場合は、仮に退職金規定が存在してなくとも、退職金支給の労働契約が成立していると考えられて、退職金を請求できる可能性がでてきます。

退職金規定でチェックしておきたい箇所

  1. 適用範囲…誰に対して支払われるのか(正社員に限定するなど)
  2. 支給日…退職後何日以内に支払われるか
  3. 支給額…退職金の計算方法(基本給に支給率を乗じたり、ポイント制だったり等)
  4. 支給要件…一定年数の勤続年数が必要となるなどの条件
退職金規定の例

第1条(目的)この規定は、社員の退職金に関する事項を定めるものとする。

第2条(支給事由)退職金は社員が満5年以上勤務し、次の項目に該当した際に支給とする。

  1. 定年により退職したとき。
  2. 在職中に死亡したとき。
  3. 休職期間が満了して退職したとき。
  4. 解雇となったとき。
  5. 自己都合により退職したとき。

第3条(支給除外)懲戒解雇された場合、退職金の支給は行わない。

第4条(退職金の算定)退職金は、退職日が含まれる月の前月末現在の基本給に、別表にて定める勤続年数対応支給率を乗じた金額とする。

第5条(勤続年数)勤続年数は、採用発令の日から退職、解雇発令または死亡の日までの暦日に従って計算するが、1年未満は切り上げることとする。また、次の期間は、勤続年数に通算するものとする。

  1. 試用期間
  2. 休職期間
  3. 関係各社へ出向転籍を命ぜられた期間

第6条(支給日)退職金は、退職および解雇の発令の日または死亡の日より起算して30日以内に現金にて支給するものとする。

退職金の支払いについて

会社を辞める方から退職金支給の請求があった場合、7日以内の支給労働基準法で定められています。ただし、実際の支払い日については会社それぞれの退職金規定に定められている日程に従うことが通常となっています。

もしも退職金を会社が支払わない場合は、最寄りの労働基準監督署に出向いた上で、労働基準監督官に賃金不払いの申告をしましょう。調査のうえで、会社には退職金の支払い命令が労労働基準監督署から下されることとなります。

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/kantoku/

仮に労働基準監督署の介入でも問題が解決しない場合、各都道府県の労働局総合労働相談センター、労働情報センター、労働センターなどへ相談してもよいでしょう。更に問題が混乱するようならば、弁護士を雇ったうえでの民事訴訟などを行う方法で解決を図ります。

退職金だけでなく、年次有給休暇の問題についても会社でこじれるようならば、就業規則や年次有給休暇の管理簿を確認して、正確な有給休暇獲得可能日数を算出するようにします。

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もし会社が倒産したりして退職金がもらえない場合、国による立替払いが得られるかもしれません

万が一会社が倒産したなどの理由で、退職金(賃金を含む)が未払いとなってしまったらどうしましょうか。そういう時は、一定条件に基づいて国が退職金を立て替え払いしてくれる制度があります(賃金の支払いの確保等に関する法律)。

立替払いの条件
  • 条件1:労災保険に1年以上加入している事業所に勤務している労働者であること
  • 条件2:次のいずれかの理由で倒産退職した労働者であること
  1. 破産の宣告を受けた場合
  2. 特別清算開始の命令を受けた場合
  3. 整理開始の命令を受けた場合
  4. 民事再生手続きの決定があった場合
  5. 会社更生手続き開始の決定があった場合
  6. 中小企業事業主が労働者の賃金を支払うことができない状態になったものとして、労働基準監督署長が認定を行った場合
  • 条件3:倒産した6か月前の日から2年以内に退職した労働者であり、且つ、未払いの賃金(退職金)があること
立替払いの限度額
  • 年齢30歳未満の場合…未払い上限額110万円、立替金限度額88万円
  • 年齢30歳以上45歳意味万の場合…未払い上限額220万円、立替金限度額176万円
  • 年齢45歳以上の場合…未払い上限額370万円、立替金限度額296万円
立替金の請求手続き

立替金の請求手続きは、各労働基準監督署において行います(申請用紙も労働基準監督署に設置してあります)。

※不正受給について

偽りその他不正行為により立替払金の支給を受けたときは、立替払金額の2倍の額の納付を命じられるほか、刑事責任を問われることになります。

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/k-mibarai.html
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